2009年07月01日
南アフリカ共和国では、人間の体の一部(ボディパーツ)が伝統薬“ミューティ”の原料や儀式のための供物として闇で売買されている。英語では臓器ドナーのことを“organ donor”とも“body part donor”とも言うが、南アにおけるボディパーツ採取は医療を目的とする臓器移植と全く次元を異にする悪しき迷信である。
生きた人間から採取されたボディパーツほど“効能”が高いとされている。もちろん、まだ生きているにもかかわらず自らのボディパーツを進んで差し出す人などいない。そのため、3年前の記事で取り上げたように、南アでは生きた人間からボディパーツを強奪する事件が頻発している。
ヨハネスブルグの北東300キロに位置するライデンブルグ市の数キロ郊外で、オランダから南アにわずか4時間前に到着したばかりの観光客4人が乗った車ともう1台の車が正面衝突事故を起こした。ひとけのない郊外で起きたその事故の後、最初に現場を通りがかったのがベン・モンガディという35歳の男だった。
モンガディが目を付けたのは、オランダ人観光客4人のうち、すでに絶命しているように見えた女性の体だった。白人女性のボディパーツは高く売れそうだと目論んだのかもしれない。
モンガディはまだ誰も現場におらず、意識のある事故者もいないのをよいことに、そのオランダ人女性の上半身から着衣を剥ぎ取り、片方の乳房を自家製ナイフで切り取った。ついでに、片方の手も切り取った。
これは大儲けできる・・・と意気揚々と現場を後にしたモンガディは、リンデンブルグから北東50キロの位置にあるアーコンフックへと向かい、フィレモン・バロイという47歳の男と接触した。バロイは表向きは“牧師”と名乗っているが、その実体はボディパーツ・ブローカーだった。
商談結果はモンガディにとって満足のいくものだったかどうか、やや微妙。モンガディが持ち込んだ白人女性の乳房と手にバロイが付けた買値は、約800ランド(日本円で1万円弱)。
そもそも本件が発覚したのは、モンガディとバロイの間のこの取引が当局の知るところとなったのが発端だった。警察の取り調べに対し、モンガディは自分が上記のように事故現場に遭遇し、“死んでいた”女性からボディパーツを切り取ったと自白したわけである。
ボディパーツ・ブローカーのバロイは、白人女性の乳房と手をボディパーツのエンドユーザーである“サンゴマ(呪術医)”に買値の4倍以上の約3500ランド(日本円で4万4千円ほど)で売り付けようとした。しかし、この呪術医は良識派だったらしく、商談に応じず警察に通報し、その結果、バロイは逮捕されるに至った。芋づる式にモンガディもまもなく逮捕された。
事故現場で乳房と手を切り取られたオランダ人女性は、昏睡状態に陥っていただけで、まだ生きていた可能性がある。というか、現場に駆けつけた救急隊員は、その女性が事故のせいで片方の乳房と手を失ったのだと納得してしまったのだろうか。
モンガディが警察に逮捕されたのは、事故から2週間後である。その時点まで、オランダ人女性の遺体が冷凍保存されていたわけでもあるまいし、本国に送られて埋葬または火葬されていたとしたら、ボディパーツを切り取られたことによる失血死が死因かどうかを確認することもできないはず。
なお、モンガディはライデンブルグ市内の葬儀場でパートタイム従業員として働いていた。それゆえ、死体を見慣れていたり、扱い慣れていたりしたと想像され、そういう意味ではオランダ人女性は間違いなく現場ですでに死んでいたのかもしれない。だが、彼の職場も、よく考えてみれば、ボディパーツの宝庫である。仕事中に彼がボディパーツをくすねていた可能性もあるかもしれない。
ただ、冒頭にも書いたように、生きた人間から切り取ったボディパーツの方が値打ちが高い。生きた人間由来であることをどう確認するのかはよくわからないが、ボディパーツを扱う連中もある意味専門家なので何らかのノウハウがあるのだろうと思われる。
さて、これは来年度、サッカーワールドカップが予定されている南アで起きた事件である。そして、ボディパーツ取引は水面下で無数に交わされているはずであり、これはその氷山の一角に過ぎない。さらに、交通事故の第一発見者が救急車を呼びもせず、事故者の体から乳房と手を切り取ったという恐るべき事実。
もっと輪をかけて言えば、南アでは凶悪犯罪だけでなく、交通事故の発生率も極めて高い。ワールドカップ観戦のために現地を訪れたファンが事故に遭ったとしよう。虫の息で助けを待っていても、町中だと、救急車より先に金品目当ての“事故場泥棒”が現れる可能性が高い。ひとけの少ない郊外だと、モンガディのようなボディパーツ泥棒が現れかねないのである。
