2007年09月05日
出会いを求める男女は、皆それなりに理想のパートナー像を描いている。そんな理想を普段から周囲に公言している男性がいたとしよう。ある日、その男性が友人らの前に女性を伴って現れる。ついに恋人が出来たのだ。しかも、かなりの美形。だが周囲は、かなり意外な印象を持つ。
彼は常日頃、理想のパートナー像を語るとき「美人でなくていいから清楚で控え目な女性が一番」と強調していた。だが、彼が自慢げに皆に紹介した女性は、その条件とはまさしく正反対で、人見知りもせずにはっきり物を言う上、いかにも男性遍歴豊富そうなセクシー系美女ではないか。
友人らは彼と彼女に聞こえぬように囁き合う。「奴は、遊ばれてるだけじゃないのか?」とか「あの彼女は奴に貢がせるだけ貢がせて、最後はあっさり捨てる算段なんだろう」とか。
米国インディアナ大学ブルーミントン校で認知科学研究チームを率いているピーター・M・トッド氏によると、男性は、頭の中で描いていた理想のパートナー像と、実際に付き合う女性が一致しない傾向が高いという。普段からどんな理想を描いていたところで、いざ性的魅力に満ちた女性と交際する機会に恵まれれば、そんな条件など脳裏から消し飛んでしまうらしい。
一方、女性には、このような傾向はほとんど認められない。パートナーを選ぶときは、相手の容姿だけでなく、経済力があるかどうか、家庭を大事にしてくれそうかどうか、健康かどうか、性格的にも魅力があるかどうか、などを厳しく吟味するというのである。
トッド氏らのチームでは、ドイツのミュンヘンで男性26人、女性20人の参加者を募って、集団見合い実験を実施した。26歳から40代前半までの年齢層の参加者たちが“スピード・デーティング”と呼ばれる方式で、それぞれの異性と3〜5分間の短い会話を持った後、もう一度会いたい相手の名前を容姿に記入した。(通常のスピード・デーティングと同様、互いに相手を指名し合った男女には、1対1のデートの機会が与えらることになっていた)。
ただし、“スピード・デーティング”を開始する前に、参加者たちはアンケート票への記入を済ませていた。理想のパートナー像を事前に調べておくためのアンケートだった。
研究チームは、集団見合い終了後、参加者たちがアンケート票に記入した内容と、参加者各人がデートしたいと欲した相手のプロフィールを比較した。その結果、男性が実際に選んだ女性は、彼らが元々描いていた理想像とあまり一致していないことが判明したのである。
トッド氏らは、全米科学アカデミー会報で発表した論文で次のように結論付けている。「男性被験者たちが実際に下した選択は、彼らが表明した理想像を反映するものではなかった。男性被験者たちにおいては、女性が肉体的魅力を持っているかどうかが主要な判断基準になったと考えられる」
さらに、男性が女性に魅力を感じるストライクゾーンは、女性が男性を評価する場合に比べて、かなり広めな傾向があるらしい。「こんな女性に最も魅力を感じる」と普段から思っていても、それはあくまで理想なのだ。理想からかなり下であっても、相手に感じる魅力が最低ラインをクリアしてさえいれば、その女性をパートナーとして選ぶ傾向があるという。
トッド氏らの研究も、選ぶのはメスであり、オスは選ばれるために互いに競争する、というダーウィン論的な考え方を踏襲しているようだ。極論を言えば、選ばれる側の男性には、本当は選ぶ権利などない、ということか。相手の女性が最低限の魅力さえ放っていれば、理想像なんてどうでもよく、もう後には退けないようにプログラミングされている、ということか。
さて、一方、女性被験者が実際に選んだ相手も、最初に表明していた理想像にあまり一致していなかった。ただし、男性の場合とは「一致しない方向」が違う。男性は相手が理想から下でも十分に魅力的であれば、付き合いたいと考える。だが、女性被験者たちには、表明していた理想よりも、さらに厳しい基準で男性を選ぶ傾向が認められたという。
トッド氏らは、非常に興味深い点にまで踏み込んだ分析をしている。女性被験者たちは、自分にどれくらいの魅力があるかを自覚していたというのである。そして、自分に魅力があると自覚している女性ほど、厳しい基準で男性を選んだのだ、と。
