2026年03月12日
顔が前と後ろに2つある男の画像を見た事はないないだろうか? 英国の上流階級(貴族)とされるエドワード・モードレイク (Edward Mordrake) のことである。
今のようなAIによる創作がなかった時代は、恐ろしげな話が都市伝説として語り継がれていた。エドワードは、架空の人物のはずなのだが、前後に2つの顔がある彼の頭のスキャン画像のようなものがインターネット上に見つかる。
都市伝説が伝えるところによれば、モードレイクは裕福なイングランドの上流階級の家に生まれた恵まれた息子である。彼は、ローマ皇帝ハドリアヌスの若い恋人であったアンティノウスにたとえられるほどの美貌を持ち、音楽の才能にも恵まれた神童であった。
あらゆる記録によれば、彼の人生は順調であった。ただし、頭の後ろにもう一つの顔があったことを除けば…。この第二の顔は女性のもので、2つの目と、よだれを垂らす口を持つだけの単純な顔として描写されている。
しかし、その特徴は単純であるにもかかわらず、その顔には悪魔のような性質があるように見えた。そこには知性のあらゆる兆候が見られたが、「悪意に満ちた種類のもの」とされていた。
◆この都市伝説の起源
モードレイクの物語は、1895年にアメリカの新聞ボストン・ポストに掲載された記事で初めて登場した。この記事を書いたのは記者チャールズ・ローティン・ヒルドレスである。ヒルドレスは医師ではなくSF作家であり、新聞の読者の関心を引くためにこの物語を作り出した可能性があると考えられている。
記事にはモードレイクのほかにも、「人間の怪物」と呼ばれる存在が紹介されている。たとえばクモの脚を持つ男や、半分がカニの男などである。この記事は大きな話題となり、モードレイクや他の不幸な人物の物語はアメリカ中に急速に広まった。
医療関係者の中にも、この話をそのまま事実として受け取る者がいた。人間がもう一つの顔を持ち、それが本人と意思疎通する可能性があるという設定に興味を持ったためである。
エドワード・モードレイクはなぜ二つの頭を持っていたのか
モードレイクはそもそも存在しなかったため遺体は発見されておらず、公式な解剖も行われていない。そのため、彼がどのような病状を持っていたのか正確には分からない。彼の物語は1896年の医学百科事典『医学の異常と奇例(Anomalies and Curiosities of Medicine)』にも掲載されている。
しかしこの記録は、ボストン・ポストの記事とほとんど同じ内容である。これはヒルドレスの記事が非常に説得力を持ち、大きな影響力を持っていたことを示している。
百科事典を書いた医師たちは信頼できる医療専門家であったが、この話の真偽を十分に検証していない。モードレイクの物語についての唯一の出典はヒルドレスの記事であり、他の査読や検証は行われなかった。
都市伝説の人物エドワード・モードレイクを描いた風刺的な芸術作品も作られている。
それでも医療関係者はこの話に強い関心を示し、医学的に説明しようと試みた。記事の記述だけをもとに、モードレイクがどのような状態だった可能性があるのか、いくつかの仮説が提案された。
一つ目の可能性は、当ブログの古い記事「瞬きも微笑みもできる“もう1つの頭部”が10ヶ月の赤ちゃんから分離された」で取り上げたことがある頭蓋寄生双生児(craniopagus parasiticus)である。これは寄生双生児の一種で、500万件の双子の出生につき2〜3例ほどしか起こらない非常にまれな状態である。
この場合、もう一方の双子は完全な体を形成できない。その結果、発達した体に付着した第二の頭として存在することになる。
現在でも、このような発生がどのように起こるのかはよく分かっていない。記録された症例は十数例にも満たないためである。
より広い意味では、寄生双生児そのものが説明になる可能性もある。これは双子の発達が完全な二人の個体になる直前で止まる状態である。その結果、一方の双子は発達が不完全となり、もう一方の体に依存して生きることになる。
別の説明として、顔面が重複するディプロソプス(diprosopus)という状態も考えられる。これは外見上は結合双生児に見えることが多いが、胎内での双子の形成とは関係がない。原因はタンパク質の発達異常である。
ソニック・ヘッジホッグ(SHH)タンパク質が過剰に生成されると、胚の発達の過程で顔の構造が重複して形成されることがある。このタンパク質の名前はゲームキャラクターに由来している。
科学者たちは、ヒヨコの胚にSHHタンパク質を多く与えることで同様の現象を再現している。この場合、顔に二つ目のくちばしが形成される。
しかし、仮にモードレイクの第二の頭の存在が医学的に説明できたとしても、その頭が物語のように邪悪な性格を持っていた理由を説明する合理的な根拠は存在しない。
エドワードは、最終的に自殺したと言われている。実在しなかった人物が自殺したのである。死んで頭蓋骨を残したという設定が嘘を嘘で上塗りしている。
都市伝説が伝えるところによれば、モードレイクは裕福なイングランドの上流階級の家に生まれた恵まれた息子である。彼は、ローマ皇帝ハドリアヌスの若い恋人であったアンティノウスにたとえられるほどの美貌を持ち、音楽の才能にも恵まれた神童であった。
あらゆる記録によれば、彼の人生は順調であった。ただし、頭の後ろにもう一つの顔があったことを除けば…。この第二の顔は女性のもので、2つの目と、よだれを垂らす口を持つだけの単純な顔として描写されている。
しかし、その特徴は単純であるにもかかわらず、その顔には悪魔のような性質があるように見えた。そこには知性のあらゆる兆候が見られたが、「悪意に満ちた種類のもの」とされていた。
◆この都市伝説の起源
モードレイクの物語は、1895年にアメリカの新聞ボストン・ポストに掲載された記事で初めて登場した。この記事を書いたのは記者チャールズ・ローティン・ヒルドレスである。ヒルドレスは医師ではなくSF作家であり、新聞の読者の関心を引くためにこの物語を作り出した可能性があると考えられている。
記事にはモードレイクのほかにも、「人間の怪物」と呼ばれる存在が紹介されている。たとえばクモの脚を持つ男や、半分がカニの男などである。この記事は大きな話題となり、モードレイクや他の不幸な人物の物語はアメリカ中に急速に広まった。
医療関係者の中にも、この話をそのまま事実として受け取る者がいた。人間がもう一つの顔を持ち、それが本人と意思疎通する可能性があるという設定に興味を持ったためである。
エドワード・モードレイクはなぜ二つの頭を持っていたのか
モードレイクはそもそも存在しなかったため遺体は発見されておらず、公式な解剖も行われていない。そのため、彼がどのような病状を持っていたのか正確には分からない。彼の物語は1896年の医学百科事典『医学の異常と奇例(Anomalies and Curiosities of Medicine)』にも掲載されている。
しかしこの記録は、ボストン・ポストの記事とほとんど同じ内容である。これはヒルドレスの記事が非常に説得力を持ち、大きな影響力を持っていたことを示している。
百科事典を書いた医師たちは信頼できる医療専門家であったが、この話の真偽を十分に検証していない。モードレイクの物語についての唯一の出典はヒルドレスの記事であり、他の査読や検証は行われなかった。
都市伝説の人物エドワード・モードレイクを描いた風刺的な芸術作品も作られている。
それでも医療関係者はこの話に強い関心を示し、医学的に説明しようと試みた。記事の記述だけをもとに、モードレイクがどのような状態だった可能性があるのか、いくつかの仮説が提案された。
一つ目の可能性は、当ブログの古い記事「瞬きも微笑みもできる“もう1つの頭部”が10ヶ月の赤ちゃんから分離された」で取り上げたことがある頭蓋寄生双生児(craniopagus parasiticus)である。これは寄生双生児の一種で、500万件の双子の出生につき2〜3例ほどしか起こらない非常にまれな状態である。
この場合、もう一方の双子は完全な体を形成できない。その結果、発達した体に付着した第二の頭として存在することになる。

