2004年10月22日
先日からネタ元として注目しているRUSSIA MAKES IT FUNNYサイトで、ある老夫婦の実話を見つけた。この二人は、法的には結婚していない。夫の方が戸籍上は女性だからだ。こう言うと、近頃、北米などで話題になっている同性婚を思わせるが、そうではない。
78歳の老人ハリス・カマロフさんは、最初の20年を除いては、男性として生きてきた。自分を婆さんと呼ぶ人に対しては怒りをあらわにする。しかし、ハリスさんのパスポートには、性別が「女性」と記されている。彼は性転換したわけでもない。生まれつき2つの性を持っているのだ。
78歳の老人ハリス・カマロフさんは、最初の20年を除いては、男性として生きてきた。自分を婆さんと呼ぶ人に対しては怒りをあらわにする。しかし、ハリスさんのパスポートには、性別が「女性」と記されている。彼は性転換したわけでもない。生まれつき2つの性を持っているのだ。
ハリスさんは1926年、大家族の8番目の子供として生まれたが、両親は彼が「男性」であると同時に「女性」でもあることを知りながら、彼を女性として戸籍登録し、カディーシャと名づけた。両性具有の赤ん坊が生まれたことは、町中の噂になった。
ハリスさんは幼年期を回想する。「7歳になったころから、自分がほかの人と違っていることに気づき始めました。公衆浴場の女風呂に行くと、周りの女性が私から遠のき、私を指差しにして騒いだものです。実際、私は普通の女の子のように振舞わず、ほかの子供たちと喧嘩したり、サッカーをしたりしたものです」。
やがて思春期を迎えると、乳房が女性らしく膨らみ始め、同時に男性器も発達していった。とんでもない生理的矛盾を抱えていたわけだが、周囲には両性具有に詳しい医者がいなかった。
ハリスさんは言う。「結局、自分に男性器が備わっている事実を無視することに決めました。17歳になったころは、実際に、可愛らしい女の子になりきっていましたよ。周りの友達は、私の髪がきれいだとうらやんでいたし、肌も白く、無精ひげも口ひげも生やしていませんでした。化粧をしてダンスパーティにも出かけたものです」。
当時のハリスさん、つまりカディーシャは、見かけは女性として成長していったようでも、実は、誰にもいえない秘密を抱えて生きていることに変わりはなかった。
20歳になって、初めて男性と恋に落ちた。相思相愛だった。だが、恋人はカディーシャが両性具有であることを知るはずもなかった。秘密を明かすわけにいかないカディーシャは、結婚まで体を許さなかった。結局、二人は結婚することになったが、女性のはずなのに男性性器が備わっているという驚愕の事実は、やはり彼にも彼の家族にも受け入れられなかった。
その悲しい出来事の後、カディーシャは、自分の中の男性としての部分を前面に出すことにした。髪を短く切り、婦人服を隣人に譲り渡した。そして、自分の名前はカディーシャではなく、ハリスだと皆に宣言した。こうして、男性として生きる決心を固めた。職業だって、男性ならではの仕事に就いた。牽引車の運転手になったのである。
カディーシャがハリスになってまもなく、若い未亡人ヌルガラム・ギルメトディノワがハリスの町に引っ越してきた。ハリスは、彼女に好意を寄せるようになり、やがてデートを重ねるようになった。
ヌルガラムさんは、こんなふうに語っている。「私も彼のことを心から好きになりました。でも、周囲の人たちから彼の秘密を聞かされたときは、愕然としてしまいました。しばらくの間、彼と距離を置くことにしました。ところが、1週間経ってみると、自分が彼なしでは生きられないことに気づいたのです。父は二人の結婚を祝福してくれました」。
ハリス・カマロフは完璧な夫になった。酒も飲まず、煙草も吸わず、仕事には勤勉。ただし、ハリスが戸籍上は女性であるため、二人が入籍することはできなかった。
ヌルガラムさんは言う。「若いころの彼は、男性として最高でした。ベッドの上でも、とても優しくかった。もちろん、彼には女性の乳房があります。だけど、それを嫌だと思ったことはありません。それを見ることができるのは、世界で私一人だけだったのですから。彼は私を騙したことが一度もありません。このことが私にとっては一番大事なのです。子供を持てないことは事実だけど、これもアラーの思し召しなのです」。(注: ロシアにもイスラム教徒が少なくないらしい)。
