2007年09月25日
マラソン中継を見ていると、コース内の出場選手と併走するかのように沿道を走っている観客の姿をよく見かける。だが、たいていは数百メートルも走らないうちに、付いていけなくなって、あきらめてしまうようだ。そんな観客がペースに付いていけなくても頑張ってゴールまで“完走”した・・・という話は聞いたことがない。
先日、英国ハンプシャー州のニューフォレスト地域でハーフマラソン大会が開催された。ハーフマラソンでは、フルマラソンのちょうど半分に相当する21.0975キロメートルを走る。半分とはいえ、さすがにトレーニングを積んでいない素人が歩かずに走り通せる距離ではない。
この大会にイアン・スコギンズさんという市民ランナーがエントリしていた。イアンさんには、同じファーストネームを引き継ぐ12歳の息子イアン・ジュニア君がいる。イアン・ジュニア君は、お父さんを応援しようとスタートの様子を沿道から見守っていた。
参加選手たちがいっせいにスタートすると、イアン・ジュニア君もお父さんのペースに合わせて沿道を走り始めた。だが長距離ランナーとして経験豊富なお父さんはさすがに速かった。あっという間に引き離されてしまった。
イアンさんは息子がしばらく併走していたのを知っていたが、姿が見えなくなっても別に心配しなかった。当然、息子は妻メアリーさんが待っている場所に戻るに違いなかったから。
一方、メアリーさんはスタート直後、夫と息子の姿を目で追っていたが、ふと気が付くと息子の姿がどこにも見当たらなかった。いつまで経っても、息子は戻って来ない。
群集にまぎれて迷子になってしまったのだろうか? 不安は募る一方。いても立ってもいられなくなり、付近にいた警官に「迷子になった息子を探してほしい」と訴えた。警官たちが連絡を取り合って、イアン・ジュニア君らしき少年を探したが、どこにも見つからなかった。
メアリーさんは、息子が見つかることを祈りながら、ゴール地点まで移動し、夫イアンさんの完走を待った。夫を待っている間も、息子のことが心配で心配で、涙が溢れて止まらなかった。
一方、見事21.0975キロメートルを走り終えたイアンさんは、ゴール地点で妻メアリーさんが一人で泣きながら立っているのを見て、完走の喜びも吹き飛んでしまった。
息子はいったいどこへ行ってしまったのか? 夫婦2人で不安のどん底に落ち込んで立ち尽くすしかなかった。ところが、しばらくすると2人は予想だにしなかった光景を目にすることになる。
見覚えのある普段着姿の少年がコース沿いにゴールラインへ向かって走ってきた。その少年は、紛れもなく2人の息子イアン・ジュニア君だった。あっけにとられている両親の目の前で、イアン・ジュニア君は顔を真っ赤にしながら、見事にゴールラインを通過したのである。
イアン・ジュニア君はお父さんのペースに付いて行けなくても、最後まであきらめずに“完走”を果たしたのだった。長距離走のトレーニングを積んでおらず、まだ体も成長しきっていない12歳の少年が“ぶっつけ本番の初挑戦”で21.0975キロメートルを走りきった瞬間だった。
イアン・ジュニア君曰く。「走り出すと、完走したくなっちゃったんだ」
イアン・ジュニア君がいったいどれくらいのタイムで完走したかは不明である。しかし、状況からして、準備万端で正規参加した選手たちにさほど遅れを取っていたとは思えない。
それに、ゼッケンもつけずに普段着で沿道を走り続けてきた彼は、この暑い時期に給水を受けることすらできなかったのではないだろうか? にもかかわらず、顔を真っ赤にしてゴールインしたのは単に恥ずかしかったからに過ぎなかったとするなら、本当はまだまだ余力を残していた可能性がある。とてつもないポテンシャルを感じさせる少年である。
この話は、もしかしたら、不世出の天才ランナーが最初にその才能の片鱗を見せたときの逸話として後の世に語り継がれることになるのかもしれない。イアン・スコギンズ・ジュニアという名前を覚えておいて損はないかも?
