2006年07月17日
英国ダラム州シーハムで建築資材販売業を営むデビッド・スミスという男性の自宅裏の土地には、たくさんの犬が埋まっている。過去15年間で彼が埋めた犬の数は、通算1万頭を下らない。
彼が犬を埋めている土地は、1エーカー(約1,224坪)の面積がある。一方の端から反対側へと順に犬を埋めていくのだが、3年で埋め場所を使い尽くしてしまう。埋める場所がなくなったら、再びスタート地点から地面を掘って、犬を埋めていく。このサイクルを15年間で5回繰り返したことになる。
3年経過してから地面を掘り起こしたときには、前に埋めた犬の死体が完全に分解していて、骨が残っているだけだという。こうして、スミス氏は15年間で1万頭もの犬を自宅裏の土地に葬ったわけである。
スミス氏は、慈善事業として犬の亡骸を引き取って埋葬しているわけではない。これは彼の副業ビジネスである。彼が引き取っているのは、死んだ犬ではなく生きた犬である。しかも、犬種はグレーハウンドただ1種。
英国では、ドッグレースが盛んに行なわれている。ドッグレースの賭け金の総額は、英国全土で年間25億ポンド(日本円で5300億円ほど)に達している。そして、競走馬がすべてサラブレッドであるように、競走犬はすべてグレーハウンドである。
スミス氏のもとに送られてくるグレーハウンドは、おしなべて健康な犬であり、その多くは生後数年の若い犬。だが、トレーナーたちに“役立たずの烙印”を押された犬たちなのだ。レースに勝って賞金を手にしなければ成立しないビジネスにとって、速く走ることができない犬は、どんなに健康であろうと、役立たずということになってしまうらしい。
スミス氏は、ボルトガンと呼ばれる動物処分用の道具を使ってグレーハウンドたちの命を奪い続けてきた。1頭あたりの処分料金は、10ポンド(日本円でおよそ2100円)だという。
あるトレーナーは、次のように証言している。「スミス氏は、政府の認可を受けている40名のトレーナーから犬を引き取って処分しています。彼の土地には、少なくとも1万頭の犬が埋まっています。この業界の人たちは、もう何年も前からスミス氏を頼ってきました。この業界の有力者の多くは、スミス氏のところで何が行なわれているかを知っていますよ」
本件は、The Sunday Timesの潜入レポートにより、一大スキャンダルとして白日の下にさらされた。政府関係者とドッグレース業界関係者を震撼させている。
動物福祉担当相のベン・ブラッドショウ氏は、スミス氏のビジネスを“身の毛もよだつ”と形容し、その犯罪性および健康/環境に危険を及ぼす可能性について調査を開始すると発表した。とりわけ、1万頭もの犬を同じ土地に繰り返し埋葬していたことから、環境汚染や疫病発生の危険が懸念されている。
ドッグレース振興団体National Greyhound Racing Club(RSPCA)の最高責任者も、スミス氏のビジネスを“安楽死工場”と形容し、調査を開始すると発表した。「まことに遺憾なことです。このような行いは、決して許されることではありません」
RSPCAでは、本件が明るみになる前から、毎年1万2千頭ものグレーハウンドがレースから引退した後、行方不明になっていることに関して“重大な懸念”をあらわにしてきた。スポークスマンが次のように語っている。「速く走ることができなくなったからと言ってグレーハウンドたちの命を奪うことが正当化されるはずはありません」。
英国では、1997年以来、動物処分用のボルトガンを免許なしで所有することが許されている。ただし、動物を“無慈悲”に処分したり、飼い主の許可なく処分した場合は、起訴されることがある。
当のスミス氏は、今後はこのビジネスから手を引くと話している。さらに、これまで犬たちを処分してきたのは、あくまで“humane reasons”によるものだと弁明している。ここで、“humane reasons”は、非常に含みの多い表現。「動物愛護に則った理由」と表現するのが妥当なところだが、なんせスミス氏が言い逃れようとして発した言葉である。
百歩譲って解釈すれば、「トレーナーたちに“役立たず”と見なされた犬たちは、どうせ粗末な扱いしか受けない。だから、安楽死させてやる方が動物愛護精神に則っている」ということになるのかもしれないが、むろんそれは詭弁というものだろう。
スミス氏に犬の処分をまかせていたトレーナーたちは、レースに勝って賞金を得るという競争原理だけに突き動かされて犬たちを育ててきたということになるのかもしれない。そうであれば、スミス氏が処分の理由として動物愛護の精神を云々するなど、“何を今さら”な話である。
本件は、人間社会の映し鏡的な面もあるだろう。企業内で無駄な人員が省かれていくことはもとより、自分の身内や、自分がこれまで親しくしていた誰かがいつしか“役立たず”になったり、邪魔になったりしたときに、その相手を何らかの方法で“処分”しようと考え、それを実行に移す人がいたりする。
■ Source: http://www.timesonline.co.uk/article/
0,,2087-2272175,00.html
【関連記事】
