2004年06月06日
瀟洒なマンションに面した交差点で信号待ちをしていると、娘がまたしても看板を見つけた。まだ幼稚園年長だが、読める漢字が既に数十はあり特に「犬」と「猫」の2文字には異常なほど敏感に反応するのだ。
「あの建物、ペットショップなの?」
「うーん・・・。違うみたいだね。あそこにワンちゃんの幼稚園が出来る予定になってるみたいだよ」とGさん。こんな市街地に犬の繁殖場って前代未聞だと心の中でつぶやいたが、娘に説明するのははばかられた。
「はた迷惑な話じゃない?」と思わず奥さんが口をすべらせる。「あんなきれいなマンションにせっかく引っ越してきたかと思ったら、昼夜を問わず騒々しくなるだなんて」
「はた迷惑って何?」とお嬢ちゃん。
「たくさんのワンちゃんがほえたりしたら、まわりの人はうるさいと思うでしょ」
「そんなことないよー。にぎやかで楽しいと思うなあ。ワンちゃんの幼稚園が出来たら、見に来たいよー」
「はいはい。そうしましょうね」
信号が変わったので、Gさんたち一行はそのまま通り過ぎた。
ちょうどそのころ、「知らない方がよい秘密を..」のお話で、引越し先の部屋で最近自殺があったことをおしゃべりな刑事から聞かされた舞台女優のC美さんは、部屋に戻る気がしなくなり、友人の家に居候しながら、またしても新居を探していた。きれいで設備も整っているのに、家賃も初期費用も安いマンションって、やっぱり裏があるんだ・・・と学習したものの、やっぱりそういう物件を探さざるを得ない。
「安い理由は、あれなんです」と賃貸マンション仲介会社のN氏がC美さんに説明する。C美さんの表情が曇る。いくらマンションの条件がよくても、本当にそんなものが誘致されたら住環境が悪化するわ。
「大丈夫ですよ」とN氏。「あれは、一種のハッタリなんです。あの建物の主はYさんと言って、ここらの地の人で私もよく知ってるんですが、マンション建設をめぐって、いろいろトラブルがありましてね。建設中から、あの看板はありましたよ」
「誘致予定」の看板とは別の面には、これまたショッキングな看板が・・・・。「強盗・殺人・婦女暴行・その他凶悪犯罪多発地帯」と書いてあったのだ。
「えー! こんな怖いところには、やっぱり住めません」
「そりゃ、地方に比べれば、こういう大都会の方が凶悪犯罪の発生率は高いでしょ? この地域で特にそういう犯罪がよく起きているというわけじゃないのです。Yさんにも聞いたんですが、自分はみんなの注意を促すために善意であの看板を付けてるんだそうです」
「そんなー。要するに、嫌がらせじゃないんですか? 変なこと起こりそうでいやだなー」
「そうですか。じゃあ、別の物件を見に行きましょうか? まあ、この物件ほどコストパフォーマンスが優れたものは、めったにないですけどね」
というようなケース、地の人Yさんもマンション建設がはた迷惑なら、マンションのオーナー側もYさんの看板がはた迷惑。マンションの住民は納得の上で入居しているから、はた迷惑ではないんでしょうか? 「はた迷惑」という見地からは評価が難しいケースです。まあしかし、仮にこんな街中に犬の繁殖場が本当に誘致されたとしたら、このマンションの住人だけでなく、周辺地域全体が大いに迷惑します。その場合のはた迷惑度は9点と評価すべきところでしょう。(なお、上の写真と話の内容は無関係です)。
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