クラウドソーシング「ランサーズ」 なんでも評点:イラクの9歳少女、生まれつき1つしかない排泄口を3つに分離するために渡米

2005年12月29日

イラクの9歳少女、生まれつき1つしかない排泄口を3つに分離するために渡米


今年の5月のこと、在イラク米軍のキム・ディーズ中佐がイラク国内の病院で9歳の少女ハジェール・サラム・ヨンシフちゃんと面会した。彼女は、まれで、かつ深刻な先天異常を持っている。このままでは、普通の女性としての人生を送れなくなる。
そこでディーズ中佐は、なんとかハジェールちゃんに米国で手術を受けさせてあげようと各方面に働きかけた。中佐の出身地イーストテネシー州ノックスビルの医師たちとイスラムコミュニティが救いの手を差し伸べてくれた。

まもなく、ハジェールちゃんはイラクから米国イーストテネシーに送られてくる。ノックスビルのイーストテネシー小児病院で、ハジェールちゃんを受け入れて手術を行う準備が進められている。

魚類、両生類、鳥類、爬虫類(および一部の哺乳類)には、総排泄腔と呼ばれる器官がある。尿、便、卵がすべて同じ穴から出てくる。人間の胎児は、母胎の中で魚類や両生類のような姿を経て発達していく。その過程で、総排泄腔が尿道(膀胱)、直腸、(および女子の場合は膣)に分化していく。

しかし、何らかの理由で総排泄腔から個々の器官への分化が起こらずに生まれてくる女の赤ちゃんもいる。このような先天異常は、“総排泄腔遺残(persistent cloaca)”と呼ばれる。ハジェールちゃんも、この先天異常を持って生まれた。

eMedicineサイトの「Cloacal Malformations」ページ(リンクは本稿末尾)には、“総排泄腔遺残(persistent cloaca)”に関して以下のような概要説明がある。

  • 総排泄腔遺残とは、直腸、膣、および尿道が1つの共通した腔に合流している先天異常の総称。実際には、さまざまなバリエーションがある。

  • 総排泄腔遺残の発生率は、生児出生2万件につき1件。女児にのみ起こる奇形である。

  • 排便制御機能、排尿制御機能、性機能を確保することを目的として治療・手術が行われる。この3つの機能をすべて実現できる場合もあれば、一部しか実現できない場合や、1つも実現できない場合もある。(手術は何回にも分けて行われ、膣形成については患者がある程度成長してから行われることが多いようである)。


イーストテネシー小児病院のアレフレッド・ケネディ医師は、ハジェールちゃんが抱えている先天異常をこう説明している。「彼女の直腸、膣、および膀胱は1つに合流しています。総排泄腔遺残と呼ばれる奇形です。これらの器官を分離して、女性として正常な解剖学的構造に直す必要があります」

さらに、ケネディ医師は、こう付け加えている。「通常、総排泄腔遺残の手術は患者が乳児のうちに行われます。しかし、ハジェールちゃんは既に9歳という年齢に達しています。手術が多少難しくなるかもしれませんね」

ケネディ医師のほか、イーストテネシー小児病院の小児外科グループに所属しているアラン・アンダーソン医師と、シンシナティの病院から参加する外科医がチームを組んで、ハジェールちゃんの手術に当たる。

ハジェールちゃんをイラクからイーストテネシーに移送するコストは、米軍が負担することになっている。さらに、地元での滞在に伴う費用やケアなどに関しては、ノックスビルのイスラムコミュニティを通じて地元の有志が負担・提供する。そして、手術と治療は、一切無料で行われることになる。つまり、すべてが善意でまかなわれるというわけである。

ケネディ医師は言う。「米国が救おうとしている国、イラクに不幸な少女がいる。私たちがその少女を助けることができるとしたら素晴らしいことだと思います」

小児外科グループのケルビン・タウンゼンドさんも、こう話している。「病院の外科医たちは、自分たちが力になれるんだと思って、とても気持ちが高揚しています。われわれがイラクとイラク国民に対して行っていることに、一筋の明るい光が射し込むんじゃないかと」

本件、さすがに評点を付けにくい話題である。手術が成功し、3つの機能すべてが実現されることを心から祈りたい。

ただまあ、大勢の罪のない人たちが命を奪われたイラク侵攻の惨状を考えれば、今さら“一筋の光”でもない気がする。個人レベルの善意を否定するつもりは毛頭ないので、あくまで低く評点しておくが。

何を今さら度3■■■□□□□□□□





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