「女性被験者たちが選んだのは、自己評価した自分の魅力と釣り合いの取れる“総合品質”を持つ男性だった。ただし、彼女らは自分たちの魅力を過大評価してはいなかった。女性たちにとっては、自分たちと長く付き合ってくれる男性を選ぶことも目標の一部となるからである」とトッド氏は述べている。
「かといって、女性被験者たちは、自分たちの魅力を過小評価していたわけでもなかった。彼女らは、自分たちが持つ魅力で、どのレベルの相手を獲得できるかを知っていた。そして、そのレベルに狙いを定めたのである」
ゆえに、女性被験者各人が持つ魅力は男性被験者に影響を与えただけでなく、女性被験者が自ら下す選択にも影響を与えたことになる。つまり、自分が魅力的だと感じている女性ほど、高いレベルを目指す、というわけである。
ならば、自分に魅力がないと自覚している女性は来るもの拒まずで行けとういうことなのか? という声もどこかから聞こえてきそうだ。実際、米国では、自分の体に魅力がないと考える「ネガティブ・ボディ・イメージ」に悩む若い女性たちが増えていることが問題になっている。上記のような解釈の研究論文を発表すると、ボディ・イメージ関係の専門家からクレームが付く可能性がないともいえなさそうだ。
しかし、上記の実験がきわめて小規模かつ局地的なものだったことも忘れるべきではないだろう。トッド氏らも、人類全体に当てはまる法則を見つけたと主張しているわけではないだろう。
ま、わが国でもバブル期には、確かに自分に外見的な魅力があると自覚している女性ほど、厳しい基準で男性を選ぶ傾向が高かったと思われる。実際、ど派手な美貌を誇るお姐さん方に湯水のように金品が投じられたケースも多かったと聞く。
■ Source: What men, women 'really' want
【関連記事】
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米国インディアナ大学ブルーミントン校で認知科学研究チームを率いているピーター・M・トッド氏によると、男性は、頭の中で描いていた理想のパートナー像と、実際に付き合う女性が一致しない傾向が高いという。普段からどんな理想を描いていたところで、いざ性的魅力に満ちた女性と交際する機会に恵まれれば、そんな条件など脳裏から消し飛んでしまうらしい。
一方、女性には、このような傾向はほとんど認められない。パートナーを選ぶときは、相手の容姿だけでなく、経済力があるかどうか、家庭を大事にしてくれそうかどうか、健康かどうか、性格的にも魅力があるかどうか、などを厳しく吟味するというのである。
トッド氏らのチームでは、ドイツのミュンヘンで男性26人、女性20人の参加者を募って、集団見合い実験を実施した。26歳から40代前半までの年齢層の参加者たちが“スピード・デーティング”と呼ばれる方式で、それぞれの異性と3〜5分間の短い会話を持った後、もう一度会いたい相手の名前を容姿に記入した。(通常のスピード・デーティングと同様、互いに相手を指名し合った男女には、1対1のデートの機会が与えらることになっていた)。
ただし、“スピード・デーティング”を開始する前に、参加者たちはアンケート票への記入を済ませていた。理想のパートナー像を事前に調べておくためのアンケートだった。
研究チームは、集団見合い終了後、参加者たちがアンケート票に記入した内容と、参加者各人がデートしたいと欲した相手のプロフィールを比較した。その結果、男性が実際に選んだ女性は、彼らが元々描いていた理想像とあまり一致していないことが判明したのである。
トッド氏らは、全米科学アカデミー会報で発表した論文で次のように結論付けている。「男性被験者たちが実際に下した選択は、彼らが表明した理想像を反映するものではなかった。男性被験者たちにおいては、女性が肉体的魅力を持っているかどうかが主要な判断基準になったと考えられる」
さらに、男性が女性に魅力を感じるストライクゾーンは、女性が男性を評価する場合に比べて、かなり広めな傾向があるらしい。「こんな女性に最も魅力を感じる」と普段から思っていても、それはあくまで理想なのだ。理想からかなり下であっても、相手に感じる魅力が最低ラインをクリアしてさえいれば、その女性をパートナーとして選ぶ傾向があるという。