とまあ、「Hermaphrodite marries a woman and becomes a happy family man」と題する記事の内容を紹介してみた。筆者があまり余計なことを語るのは蛇足になりかねないと思うが、人間としての根底の部分に関わる両性具有という矛盾を抱えながら、自分の生き方を決して誤らなかったハリスさん、そして偏見や社会的障壁にもめげずに寄り添ってきたヌルガラムさん。この二人のけなげさは8ポイントと評価したい。
なお英語では(ほかの欧州言語でも)、両性具有のことをHermaphroditeと呼ぶ。これは、ヘルメスとアフロディーテの息子へルマプロディートス(Hermaphroditus)がニンフと恋に落ち一体化したというギリシャ神話に由来している。
■ News Source: RUSSIA MAKES IT FUNNY - Hermaphrodite marries a woman and becomes a happy family man
【両性具有(Hermaphrodite)関連サイト】
ハリスさんは幼年期を回想する。「7歳になったころから、自分がほかの人と違っていることに気づき始めました。公衆浴場の女風呂に行くと、周りの女性が私から遠のき、私を指差しにして騒いだものです。実際、私は普通の女の子のように振舞わず、ほかの子供たちと喧嘩したり、サッカーをしたりしたものです」。
やがて思春期を迎えると、乳房が女性らしく膨らみ始め、同時に男性器も発達していった。とんでもない生理的矛盾を抱えていたわけだが、周囲には両性具有に詳しい医者がいなかった。
ハリスさんは言う。「結局、自分に男性器が備わっている事実を無視することに決めました。17歳になったころは、実際に、可愛らしい女の子になりきっていましたよ。周りの友達は、私の髪がきれいだとうらやんでいたし、肌も白く、無精ひげも口ひげも生やしていませんでした。化粧をしてダンスパーティにも出かけたものです」。
当時のハリスさん、つまりカディーシャは、見かけは女性として成長していったようでも、実は、誰にもいえない秘密を抱えて生きていることに変わりはなかった。
20歳になって、初めて男性と恋に落ちた。相思相愛だった。だが、恋人はカディーシャが両性具有であることを知るはずもなかった。秘密を明かすわけにいかないカディーシャは、結婚まで体を許さなかった。結局、二人は結婚することになったが、女性のはずなのに男性性器が備わっているという驚愕の事実は、やはり彼にも彼の家族にも受け入れられなかった。
その悲しい出来事の後、カディーシャは、自分の中の男性としての部分を前面に出すことにした。髪を短く切り、婦人服を隣人に譲り渡した。そして、自分の名前はカディーシャではなく、ハリスだと皆に宣言した。こうして、男性として生きる決心を固めた。職業だって、男性ならではの仕事に就いた。牽引車の運転手になったのである。
カディーシャがハリスになってまもなく、若い未亡人ヌルガラム・ギルメトディノワがハリスの町に引っ越してきた。ハリスは、彼女に好意を寄せるようになり、やがてデートを重ねるようになった。
ヌルガラムさんは、こんなふうに語っている。「私も彼のことを心から好きになりました。でも、周囲の人たちから彼の秘密を聞かされたときは、愕然としてしまいました。しばらくの間、彼と距離を置くことにしました。ところが、1週間経ってみると、自分が彼なしでは生きられないことに気づいたのです。父は二人の結婚を祝福してくれました」。
ハリス・カマロフは完璧な夫になった。酒も飲まず、煙草も吸わず、仕事には勤勉。ただし、ハリスが戸籍上は女性であるため、二人が入籍することはできなかった。
