2024年03月24日
■違法ノミ屋
ドジャーズに移籍した大谷選手の銀行預金を巡って、どろどろしたスキャンダルが発生中。水原通訳が大谷の口座から、マフィアが経営している可能性が高い“違法ノミ屋”(ブックメーカー)に日本円で6億5千万の負け金を入金したという話。大谷選手が水原氏にオンラインバンキングを許可していたのが謎だし、水原氏の賭博狂いを何も知らなかったのが不自然。5ちゃんねるのニュース系の板の一部では、大谷選手自身が賭博にハマっていたのではないか ― と言う説がメインストリーム化している。

ドジャーズに移籍した大谷選手の銀行預金を巡って、どろどろしたスキャンダルが発生中。水原通訳が大谷の口座から、マフィアが経営している可能性が高い“違法ノミ屋”(ブックメーカー)に日本円で6億5千万の負け金を入金したという話。大谷選手が水原氏にオンラインバンキングを許可していたのが謎だし、水原氏の賭博狂いを何も知らなかったのが不自然。5ちゃんねるのニュース系の板の一部では、大谷選手自身が賭博にハマっていたのではないか ― と言う説がメインストリーム化している。

私は、長年本業にしていた翻訳で過去に何度かブックメーカーのルールブックなどを翻訳/校正したことがあるが、守秘義務があるので内容は明かせない。
■英語ペラペラの幻想
大谷選手は、英会話が流暢で「英語ペラペラ」であるという日本国内での評価を得ている。
「英語ペラペラ」と見ているのは日本人だけ。彼の英文読解力とは無関係。何を言いたいかと言うと、マフィア絡みが疑われる違法ブックメーカーであっても、契約大国にして訴訟大国の米国のこと、厳重な契約書を用意している。水原氏が報道どおり賭博に関わっていたとしても、通訳の彼ですらブックメーカーの(ひっかけもありそうな)契約書を完全に理解していたかどうか。
ましてや5ちゃんねるの一部で飛び交っているように大谷選手自身が賭博にハマったのなら、契約書をほとんど理解できていないだろう。
難解な契約書などのリーガルドキュメントや専門語が続出する技術文書の読解は、英会話スキルと別の次元にある。Google TranslateやDeepLなどの翻訳特化型AIでも、誤訳が頻繁に起きる。だが、「日本人英語」という問題を抱えながらも日本の高度経済成長を支えて来た産業翻訳は、AI翻訳に完全に負けた。
■AIが浮き彫りにする言語の壁
今や、翻訳の大部分は、AIが司っている。英訳の場合、AI翻訳の利用が有名無実化していても、TOEIC 900点レベルの者に翻訳を任せれば安心と考える企業が多くなっている。TOEICは留学志望者向けの英語検定であって、英語翻訳の検定ではまったくない。英語(日英&英日)翻訳には、英語力だけではなく、日本語力と対象分野の専門知識が要求される。
ゆえに、インバウンド向けのYouTube映像など、AI頼りの、かなり癖のある英語がまかり通っている。日本にあえて訪れる外国人は、そんな癖も大目に見ているだろう。だが、海外でファンが多い日本のアニメは、“有能な人間”が翻訳している。
日本で流通している翻訳の半分は中国語翻訳である。英語と中国語以外の言語の翻訳は大丈夫なのだろうか。AIが普及する前は、翻訳会社の中の人が「アラビア語は、さすがに校正できる人員が社内にいない。数字のチェックしかできない」とこぼしていた。在日外国人や日本語教育を受けた外国人に他言語の翻訳を依頼しているのだろうが、マイナーな言語の場合は有能な翻訳者が見つかる可能性が恐ろしく低い。
となると、AI翻訳に頼るしかない。先日、イスラエルのスタートアップ企業の記事をTechableサイトから依頼されて執筆しようとしていて、 DeepLがヘブライ語に対応していないことを知って意外に思った。マイナーな言語は結局AIに頼らざるを得ないし、翻訳会社の中の人の言葉を借りなくても、限られたチェックしかできないのが現状だ。
AI翻訳への依存は止めようがない。私自身、最近英訳を受注しても、AI翻訳でヒントを得ながら作業を進めるのが習慣化している(あくまで参考であって、よほど訳が定型化しているもの以外、AI訳をそのまま使用はしない)。依頼者側もAIの部分的使用を容認している。数年前まで、独力で難解な原文を英訳することに心血を注いでいたことが寝覚めの悪い夢のようだ。これからは外部サイトから依頼を受けて、英語圏から取材した日本語圏で希少な情報を日本語記事にする作業にシフトしていくつもり。
■絶望的に立ちはだかる壁
ともあれ、AI普及にかかわらず「言語の壁」は厚い。大谷選手のスキャンダルも根っこは言語の壁だ。英語にそこまで自信がないから通訳を付けた。通訳と深い信頼関係を築き、自らの銀行口座のオンラインバンキングですら許可した(水原氏が自らの手で金を引き出したとすれば)。報道のとおりであったとしてもブックメーカーの契約を大谷選手が知るはずもなく、水原氏ですらその内容を十分理解できていない可能性を否定できず、そうでなくても大谷選手は契約書を理解できない。
なお、大谷選手の口座からの巨額金額転送が「オンラインバンキング」で行われたと書いたが、根拠は、こちらのGoogle検索結果。
"Online Banking" "Mizuhara" - Google Search
『ミッションインポッシブル』などのスパイ映画では、オンラインで多額の金を転送するシーンがよく出てくる。あんなふうに6億5千万の金が“違法ノミ屋”の口座に転送されたのだろうか。大谷選手がブックメーカーに直接かかわったとした場合、日本語での対応であったらむしろヤクザとの関連が匂って、深入りしていないだろう。英語対応だったことが災いしたとすれば、やはり言語の壁である。
【関連記事】
・最良の前払い ― 自分が死ぬ前に隣家の幼女のために14年分のプレゼントを前払いした男
・大谷翔平がサイヤング賞とMVPをダブル受賞するかどうかは、アメリカ人のイノベーション魂にかかっている
・自分が賭けのカタにされたことを知って激怒した妻が夫を打ち負かした当の相手と結局ラブラブに
・逮捕状を出されていた男が3億7千万円相当の宝くじ当籤金を受け取りに堂々と現われる ― 逮捕されても勝ち組?
