2005年02月21日
米国ユタ州、ネボ山頂上付近の尾根から、登山パーティの1人、マーク・トーマスさんが雪の斜面を約300メートル滑落した。筆者も大学時代は山登りに明け暮れる日々を送っていたのでわかるが、300メートルも滑落して無事で済むとは思えない。斜面の途中に露出している岩場に打ち付けられたら一貫の終わりだし、滑落速度が増すと雪自体がコンクリートのように固くなる。
しかも、トーマスさんが滑落することにより、斜面に雪崩が生じたという。好天候だったとしても、尾根から見ている同行者たちには、雪煙が見えるだけでトーマスさんの姿は確認できなかったはずだ。
同行者たちは、滑落したトーマスさんの無事を祈りながらも、最悪の事態を覚悟したことだろう。彼らはもちろん、すぐに助けを呼びに行った。
しかも、トーマスさんが滑落することにより、斜面に雪崩が生じたという。好天候だったとしても、尾根から見ている同行者たちには、雪煙が見えるだけでトーマスさんの姿は確認できなかったはずだ。
同行者たちは、滑落したトーマスさんの無事を祈りながらも、最悪の事態を覚悟したことだろう。彼らはもちろん、すぐに助けを呼びに行った。
だが滑落したトーマスさん(21歳)は、背中に軽い傷、足に軽い凍傷を負っただけで助かった。救助隊が現場に駆けつけたときには、自力で雪から脱出していた。悠々と斜面を登ってくるトーマスさんを見つけたという。救助隊はさぞかし驚いたことだろう。仲間たちは驚きながらも、心底胸を撫で下ろしたことだろう。
トーマスさんの言によれば、滝のように流れる雪の表層に自分のかかとを乗せた状態で、斜面を下り降りたらしい。最後には谷底付近で雪に下半身が埋もれるように止まった。
おそらく、固い雪の斜面の上に柔らかい雪が積もっていたため表層雪崩が発生し、その上を上手く滑り降りたのではないかと思う。主に夏場などに、固まった雪渓の上をかかとで滑り降りるテクニックがある(写真左)。このテクニックは“グリセイド”(正確にはstanding glissade)と呼ばれる。ピッケルと両足のかかとの三点でバランスを取る。(お尻で滑るグリセイドや短いスキーを使うグリセイドもあるが)。
どれくらいの標高かは不明だが冬場に尾根道を歩いていたくらいだから、トーマスさん一行もピッケルくらいは携行していたはずだ。たぶん、とっさにスタンディング・グリセイドの体勢を取って危機を乗り越えたのではないかと思う。
ところで、筆者は社会人になってから山らしい山に登っていない。学生のころは時間に余裕もあったが、社会人はどうしても日程的に無理を強いられたりする。その辺が、個人的にキツイなあと思っただけのことなのだが。
【追記】
上記は拡大解釈しすぎで、実は単に足から先に尻餅ついた形で滑っただけのことかもしれない。しかし、それだと雪崩に呑まれなかったことを説明しにくい。垂直方向の頭の位置が問題なのだ。
この表層雪崩は浅いものだったと思われるが、斜面に平行な姿勢で滑っていったとすると、雪の中に呑まれてしまうはずだ。しかし、スタンディング・グリセードに近い姿勢であり頭の位置が高かったとすると、かかとは雪崩の下の固い雪に接したまま、頭は空中に出て、雪に飲まれずに滑り降りていくことが可能なのではないかと思う。
実際、筆者もごく小規模な表層雪崩に遭ったことがあるので、その経験に基づく推理である。経験豊富なスキーヤーの人も、同じように推理するのではないかと思うがどうだろうか。
■ Source: Yahoo! News - Man Rides Avalanche Feet-First in Utah
意外性9 | ■■■■■■■■■□ |

おそらく、固い雪の斜面の上に柔らかい雪が積もっていたため表層雪崩が発生し、その上を上手く滑り降りたのではないかと思う。主に夏場などに、固まった雪渓の上をかかとで滑り降りるテクニックがある(写真左)。このテクニックは“グリセイド”(正確にはstanding glissade)と呼ばれる。ピッケルと両足のかかとの三点でバランスを取る。(お尻で滑るグリセイドや短いスキーを使うグリセイドもあるが)。
どれくらいの標高かは不明だが冬場に尾根道を歩いていたくらいだから、トーマスさん一行もピッケルくらいは携行していたはずだ。たぶん、とっさにスタンディング・グリセイドの体勢を取って危機を乗り越えたのではないかと思う。
ところで、筆者は社会人になってから山らしい山に登っていない。学生のころは時間に余裕もあったが、社会人はどうしても日程的に無理を強いられたりする。その辺が、個人的にキツイなあと思っただけのことなのだが。
【追記】
上記は拡大解釈しすぎで、実は単に足から先に尻餅ついた形で滑っただけのことかもしれない。しかし、それだと雪崩に呑まれなかったことを説明しにくい。垂直方向の頭の位置が問題なのだ。
この表層雪崩は浅いものだったと思われるが、斜面に平行な姿勢で滑っていったとすると、雪の中に呑まれてしまうはずだ。しかし、スタンディング・グリセードに近い姿勢であり頭の位置が高かったとすると、かかとは雪崩の下の固い雪に接したまま、頭は空中に出て、雪に飲まれずに滑り降りていくことが可能なのではないかと思う。
実際、筆者もごく小規模な表層雪崩に遭ったことがあるので、その経験に基づく推理である。経験豊富なスキーヤーの人も、同じように推理するのではないかと思うがどうだろうか。
■ Source: Yahoo! News - Man Rides Avalanche Feet-First in Utah
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