2005年10月04日
日本では、今、第二次だか第三次だかの“お笑いブーム”の真っ最中だ。笑いが健康に良いという話もよく聞く。時代が笑いを求めているのかもしれない。
ロシアのPraudaサイトに「笑いの方程式」と題する記事が掲載されている(リンクは記事末尾に示す)。この方程式を編み出したのは、ロシア系米国人物理学者のイーゴリ・クリシュタフォビッチ博士。
クリシュタフォビッチ博士は先日、モスクワを訪れて講演の壇上から次のようなことを話した。
ロシアのPraudaサイトに「笑いの方程式」と題する記事が掲載されている(リンクは記事末尾に示す)。この方程式を編み出したのは、ロシア系米国人物理学者のイーゴリ・クリシュタフォビッチ博士。
クリシュタフォビッチ博士は先日、モスクワを訪れて講演の壇上から次のようなことを話した。
- 笑いは一種の武器であり、ユーモアには常に攻撃性が秘められている。
- 人は何のためにジョークを飛ばすのか? 自分のスタータスを高め、相手より優位に立つことがジョークの真の狙いである。ジョークは、言葉だけで仕掛けらる一種の攻撃である。
- 親しい間柄で交わされる冗談にしても、一種の知的な衝突をはらんでいる。真剣に言い争う前のトレーニングだったりもする。家族をからかう場合も、誰が家族のボスかを確かめる意味があったりする。
- 皆を笑わせることが出来れば、この戦いに勝利したことになる。可笑しいジョークを飛ばした本人が一番大笑いすることが多いのは、勝利の快感に浸っているからである。
- 人を笑わせるのが得意な男性は、女性に好まれやすい。ユーモアのセンスがある男は利口だからだ。利口な男ほど生き延びて子孫を残すことができる。人類はそういうふうに知性を最大の基盤として進化してきた。
無意識レベルに限定して言えば、女性は、どんなに筋肉を鍛え上げた男性よりも、ユーモアのセンスのある男性に惹かれる。ユーモアのセンスは、男性としての優秀さを意味するのである。
クリシュタフォビッチ博士によれば、人類の祖先がサルから枝分かれしたばかりのころに、既にもう原初的なユーモアが芽生えていた。最初は、ごく反射的な反応だったかもしれないが、現人類へと進化し数千年の歴史を経る中で、ユーモアは洗練されると同時に複雑化してきた。
今日では、ジョークやギャグに対する評価も厳しく“寒い”という言葉で却下されることも多い。笑いを取るのもなかなか難しいのが現状である。しかし、クリシュタフォビッチ博士が編み出した“笑いの方程式”が威力を発揮するかもしれない。
自分が思い付いたジョークを前もって方程式にかけて評価することもできるそうだ。
「この方程式は、もともとコメディアン、風刺作家、政治家向けに開発したものです。政治家の場合、気の利いたジョークを飛ばせば票を稼げたりもしますからね。この方程式で特に注意しなければならないのは、“聴衆のムード”と“ジョークの複雑性”の2点です」
HE = PI x C/T + BM |
ここで、各パラメータの意味は以下のとおりである。
- PI : 個人的な関与。
【注】ちょっと分かりにくいのだが、おそらく、ジョークの内容がジョークの聞き手にどれだけ関係があるかを示すパラーメータだと思う。
- C : ジョークの複雑性。聴衆が1、2秒で理解できるのであれば、複雑なジョークほどウケるジョークということになる。
- T : 聞き手がジョークを理解するまでに要する時間。この時間が長すぎると、笑いを取りにくくなる。
- BM : 聴衆のムード。たとえば、お笑い芸人の場合なら、観客がショーを楽しんでいれば、それだけ笑いを取りやすくなる。しかし、本当にウケるジョークは、その場で最も白けている観客さえをも爆笑させてしまう。
- HE : ジョークのウケ度
日本のお笑い芸人を見ると、“ヒロシ”の芸風など、上の式に当てはまりにくいように思う人がいるかもしれない。だが、ちょっと分析してみると、かなり該当する要素がある。
まず、ヒロシは短歌のようにごく短いセリフを言うだけである。いろんな言葉が省略されている。これが適度な“複雑性”(パラメータC)を生み出している。
ネタとネタの“間”にも大いに意味がある。1つのネタを観客が理解するまでの所要時間(パラメータT)をそこで消化しているのだ。
扱うネタは、聞き手が身近に感じるものが多い。決して現実からかけ離れたネタは扱っていない。これが“個人的な関与”(パラメータPI)を高めている。
さらにテレビで売れ出すと、「ヒロシは、また情けないネタで笑わせてくれるに違いない」という期待が高まる。つまり“聴衆のムード”(パラメータBM)が笑いに拍車をかける。
ついでに言えば、ヒロシは自嘲的なネタで笑いを取れば取るほど、実は勝者の道を突き進んでいるということになる。クリシュタフォビッチ博士の説のとおり、笑わせた者が勝者であれば・・・の話だが。
ともあれ、上の方程式の“ありえる度”は、けっこう高いと思う。別にお笑い芸人でなくても放送作家でなくても、日常生活に役立つかもしれない。
ありえる8 | ■■■■■■■■□□ |
ただし、「自分が思い付いたジョークを前もって方程式にかけて評価する」のはどうかと思う。だいいち、この方程式、パラメータに入れる数値の測定方法が一切示されていない。独りよがりなオヤジギャグを考える人の場合、パラメータの値も自分に都合のよいふうにしか見積もれないはずだ。
そうそう、物理学者であるはずのクリシュタフォビッチ博士がなんで笑いの研究をしているのか、いぶかしく思う向きもあるだろう。筆者にもよくわからないが、世界的傾向として、物理学者はいろんな方面に興味と研究の対象を広げているようだ。その最たる人は、デビッド・ボーム博士
■Source: Physicist discovers a formula of laughter - PRAVDA.Ru
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1. 笑いの方程式:HE = PI x C/T + BM [ 話の種(´━`) ] 2005年10月05日 00:33
笑いの方程式:HE = PI x C/T + BM
2. 笑いの方程式 [ えせ算数屋のブログ ] 2005年10月06日 01:26
別に暇なわけではありませんが,日課のネットサーフィンをしていて,面白い記事を発見したので紹介します。(算数とは全く関係ないんですけどね…)
私がチョクチョク見ている『なんでも評点』というブログの記事なんですけど,
笑いの方程式:HE = PI x C/T + BM
....
3. 面白いブログの書き方 [ FIFTH EDITION ] 2005年10月06日 05:57
松岡さんが、面白い話してるんで便乗。 いつも他人の尻馬乗りばかりですいません。 【へっぽこ文章講座】わざと説明しないことのかっこよさ 松岡さんのは文章の話とかなんだけど 僕のは、エンタメ法則にのっとた奴ね。 当たり前に聞こえて当然の話なのでそこは ご容赦....