ヌルガラムさんは言う。「若いころの彼は、男性として最高でした。ベッドの上でも、とても優しくかった。もちろん、彼には女性の乳房があります。だけど、それを嫌だと思ったことはありません。それを見ることができるのは、世界で私一人だけだったのですから。彼は私を騙したことが一度もありません。このことが私にとっては一番大事なのです。子供を持てないことは事実だけど、これもアラーの思し召しなのです」。(注: ロシアにもイスラム教徒が少なくないらしい)。
![]() ハリスさんのパスポート。 性別は女性だし、名前は カディーシャのまま。 | ![]() カマロフ夫妻(右がハリスさん) |
とまあ、「Hermaphrodite marries a woman and becomes a happy family man」と題する記事の内容を紹介してみた。筆者があまり余計なことを語るのは蛇足になりかねないと思うが、人間としての根底の部分に関わる両性具有という矛盾を抱えながら、自分の生き方を決して誤らなかったハリスさん、そして偏見や社会的障壁にもめげずに寄り添ってきたヌルガラムさん。この二人のけなげさは8ポイントと評価したい。
けなげさ8 | ■■■■■■■■□□ |
なお英語では(ほかの欧州言語でも)、両性具有のことをHermaphroditeと呼ぶ。これは、ヘルメスとアフロディーテの息子へルマプロディートス(Hermaphroditus)がニンフと恋に落ち一体化したというギリシャ神話に由来している。
■ News Source: RUSSIA MAKES IT FUNNY - Hermaphrodite marries a woman and becomes a happy family man
【両性具有(Hermaphrodite)関連サイト】
- BORN TRUE HERMAPHRODITE - Pictorial Profile
Lynn Edward Harrisという両性具有者の半生をつづったWeb ページ。ページを下の方までスクロールすると、幼少時から現在に至るまでの写真を見ることができる。
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この記事へのコメント
1. Posted by kk 2004年10月23日 14:48
僕は日本がもっと同性愛に対して理解がある国になり同性婚も認められればいいなと思っています。
http://www.2cho-me.com/
http://www.2cho-me.com/
2. Posted by miccckey 2004年10月23日 15:54
kkさん
コメントありがとうございます。同性婚を認める動きもいずれは出てくるかもしれませんね。少子化という問題が最大の反対根拠となるのでしょうけど。
コメントありがとうございます。同性婚を認める動きもいずれは出てくるかもしれませんね。少子化という問題が最大の反対根拠となるのでしょうけど。
3. Posted by KK 2004年11月01日 16:51
僕は同性愛に興味があります!日本でも同性婚が認められればいいと思います!
5. Posted by 紫苑 2006年12月05日 11:03

6. Posted by T 2010年11月19日 13:38
結婚するなら相手にしっかり自分の身体と遺伝について理解できるまで説明するべき知らずに結婚したら不幸の始まりです
7. Posted by 2011年07月01日 15:06

8. Posted by あほか 2011年07月16日 22:01
おいおい同性愛を認めたら人類は絶滅するぞ
本来なら精神病棟へ行ってもらいたい
はっきりいって病気だよ
両性具有もかわいそうだが施設へ入って一生を施設で過ごしてもらいたい
偏見などと言われそうだが人間が生物である以上は子孫を残さなければいけない
本来なら精神病棟へ行ってもらいたい
はっきりいって病気だよ
両性具有もかわいそうだが施設へ入って一生を施設で過ごしてもらいたい
偏見などと言われそうだが人間が生物である以上は子孫を残さなければいけない
9. Posted by さきち 2011年07月27日 11:38
1つ上の人へ
人間は、単なる繁殖のみを目的とする生物からは、既にある程度踏み外してるからいいんじゃないか?
