2024年12月12日
AI自体がインチキとか寝言を言っている場合ではない。「インチキ」は人間が考え出すことであって、AIはAIでしかない。でも、人間が考え出した「AIで自動的に儲かりますよ」と言うスキャムが増えつつあるのだろうか?
私は当ブログを2008年に書籍化したものの、出版社が担当編集者をクビにし、書籍がそこそこ売れたのに増刷がされなかったという苦い経験をした。出版直前に数十のテレビ番組から「紹介します」とオファーが来ていたのだが、出版後にすべてキャンセルになった。「数十のテレビ番組」というのは誇張でなく、実現していたら書籍は相当売れていただろう。その理由は今になってわかった。『奇跡体験アンビリーバボー』などとネタがかぶることが多く、テレビ局を批判する記事をときどき投稿していたからだ。書籍紹介を各局の稟議にかける段階になって、私がテレビ番組を批判していた事実が発覚したのだと思われる。
12月に入ってまもなく、どこかのSNSをうろついていると、「生成AIで漫画を作成」とかいう広告に引っ掛かってしまった。「漫画AIチャレンジ」とか言う講座に参加することになった。
BANDというコミュニケーションアプリで主「しらさわ」と自称する催者と参加者のやり取りが始まった。しらさわ氏の言動は、テキストベースのアプリ上でも、ソフトでそつのないもので、好感が持てた。だが、参加者がしらさわ氏の身元について何も質問しないのが変だと感じ、私は「慈善事業ではなく、営利目的があるんですよね?」と尋ねても、しらさわ氏はスルーし、他の受講者は1名を除いて反応しなかった。これはおかしいなあ―と、ボケが出始めた私はぼんやり疑問を持った。どうやら、他の受講者の半数以上は「自動的に印税収入が得られて儲かる」という触れ込みに心揺さぶられてしまっている模様。というか、冷静に見る目を持っていれば、こんな広告に引っ掛からず、自分の立場を「ドバイ在住で悠々自適」以外に述べない主催者に疑問を抱いているはずだ。
私は、2つ前の段落で述べたような背景で、当ブログにたくさん眠らせているネタを20年近い歳月を経た今、AIで漫画化して電子書籍で売ろうかと考えていたところに、この話と遭遇したものだから、冷静な判断ができなかった。で、第1回目のZOOMミーティングによる講習が開催された。
しらさわ氏は、早稲田出身ということで、私の大学後輩(学部は違うが)。淀みなく喋り、相手に好感を持たせるタイプの人物だった。彼は競馬をまったく知らないのに、「漫画でわかる競馬」という漫画仕立ての実用書を出版したところ、結構売れて数百万の印税が入ってきていると自慢(注)。だから「労働集約型の焼き鳥屋店員だった自分がドバイで悠々自適の暮らしができている」と謳い、タイかどこかの「島で焼いて来ました」と日焼け姿をZOOMに映す。
(注)後で調べると、「漫画でわかる競馬」はしらさわ氏本人の著書ではないらしい。
「しらさわの出版コミュニティ生が漫画でわかる 競馬シリーズを出版」と、しらさわ氏のFacebookに書かれている。というわけで、人たらしな表情の彼は、息をするように嘘をつく。
しらさわ氏は、たとえばバードウォッチングに凝っている人がバードウォッチングの本を出しても失敗すると述べる。私もそれにはある程度同意できたので、講座Day1で学んだことを報告する課題に「自分の得意分野にこだわらずに、人気分野を選んだ方が読まれるものができる。⇒これは、本業が自分の好き嫌いに関係なく来た仕事をこなす産業翻訳という労働集約型事業だったので、慣れてはいます」と書いた。
ZOOM講習中、チャット画面に「私も競輪は知らないけど、『漫画でわかる競輪』を書こうかな」と書いた。しらさわ氏について良い点も記しておくなら、講座Day1の特典として渡された「原稿制作プロンプト」は割と使えそう。これを使って『漫画でわかる競輪』を作成し、AmazonのKDPで売ってみようかな。でも、本当に私は競輪を知らない。投票の仕組みさえわかっていない。そんな奴が著者で、しかもAIに任せたギャンブル入門書が売れるものか?
