2007年08月21日
英国サセックス州リトルハンプトン在住のファーガス・フレーターさんは、46歳で無職。25歳のジョーダンさんという息子がいる。ジョーダンさんは、父親のように無職ではなく、屋根職人をしながら少ない給金で細々と内縁の妻のルーシー・シュライブンズさんと暮らしている。2人の間には既に娘がおり、しかもルーシーさんは現在第二子を妊娠中。
ジョーダンさんは、うだつの上がらない父親ファーガスさんから、まさかそんな申し出があるとは夢にも思っていなかった。日本円で11億円相当の大金をくれてやる、というのだ。
普通なら冗談と受け流すところだが、信じるに足る事情があった。ファーガスさんは、欧州の宝くじEuromillionsで繰越金込みの当選金£35.425,411.80(日本円で78億円相当)を引き当てたのだから。
そんな大金が転がりこんでくることを下手に公言すると、いろいろと面倒が起きそうなもの。だが、ファーガスさんは一向に気にすることなく、地元のみんなに自分が一躍億万長者になったことを吹聴して回った。
内縁の妻と娘を養いながら貧窮生活を送っていたジョーダンさんは、ファーガスさん以上に有頂天になってしまった。11億円もの大金が転がり込んでくるなら、もう安い給金の仕事にしがみついている必要はない。だから、父ファーガスさんの約束を信じ込んだ彼は、雇い主に電話を入れ、もう仕事をやめますと告げた。
ついでに、これまで苦しい生活を送ってきたリトルハンプトンとも、いや英国という母国からもおさらばしようと決めた。妊娠中のルーシーさんとオーストラリアに移り住んで、親子4人(お腹の中の子を含む)で悠々自適の生活を送る計画が一気に膨らんだ。
ファーガスさんは、妹のロレインさんにも2億2千万を分け与えると約束。彼が78億円相当の大金を引き当てたという話は地元で大きな評判になり、地元紙The Argusが一面トップでファーガスさんのことを取り上げた。
ところが(予想通りかもしれないが)、上記の約束は果たされていない。ファーガスさんは現在行方不明である。息子や妹や地元の人たちに会わす顔がないからだろう。
過去数回当選者が出ず、繰越金込みで当選金が78億円相当まで膨れ上がったEuromillionsの今回の抽選には、確かに当選者がいた。当選者の名前が伏せられていたら、まだしばらくの間、みんながファーガスさんを当選者と信じていたかもしれない。
だが、アンジェラ・ケリーという当選者の氏名が公表されたことにより、ファーガスさんは化けの皮をはがされてしまった。もう家にいることも、リトルハンプトンの町にいることもできなくなってしまったのである。
ジョーダンさんは、事実発覚後の8月15日に取材を受け、こう話している。「ほんのひとときだけ、億万長者の気分を味わえました。でも、次の瞬間には無一文に逆戻りです」
ジョーダンさんは、父ファーガスさんが当選者でないことを知った後、再び雇い主に電話を入れ、仕事に戻らせてくださいと平謝りした。
父ファーガスさんから宝くじに当たった話を聞かされたとき、ジョーダンさんは「困窮生活の中で夢見たことが現実になった」と感極まる思いがしたという。
「父がいたら殺してやろうかと思うほどです。でも、父は雲隠れしてしまい、いったいどこにいるのか見当も付きません」ジョーダンさんは言う。「父がこんなふうにみんなを騙したことは、これまでありませんでした」
「僕たち身内の者には、なんで父がこんな行動に出たのか、さっぱりわかりません。しかし、父はみんなに宝くじ当選のことを吹聴し、町中の人たちがそれを信じたのです。
「父を見つけたら、そりゃ言いたいことがあります。でも、1日も経てば、元通りの親子関係に戻ると思います」
一方、ファーガスさんの妹ロレインさんによると、ファーガスさんは当選金を自分の生まれ故郷スコットランドに移り住む費用に当てたいと話していたらしい。
ロレインさんは言う。「宝くじに当選したことを私に伝えたその兄が今どこにいて何をしているのか、何の手がかりもありません」
どうやら息子や妹など、身内の人たちは騙されたと感じているようだが、ファーガスさんの友人の中には彼の擁護に回る人たちもいる。ファーガスさんは本当に自分が当選したと信じ込んでいた、というのが彼らの主張である。
地元のパブMarineの女主人、ペニー・ワードさんも擁護派の1人。彼女は言う。「彼は、自分が当選者だと心から信じていたのだと思います」
しかし、ファーガスさんが常連だった別のパブで働く女性によると、彼は誰かに害を及ぼしかねない悪ふざけをすることがよくあった。さらに、今回の一件が自分の予想以上に大事に発展してしまったことをほのめかすような言葉も口にしていたらしい。
ともあれ、本件のように、うだつの上がらない男に大金が転がり込んでくるという話は、このような結末を迎えがちである。今回に関しては、そう吹聴して回っている男を周囲のみんなが完全に信じ込んでしまった。それどころか、新聞メディアまでが踊らされてしまった。
本件とは少し異なるが、「簡単に大金を手にする方法があるんですが・・・」なんて甘い誘いに乗ってしまう人もいたりする。(よほど富裕な人たちは別として)人はみな、一攫千金を夢見るときがある。本件では、当のファーガスさん(無職)と息子のジョーダンさん(ワーキング・プア)も、大金がある日突然転がり込んでくることを日夜夢見ていたのだろう。
