2007年05月21日
10メートル以上もあるような高い場所から傘を持って飛び降りた場合、パラシュートと同じような効果を期待できるのではないかと思い、試してみたことのある人はたぶんいないだろう(いたとしても存命ではないだろう)。実際、そんな効果は期待できないとされている。傘が裏返しになって折れてしまったり、手から傘を離してしまったりするだろうし。
だが、上海日報英語版が伝えるところによると、6階建て建物の屋上から落下するときに雨傘をしっかり握っていたおかげで命拾いした少女が中国浙江省景寧にいる。ただし、パラシュートの代わりになるかどうかを実験したのでもなく、やけっぱちになって傘を差しながら飛び降りたわけでもない。
18歳の女子学生チャン・ハイジンさんは、5月15日の夕刻、学校から家に帰る途中で雨に降られ、濡れ鼠になった。家に帰り着くと、まず服を洗濯せねばと思い、洗濯場に向かった。
だが、彼女は6階建ての建物(おそらく集合住宅)に住んでおり、洗濯場はその屋上にある。しかも、洗濯場は屋上に上がってすぐの位置にはなく、屋根上に設けられた狭い通路を渡った向こうにある。さらに、そのときまだ雨は上がっておらず、通路は非常に滑りやすい状態になっていた。
チャンさんは雨に濡れまいとして傘を差しながら、その滑りやすい通路に足を踏み入れた。途中まで進んだとき、突風が吹いた。傘をしっかり握っていたものだから、彼女は傘ごと建物屋上の端まで飛ばされた。
そこで踏みとどまることはできなかった。彼女は足場を失い墜落した。だが、雨傘をしっかり握って離さなかった。
しばらくして、チャンさんが地面の上に倒れていることに誰かが気づいた。重傷を負っており、呼びかけにも返答しなかったが、息はあった。そして、彼女の体のそばには雨傘。
チャンさんは意識不明の重体のまま病院に運ばれたが、一命を取り留めた。現在では容態も落ち着いている。
チャンさんは6階(少なくとも20メートル前後はあろうかという高さ)から地面へと落下した。だが、幸い彼女が落ちたのは、硬いコンクリートの地面の上ではなく、雨水をたっぷりと吸った野菜畑の上だった。そして、もちろん雨傘をしっかり握っていたため、空気抵抗により落下速度が弱まった。この2つの要因が重なって、彼女は九死に一生を得たのである。
とはいえ、チャンさんが負った傷はかなり重かった。胸椎が折れており、腹膜に血腫が出来ていた。数度にわたる手術が行われた。現在はなんとか容態も落ち着いて、快方に向かいつつあるらしい。
チャンさんの家族は、彼女が全快したら学校に戻らせたいと切に願っているが、既に一家の貯金すべてを入院費、手術費、治療費で使い尽くした。だから、彼女の学校の授業料に当てるお金が一銭も残っていない。学費を寄付してあげようという殊勝な人がいたら、ぜひお願いしたいとのこと。
ともあれ、この事例においては、傘が事実上パラシュートの役割を果たし、18歳の若い命を救ったということになる。墜落するときに傘から手を離さなかったからこそ、こうしてチャンさんは生き延びたのである。だがしかし、手離しで傘の思わぬ効用に喜べる話ではない。
チャンさんを担当したメイ医師も指摘していることだが、そもそもチャンさんは傘を差していたから風に飛ばされたのである。通路が雨ざらしだったとしても、滑りやすさを考えれば傘は閉じておくべきだった。メイ医師は、高い場所を歩くときに傘を差すのは、風に飛ばされやすく危険だからやめましょうと警告を発している。
落下の一番の原因となった傘が、いざ落下が始まると彼女の命を救う働きをした。言い換えれば、頑固に傘を握り続けていたから落下したわけだが、落下しても頑固に握り続けていたから命を落とさずに済んだ。
■ Source: Umbrella saves girl in fall from 6th floor
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18歳の女子学生チャン・ハイジンさんは、5月15日の夕刻、学校から家に帰る途中で雨に降られ、濡れ鼠になった。家に帰り着くと、まず服を洗濯せねばと思い、洗濯場に向かった。
だが、彼女は6階建ての建物(おそらく集合住宅)に住んでおり、洗濯場はその屋上にある。しかも、洗濯場は屋上に上がってすぐの位置にはなく、屋根上に設けられた狭い通路を渡った向こうにある。さらに、そのときまだ雨は上がっておらず、通路は非常に滑りやすい状態になっていた。
チャンさんは雨に濡れまいとして傘を差しながら、その滑りやすい通路に足を踏み入れた。途中まで進んだとき、突風が吹いた。傘をしっかり握っていたものだから、彼女は傘ごと建物屋上の端まで飛ばされた。
そこで踏みとどまることはできなかった。彼女は足場を失い墜落した。だが、雨傘をしっかり握って離さなかった。
しばらくして、チャンさんが地面の上に倒れていることに誰かが気づいた。重傷を負っており、呼びかけにも返答しなかったが、息はあった。そして、彼女の体のそばには雨傘。
チャンさんは意識不明の重体のまま病院に運ばれたが、一命を取り留めた。現在では容態も落ち着いている。
チャンさんは6階(少なくとも20メートル前後はあろうかという高さ)から地面へと落下した。だが、幸い彼女が落ちたのは、硬いコンクリートの地面の上ではなく、雨水をたっぷりと吸った野菜畑の上だった。そして、もちろん雨傘をしっかり握っていたため、空気抵抗により落下速度が弱まった。この2つの要因が重なって、彼女は九死に一生を得たのである。
とはいえ、チャンさんが負った傷はかなり重かった。胸椎が折れており、腹膜に血腫が出来ていた。数度にわたる手術が行われた。現在はなんとか容態も落ち着いて、快方に向かいつつあるらしい。
チャンさんの家族は、彼女が全快したら学校に戻らせたいと切に願っているが、既に一家の貯金すべてを入院費、手術費、治療費で使い尽くした。だから、彼女の学校の授業料に当てるお金が一銭も残っていない。学費を寄付してあげようという殊勝な人がいたら、ぜひお願いしたいとのこと。
ともあれ、この事例においては、傘が事実上パラシュートの役割を果たし、18歳の若い命を救ったということになる。墜落するときに傘から手を離さなかったからこそ、こうしてチャンさんは生き延びたのである。だがしかし、手離しで傘の思わぬ効用に喜べる話ではない。
チャンさんを担当したメイ医師も指摘していることだが、そもそもチャンさんは傘を差していたから風に飛ばされたのである。通路が雨ざらしだったとしても、滑りやすさを考えれば傘は閉じておくべきだった。メイ医師は、高い場所を歩くときに傘を差すのは、風に飛ばされやすく危険だからやめましょうと警告を発している。
落下の一番の原因となった傘が、いざ落下が始まると彼女の命を救う働きをした。言い換えれば、頑固に傘を握り続けていたから落下したわけだが、落下しても頑固に握り続けていたから命を落とさずに済んだ。
■ Source: Umbrella saves girl in fall from 6th floor
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この記事へのコメント
1. Posted by urza 2007年05月21日 23:06
メアリーポピンズって本当にいたんですね。
3. Posted by tamago 2007年05月23日 03:08
小さい頃、メリーポピンズに憧れて台風の時に、滑り台の上からジャンプした事を思い出した。…もちろん吹っ飛ばされて怪我しましたがね。幸い擦り傷と打撲だけでしたがw
4. Posted by ほげ 2007年05月25日 10:57
評点は?