2014年02月23日
われわれ人間の場合、37年間も自分以外に誰一人いない場所で暮らし続けるなど、現実にまずありえない。たとえ37年間独房に入れられていても扉の向こうには看守がいる。あるいは、37年間自室に引きこもりの人がいたとしても、PCを通じて他人の姿をいやというほど見るはず。宇宙人に拉致されて、たった1体の生きた標本として飼育されるのならいざ知らず。
実際、われわれが飼うペット(犬や猫ではあまりないと思うが)は、可哀想なことにしばしば仲間と会うことなく一生を終える。爬虫類や鳥ではありがちなこと。もっと大型の動物でも、サーカス団でたった1頭が飼われている場合は、自分と同じ姿の仲間を一度も見ずに一生を終えることがある。
この記事で取り上げるストーリーの主人公ミラ(41歳)もまた、サーカス団にたった1頭飼われていたメスのアフリカ象である。彼女が仲間たちから引き離されて、サーカス団に売り飛ばされたのは、まだ幼い4歳のときのこと。30年以上にわたり、たった1頭でサーカス芸を演じさせられた後、ミラはニュージーランドのフランクリン動物園に引き取られた。
しかし、フランクリン動物園で飼育されていた象は、ミラと種の異なるアジア象だけだった。以前より生活環境が良くなったものの、仲間がいなくて独りぼっちなのは同じだった。

さて、アフリカ象は地上最大の哺乳類動物である。体長は最大で7.5メートルに達し、肩の高さは3メートルを優に超え、その体重は10トンに達する。たとえ、アフリカ象に悪気がなくても、人間が踏まれてしまえばひとたまりもない。
2012年に悲劇が起きた。ミラがヘレン・スコフィールドさんという女性飼育係を踏み潰してしまったのだ。ヘレンさんの死は、あくまで「事故(accident)」として報じられた。国によっては、たとえ事故であろうと人間を死に至らしめた動物は即刻殺処分となることもあるだろう。日本なら、例によって「アフリカ象禁止」(アフリカ象は危険なので、その飼育を以後禁止する)みたいな短絡的な反応が起こりがちだ。
しかし、現地の反応は異なっていた。「ミラをいつか仲間たちと一緒に暮らせるようにしてあげたい」と生前のヘレンさんは常に願っていた。フランクリン動物園の支援者たちがヘレンさんの願いを叶えるために募金集めに奔走することとなった。そして、150万ドルもの募金が集まったのである。
こうして、ミラは、同じアフリカ象の仲間たちが暮らしているサンディエゴ動物園(米国カリフォルニア州)に移されることになった。移送先のサンディエゴ動物園で、ミラはまず、アフリカ象の群れとは別の区画に1頭きりで入れられた。群れの中に見慣れない新入りをいきなり投入するのは好ましくないからだ。群れがミラを受け入れるように、段階を踏んでいく必要がある。
サンディエゴ動物園の飼育係たちは、まず、群れから選んだ1頭とミラを1対1で対面させることにした。その役にもっともふさわしいと思われたのは、群れを率いる「女家長」のメアリーである。
「この1月に、仲間の1頭と面会させる機会をミラに与えることにしました。ただし、制限付きの面会にする必要がありました」と飼育係のロビー・クラークさん。「興奮したり、緊張したり、攻撃的になったり、服従的になったりするなど、あらゆる可能性を想定しました。ミラと面会させるのは、メアリーが最適任だと判断しました。彼女は、群れを率いている象であり、温厚な性質です。それに、これまでに新入りと対面しても問題がなかったという過去の実績があります」
上の映像は、こうしてセッティングされた初対面の感動的な様子を映し出している。
ミラがいる区画にメアリーが近づいてくる。メアリーは、新入りの姿を見て純粋に興味を持っている様子。一方、ミラは自分と同じ大きさの仲間を見て驚いた様子。2頭はすぐにお互いの鼻を絡め合い始める。2頭の優しげで懐かしげな表情が物語っているように、彼女らはお互いの存在を認め、受け入れたのだ。
群れのリーダーにこうして気に入られたのだから、ミラが群れに加わる日は近い。ニュージーランドの動物園で不幸な事故により亡くなった飼育係ヘレン・スコフィールドさんの願いがもうすぐ叶おうとしている。
■ Source: Mila, an African elephant, met with the leader of the San Diego Zoo herd after being kept as a lone elephant in a circus for over 30 years and then taken in by Franklin Zoo in New Zealand. | Mail Online
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この記事で取り上げるストーリーの主人公ミラ(41歳)もまた、サーカス団にたった1頭飼われていたメスのアフリカ象である。彼女が仲間たちから引き離されて、サーカス団に売り飛ばされたのは、まだ幼い4歳のときのこと。30年以上にわたり、たった1頭でサーカス芸を演じさせられた後、ミラはニュージーランドのフランクリン動物園に引き取られた。
しかし、フランクリン動物園で飼育されていた象は、ミラと種の異なるアジア象だけだった。以前より生活環境が良くなったものの、仲間がいなくて独りぼっちなのは同じだった。

さて、アフリカ象は地上最大の哺乳類動物である。体長は最大で7.5メートルに達し、肩の高さは3メートルを優に超え、その体重は10トンに達する。たとえ、アフリカ象に悪気がなくても、人間が踏まれてしまえばひとたまりもない。
2012年に悲劇が起きた。ミラがヘレン・スコフィールドさんという女性飼育係を踏み潰してしまったのだ。ヘレンさんの死は、あくまで「事故(accident)」として報じられた。国によっては、たとえ事故であろうと人間を死に至らしめた動物は即刻殺処分となることもあるだろう。日本なら、例によって「アフリカ象禁止」(アフリカ象は危険なので、その飼育を以後禁止する)みたいな短絡的な反応が起こりがちだ。
しかし、現地の反応は異なっていた。「ミラをいつか仲間たちと一緒に暮らせるようにしてあげたい」と生前のヘレンさんは常に願っていた。フランクリン動物園の支援者たちがヘレンさんの願いを叶えるために募金集めに奔走することとなった。そして、150万ドルもの募金が集まったのである。
こうして、ミラは、同じアフリカ象の仲間たちが暮らしているサンディエゴ動物園(米国カリフォルニア州)に移されることになった。移送先のサンディエゴ動物園で、ミラはまず、アフリカ象の群れとは別の区画に1頭きりで入れられた。群れの中に見慣れない新入りをいきなり投入するのは好ましくないからだ。群れがミラを受け入れるように、段階を踏んでいく必要がある。
サンディエゴ動物園の飼育係たちは、まず、群れから選んだ1頭とミラを1対1で対面させることにした。その役にもっともふさわしいと思われたのは、群れを率いる「女家長」のメアリーである。
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上の映像は、こうしてセッティングされた初対面の感動的な様子を映し出している。
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