【余談】
筆者は、この手の話を聞くと、まず疑ってかかる方である。昨年の初夏に「このブログを本にすれば、ミリオンセラーも夢ではないですよ」というお誘いをいただいたことがある。最初、かなり警戒心を抱いてしまった。声を掛けてくださったのが著名な方だったにもかかわらず。
その話自体、決して私が金銭的リスクを負うような話ではなく、まっとうな出版企画だった。実際に会合も持ち、企画は途中まで進んだかに見えたのだが、まあ現時点ではここで書くことが憚られるような事情があり、途中から企画がまったく進まなくなってしまった。
結局「ミリオンセラーも夢でない」の言葉が深くインプットされてしまったのか、私自身、このブログの内容をそのまま本にしても購買層にあまりアピールしないのではないかという考えにとらわれてしまっていた。そのため、いろいろ構成を考えることにずいぶんと労力を割き、その案を何度も先方に送って意見を仰いだりしたのだが、何の実りもない結果に終わってしまった。
一昔前の血の気の多い私なら、労力が無駄になったことに関して先方にもっと噛み付いたかもしれない。しかし、最近、あまり他人に対して腹が立たなくなってきた。当ブログで取り上げてきた珍ニュースの数々を通じて、あまりにばかばかしい事の顛末に目が慣れてきたせいだろう。自己研鑽に少しばかりは役に立っているかもしれない。
なお、当ブログの記事に「簡単に大金を手にする方法があるんですが・・・」みたいな広告が付いていることがあると思われる。筆者には選択権のないキーワードマッチ広告なので、まあ片腹痛い話である。「楽して儲かる」系の広告主がこの記事を見ておられたら、そちらから当ブログを禁止リストに加えていただきたいものだ。
■ Source: Family's fury after father's hoax claims he won £35m lotto jackpot
【関連記事】
普通なら冗談と受け流すところだが、信じるに足る事情があった。ファーガスさんは、欧州の宝くじEuromillionsで繰越金込みの当選金£35.425,411.80(日本円で78億円相当)を引き当てたのだから。
そんな大金が転がりこんでくることを下手に公言すると、いろいろと面倒が起きそうなもの。だが、ファーガスさんは一向に気にすることなく、地元のみんなに自分が一躍億万長者になったことを吹聴して回った。
内縁の妻と娘を養いながら貧窮生活を送っていたジョーダンさんは、ファーガスさん以上に有頂天になってしまった。11億円もの大金が転がり込んでくるなら、もう安い給金の仕事にしがみついている必要はない。だから、父ファーガスさんの約束を信じ込んだ彼は、雇い主に電話を入れ、もう仕事をやめますと告げた。
ついでに、これまで苦しい生活を送ってきたリトルハンプトンとも、いや英国という母国からもおさらばしようと決めた。妊娠中のルーシーさんとオーストラリアに移り住んで、親子4人(お腹の中の子を含む)で悠々自適の生活を送る計画が一気に膨らんだ。
ファーガスさんは、妹のロレインさんにも2億2千万を分け与えると約束。彼が78億円相当の大金を引き当てたという話は地元で大きな評判になり、地元紙The Argusが一面トップでファーガスさんのことを取り上げた。
ところが(予想通りかもしれないが)、上記の約束は果たされていない。ファーガスさんは現在行方不明である。息子や妹や地元の人たちに会わす顔がないからだろう。
過去数回当選者が出ず、繰越金込みで当選金が78億円相当まで膨れ上がったEuromillionsの今回の抽選には、確かに当選者がいた。当選者の名前が伏せられていたら、まだしばらくの間、みんながファーガスさんを当選者と信じていたかもしれない。
だが、アンジェラ・ケリーという当選者の氏名が公表されたことにより、ファーガスさんは化けの皮をはがされてしまった。もう家にいることも、リトルハンプトンの町にいることもできなくなってしまったのである。
ジョーダンさんは、事実発覚後の8月15日に取材を受け、こう話している。「ほんのひとときだけ、億万長者の気分を味わえました。でも、次の瞬間には無一文に逆戻りです」
ジョーダンさんは、父ファーガスさんが当選者でないことを知った後、再び雇い主に電話を入れ、仕事に戻らせてくださいと平謝りした。
父ファーガスさんから宝くじに当たった話を聞かされたとき、ジョーダンさんは「困窮生活の中で夢見たことが現実になった」と感極まる思いがしたという。
「父がいたら殺してやろうかと思うほどです。でも、父は雲隠れしてしまい、いったいどこにいるのか見当も付きません」ジョーダンさんは言う。「父がこんなふうにみんなを騙したことは、これまでありませんでした」
「僕たち身内の者には、なんで父がこんな行動に出たのか、さっぱりわかりません。しかし、父はみんなに宝くじ当選のことを吹聴し、町中の人たちがそれを信じたのです。
「父を見つけたら、そりゃ言いたいことがあります。でも、1日も経てば、元通りの親子関係に戻ると思います」
一方、ファーガスさんの妹ロレインさんによると、ファーガスさんは当選金を自分の生まれ故郷スコットランドに移り住む費用に当てたいと話していたらしい。
