2007年01月28日
銃に剣で立ち向かうのは非常に勝ち目が薄そうに見えるが、現に、今まさに引き金を引こうとしている人差し指を一刀両断にし、剣で銃に勝った男がいる(リンクは本稿末尾)。ライオンにペンで立ち向かうというのも非常に勝ち目が薄そうだ。しかし、夫に襲い掛かったマウンテン・ライオンにペンで立ち向かい、見事に夫の命を救った勇敢な女性が米国カリフォルニア州にいる。
その日、ネル・ハムさん(65歳)は、夫のジム・ハム(70歳)さんと2人でサンフランシスコの北515キロに位置するプレーリー・クリーク・レッドウッズ州立公園でハイキングを楽しんでいた。2人は経験豊富なハイカーだが、ハイキング中にマウンテン・ライオン(クーガー)に遭遇したことは、これまで一度もなかった。
妻のネルさんが前を歩き、夫のジムさんが後を歩いていた。後を歩いていたジムさんがクーガーに襲われた。襲われた瞬間、ジムさんは叫び声を上げなかった。あまりにも不意を突かれたため、大声を出すことさえできなかったようだ。その代わり、恐怖におびえた声で助けを嘆願した。
ネルさんが背後を振り返ったときには、既にクーガーがジムさんを地面に組み伏していた。ジムさんは頭をかまれていた。だが、彼は、かまれている間中、言葉を発し続けた。
ネルさんは、近くに落ちていた木の枝を拾い上げ、クーガーに打撃を加えた。だが、それでもクーガーはジムさんを離そうとしなかった。
すると、ジムさんがネルさんに向けて、こう言った。「僕のポケットの中にペンがある。ペンを取り出して、奴に目潰し攻撃を仕掛けてくれないか」
ネルさんはAPの記者にこう話している。「言われたとおりに私はペンを取り出して、クーガーの目に突き立てようとしました。でも、思うように突き刺すことができませんでした」
結局、ペンは折れてしまった。ネルさんは再び木の枝での打撃に切り替えた。必死の反撃が功を奏し、クーガーは顎を緩め、ジムさんの頭部を離した。
しかし、ジムさんを離した後も、しばらくネルさんを睨みつけて、今にも襲い掛かってきそうだった。ネルさんは、張り裂けんばかりの大声を出し、木の枝を振り回し続けた。クーガーはやがて、ハム夫妻に背を向けて、どこへともなく消えて行った。
だが、さっきのクーガーが再び現れないという保証はなかった。だから、ネルさんは、クーガーの再襲撃に備えて、周囲から木の枝をかき集めてきた。それらを振りかざしながら遊歩道を歩いた。夫のジムさんは、頭部にひどい怪我を負っていた。
運良く、レンジャー隊員がたまたま2人を見つけてくれ、救助要請を出してくれた。
ジムさんは病院に搬送され、唇を縫い合わせるなどの処置を受けた。唇のほか、頭皮に裂傷を負っており、牙による刺し傷を顔中に負っている。だが、容態は安定しており、順調に回復する見込みとのこと。
カリフォルニア州魚類鳥獣保護局の広報担当者スティーブ・マルタラノ氏は、ネルさんの勇敢な行動を絶賛している。彼女が勇敢にライオンに立ち向かったからこそ、夫のジムさんが命を落とさずに済んだのだ、と。
「彼女の取った行動は、満点に値します。ライオンが人を襲い、歯牙に掛けるに至ったとき、残された方法はライオンに反撃すること以外にありません」
「彼女はペンでライオンの目をつぶそうとしました。それがうまくいかないとわかると、今度は大ぶりな木の枝でライオンを強打して、追い払ったのです。実にけなげな女性です」
魚類鳥獣保護局のマルタラノ氏がネルさんを絶賛しているのも当然のことだろう。愛する人の命が脅かされている場面に遭遇したとき、ただただパニックに陥ったり、恐ろしさのあまり無力化したりするのではなく、勇気を振り絞って最善を尽くす。そのことの大切さを思い知らせてくれる話である。
ペンでクーガーの目をつぶすことには失敗したが、ペンによる反撃もネルさんの“勝利”にある程度貢献したに違いない。頭をクーガーの顎に挟まれながら、そんな反撃方法を思いついたジムさんにも、気骨のたくましさを感じさせられる。
なお、ジムさんが襲われた後、プレーリー・クリーク・レッドウッズ州立公園は一時的に閉鎖された。巡視員たちが現場の遊歩道付近を捜索し、1つがいのクーガーを発見して射殺した。このつがいのいずれかがジムさんを襲ったライオンではないかと考えられている。それを確認するために、クーガーの死体を解剖検査にかけているところである。
