クラウドソーシング「ランサーズ」 なんでも評点:ニセ卵でペンギンをだまくらかす《まぎらわしさ10》

2004年08月05日

ニセ卵でペンギンをだまくらかす《まぎらわしさ10》


特に女性に多い気がするのだが、ペンギンが鳥類だと知らない人にたまに遭遇する。ペンギンといえば、南極の生き物だと決め付けている人はもっと多い。実は、ペンギンは雪や氷のない場所にも生息している。その一種がアフリカペンギン(ケープペンギン)である。

ダーゼン島のペンギンたち南アフリカ共和国のウエスタン ケープ地方では、エコツーリズムが重要な産業の1つになっている。ウエスタン ケープ沖のダーゼン島には、アフリカペンギンの3分の1が住み着いている。この島も、最近になって観光客に門戸が開かれた。

エコツーリズムのスローガンがどうであれ、アフリカペンギンたちが多数の観光客の脅威にさらされることに違いはない。そこで、ケータウン大学では、人間が営巣地に接近することにより、ペンギンたちにどのような影響が生じるかを計測するための実験を行った。

調査チームは、ペンギンたちをニセモノの卵でだまくらかすことにした。この卵には、心拍数を測定するセンサーが内蔵されており、そのデータが無線で発信される。中で雛が発育中の卵をこのニセモノ卵と摩り替えてしまうのだ。


もちろん、調査の間、ホンモノの卵は、中の雛が正常に発育できるように孵卵器に保管された。実験の対象となったアフリカペンギンたちは、何も知らずにニセモノ卵を抱き続けるのである。

ペンギンたちにとって、ニセ卵のまぎらわしさは、どうやら満点の10ポイントに相当するようだ。

ちなみに、彼らは、ごく短時間であれば、貝殻や石を卵だと思い込んで幸せそうに抱いていることがあるらしい。「犬より利口」説まで出ているカラスのような賢い鳥もいるが、アフリカペンギンたちはあまり利口ではないようだ。

さて、樹上や崖などに営巣する鳥に比べ、地上で卵を孵す鳥は、巣にあまり執着しない傾向があるらしい。アフリカペンギンもその例に漏れない。

卵を抱いているペンギンのほとんどは、人間が接近すると緊張状態になる。人間が半径5メートル以内まで近づくと、攻撃的な挙動を示す。首を回して、ビーズ玉のような目で人間をにらみつけるのだ。

しかし、人間に飛び掛ってきたりはしない。それ以上人間が近づくと、巣から逃げ出してしまったりする。ニセ卵に内蔵された心拍計によると、人間が接近してくると、すぐに心拍数が上がる。個体によっては、心拍数が2倍にもなる。

逃げ出してしまったペンギンは、ほとんどの場合、数分後に戻ってくるが、永久に巣を放棄してしまうペンギンもいる。これは大きな問題だ。後に残された卵は孵化しないか、孵化しても餓死するかのどちらかになるのだから。

ケープタウン大学の調査チームは、この実験の結果に基づいて、観光客がアフリカペンギンの営巣地に接近することに適度な制限をかけるためのガイドライン草案を作成中である。

ところで、人間がペンギンにとって脅威になるのは、今に始まったことではない。南アフリカに白人が入植していった時代には、ペンギンが入植者の胃袋を満たしていた。19世紀に入ると、ペンギン肉の塩漬けが船乗りたちに重宝されるようになった。

1940年代になっても、ペンギンは「海の幸」の1つとして好んで食されていた。当時の料理本には、ペンギンの肉を酢の中に一晩寝かせた後、シチューにするなどのレシピが書かれている。

ぼくを食べないでよ!ペンギンの卵もなかなかのご馳走だったそうだ。唐辛子を加えてスクランブルエッグにした上でカレーに入れたり、30分間ゆでるなどのレシピが記されている。

現代では、卵を含めてペンギンを食用にすることは禁じられているが、ペンギンの卵を食べたことのある老人たちは、白身が緑色のゼリー状になるまで茹でたペンギンの卵は、とても美味だったと懐かしむ。魚ばかり食べているとはいえ、決して魚臭くはなかったそうだ。




■ News source: IOL - "Egg-sperts tune in to African penguins" (August 01 2004 at 12:20PM)

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