ロレインさんは言う。「宝くじに当選したことを私に伝えたその兄が今どこにいて何をしているのか、何の手がかりもありません」
どうやら息子や妹など、身内の人たちは騙されたと感じているようだが、ファーガスさんの友人の中には彼の擁護に回る人たちもいる。ファーガスさんは本当に自分が当選したと信じ込んでいた、というのが彼らの主張である。
地元のパブMarineの女主人、ペニー・ワードさんも擁護派の1人。彼女は言う。「彼は、自分が当選者だと心から信じていたのだと思います」
しかし、ファーガスさんが常連だった別のパブで働く女性によると、彼は誰かに害を及ぼしかねない悪ふざけをすることがよくあった。さらに、今回の一件が自分の予想以上に大事に発展してしまったことをほのめかすような言葉も口にしていたらしい。
ともあれ、本件のように、うだつの上がらない男に大金が転がり込んでくるという話は、このような結末を迎えがちである。今回に関しては、そう吹聴して回っている男を周囲のみんなが完全に信じ込んでしまった。それどころか、新聞メディアまでが踊らされてしまった。
本件とは少し異なるが、「簡単に大金を手にする方法があるんですが・・・」なんて甘い誘いに乗ってしまう人もいたりする。(よほど富裕な人たちは別として)人はみな、一攫千金を夢見るときがある。本件では、当のファーガスさん(無職)と息子のジョーダンさん(ワーキング・プア)も、大金がある日突然転がり込んでくることを日夜夢見ていたのだろう。
【余談】
筆者は、この手の話を聞くと、まず疑ってかかる方である。昨年の初夏に「このブログを本にすれば、ミリオンセラーも夢ではないですよ」というお誘いをいただいたことがある。最初、かなり警戒心を抱いてしまった。声を掛けてくださったのが著名な方だったにもかかわらず。
その話自体、決して私が金銭的リスクを負うような話ではなく、まっとうな出版企画だった。実際に会合も持ち、企画は途中まで進んだかに見えたのだが、まあ現時点ではここで書くことが憚られるような事情があり、途中から企画がまったく進まなくなってしまった。
結局「ミリオンセラーも夢でない」の言葉が深くインプットされてしまったのか、私自身、このブログの内容をそのまま本にしても購買層にあまりアピールしないのではないかという考えにとらわれてしまっていた。そのため、いろいろ構成を考えることにずいぶんと労力を割き、その案を何度も先方に送って意見を仰いだりしたのだが、何の実りもない結果に終わってしまった。
一昔前の血の気の多い私なら、労力が無駄になったことに関して先方にもっと噛み付いたかもしれない。しかし、最近、あまり他人に対して腹が立たなくなってきた。当ブログで取り上げてきた珍ニュースの数々を通じて、あまりにばかばかしい事の顛末に目が慣れてきたせいだろう。自己研鑽に少しばかりは役に立っているかもしれない。
なお、当ブログの記事に「簡単に大金を手にする方法があるんですが・・・」みたいな広告が付いていることがあると思われる。筆者には選択権のないキーワードマッチ広告なので、まあ片腹痛い話である。「楽して儲かる」系の広告主がこの記事を見ておられたら、そちらから当ブログを禁止リストに加えていただきたいものだ。
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78億円当選の46歳無職男性がワーキング・プアの息子に11億円の分け前を約束、地元紙が大々的に伝えるも夢と散る(なんでも評点)
http://rate.livedoor.biz/archives/50406865.html
いくらうだつの上がらない貧乏生活で、大金を手に入れる夢を見ることはあっても、こ...
この記事へのコメント
1. Posted by 、 2007年08月21日 03:01
この記事も面白いけど、関連記事がどれも凄い。ソースに書いてなさそうな部分の博識さが凄い。
出版企画の話はよくわからないけど、この雑学的な部分に関して編集と意見が合わなかったのでしょうか。
たった1冊の本に納めるのは無理なのが、ここに限らず人気テキスト系サイトの常じゃないかと。
出版企画の話はよくわからないけど、この雑学的な部分に関して編集と意見が合わなかったのでしょうか。
たった1冊の本に納めるのは無理なのが、ここに限らず人気テキスト系サイトの常じゃないかと。
2. Posted by just click the up coming website 2014年05月10日 21:22
e-cigs for sale なんでも評点:78億円当選の46歳無職男性がワーキング・プアの息子に11億円の分け前を約束、地元紙が大々的に伝えるも夢と散る
3. Posted by Continued 2014年05月11日 05:30
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4. Posted by prev 2014年05月11日 13:43
e liquid cigarette なんでも評点:78億円当選の46歳無職男性がワーキング・プアの息子に11億円の分け前を約束、地元紙が大々的に伝えるも夢と散る