子供を残さなくても、業績や作品の形で種族全体に貢献すれば、責務は果たせると考えられる。
そりゃ全人口が次世代を残さなかったら滅びるかもしれないが、現状はむしろ人口増えすぎで共倒れ、滅亡しかねないレベルだから。
ある人の言葉を借りるなら「豪雨の最中に干ばつの心配をするようなもの」だ。
人間は、単なる繁殖のみを目的とする生物からは、既にある程度踏み外してるからいいんじゃないか?
子供を残さなくても、業績や作品の形で種族全体に貢献すれば、責務は果たせると考えられる。
そりゃ全人口が次世代を残さなかったら滅びるかもしれないが、現状はむしろ人口増えすぎで共倒れ、滅亡しかねないレベルだから。
ある人の言葉を借りるなら「豪雨の最中に干ばつの心配をするようなもの」だ。
10. Posted by 2011年08月15日 22:05
どうでもいいけど
記事は両性具有なのに何故コメントが同性愛ばっかなんだよ別物だろ
と結構前のコメントに突っ込んでみる
記事は両性具有なのに何故コメントが同性愛ばっかなんだよ別物だろ
と結構前のコメントに突っ込んでみる
11. Posted by ��壔�眼��r��糸�� 2011年11月27日 09:20
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12. Posted by ヘム 2012年05月20日 22:49
異性愛でも同性愛でも両性具有でも無性でも、全部ありのまま。
滅ぶんだったら滅べばいい。
繁栄するならすればいい。
たいして意味などありはしない。
滅ぶんだったら滅べばいい。
繁栄するならすればいい。
たいして意味などありはしない。
13. Posted by MIKIRA 2012年06月15日 00:07
人間が生物である以上は子孫を残さなければいけない・・・って、
生物の自然下において同性愛は沢山存在するのだよ。ボノボとかペンギンとかしらないの?
異性愛や普通の性をもってる人の方が圧倒的に数が多いのだから、それが原因で種が滅びることは無いよ。
同性愛も両性具有の人も、本人達と家族や友人達が幸せでいるのならば、アカの他人がつべこべそれについて言うことじゃないじゃない?
生物の自然下において同性愛は沢山存在するのだよ。ボノボとかペンギンとかしらないの?
異性愛や普通の性をもってる人の方が圧倒的に数が多いのだから、それが原因で種が滅びることは無いよ。
同性愛も両性具有の人も、本人達と家族や友人達が幸せでいるのならば、アカの他人がつべこべそれについて言うことじゃないじゃない?
14. Posted by パーツの名無しさん 2014年03月22日 18:40
同性婚とは関係なくね(むしろそれ以前で)
これは、生きる性別を決定した後も、戸籍上の性別が変換できなかったのが大きな問題じゃね・・・
たとえば君は本当は男なのに、●●●が小さすぎて勘違いされ女性登録されて、男だと分かった後も戸籍女性のままだったらどうするよみたいな。
まあ、あんまり小さいと、子孫残せないかもしれないが・・・
これは、生きる性別を決定した後も、戸籍上の性別が変換できなかったのが大きな問題じゃね・・・
たとえば君は本当は男なのに、●●●が小さすぎて勘違いされ女性登録されて、男だと分かった後も戸籍女性のままだったらどうするよみたいな。
まあ、あんまり小さいと、子孫残せないかもしれないが・・・
15. Posted by envy 2014年05月02日 22:18
同性婚で絶滅するなんて生物の本能とバランスを甘く見すぎだろ。
人間も所詮は動物よ。ちょっと性のスタイルに寛容になったくらいじゃ絶滅なぞせんわ。
人間も所詮は動物よ。ちょっと性のスタイルに寛容になったくらいじゃ絶滅なぞせんわ。
16. Posted by next page 2014年05月10日 21:29
e-cigar なんでも評点:最初の20年以外は男性として生きてきた老人 - 両性具有
17. Posted by mouse click the up coming post 2014年05月12日 06:21
e cigarette starter kit なんでも評点:最初の20年以外は男性として生きてきた老人 - 両性具有
18. Posted by はりぼて 2015年05月18日 21:47