運良く救急車で病院に運ばれても、今度は病院がヤバい。最近、南アでは医師たちのストライキが続いており、医療体制が崩壊寸前である。そうでなくても、医療スタッフの質と量に問題があり、体の外に骨が飛び出しているような重傷患者でも待合室に何時間も放置されることがある。
そんな国で2010年ワールドカップを果たして開催できるのか、と誰しも疑問に思うところである。しかし、チベット族をはじめとする少数民族弾圧、四川大地震などの大問題をものともせずに北京五輪が“大成功裏”に終わったという“良き前例”もある。少数民族の権利とか庶民の生活品質などおかまいなしに、とにかく“経済効果”が得られれば多少の無理は承知で一大イベントを強行してしまう、というのが最近の世界的トレンドになっているのかもしれない。
■ Source: Man sold tourist's body parts
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ヨハネスブルグの北東300キロに位置するライデンブルグ市の数キロ郊外で、オランダから南アにわずか4時間前に到着したばかりの観光客4人が乗った車ともう1台の車が正面衝突事故を起こした。ひとけのない郊外で起きたその事故の後、最初に現場を通りがかったのがベン・モンガディという35歳の男だった。
モンガディが目を付けたのは、オランダ人観光客4人のうち、すでに絶命しているように見えた女性の体だった。白人女性のボディパーツは高く売れそうだと目論んだのかもしれない。
モンガディはまだ誰も現場におらず、意識のある事故者もいないのをよいことに、そのオランダ人女性の上半身から着衣を剥ぎ取り、片方の乳房を自家製ナイフで切り取った。ついでに、片方の手も切り取った。
これは大儲けできる・・・と意気揚々と現場を後にしたモンガディは、リンデンブルグから北東50キロの位置にあるアーコンフックへと向かい、フィレモン・バロイという47歳の男と接触した。バロイは表向きは“牧師”と名乗っているが、その実体はボディパーツ・ブローカーだった。
商談結果はモンガディにとって満足のいくものだったかどうか、やや微妙。モンガディが持ち込んだ白人女性の乳房と手にバロイが付けた買値は、約800ランド(日本円で1万円弱)。
そもそも本件が発覚したのは、モンガディとバロイの間のこの取引が当局の知るところとなったのが発端だった。警察の取り調べに対し、モンガディは自分が上記のように事故現場に遭遇し、“死んでいた”女性からボディパーツを切り取ったと自白したわけである。
ボディパーツ・ブローカーのバロイは、白人女性の乳房と手をボディパーツのエンドユーザーである“サンゴマ(呪術医)”に買値の4倍以上の約3500ランド(日本円で4万4千円ほど)で売り付けようとした。しかし、この呪術医は良識派だったらしく、商談に応じず警察に通報し、その結果、バロイは逮捕されるに至った。芋づる式にモンガディもまもなく逮捕された。
事故現場で乳房と手を切り取られたオランダ人女性は、昏睡状態に陥っていただけで、まだ生きていた可能性がある。というか、現場に駆けつけた救急隊員は、その女性が事故のせいで片方の乳房と手を失ったのだと納得してしまったのだろうか。
モンガディが警察に逮捕されたのは、事故から2週間後である。その時点まで、オランダ人女性の遺体が冷凍保存されていたわけでもあるまいし、本国に送られて埋葬または火葬されていたとしたら、ボディパーツを切り取られたことによる失血死が死因かどうかを確認することもできないはず。
なお、モンガディはライデンブルグ市内の葬儀場でパートタイム従業員として働いていた。それゆえ、死体を見慣れていたり、扱い慣れていたりしたと想像され、そういう意味ではオランダ人女性は間違いなく現場ですでに死んでいたのかもしれない。だが、彼の職場も、よく考えてみれば、ボディパーツの宝庫である。仕事中に彼がボディパーツをくすねていた可能性もあるかもしれない。
ただ、冒頭にも書いたように、生きた人間から切り取ったボディパーツの方が値打ちが高い。生きた人間由来であることをどう確認するのかはよくわからないが、ボディパーツを扱う連中もある意味専門家なので何らかのノウハウがあるのだろうと思われる。
さて、これは来年度、サッカーワールドカップが予定されている南アで起きた事件である。そして、ボディパーツ取引は水面下で無数に交わされているはずであり、これはその氷山の一角に過ぎない。さらに、交通事故の第一発見者が救急車を呼びもせず、事故者の体から乳房と手を切り取ったという恐るべき事実。
もっと輪をかけて言えば、南アでは凶悪犯罪だけでなく、交通事故の発生率も極めて高い。ワールドカップ観戦のために現地を訪れたファンが事故に遭ったとしよう。虫の息で助けを待っていても、町中だと、救急車より先に金品目当ての“事故場泥棒”が現れる可能性が高い。ひとけの少ない郊外だと、モンガディのようなボディパーツ泥棒が現れかねないのである。