3年経過してから地面を掘り起こしたときには、前に埋めた犬の死体が完全に分解していて、骨が残っているだけだという。こうして、スミス氏は15年間で1万頭もの犬を自宅裏の土地に葬ったわけである。
スミス氏は、慈善事業として犬の亡骸を引き取って埋葬しているわけではない。これは彼の副業ビジネスである。彼が引き取っているのは、死んだ犬ではなく生きた犬である。しかも、犬種はグレーハウンドただ1種。
英国では、ドッグレースが盛んに行なわれている。ドッグレースの賭け金の総額は、英国全土で年間25億ポンド(日本円で5300億円ほど)に達している。そして、競走馬がすべてサラブレッドであるように、競走犬はすべてグレーハウンドである。
スミス氏のもとに送られてくるグレーハウンドは、おしなべて健康な犬であり、その多くは生後数年の若い犬。だが、トレーナーたちに“役立たずの烙印”を押された犬たちなのだ。レースに勝って賞金を手にしなければ成立しないビジネスにとって、速く走ることができない犬は、どんなに健康であろうと、役立たずということになってしまうらしい。
スミス氏は、ボルトガンと呼ばれる動物処分用の道具を使ってグレーハウンドたちの命を奪い続けてきた。1頭あたりの処分料金は、10ポンド(日本円でおよそ2100円)だという。
あるトレーナーは、次のように証言している。「スミス氏は、政府の認可を受けている40名のトレーナーから犬を引き取って処分しています。彼の土地には、少なくとも1万頭の犬が埋まっています。この業界の人たちは、もう何年も前からスミス氏を頼ってきました。この業界の有力者の多くは、スミス氏のところで何が行なわれているかを知っていますよ」
本件は、The Sunday Timesの潜入レポートにより、一大スキャンダルとして白日の下にさらされた。政府関係者とドッグレース業界関係者を震撼させている。
動物福祉担当相のベン・ブラッドショウ氏は、スミス氏のビジネスを“身の毛もよだつ”と形容し、その犯罪性および健康/環境に危険を及ぼす可能性について調査を開始すると発表した。とりわけ、1万頭もの犬を同じ土地に繰り返し埋葬していたことから、環境汚染や疫病発生の危険が懸念されている。
ドッグレース振興団体National Greyhound Racing Club(RSPCA)の最高責任者も、スミス氏のビジネスを“安楽死工場”と形容し、調査を開始すると発表した。「まことに遺憾なことです。このような行いは、決して許されることではありません」
RSPCAでは、本件が明るみになる前から、毎年1万2千頭ものグレーハウンドがレースから引退した後、行方不明になっていることに関して“重大な懸念”をあらわにしてきた。スポークスマンが次のように語っている。「速く走ることができなくなったからと言ってグレーハウンドたちの命を奪うことが正当化されるはずはありません」。
英国では、1997年以来、動物処分用のボルトガンを免許なしで所有することが許されている。ただし、動物を“無慈悲”に処分したり、飼い主の許可なく処分した場合は、起訴されることがある。
当のスミス氏は、今後はこのビジネスから手を引くと話している。さらに、これまで犬たちを処分してきたのは、あくまで“humane reasons”によるものだと弁明している。ここで、“humane reasons”は、非常に含みの多い表現。「動物愛護に則った理由」と表現するのが妥当なところだが、なんせスミス氏が言い逃れようとして発した言葉である。
百歩譲って解釈すれば、「トレーナーたちに“役立たず”と見なされた犬たちは、どうせ粗末な扱いしか受けない。だから、安楽死させてやる方が動物愛護精神に則っている」ということになるのかもしれないが、むろんそれは詭弁というものだろう。
スミス氏に犬の処分をまかせていたトレーナーたちは、レースに勝って賞金を得るという競争原理だけに突き動かされて犬たちを育ててきたということになるのかもしれない。そうであれば、スミス氏が処分の理由として動物愛護の精神を云々するなど、“何を今さら”な話である。
| 何を今さら度9 | ■■■■■■■■■□ |
本件は、人間社会の映し鏡的な面もあるだろう。企業内で無駄な人員が省かれていくことはもとより、自分の身内や、自分がこれまで親しくしていた誰かがいつしか“役立たず”になったり、邪魔になったりしたときに、その相手を何らかの方法で“処分”しようと考え、それを実行に移す人がいたりする。
■ Source: http://www.timesonline.co.uk/article/
0,,2087-2272175,00.html
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この記事へのコメント
1. Posted by 2006年07月21日 13:02
韓国では一年間で少なくとも260万以上の犬が食べられている
そう考えると15年間で1万というのも少なく感じる
そう考えると15年間で1万というのも少なく感じる
2. Posted by 2006年07月24日 14:13
仕方のないことだと思うね。
走れなくなった馬は缶詰になる。
それと同じでしょ。
韓国に売れば良かったんだ。
走れなくなった馬は缶詰になる。
それと同じでしょ。
韓国に売れば良かったんだ。
