2005年12月08日
英国ノーサンプトンで、12月6日、ある夫婦が離婚したかと思うと、その30分後に“再婚”して元の鞘に収まった。やっぱり気が変わって離婚を撤回した・・・のではない。
この一見不可解な行動に出たのは、バーナード・ロジャーズさんとジョイス・ロジャーズさんの2人。ただし、“再婚”後、夫のバーナードさん(76歳)の名前はバーナデットという女性名に改名されており、戸籍上も女性に変更されている。
ご存知の人が多いと思うが、英国では12月5日から事実上の同性婚を認めるシビル・パートナーシップ法が施行された。同法では、同性婚カップルに異性婚夫婦と同様の財産権や相続権を与える。年金、出入国、税制上の優遇措置においても同様の権利が付与される。
ただ、ロジャーズ夫妻(現在はロジャーズ妻妻)には、もう1つの複雑な事情があった。“旧夫”のバーナードさんは、放送技術に詳しい物理学者で、サッチャー政府の科学アドバイザーを務めていたほどの人物。
だが彼は、5歳のときからからずーっと女性になりたいと思っていた。両親も彼の様子がおかしいことに気づき医師に診せた。すると医師は、こう忠告した。「彼の男性らしさを引き出すようにしてあげてください。さもないと、彼は将来、同性愛者になってしまうでしょう」
しかし、女性になりたいという願望が消えることはなかった。なのに、ジョイスさんという女性と結婚したのは不思議に思えるかもしれないが、もともとジョイスさんは彼の親友の奥さんだった。だが、ジョイスさんと二人の子供を残して、その親友が他界してしまった。そこで、バーナードさんが彼女に結婚を申し出たのだった。1960年代のことである。
1991年、バーナードさんはついに性転換手術を受けた。だが、その時点では戸籍上の性別を女性に変更していない。まだ、法的に同性婚が認められていなかったため、性別を変えるとジョイスさんとの婚姻関係を維持できなかったからである。性転換後は、誰が見ても仲のよい姉妹のように見えた。
そして12月5日にシビル・パートナーシップ法が施行された。バーナードさんは戸籍上の性を女性に変更しても、ジョイスさんとの婚姻関係を続けていくことができるようになった。「私は、この日が来るのを71年間も待ち続けていたのです」とバーナードさん(現バーナデットさん)は話している。
ただし、シビル・パートナーシップ法では、ロジャーズ夫妻のように夫婦の一方が法施行前に性転換していたケースまで想定していないらしく、通常の異性婚からシームレスに同性婚に移行することはできない。いったん離婚する必要があった。
30分というのは、バーナードさんの戸籍が変更されるまでに要した時間だった。戸籍が女性に変更されると、すぐにシビル・パートナーシップとしての入籍を行い、二人は再び婚姻関係に戻ったわけである。
ともあれ、バーナードさん(現バーナデットさん)は、自分の中身は女性なのに外見は男性であるという“はがゆさ”に苛まれながら生きてきたのだろう。その“はがゆさ”の半分は1991年に性転換手術を受けたことで解消されたかもしれない。だが、戸籍上の性別を変えたくても変えられないことで、また別の“はがゆさ”を味わってきたことだろう。でも、もうはがゆい思いはしなくてよくなった。
なお、本稿では“再婚”や“婚姻”などという言葉を使ったが、シビル・パートナーシップ(civil partnership)は厳密には結婚(marriage)とは別の制度である。したがって極めて厳密に言えば、上記の二人は離婚した後、シビル・パートナーシップ契約を結んだということになる。異性と婚姻関係を維持しながら、別の同性とシビル・パートナーシップを結ぶことはできない模様。
■ Source: The Sun Online - Husband is a new wife
(夫妻もとい“妻妻”の写真あり。どちらがバーナデットさんか一目では判別できないだろう)。
【関連記事】
ご存知の人が多いと思うが、英国では12月5日から事実上の同性婚を認めるシビル・パートナーシップ法が施行された。同法では、同性婚カップルに異性婚夫婦と同様の財産権や相続権を与える。年金、出入国、税制上の優遇措置においても同様の権利が付与される。
ただ、ロジャーズ夫妻(現在はロジャーズ妻妻)には、もう1つの複雑な事情があった。“旧夫”のバーナードさんは、放送技術に詳しい物理学者で、サッチャー政府の科学アドバイザーを務めていたほどの人物。
だが彼は、5歳のときからからずーっと女性になりたいと思っていた。両親も彼の様子がおかしいことに気づき医師に診せた。すると医師は、こう忠告した。「彼の男性らしさを引き出すようにしてあげてください。さもないと、彼は将来、同性愛者になってしまうでしょう」
