クラウドソーシング「ランサーズ」 なんでも評点:半世紀に1回しか咲かない不思議な花がこうして大厄災を引き起こす ― メロカンナ・バクシフェラ

2008年06月24日

半世紀に1回しか咲かない不思議な花がこうして大厄災を引き起こす ― メロカンナ・バクシフェラ


半世紀に1回、正確には48年に1回だけ花を咲かせる植物がある。インド、バングラデシュ、ミャンマーなどに生息している竹の一種“メロカンナ・バクシフェラ(Melocanna Baccifera)”である。しかも、その花は洋梨にそっくりな大きな実を結ぶ(このことから“梨竹”とも呼ばれるらしい)。

メロカンナ・バクシフェラ(以後、単に“メロカンナ”と記す)は、京都市西京区の洛西竹林公園などでも栽培されており、今年がその48年に1度の開花時期に当った(参考記事@京都新聞)。

竹や笹の仲間は、群生して竹薮もしくは笹薮を形成するのが普通である。しかも、メロカンナはユーラシア大陸南部(インド半島を含む)に生息しているわけであり、形成される竹薮は日本で見られるそれとはスケールが違う。

48年に1度の開花時期を迎えると、無数のメロカンナがいっせいに花を咲かせることになる。そして、まもなく無数の実を結ぶ。洋梨あるいはイチジクに似た形の実である。この実は食用にもなるらしい(参考Webページ)。

実は、この実が大問題を引き起こす。それを異常に好む小動物がいるからだ。ネズミである。ネズミがこの実を食しながら大繁殖する。餌が大量に存在することを前提とした大繁殖なわけだが、その餌が尽きるときがやってくる。

するとどうなるか。開高健のデビュー作「パニック」を読んだことのある人もいることだろう。「パニック」(収録書籍:パニック・裸の王様 (新潮文庫))では、120年に1度の笹の開花が引き金となる。その実がネズミを大繁殖させ、やがて餌が尽きたときにネズミの大群が人里を襲う。

48年に1度のメロカンナ開花年に当る今年、インドのミゾラム州とバングラデシュのチッタゴン丘陵地帯では、やはりネズミの大繁殖が発生している。しかし、こうなることは予めわかっていた。政府が対策を講じたため、ネズミが畑や食糧庫を襲うことによる飢饉などの被害は最小限に食い止められたらしい。

だが、英国のテレグラフ紙が伝えるところによると、ミャンマーのチン州ではメロカンナの開花が引き金となって、大飢饉が起きているらしい。メロカンナの実を食べつくすまでに大繁殖したネズミたちが餌を求めて、畑や民家を襲っている。ネズミの大群が貯蔵されている米を食い荒らし、畑に実ったトウモロコシと稲を貪り食う。農民が畑にまいたばかりの種子さえも掘り起こして食べてしまう。

ネズミの大群に襲われ、食糧を奪われた村人たちは、ネズミを突き刺して捕らえ、火で焼いて食べている。しかし、ネズミが代用食料となるのは、しばらくの間のことである。やがてネズミたちがすべての食糧を食べつくして、次の村へと去って行く。大群が去った後には、もう何も食べ物が残っていない。

難民化してインドに逃げ込む人も相当な数に上っている。しかし、下痢から脱水症状になった子供たちや、貧しい人たち、体の弱い人たちは逃げ出すこともできない。チン州の奥地には電話や道路もないので、何が起きているかわからない状態だという。イラワジ・デルタで13万4千人の死者を出したハリケーンの後の対応を見てもわかるように、ミャンマーの軍事政権は外国からの支援を拒んでいる。最悪な事態に陥っている可能性が高い。

この地域の人たちは、メロカンナの実はネズミにとって媚薬の働きもするのだと信じている。一時的に大量の餌に恵まれることに加え、媚薬の効果があるから異常なほどに繁殖力が高まるのだと。

48年に1度しか咲かない花と言えば、なんとなくロマンチックなものを想像してしまいがちだ。しかし、無数に咲いたその花が実を結ぶとき、自然界のバランスが大きく狂ってしまう。

村人たちが「パニック」に陥る前に、実はネズミたちが「パニック」に陥っているのではないだろうか。いっときしか存在しない餌を当て込んで大量に繁殖するというのは、人間の世界で言えば「バブル」のようなものだ。やがてその餌が尽きたとき、ネズミたちはパニックに陥って暴走を始める。人間も「バブル」がはじけたときに同じような行動パターンを示すことが多いような気がする。

そして、その暴走が付近の罪のない村人たちをパニックに陥れる。似たようなことが世界規模で起きようとしていないか?

自然界の48年というのは、さほど長い年月でもないだろう。人間界で言えば4年くらいのものだったりするかもしれない。そして、人間界では4年に1度の花がもうすぐ咲こうとしている。ただ、この花は不思議なことに、実を結んだ後で開花する。開花したときが、実の尽きるときでもある。“餌”が尽きたとき何が起こるのか。




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1. クリストスが痒い  [ でっきぶらし -ネットの新鮮ニュースを毎日お届けします- ]   2008年06月25日 17:17
更新時間 2008/06/25 17:00 ● 画像  ● 逆さ線香花火 (そんなあなたに)    お、素敵  ● 腹上死の「原因」と「男女の関係」の内訳 (そんなあなたに)    なんぞこれwwww  ● 水分補給  (ねたミシュラン)    CGみたいですね  ● ...

この記事へのコメント

1. Posted by KZK   2008年06月24日 20:27
最後の文章うますぎる
2. Posted by -   2008年06月24日 20:35
本当に一見ロマンチックですが
とんだ災難ですね。

実は、気になったのがリンク先で
メロカンナの味について一切言及
されてない事なんですよね。
二度と食べられないかもしれないなら
もちっとコメントが・・・
3. Posted by     2008年06月25日 03:41
日本への大量難民ですね、わかります。
4. Posted by にゃん汰   2008年06月25日 18:55
5 最後の言い回しすごいですね。鳥肌立ちました!
綺麗な花吹雪で終わってほしいものです。
5. Posted by tyonbo   2008年06月25日 20:57
あー
だから民主党が大量移民受け入れ・・・

おそろしい((((;゚Д゚)))ガクガクブルブルブ
7. Posted by ローテンション   2008年06月29日 00:15
5 でも、自然のバランスが崩れると思っているのは人間だけなんだろうと思う。
もしかしたら、人間がその土地に住む相当前からこういった現象があったのかもしれないし。
8. Posted by S   2008年06月30日 19:32
民主党だけじゃないよね、自民党も公明党も社民党も…(^_^;)
9. Posted by えめとん   2008年07月07日 14:23
そうだねぇ…
人間が来る前から地震や津波や大量発生はあった訳で、それが「環境」になってた訳だし。
(ここで言う48年毎のネズミ嵐)
人間にとっての環境保護は本来の環境は破壊されてるかも知れない。
10. Posted by visit the following website   2014年05月11日 14:26
vapor cigarette なんでも評点:半世紀に1回しか咲かない不思議な花がこうして大厄災を引き起こす ― メロカンナ・バクシフェラ

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