ともあれDay1が終わった。とても楽しく、夢に満ちた70分だった。他の受講者も同じく感銘を受けているようだった。「この講座で学んだことをまとめること」と課題が出題された。私は、直後に課題を書いて提出した。Day2に進むには課題提出が必要条件と念を押された。そのとき、「課題がやっつけ仕事的な場合も不合格」にたいなことを言われたのだが、これは批判的な匂いのある課題や印税収入を知り過ぎている人も不合格と言われたのと同じだろう。私が落とされたのは「印税収入経験者ゆえ、ウソがばれる恐れあり」と判断したからなのか?
そうDay2開始のタイミングで、私はコミュニケーションツールのBANDの漫画AIチャンネルから退去させられていた。8時開始だったので、夕食もとらずに待機していたのに。こういうときに頭に血を上らせていてはいけない。なんで事前に調べておかなかったのかと軽く後悔しつつググってみると、しらさわ氏に関する「黒い情報」がヒットするではないか。
親切なサイトからスキャマー(詐欺師)に限りなく近い白沢氏に関する情報を抜き出してみると…
【引用開始】
・ロイヤルシステム(Royal System)/白沢色 名義
・S-Tream(ストリーム)/白沢世織 名義
・最先端スマホビジネスKBP/白沢よしゆき 名義
・デジタル権利収入作成講座KBP/白沢
・『マスターマインド(実践会)』/yoshiyuki shirasawa ※自社販売
いずれの商材も大枠は同じ仕組みのようです。
稼ぎ方は『(ラクに)電子書籍を作成、販売し、その印税が収入』というもの。
この稼げる仕組みを作ったのは『しらさわよしゆき』という設定。
最終的にはそのノウハウ「しらさわ式」を教える名目で高額スクールへ誘導。
LPからのオンラインセミナーで集客→高額スクール(コミュニティー)への誘導という流れです。
【引用終了】
白沢氏がスキャマー(詐欺師)であると言明はしません。スキャマー疑いがグレーではあります。だが、上のサイトにも書かれているように「こちらの商材で稼ぐことは難しい」ようだ。特に私は、当ブログの古いネタをマネタイズすることより、古いネタに光を当てたいだけのことなのだから、“高額スクールへ誘導”される筋合いない。
ちなみに、私はもともとインチキに鼻が利くタイプの人間で、2005年にライブドアのブログランキングの不正問題を白日の下にさらした実績(黒歴史)があったりする。白沢氏がまだ中学生のころの話なので知らないと思うが。
てなわけで、AIはスキャマーが飯のタネにしやすいわけだ。友人によると、ChatGPTに「駒ヶ岳の釣りについて教えて」と聞くと、「駒ヶ岳で釣りをする場合は、サビキ釣りで魚を集めて疑似餌に食い付かせることができます。サビキ釣りでは、コマセと呼ばれる撒き餌を海中に撒いて魚を集め、たくさんの針の付いた仕掛けで釣り上げます」という、とんでもない返答だったそうだ。サビキ釣りは、波止場などでイワシやアジ、サバを大量捕獲するための仕掛けである。駒ヶ岳では渓流釣りに毛バリなどが使われる―という回答でなければならない。AIが意図的に人を騙そうとしているわけではない。AIのトレーニング元の米国では、各国語でのAIの間違いを正すために、日本語その他の言語のファクトチェッカーを募集しているそうだ。
ともあれ、AIが嘘をつくのは、AIのトレーニングが不足しているからであって、人を騙すためではない。でも、AIをスキャムに使おうとする悪人は、今後も後を絶たない。
それと、今回は、生成AIに漫画を描かせるという話だったが、創作をAIで置き換えようとする場合は、AIに致命的な欠陥がある。設定が同じであれば、常に同じ結果が返される点である。特定のAIが出力する結果には、バリエーションがない。最近アクティブに使っているThreadsで画像を公開すると、自然に撮影された画像は、AI画像より遥かに“いいね”を集める。下の例など、英語Webからの拾い画像だが、地元のメディアに掲載された写真のスキャンだと思われ、3,500もの“いいね”が付いた。この記事のトップに示した“サギ”画像も、AI画像ではない。