現在でも、このような発生がどのように起こるのかはよく分かっていない。記録された症例は十数例にも満たないためである。
より広い意味では、寄生双生児そのものが説明になる可能性もある。これは双子の発達が完全な二人の個体になる直前で止まる状態である。その結果、一方の双子は発達が不完全となり、もう一方の体に依存して生きることになる。
別の説明として、顔面が重複するディプロソプス(diprosopus)という状態も考えられる。これは外見上は結合双生児に見えることが多いが、胎内での双子の形成とは関係がない。原因はタンパク質の発達異常である。

ソニック・ヘッジホッグ(SHH)タンパク質が過剰に生成されると、胚の発達の過程で顔の構造が重複して形成されることがある。このタンパク質の名前はゲームキャラクターに由来している。
科学者たちは、ヒヨコの胚にSHHタンパク質を多く与えることで同様の現象を再現している。この場合、顔に二つ目のくちばしが形成される。
しかし、仮にモードレイクの第二の頭の存在が医学的に説明できたとしても、その頭が物語のように邪悪な性格を持っていた理由を説明する合理的な根拠は存在しない。
エドワードは、最終的に自殺したと言われている。実在しなかった人物が自殺したのである。死んで頭蓋骨を残したという設定が嘘を嘘で上塗りしている。

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