■ Source: Missing boy had done a runner
【関連記事】
この大会にイアン・スコギンズさんという市民ランナーがエントリしていた。イアンさんには、同じファーストネームを引き継ぐ12歳の息子イアン・ジュニア君がいる。イアン・ジュニア君は、お父さんを応援しようとスタートの様子を沿道から見守っていた。
参加選手たちがいっせいにスタートすると、イアン・ジュニア君もお父さんのペースに合わせて沿道を走り始めた。だが長距離ランナーとして経験豊富なお父さんはさすがに速かった。あっという間に引き離されてしまった。
イアンさんは息子がしばらく併走していたのを知っていたが、姿が見えなくなっても別に心配しなかった。当然、息子は妻メアリーさんが待っている場所に戻るに違いなかったから。
一方、メアリーさんはスタート直後、夫と息子の姿を目で追っていたが、ふと気が付くと息子の姿がどこにも見当たらなかった。いつまで経っても、息子は戻って来ない。
群集にまぎれて迷子になってしまったのだろうか? 不安は募る一方。いても立ってもいられなくなり、付近にいた警官に「迷子になった息子を探してほしい」と訴えた。警官たちが連絡を取り合って、イアン・ジュニア君らしき少年を探したが、どこにも見つからなかった。
メアリーさんは、息子が見つかることを祈りながら、ゴール地点まで移動し、夫イアンさんの完走を待った。夫を待っている間も、息子のことが心配で心配で、涙が溢れて止まらなかった。
一方、見事21.0975キロメートルを走り終えたイアンさんは、ゴール地点で妻メアリーさんが一人で泣きながら立っているのを見て、完走の喜びも吹き飛んでしまった。
息子はいったいどこへ行ってしまったのか? 夫婦2人で不安のどん底に落ち込んで立ち尽くすしかなかった。ところが、しばらくすると2人は予想だにしなかった光景を目にすることになる。
見覚えのある普段着姿の少年がコース沿いにゴールラインへ向かって走ってきた。その少年は、紛れもなく2人の息子イアン・ジュニア君だった。あっけにとられている両親の目の前で、イアン・ジュニア君は顔を真っ赤にしながら、見事にゴールラインを通過したのである。
イアン・ジュニア君はお父さんのペースに付いて行けなくても、最後まであきらめずに“完走”を果たしたのだった。長距離走のトレーニングを積んでおらず、まだ体も成長しきっていない12歳の少年が“ぶっつけ本番の初挑戦”で21.0975キロメートルを走りきった瞬間だった。
イアン・ジュニア君曰く。「走り出すと、完走したくなっちゃったんだ」
イアン・ジュニア君がいったいどれくらいのタイムで完走したかは不明である。しかし、状況からして、準備万端で正規参加した選手たちにさほど遅れを取っていたとは思えない。
それに、ゼッケンもつけずに普段着で沿道を走り続けてきた彼は、この暑い時期に給水を受けることすらできなかったのではないだろうか? にもかかわらず、顔を真っ赤にしてゴールインしたのは単に恥ずかしかったからに過ぎなかったとするなら、本当はまだまだ余力を残していた可能性がある。とてつもないポテンシャルを感じさせる少年である。
この話は、もしかしたら、不世出の天才ランナーが最初にその才能の片鱗を見せたときの逸話として後の世に語り継がれることになるのかもしれない。イアン・スコギンズ・ジュニアという名前を覚えておいて損はないかも?
■ Source: Missing boy had done a runner
【関連記事】
- 24時間耐久マラソンで優勝した24歳女性ランナーがゴールライン通過後に再加速して姿を消した理由
- マラソンランナーが完走の瞬間に死亡
- “超人”は実在する ― 現時点で100人の存在を医学的に確認、うち1人は心臓疾患が自然治癒し生後5ヶ月で十字懸垂
- ドルフィンキックだけで泳ぐ両腕のないスイマーが遠泳でギネス記録を目指す
この記事の先頭に戻る
トラックバックURL
この記事へのトラックバック
1. ニュース [ 超暇つぶしブログ ] 2007年09月25日 01:45
2. 神楽書堂‐ニュースログ‐ [ 神楽書堂‐ニュースログ‐ ] 2007年09月25日 20:03
3. 未来の金メダリスト? [ 話題を求めて ] 2007年09月27日 14:59
なんでも評点:ハーフマラソン出場の父を追いかけて沿道を走っているうちに、スタートからゴールまで“完走”してしまった12歳の息子 スゴイなぁ
4. 久々に復活。 [ 桃ぶろぐ ] 2007年09月30日 23:09
本日のネタ。
【ニュース】
ニコニコ動画新バージョンを10月10日より始動 (GIGAZINE)
どのようなバージョンアップになるのか楽しみです。
米で史上最大規模の牛ひき肉回収
この記事へのコメント
1. Posted by 匿名希望 2007年09月26日 01:22

2. Posted by 2007年09月26日 14:07
このブログが真っ先に、のちの金メダリストと予想したのかも…
3. Posted by 2007年09月27日 03:47
これは何処かの学校にスポーツ特待狙ってるんじゃないw
4. Posted by ▲ 2007年09月27日 11:32
12歳なら意外ではないと思います。子供の頃はあきらめる前にカラダがついて来たなぁ と、大人になってつくづく思います。
成長するにつれて限界を定めてしまいがち、子供は大人が思うより意外と大丈夫。
マラソン選手になるきっかけ(自信)というチャンスを掴んだのではないでしょうか。
個人的にこういう記事好きです。
成長するにつれて限界を定めてしまいがち、子供は大人が思うより意外と大丈夫。
マラソン選手になるきっかけ(自信)というチャンスを掴んだのではないでしょうか。
個人的にこういう記事好きです。
5. Posted by 2007年09月28日 14:39
バス使ってたんじゃね?
6. Posted by 2009年05月31日 18:28
※5
金を持っていたとは思えない。
金を持っていたとは思えない。
7. Posted by try these guys 2014年05月10日 21:55
vaporizer pen なんでも評点:ハーフマラソン出場の父を追いかけて沿道を走っているうちに、スタートからゴールまで“完走”してしまった12歳の息子
8. Posted by read the article 2014年05月11日 14:26
e liquid calculator なんでも評点:ハーフマラソン出場の父を追いかけて沿道を走っているうちに、スタートからゴールまで“完走”してしまった12歳の息子
9. Posted by see 2014年07月22日 05:11
hermes purse なんでも評点:ハーフマラソン出場の父を追いかけて沿道を走っているうちに、スタートからゴールまで“完走”してしまった12歳の息子
10. Posted by 2015年02月23日 10:46
イヤン・スゴスギ