運良く救急車で病院に運ばれても、今度は病院がヤバい。最近、南アでは医師たちのストライキが続いており、医療体制が崩壊寸前である。そうでなくても、医療スタッフの質と量に問題があり、体の外に骨が飛び出しているような重傷患者でも待合室に何時間も放置されることがある。
そんな国で2010年ワールドカップを果たして開催できるのか、と誰しも疑問に思うところである。しかし、チベット族をはじめとする少数民族弾圧、四川大地震などの大問題をものともせずに北京五輪が“大成功裏”に終わったという“良き前例”もある。少数民族の権利とか庶民の生活品質などおかまいなしに、とにかく“経済効果”が得られれば多少の無理は承知で一大イベントを強行してしまう、というのが最近の世界的トレンドになっているのかもしれない。
■ Source: Man sold tourist's body parts
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この記事へのコメント
1. Posted by Johan 2009年07月01日 03:05
最後に管理人さんのシニカルな意見もあったが、流石に南アで成功裏に終わらせるのは困難に思う。
中国は北京で暮らすだけでも地方の人間はある意味外国人扱いの様な部分があり、地方の農村や少数民族といった”反乱分子”は活動しにくかった。
しかし南アではそういったこともないだろうし、何よりも強盗やレイプなどが多い事を考えると無防備な外国人はいいターゲットに思う。
南ア政府がどれだけ頑張っても、選手はともかくサポートなどの民間人の被害を防ぐのは困難ではないだろうか。
中国は北京で暮らすだけでも地方の人間はある意味外国人扱いの様な部分があり、地方の農村や少数民族といった”反乱分子”は活動しにくかった。
しかし南アではそういったこともないだろうし、何よりも強盗やレイプなどが多い事を考えると無防備な外国人はいいターゲットに思う。
南ア政府がどれだけ頑張っても、選手はともかくサポートなどの民間人の被害を防ぐのは困難ではないだろうか。
2. Posted by 2009年07月01日 03:50
土人国家と知っててもなお、読んでて気分悪くなる記事だな
こんな国に人集めるとか正気の沙汰じゃないだろ…
開催側は幾ら積まれたんだよ
こんな国に人集めるとか正気の沙汰じゃないだろ…
開催側は幾ら積まれたんだよ
3. Posted by あああ 2009年07月01日 12:00
貧しいからなんだろうな。
終戦直後の日本にも、人間の油から作った石鹸が闇市で売っていたという噂が…
終戦直後の日本にも、人間の油から作った石鹸が闇市で売っていたという噂が…
4. Posted by る 2009年07月01日 12:55
中国は国民の生活を犠牲にして表向き成功に見せただけで
謎の病気にかかったマラソンランナーとかいたよな。
謎の病気にかかったマラソンランナーとかいたよな。
5. Posted by ウェスカー 2009年07月01日 17:20
バイオハザード6の話じゃ無いのコレ?
6. Posted by 2009年07月02日 01:32
乳房を取るくらいなら性器も切り取ったんじゃないのかな??
そういう迷信的な処方箋なら確実に性器のほうが高価で効力が強いとされているはずだと思う。
南アのW杯は直前で開催国変更でしょ。
でなきゃ選手が可哀相。
そういう迷信的な処方箋なら確実に性器のほうが高価で効力が強いとされているはずだと思う。
南アのW杯は直前で開催国変更でしょ。
でなきゃ選手が可哀相。
7. Posted by けん 2009年07月02日 23:56
嫌な予感しかしませんね〜。
ヤバイことは分かっているのに観戦に行く人は、無謀な人。無謀な人が無茶なことをして、危ない目に遭う。
南ア開催は全く持って無謀。
ヤバイことは分かっているのに観戦に行く人は、無謀な人。無謀な人が無茶なことをして、危ない目に遭う。
南ア開催は全く持って無謀。
8. Posted by 天照太御神 2009年07月03日 15:55
世界は日本から変わり始めてます
伊勢ー白山道
伊勢ー白山道
9. Posted by イ・ビョンホン 2009年07月03日 18:48
怖い
10. Posted by 774 2009年07月06日 16:44
日本って平和だな
11. Posted by 2009年07月21日 17:57
恐ろしい…人間のすることじゃないな…
鬼だ…
もう後進国とかで五輪とかやらん方が良くね?
教育とか医療、法整備、治安の面を充実させて、安心して旅行出来る国にしてからでないと…
鬼だ…
もう後進国とかで五輪とかやらん方が良くね?
教育とか医療、法整備、治安の面を充実させて、安心して旅行出来る国にしてからでないと…