トッド氏らの研究も、選ぶのはメスであり、オスは選ばれるために互いに競争する、というダーウィン論的な考え方を踏襲しているようだ。極論を言えば、選ばれる側の男性には、本当は選ぶ権利などない、ということか。相手の女性が最低限の魅力さえ放っていれば、理想像なんてどうでもよく、もう後には退けないようにプログラミングされている、ということか。
さて、一方、女性被験者が実際に選んだ相手も、最初に表明していた理想像にあまり一致していなかった。ただし、男性の場合とは「一致しない方向」が違う。男性は相手が理想から下でも十分に魅力的であれば、付き合いたいと考える。だが、女性被験者たちには、表明していた理想よりも、さらに厳しい基準で男性を選ぶ傾向が認められたという。
トッド氏らは、非常に興味深い点にまで踏み込んだ分析をしている。女性被験者たちは、自分にどれくらいの魅力があるかを自覚していたというのである。そして、自分に魅力があると自覚している女性ほど、厳しい基準で男性を選んだのだ、と。
「女性被験者たちが選んだのは、自己評価した自分の魅力と釣り合いの取れる“総合品質”を持つ男性だった。ただし、彼女らは自分たちの魅力を過大評価してはいなかった。女性たちにとっては、自分たちと長く付き合ってくれる男性を選ぶことも目標の一部となるからである」とトッド氏は述べている。
「かといって、女性被験者たちは、自分たちの魅力を過小評価していたわけでもなかった。彼女らは、自分たちが持つ魅力で、どのレベルの相手を獲得できるかを知っていた。そして、そのレベルに狙いを定めたのである」
ゆえに、女性被験者各人が持つ魅力は男性被験者に影響を与えただけでなく、女性被験者が自ら下す選択にも影響を与えたことになる。つまり、自分が魅力的だと感じている女性ほど、高いレベルを目指す、というわけである。
ならば、自分に魅力がないと自覚している女性は来るもの拒まずで行けとういうことなのか? という声もどこかから聞こえてきそうだ。実際、米国では、自分の体に魅力がないと考える「ネガティブ・ボディ・イメージ」に悩む若い女性たちが増えていることが問題になっている。上記のような解釈の研究論文を発表すると、ボディ・イメージ関係の専門家からクレームが付く可能性がないともいえなさそうだ。
しかし、上記の実験がきわめて小規模かつ局地的なものだったことも忘れるべきではないだろう。トッド氏らも、人類全体に当てはまる法則を見つけたと主張しているわけではないだろう。
ま、わが国でもバブル期には、確かに自分に外見的な魅力があると自覚している女性ほど、厳しい基準で男性を選ぶ傾向が高かったと思われる。実際、ど派手な美貌を誇るお姐さん方に湯水のように金品が投じられたケースも多かったと聞く。
■ Source: What men, women 'really' want
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1. 消える!? 睡眠預金…郵貯は「時効」過ぎると接収 [ ヒッキーガエルブログ ] 2007年09月05日 10:32
orz
ハーイ、チャーン、バーブー。
面接でのNG発言大賞
オイラの場合、存在そのものがNGなわけで・・・。
消える!? 睡眠預金…郵貯は「時効」過ぎると接収
貯金無いから大丈宮.
2. 神楽書堂‐ニュースログ‐ [ 神楽書堂‐ニュースログ‐ ] 2007年09月05日 21:07
3. 恋人選び、男性は「外見」、女性は「経済力」を重視 米大学の調査 [ int'l news ] 2007年09月06日 21:10
外見の美しさや経済力はすべてではないとよく言われるが、ここぞという時には男性は外見を、女性は富と安定を選ぶ、という調査結果が明らかになった。
[ ソース ]
REUTERS(JP) 2007年09月05日
交際相手選び、男性は外見・女性は経済力を重視=調査
REUTERS(EN) Sep 4...
この記事へのコメント
1. Posted by Read the Full Posting 2014年05月10日 14:28
are e-cigs safe なんでも評点:男性は理想外の女性でも性的魅力さえあれば付き合いたくなるが、女性は自分の魅力に釣り合う男性しか相手にしない?