しかし、女性になりたいという願望が消えることはなかった。なのに、ジョイスさんという女性と結婚したのは不思議に思えるかもしれないが、もともとジョイスさんは彼の親友の奥さんだった。だが、ジョイスさんと二人の子供を残して、その親友が他界してしまった。そこで、バーナードさんが彼女に結婚を申し出たのだった。1960年代のことである。
1991年、バーナードさんはついに性転換手術を受けた。だが、その時点では戸籍上の性別を女性に変更していない。まだ、法的に同性婚が認められていなかったため、性別を変えるとジョイスさんとの婚姻関係を維持できなかったからである。性転換後は、誰が見ても仲のよい姉妹のように見えた。
そして12月5日にシビル・パートナーシップ法が施行された。バーナードさんは戸籍上の性を女性に変更しても、ジョイスさんとの婚姻関係を続けていくことができるようになった。「私は、この日が来るのを71年間も待ち続けていたのです」とバーナードさん(現バーナデットさん)は話している。
ただし、シビル・パートナーシップ法では、ロジャーズ夫妻のように夫婦の一方が法施行前に性転換していたケースまで想定していないらしく、通常の異性婚からシームレスに同性婚に移行することはできない。いったん離婚する必要があった。
30分というのは、バーナードさんの戸籍が変更されるまでに要した時間だった。戸籍が女性に変更されると、すぐにシビル・パートナーシップとしての入籍を行い、二人は再び婚姻関係に戻ったわけである。
ともあれ、バーナードさん(現バーナデットさん)は、自分の中身は女性なのに外見は男性であるという“はがゆさ”に苛まれながら生きてきたのだろう。その“はがゆさ”の半分は1991年に性転換手術を受けたことで解消されたかもしれない。だが、戸籍上の性別を変えたくても変えられないことで、また別の“はがゆさ”を味わってきたことだろう。でも、もうはがゆい思いはしなくてよくなった。
はがゆさ0 | □□□□□□□□□□ |
なお、本稿では“再婚”や“婚姻”などという言葉を使ったが、シビル・パートナーシップ(civil partnership)は厳密には結婚(marriage)とは別の制度である。したがって極めて厳密に言えば、上記の二人は離婚した後、シビル・パートナーシップ契約を結んだということになる。異性と婚姻関係を維持しながら、別の同性とシビル・パートナーシップを結ぶことはできない模様。
■ Source: The Sun Online - Husband is a new wife
(夫妻もとい“妻妻”の写真あり。どちらがバーナデットさんか一目では判別できないだろう)。
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1. [話題]夫婦が離婚のわずか30分後に“電撃再婚”した理由(夫婦→婦婦) @ なんでも評点 [ 見てないようで見てる ] 2005年12月08日 16:58
読めば分かる、その真相! 離婚した途端に気が変わって、寄りを戻した訳じゃないのであしからず。
2. シビル・パートナーシップ法 [ 日々主 ] 2005年12月09日 22:15
さすが英国ですね。
こんな法律を作れるのがすごいと思う。
日本じゃ絶対可決されないきがする。
そこでこんなニュース
夫婦が離婚のわずか30分後に“電撃再婚”した理由
やりたいことがやれる。
法律が出来たことによって出来るようになる。
このシビル・パート...
この記事へのコメント
1. Posted by 匿名希望 2005年12月09日 10:19
うちの両親も、離婚後一瞬で再婚したよ。
性じゃなしに、姓を変えるためにね。
でも子供が姓を親と同じにするまでには、えらく時間がかかったよ。
性じゃなしに、姓を変えるためにね。
でも子供が姓を親と同じにするまでには、えらく時間がかかったよ。
3. Posted by 必死… 2007年04月14日 14:55
バーナードさんは「性同一性障害」だったんでしょうか?
日本でも少しずつ認知されて来ているようですね。
※ドラマなどの設定に使用される事もあるようです
日本でも少しずつ認知されて来ているようですね。
※ドラマなどの設定に使用される事もあるようです
4. Posted by dig this 2014年05月12日 06:21
e shisha なんでも評点:夫婦が離婚のわずか30分後に“電撃再婚”した理由(夫婦→婦婦)