2008年07月03日
米国アリゾナ州メーサの一角にあるアパートの1室から、その日の夜、男女が激しく口論する声が聞こえてきた。互いにひどく罵り合っている。今のところは口喧嘩で済んでいるが、どんどんエスカレートしている。
このままでは暴力沙汰になるのではないか。そう心配した隣人が警察に電話を入れた。警官たちがアパートに到着すると、確かに男女が激しい口論を交わしている声が中から聞こえてきた。どちらの声の主も、尋常ではないほどの激情に突き動かされているように聞こえた。
制止の必要があると判断した警官たちが部屋の中に踏み込むと、中には男が1人いるだけだった。この部屋で一人暮らしをしている21歳の男だった。確かに外からは女の声が聞こえていたのに、女の姿はどこにも見当たらない。
だが、女の声は確かに聞こえて来る。どこから?
男がどこにもいないはずの女に罵りの言葉を浴びせると、次の瞬間、男の口から女の声で男自身を罵る言葉が発せられる。彼は男の声と女の声を見事に使い分けていた。警官たちが見ている前で、男の声と女の声がめまぐるしく切り替わる。
あっけに取られた警官たちだったが、とにかく事態を収拾させなければならない。男をなだめて部屋の外へ誘導しようとする。だが、男はそれがよほど気に入らなかったらしく、アパートの窓を破壊してしまう。
本稿はわずか130ワードしかない短い元記事の情報の行間を大幅に補足して書いているのだが、メーサ市警では、この「一人喧嘩男」にどう対処するかを巡って“緊急対策チーム”を結成したとのことである。
緊急対策チームは協議を重ねた結果、この男が自分自身に危害を及ぼす危険があるという結論に達した。そして、それを根拠に「精神保健法に基づく保護状」を取得し、SWATチームを現場に向かわせ、男の身柄を保護するに至った。
ここからは筆者の想像だが、この“男女二人”は普段は口喧嘩もせずに仲良く暮らしていたのではないだろうか。“二人”の口からは、お互いを励ます言葉や褒めあう言葉が囁かれていたはずだ。だが、その晩に限っては、“二人”の感情が真っ向からぶつかり合った。
彼の中に2人の人格が棲んでいるというより、おそらく女の方は彼が作り出した架空の恋人だったのではないだろうか。その存在をより現実に近づけるために、彼はいつしか自分の口を通じて“彼女”に喋らせるようになった。しかし、“彼女”の存在をそれ以上現実に近づけることはできない。
その晩、ついに彼は我慢の限界に達し、“彼女”を責める様な言葉を吐く。すると、“彼女”も普段では考えられない激しい口調で彼を責め始める。たとえば、次のような応酬である。
「なんで君は僕に顔を見せてくれないんだ。声しか聞かせてくれない。どうにかしてくれよ。もう限界だよ。こんな関係はもう終わりにしたい」
「こんな関係になったのは、あなたのせいよ。あなたが私を勝手に作り出したんでしょ。どうにしかしないといけないのは、あなたの方よ!」
こうして激情に駆られた口論へと発展していったのではないか、と勝手に想像してみる。
■ Source: Police Find Man Fighting ... With Himself - Phoenix News Story - KPHO Phoenix
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だが、女の声は確かに聞こえて来る。どこから?
男がどこにもいないはずの女に罵りの言葉を浴びせると、次の瞬間、男の口から女の声で男自身を罵る言葉が発せられる。彼は男の声と女の声を見事に使い分けていた。警官たちが見ている前で、男の声と女の声がめまぐるしく切り替わる。
あっけに取られた警官たちだったが、とにかく事態を収拾させなければならない。男をなだめて部屋の外へ誘導しようとする。だが、男はそれがよほど気に入らなかったらしく、アパートの窓を破壊してしまう。
本稿はわずか130ワードしかない短い元記事の情報の行間を大幅に補足して書いているのだが、メーサ市警では、この「一人喧嘩男」にどう対処するかを巡って“緊急対策チーム”を結成したとのことである。
緊急対策チームは協議を重ねた結果、この男が自分自身に危害を及ぼす危険があるという結論に達した。そして、それを根拠に「精神保健法に基づく保護状」を取得し、SWATチームを現場に向かわせ、男の身柄を保護するに至った。
ここからは筆者の想像だが、この“男女二人”は普段は口喧嘩もせずに仲良く暮らしていたのではないだろうか。“二人”の口からは、お互いを励ます言葉や褒めあう言葉が囁かれていたはずだ。だが、その晩に限っては、“二人”の感情が真っ向からぶつかり合った。
彼の中に2人の人格が棲んでいるというより、おそらく女の方は彼が作り出した架空の恋人だったのではないだろうか。その存在をより現実に近づけるために、彼はいつしか自分の口を通じて“彼女”に喋らせるようになった。しかし、“彼女”の存在をそれ以上現実に近づけることはできない。
その晩、ついに彼は我慢の限界に達し、“彼女”を責める様な言葉を吐く。すると、“彼女”も普段では考えられない激しい口調で彼を責め始める。たとえば、次のような応酬である。
「なんで君は僕に顔を見せてくれないんだ。声しか聞かせてくれない。どうにかしてくれよ。もう限界だよ。こんな関係はもう終わりにしたい」
「こんな関係になったのは、あなたのせいよ。あなたが私を勝手に作り出したんでしょ。どうにしかしないといけないのは、あなたの方よ!」
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■ Source: Police Find Man Fighting ... With Himself - Phoenix News Story - KPHO Phoenix
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1. 雨ですね [ 懺悔の今日 ] 2008年07月03日 16:16
くだらないブログですが、何か思いあたることがあった場合の懺悔室としてヨロシクです!
この記事へのコメント
1. Posted by jacklegdoc 2008年07月03日 10:29
イタズラか、弁士か何かの練習かと思ったら、統合失調的な事件だったんですか。
2. Posted by ちーちー 2008年07月03日 14:21
統合失調症か解離性障害か?
興奮していたとはいえ、SWATを使うとは豪快な話ですね。
興奮していたとはいえ、SWATを使うとは豪快な話ですね。
3. Posted by 富 2008年07月04日 20:17
演技の練習に熱が入りすぎた?と思ったら……身近に解離性がいるだけにガクブル
身体というか心の中で会議をする事があるのは知ってるんですが互いに表に出ちゃうって事はよっぽど腹が立ったのか…。
目と歯を交換するグライアイじゃないんだから…。
身体というか心の中で会議をする事があるのは知ってるんですが互いに表に出ちゃうって事はよっぽど腹が立ったのか…。
目と歯を交換するグライアイじゃないんだから…。
4. Posted by るる 2008年07月05日 00:16
リニューアルなさいましたね
素敵だし見やすいのではないでしょうか♪
素敵だし見やすいのではないでしょうか♪
5. Posted by 2008年07月06日 02:04
サイトリニューアル。
爽やかな感じになりましたね。
爽やかな感じになりましたね。
6. Posted by - 2008年07月07日 21:45
これは演技ならメシが喰えるレベルですね
本当に勿体無い
本当に勿体無い