■英語ペラペラの幻想
大谷選手は、英会話が流暢で「英語ペラペラ」であるという日本国内での評価を得ている。
「英語ペラペラ」と見ているのは日本人だけ。彼の英文読解力とは無関係。何を言いたいかと言うと、マフィア絡みが疑われる違法ブックメーカーであっても、契約大国にして訴訟大国の米国のこと、厳重な契約書を用意している。水原氏が報道どおり賭博に関わっていたとしても、通訳の彼ですらブックメーカーの(ひっかけもありそうな)契約書を完全に理解していたかどうか。
ましてや5ちゃんねるの一部で飛び交っているように大谷選手自身が賭博にハマったのなら、契約書をほとんど理解できていないだろう。
難解な契約書などのリーガルドキュメントや専門語が続出する技術文書の読解は、英会話スキルと別の次元にある。Google TranslateやDeepLなどの翻訳特化型AIでも、誤訳が頻繁に起きる。だが、「日本人英語」という問題を抱えながらも日本の高度経済成長を支えて来た産業翻訳は、AI翻訳に完全に負けた。
■AIが浮き彫りにする言語の壁
今や、翻訳の大部分は、AIが司っている。英訳の場合、AI翻訳の利用が有名無実化していても、TOEIC 900点レベルの者に翻訳を任せれば安心と考える企業が多くなっている。TOEICは留学志望者向けの英語検定であって、英語翻訳の検定ではまったくない。英語(日英&英日)翻訳には、英語力だけではなく、日本語力と対象分野の専門知識が要求される。
ゆえに、インバウンド向けのYouTube映像など、AI頼りの、かなり癖のある英語がまかり通っている。日本にあえて訪れる外国人は、そんな癖も大目に見ているだろう。だが、海外でファンが多い日本のアニメは、“有能な人間”が翻訳している。
日本で流通している翻訳の半分は中国語翻訳である。英語と中国語以外の言語の翻訳は大丈夫なのだろうか。AIが普及する前は、翻訳会社の中の人が「アラビア語は、さすがに校正できる人員が社内にいない。数字のチェックしかできない」とこぼしていた。在日外国人や日本語教育を受けた外国人に他言語の翻訳を依頼しているのだろうが、マイナーな言語の場合は有能な翻訳者が見つかる可能性が恐ろしく低い。
となると、AI翻訳に頼るしかない。先日、イスラエルのスタートアップ企業の記事をTechableサイトから依頼されて執筆しようとしていて、 DeepLがヘブライ語に対応していないことを知って意外に思った。マイナーな言語は結局AIに頼らざるを得ないし、翻訳会社の中の人の言葉を借りなくても、限られたチェックしかできないのが現状だ。
AI翻訳への依存は止めようがない。私自身、最近英訳を受注しても、AI翻訳でヒントを得ながら作業を進めるのが習慣化している(あくまで参考であって、よほど訳が定型化しているもの以外、AI訳をそのまま使用はしない)。依頼者側もAIの部分的使用を容認している。数年前まで、独力で難解な原文を英訳することに心血を注いでいたことが寝覚めの悪い夢のようだ。これからは外部サイトから依頼を受けて、英語圏から取材した日本語圏で希少な情報を日本語記事にする作業にシフトしていくつもり。
■絶望的に立ちはだかる壁
ともあれ、AI普及にかかわらず「言語の壁」は厚い。大谷選手のスキャンダルも根っこは言語の壁だ。英語にそこまで自信がないから通訳を付けた。通訳と深い信頼関係を築き、自らの銀行口座のオンラインバンキングですら許可した(水原氏が自らの手で金を引き出したとすれば)。報道のとおりであったとしてもブックメーカーの契約を大谷選手が知るはずもなく、水原氏ですらその内容を十分理解できていない可能性を否定できず、そうでなくても大谷選手は契約書を理解できない。
なお、大谷選手の口座からの巨額金額転送が「オンラインバンキング」で行われたと書いたが、根拠は、こちらのGoogle検索結果。
"Online Banking" "Mizuhara" - Google Search
『ミッションインポッシブル』などのスパイ映画では、オンラインで多額の金を転送するシーンがよく出てくる。あんなふうに6億5千万の金が“違法ノミ屋”の口座に転送されたのだろうか。大谷選手がブックメーカーに直接かかわったとした場合、日本語での対応であったらむしろヤクザとの関連が匂って、深入りしていないだろう。英語対応だったことが災いしたとすれば、やはり言語の壁である。
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