2006年10月04日
9月半ばにローマ教皇がイスラムの教えは“邪悪で残酷”だと発言したと報じられたことを受けて、イスラム諸国からの反発が巻き起こっている。一方、16世紀にローマ教皇庁から分離・独立した英国国教会は、英国女王がその長である。
このたびエリザベス2世は、ウィンザー城内に“異教徒”の礼拝所を設けることを許可した。本件は、9月30日にSun紙が伝えているのだが、その後、他のメディアが追従して報じるなどの反響は今のところ起きていないようなので、敢えて取り上げることにした。
ロンドン近郊のウィンザー市に所在するウィンザー城は、英国女王が主に週末を過ごす場所である。Wikipediaによると、同城は“現存する城で人が住むものとしては最大のもの”だという。
城のスタッフは、クリスチャンだけとは限らない。イスラム教徒やヒンズー教徒らも働いている。今回、ラマダン(断食月)を控えるイスラム教徒たちから礼拝の場所を城内に設けてほしいという願い出があった。
エリザベス2世はその願いを快諾し、城の1室を“モスク”として使用することを許可した。英国国教会の長を兼ねる英国女王がイスラム教徒の礼拝場所を城内に提供したのである。Sun紙は、本件を“歴史的な一歩”と讃えている。
ウィンザー城で働くイスラム教徒のパートタイム・スタッフ、ナジナ・チョードリーさん(19歳)はSun紙の取材を受けて、次のように話している。
「女王がここまで尽力してくださるなんて夢のようです。私や他のイスラム教徒のスタッフのために手を尽くしてくださり、祈りの部屋を設けてくださったのです。しかも、ご自分の住まわれる家の中にです。なんと、お優しいことか」
「女王は英国国教会の長であらせられます。その女王が他の信仰を持つ人々にも敬意を払ってくださったと思うと、感極まります」
礼拝所として使われるのは、ウィンザー城サクソン・タワー内の一室。以前は事務所として使われていた。城内のセント・ジョージズ・チャペルにほど近い位置にあるという。
ウィンザー城のスポークスマンは、このことを特に美化しようとしているようでもなく淡々と事情を述べている。「この城では、さまざまな信仰や背景を持つ人たちが働いています。自分たちの信仰のために何らかの施設を希望している人たちがいれば、その希望にそえるように努力することにしています」
ともあれ、これがローマ法王の発言をめぐる最近のごたごたを意識しての計らいであったかどうかは、定かではない。スポークスマンが淡々と話したように、いつもどおりのことをしたに過ぎないのかもしれないが、一陣の涼風を感じさせられるような気がしないでもない。
公平な姿勢を示したことだけは確かだろう。
自分たちと信念や信仰やイデオロギーが異なる者を淡々と受け入れる姿勢があれば回避できる衝突もあろうかと思う。その逆に無防備になりすぎて痛い目に遭い、悪循環が生まれることも多い。
■ Source: http://www.thesun.co.uk/article/0,,2-2006450503,00.html
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城のスタッフは、クリスチャンだけとは限らない。イスラム教徒やヒンズー教徒らも働いている。今回、ラマダン(断食月)を控えるイスラム教徒たちから礼拝の場所を城内に設けてほしいという願い出があった。
エリザベス2世はその願いを快諾し、城の1室を“モスク”として使用することを許可した。英国国教会の長を兼ねる英国女王がイスラム教徒の礼拝場所を城内に提供したのである。Sun紙は、本件を“歴史的な一歩”と讃えている。
ウィンザー城で働くイスラム教徒のパートタイム・スタッフ、ナジナ・チョードリーさん(19歳)はSun紙の取材を受けて、次のように話している。
「女王がここまで尽力してくださるなんて夢のようです。私や他のイスラム教徒のスタッフのために手を尽くしてくださり、祈りの部屋を設けてくださったのです。しかも、ご自分の住まわれる家の中にです。なんと、お優しいことか」
「女王は英国国教会の長であらせられます。その女王が他の信仰を持つ人々にも敬意を払ってくださったと思うと、感極まります」
礼拝所として使われるのは、ウィンザー城サクソン・タワー内の一室。以前は事務所として使われていた。城内のセント・ジョージズ・チャペルにほど近い位置にあるという。
ウィンザー城のスポークスマンは、このことを特に美化しようとしているようでもなく淡々と事情を述べている。「この城では、さまざまな信仰や背景を持つ人たちが働いています。自分たちの信仰のために何らかの施設を希望している人たちがいれば、その希望にそえるように努力することにしています」
ともあれ、これがローマ法王の発言をめぐる最近のごたごたを意識しての計らいであったかどうかは、定かではない。スポークスマンが淡々と話したように、いつもどおりのことをしたに過ぎないのかもしれないが、一陣の涼風を感じさせられるような気がしないでもない。
公平な姿勢を示したことだけは確かだろう。
公平さ10 | ■■■■■■■■■■ |
自分たちと信念や信仰やイデオロギーが異なる者を淡々と受け入れる姿勢があれば回避できる衝突もあろうかと思う。その逆に無防備になりすぎて痛い目に遭い、悪循環が生まれることも多い。
■ Source: http://www.thesun.co.uk/article/0,,2-2006450503,00.html
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