今後は、バリエーションもユーザーが操作できる創作系生成AIが出電するに違いない。そうなると、人間のイラストレーターや漫画家がAIに置換されることになるだろう。われわれ翻訳者がそうであったように。
例:https://www.threads.net/@mickozky/post/DDX2G8wzBzf?xmt=AQGzsEyKBQj5k6nsXMeS9xHCQCgwZVd2vc4RaT88ZmRjmg
12月に入ってまもなく、どこかのSNSをうろついていると、「生成AIで漫画を作成」とかいう広告に引っ掛かってしまった。「漫画AIチャレンジ」とか言う講座に参加することになった。
BANDというコミュニケーションアプリで主「しらさわ」と自称する催者と参加者のやり取りが始まった。しらさわ氏の言動は、テキストベースのアプリ上でも、ソフトでそつのないもので、好感が持てた。だが、参加者がしらさわ氏の身元について何も質問しないのが変だと感じ、私は「慈善事業ではなく、営利目的があるんですよね?」と尋ねても、しらさわ氏はスルーし、他の受講者は1名を除いて反応しなかった。これはおかしいなあ―と、ボケが出始めた私はぼんやり疑問を持った。どうやら、他の受講者の半数以上は「自動的に印税収入が得られて儲かる」という触れ込みに心揺さぶられてしまっている模様。というか、冷静に見る目を持っていれば、こんな広告に引っ掛からず、自分の立場を「ドバイ在住で悠々自適」以外に述べない主催者に疑問を抱いているはずだ。
私は、2つ前の段落で述べたような背景で、当ブログにたくさん眠らせているネタを20年近い歳月を経た今、AIで漫画化して電子書籍で売ろうかと考えていたところに、この話と遭遇したものだから、冷静な判断ができなかった。で、第1回目のZOOMミーティングによる講習が開催された。
しらさわ氏は、早稲田出身ということで、私の大学後輩(学部は違うが)。淀みなく喋り、相手に好感を持たせるタイプの人物だった。彼は競馬をまったく知らないのに、「漫画でわかる競馬」という漫画仕立ての実用書を出版したところ、結構売れて数百万の印税が入ってきていると自慢(注)。だから「労働集約型の焼き鳥屋店員だった自分がドバイで悠々自適の暮らしができている」と謳い、タイかどこかの「島で焼いて来ました」と日焼け姿をZOOMに映す。
(注)後で調べると、「漫画でわかる競馬」はしらさわ氏本人の著書ではないらしい。
「しらさわの出版コミュニティ生が漫画でわかる 競馬シリーズを出版」と、しらさわ氏のFacebookに書かれている。というわけで、人たらしな表情の彼は、息をするように嘘をつく。
しらさわ氏は、たとえばバードウォッチングに凝っている人がバードウォッチングの本を出しても失敗すると述べる。私もそれにはある程度同意できたので、講座Day1で学んだことを報告する課題に「自分の得意分野にこだわらずに、人気分野を選んだ方が読まれるものができる。⇒これは、本業が自分の好き嫌いに関係なく来た仕事をこなす産業翻訳という労働集約型事業だったので、慣れてはいます」と書いた。
ZOOM講習中、チャット画面に「私も競輪は知らないけど、『漫画でわかる競輪』を書こうかな」と書いた。しらさわ氏について良い点も記しておくなら、講座Day1の特典として渡された「原稿制作プロンプト」は割と使えそう。これを使って『漫画でわかる競輪』を作成し、AmazonのKDPで売ってみようかな。でも、本当に私は競輪を知らない。投票の仕組みさえわかっていない。そんな奴が著者で、しかもAIに任せたギャンブル入門書が売れるものか?
ともあれDay1が終わった。とても楽しく、夢に満ちた70分だった。他の受講者も同じく感銘を受けているようだった。「この講座で学んだことをまとめること」と課題が出題された。私は、直後に課題を書いて提出した。Day2に進むには課題提出が必要条件と念を押された。そのとき、「課題がやっつけ仕事的な場合も不合格」にたいなことを言われたのだが、これは批判的な匂いのある課題や印税収入を知り過ぎている人も不合格と言われたのと同じだろう。私が落とされたのは「印税収入経験者ゆえ、ウソがばれる恐れあり」と判断したからなのか?