クーガー(マウンテン・ライオン)のオスは、平均で体長2.4メートル、体重150キロほどの大きさに成長するという。カリフォルニア州には、4000頭ないしは6000頭のクーガーが生息していると推定されている。だが、クーガーが人間を襲うことは、まれにしかない。
マルタラノ氏によると、1980年以降、人間がクーガーに襲われた事例は16件しか発生していない。うち6件では、襲われた人が命を落としている。今回の襲撃は、2004年以来のことだという。
■ Sources:
【関連記事】
妻のネルさんが前を歩き、夫のジムさんが後を歩いていた。後を歩いていたジムさんがクーガーに襲われた。襲われた瞬間、ジムさんは叫び声を上げなかった。あまりにも不意を突かれたため、大声を出すことさえできなかったようだ。その代わり、恐怖におびえた声で助けを嘆願した。
ネルさんが背後を振り返ったときには、既にクーガーがジムさんを地面に組み伏していた。ジムさんは頭をかまれていた。だが、彼は、かまれている間中、言葉を発し続けた。
ネルさんは、近くに落ちていた木の枝を拾い上げ、クーガーに打撃を加えた。だが、それでもクーガーはジムさんを離そうとしなかった。
すると、ジムさんがネルさんに向けて、こう言った。「僕のポケットの中にペンがある。ペンを取り出して、奴に目潰し攻撃を仕掛けてくれないか」
ネルさんはAPの記者にこう話している。「言われたとおりに私はペンを取り出して、クーガーの目に突き立てようとしました。でも、思うように突き刺すことができませんでした」
結局、ペンは折れてしまった。ネルさんは再び木の枝での打撃に切り替えた。必死の反撃が功を奏し、クーガーは顎を緩め、ジムさんの頭部を離した。
しかし、ジムさんを離した後も、しばらくネルさんを睨みつけて、今にも襲い掛かってきそうだった。ネルさんは、張り裂けんばかりの大声を出し、木の枝を振り回し続けた。クーガーはやがて、ハム夫妻に背を向けて、どこへともなく消えて行った。
だが、さっきのクーガーが再び現れないという保証はなかった。だから、ネルさんは、クーガーの再襲撃に備えて、周囲から木の枝をかき集めてきた。それらを振りかざしながら遊歩道を歩いた。夫のジムさんは、頭部にひどい怪我を負っていた。
運良く、レンジャー隊員がたまたま2人を見つけてくれ、救助要請を出してくれた。
ジムさんは病院に搬送され、唇を縫い合わせるなどの処置を受けた。唇のほか、頭皮に裂傷を負っており、牙による刺し傷を顔中に負っている。だが、容態は安定しており、順調に回復する見込みとのこと。
カリフォルニア州魚類鳥獣保護局の広報担当者スティーブ・マルタラノ氏は、ネルさんの勇敢な行動を絶賛している。彼女が勇敢にライオンに立ち向かったからこそ、夫のジムさんが命を落とさずに済んだのだ、と。
「彼女の取った行動は、満点に値します。ライオンが人を襲い、歯牙に掛けるに至ったとき、残された方法はライオンに反撃すること以外にありません」
「彼女はペンでライオンの目をつぶそうとしました。それがうまくいかないとわかると、今度は大ぶりな木の枝でライオンを強打して、追い払ったのです。実にけなげな女性です」
けなげさ10 | ■■■■■■■■■■ |
魚類鳥獣保護局のマルタラノ氏がネルさんを絶賛しているのも当然のことだろう。愛する人の命が脅かされている場面に遭遇したとき、ただただパニックに陥ったり、恐ろしさのあまり無力化したりするのではなく、勇気を振り絞って最善を尽くす。そのことの大切さを思い知らせてくれる話である。
ペンでクーガーの目をつぶすことには失敗したが、ペンによる反撃もネルさんの“勝利”にある程度貢献したに違いない。頭をクーガーの顎に挟まれながら、そんな反撃方法を思いついたジムさんにも、気骨のたくましさを感じさせられる。
なお、ジムさんが襲われた後、プレーリー・クリーク・レッドウッズ州立公園は一時的に閉鎖された。巡視員たちが現場の遊歩道付近を捜索し、1つがいのクーガーを発見して射殺した。このつがいのいずれかがジムさんを襲ったライオンではないかと考えられている。それを確認するために、クーガーの死体を解剖検査にかけているところである。