そうDay2開始のタイミングで、私はコミュニケーションツールのBANDの漫画AIチャンネルから退去させられていた。8時開始だったので、夕食もとらずに待機していたのに。こういうときに頭に血を上らせていてはいけない。なんで事前に調べておかなかったのかと軽く後悔しつつググってみると、しらさわ氏に関する「黒い情報」がヒットするではないか。
親切なサイトからスキャマー(詐欺師)に限りなく近い白沢氏に関する情報を抜き出してみると…
【引用開始】
・ロイヤルシステム(Royal System)/白沢色 名義
・S-Tream(ストリーム)/白沢世織 名義
・最先端スマホビジネスKBP/白沢よしゆき 名義
・デジタル権利収入作成講座KBP/白沢
・『マスターマインド(実践会)』/yoshiyuki shirasawa ※自社販売
いずれの商材も大枠は同じ仕組みのようです。
稼ぎ方は『(ラクに)電子書籍を作成、販売し、その印税が収入』というもの。
この稼げる仕組みを作ったのは『しらさわよしゆき』という設定。
最終的にはそのノウハウ「しらさわ式」を教える名目で高額スクールへ誘導。
LPからのオンラインセミナーで集客→高額スクール(コミュニティー)への誘導という流れです。
【引用終了】
白沢氏がスキャマー(詐欺師)であると言明はしません。スキャマー疑いがグレーではあります。だが、上のサイトにも書かれているように「こちらの商材で稼ぐことは難しい」ようだ。特に私は、当ブログの古いネタをマネタイズすることより、古いネタに光を当てたいだけのことなのだから、“高額スクールへ誘導”される筋合いない。
ちなみに、私はもともとインチキに鼻が利くタイプの人間で、2005年にライブドアのブログランキングの不正問題を白日の下にさらした実績(黒歴史)があったりする。白沢氏がまだ中学生のころの話なので知らないと思うが。
てなわけで、AIはスキャマーが飯のタネにしやすいわけだ。友人によると、ChatGPTに「駒ヶ岳の釣りについて教えて」と聞くと、「駒ヶ岳で釣りをする場合は、サビキ釣りで魚を集めて疑似餌に食い付かせることができます。サビキ釣りでは、コマセと呼ばれる撒き餌を海中に撒いて魚を集め、たくさんの針の付いた仕掛けで釣り上げます」という、とんでもない返答だったそうだ。サビキ釣りは、波止場などでイワシやアジ、サバを大量捕獲するための仕掛けである。駒ヶ岳では渓流釣りに毛バリなどが使われる―という回答でなければならない。AIが意図的に人を騙そうとしているわけではない。AIのトレーニング元の米国では、各国語でのAIの間違いを正すために、日本語その他の言語のファクトチェッカーを募集しているそうだ。
ともあれ、AIが嘘をつくのは、AIのトレーニングが不足しているからであって、人を騙すためではない。でも、AIをスキャムに使おうとする悪人は、今後も後を絶たない。
それと、今回は、生成AIに漫画を描かせるという話だったが、創作をAIで置き換えようとする場合は、AIに致命的な欠陥がある。設定が同じであれば、常に同じ結果が返される点である。特定のAIが出力する結果には、バリエーションがない。最近アクティブに使っているThreadsで画像を公開すると、自然に撮影された画像は、AI画像より遥かに“いいね”を集める。下の例など、英語Webからの拾い画像だが、地元のメディアに掲載された写真のスキャンだと思われ、3,500もの“いいね”が付いた。この記事のトップに示した“サギ”画像も、AI画像ではない。
今後は、バリエーションもユーザーが操作できる創作系生成AIが出電するに違いない。そうなると、人間のイラストレーターや漫画家がAIに置換されることになるだろう。われわれ翻訳者がそうであったように。
例:https://www.threads.net/@mickozky/post/DDX2G8wzBzf?xmt=AQGzsEyKBQj5k6nsXMeS9xHCQCgwZVd2vc4RaT88ZmRjmg
この記事の先頭に戻る