クーガー(マウンテン・ライオン)のオスは、平均で体長2.4メートル、体重150キロほどの大きさに成長するという。カリフォルニア州には、4000頭ないしは6000頭のクーガーが生息していると推定されている。だが、クーガーが人間を襲うことは、まれにしかない。
マルタラノ氏によると、1980年以降、人間がクーガーに襲われた事例は16件しか発生していない。うち6件では、襲われた人が命を落としている。今回の襲撃は、2004年以来のことだという。
■ Sources:
- Woman saves husband in lion attack
- US woman fights off lion with pen
(顔中に痛々しい刺し傷が残るジムさんの写真あり)
【関連記事】
- 今まさに引き金を引こうとしている人差し指を一刀両断にし、剣で銃に勝った男
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1. 24時間ものを食べ続けなければならない女性 他 [ 風風書堂‐ニュースログ‐ ] 2007年01月28日 20:31
24時間ものを食べ続けなければならない女性
【詳細記事】
ライオンにペンで立ち向かい、見事勝利を収めた女性
この記事へのコメント
1. Posted by ついぞ 2007年01月29日 02:30
みせしめに殺されたクーガー夫妻はたまったものではない。
2. Posted by こめ 2007年01月29日 04:21

美談じゃなくてもいいんです。この話だって、射殺されたマウンテンライオンは濡れ衣かもしれないし。
それと雑学系。巨乳の話と科学的モテの法則はグッドジョブでした。
3. Posted by なかヲなおみ 2007年01月30日 00:25

4. Posted by 芝村舞 2007年02月04日 13:01
「一人の人生に疲れた女が居た。
それはただの女だったが、だが、ある日、困っている人に手を差し伸べた。
持った武器は、ただのシャーペンだった。
だが、我らの祖先は思った。
そやつはもはや、ただの女ではない。
ヒーローだと。
本来人間が居るべきポジションに戻った、誰もがその勝利を願う人の中の人。人間の本懐たりえるヒーローだと。
必要となれば、人は、ペン一本で、刺し、切り、罠を突破し、図を書き、そしてエンジンを爆発させることが出来る。 核戦争を阻止し、化け物どもを倒し、名前も知らぬ子供のために、走る事が出来るのだ。」
それはただの女だったが、だが、ある日、困っている人に手を差し伸べた。
持った武器は、ただのシャーペンだった。
だが、我らの祖先は思った。
そやつはもはや、ただの女ではない。
ヒーローだと。
本来人間が居るべきポジションに戻った、誰もがその勝利を願う人の中の人。人間の本懐たりえるヒーローだと。
必要となれば、人は、ペン一本で、刺し、切り、罠を突破し、図を書き、そしてエンジンを爆発させることが出来る。 核戦争を阻止し、化け物どもを倒し、名前も知らぬ子供のために、走る事が出来るのだ。」
5. Posted by 坂上教諭 2007年02月05日 22:50
ペンにはペンの
木の枝には木の枝の戦い方があります。
本物のサムライとは、要するに目にうつる全ての物を武器にして戦う者ですよ。
木の枝には木の枝の戦い方があります。
本物のサムライとは、要するに目にうつる全ての物を武器にして戦う者ですよ。
6. Posted by もっこす 2007年02月09日 13:26
この女性には火の国の宝剣を授けないと。
てか猛獣に立ち向かって勝利するとかどこの勇次郎?
てか猛獣に立ち向かって勝利するとかどこの勇次郎?
7. Posted by describes it 2014年05月10日 19:17
e shisha なんでも評点:ライオンにペンで立ち向かい、見事勝利を収めた女性
8. Posted by this contact form 2014年05月11日 19:50
vaping liquid なんでも評点:ライオンにペンで立ち向かい、見事勝利を収めた女性