2005年02月16日
二人はたった2日間だけ恋をした。60年も前のことである。60年前のたった2日間の恋のことを二人が忘れることはなかった。
二次大戦が終局を迎えようとしていた1945年、リチャード・ターナーさんは、当時ミズーリ大学の学生だったが、アイオワ州エームズに移って行ったガールフレンドを訪ねてエームズに旅行した。エームズに到着したターナーさんは、そのガールフレンドには会えず、代わりにアネットという女の子と偶然知り合いになった。
おそらく互いに一目ぼれというやつだったのだろう。出会ったばかりのターナーさんをアネットさんが自分の家に招待し、両親に会わせたほどだった。しかし、ターナーさんがエームズに滞在したのは2日間だけである。
二次大戦が終局を迎えようとしていた1945年、リチャード・ターナーさんは、当時ミズーリ大学の学生だったが、アイオワ州エームズに移って行ったガールフレンドを訪ねてエームズに旅行した。エームズに到着したターナーさんは、そのガールフレンドには会えず、代わりにアネットという女の子と偶然知り合いになった。
おそらく互いに一目ぼれというやつだったのだろう。出会ったばかりのターナーさんをアネットさんが自分の家に招待し、両親に会わせたほどだった。しかし、ターナーさんがエームズに滞在したのは2日間だけである。
その後二人はしばらくの間、手紙を交わしていたが、ターナーさんは陸軍に招集されてしまった。二次大戦が終わりを迎えようとしていた時期のことなので、兵役に就いたのはごく短期間だったようだが、二人は互いに連絡が取れなくなってしまった。
それから、何十年もの歳月が流れた。54年後の1999年になって、ターナーさんはアネットをなんとか探し出そうと決心した。ちょうど西部に旅行する機会があったので、アイオワ州に立ち寄ることにした。アネットさんが卒業したはずのデコラの高校を訪ね、旧姓エドワードのアネットという女性を探して欲しいと頼んだ。
そこに住んでいて彼女のことを知っている誰かがいれば、彼女の消息が分かるはずだとターナーさんは考えた。そして、情報提供者が現れた。その女性は、アネットさんの同窓生だった。アネットさんが政治活動に参加していたこと、民主党関連組織で10年間議長を務めたことなどを教えてくれた。
ターナーさんは、アネットさんのその後の人生が充実したものであったことを知り、喜ばしく思った。情報提供者の女性に自分の電話番号と住所を託した。クリスマスカードを添え、次回の同窓会でアネットさんに手渡してくれるように頼んだ。
だが、何の反応もなかった。彼がその女性に託したカードは、アネットさんに届かなかったのだろうか。それともアネットさんのことを忘れることがなかったのはターナーさんの方だけで、アネットさんの方はターナーさんのことをすっかり忘れてしまったのだろうか。
いや実際には、カードはアネットさんにすぐ届いていたのである。だがアネットさんは、自分が既婚者であることから返答せずに放置していた。彼女は後にこう語っている。「もし返事を出したら、何かが始まってしまう予感がしたからです」。
4年後の2003年7月13日に、ターナーさんの電話が鳴った。電話の主は「アン・ジェッセンと申します」と名乗った。ターナーさんは、自分の耳を疑った。「どちらさんですって?」と聞きなおすと、相手は「アネットよ」と答えた。
その電話の数ヶ月前に、アネットさんの夫がこの世を去っていた。その後、二人は頻繁に連絡を取り合うようになった。58年前のたった2日間の恋の続きが始まった。そして、今年になり、ついに結婚することを決めた。
2月11日に式が行われた。アネットさんにも子供がいたが、ターナーさんにも子供がいた。両方合わせて12人の息子や娘、そして25人の孫、1人のひ孫が二人の結婚を祝ってくれたという。
2003年に58年ぶりに再会したとき、互いの姿かたちは客観的に見れば原型をとどめないほど変わり果てていたはずだ。だが、この二人はきっと、甘く切ない青春時代に一気にタイプスリップしてしまったのではないだろうか。二人の年齢は元記事ではあえて明記されていないが、80歳前後の高齢のはず。
青春時代にごくわずかにすれ違っただけのようにも見える二人だが、60年もの歳月を経て、最晩年に至って伴侶となった。人生、捨てたものじゃないという思いがしてくる。
と同時に、ここにも人生の意外性を見る気がする。ターナーさんがアネットさんのことを忘れられなかったのと同じくらい、アネットさんもターナーさんのことを忘れられなかったのだとしても、まさか夫婦になる日が来るとは夢にも思わなかったのではないか。
ここ最近、当ブログでは“痛い系”、“脂っこい系”のニュースばかり取り上げていたので、たまにはこんな美談もいいかなと思って記事にした。まあしかし、このブログの筆者はひねくれた性格なので、いくら人生経験豊富な二人とは言え、一緒に暮らし始めると幻滅することがいろいろあったりするのではないかとか思わないのでもないのだが。
■ Source: The Dispatch - 60 Years Later, Couple to Marry
【Amazon】
それから、何十年もの歳月が流れた。54年後の1999年になって、ターナーさんはアネットをなんとか探し出そうと決心した。ちょうど西部に旅行する機会があったので、アイオワ州に立ち寄ることにした。アネットさんが卒業したはずのデコラの高校を訪ね、旧姓エドワードのアネットという女性を探して欲しいと頼んだ。
そこに住んでいて彼女のことを知っている誰かがいれば、彼女の消息が分かるはずだとターナーさんは考えた。そして、情報提供者が現れた。その女性は、アネットさんの同窓生だった。アネットさんが政治活動に参加していたこと、民主党関連組織で10年間議長を務めたことなどを教えてくれた。
ターナーさんは、アネットさんのその後の人生が充実したものであったことを知り、喜ばしく思った。情報提供者の女性に自分の電話番号と住所を託した。クリスマスカードを添え、次回の同窓会でアネットさんに手渡してくれるように頼んだ。
だが、何の反応もなかった。彼がその女性に託したカードは、アネットさんに届かなかったのだろうか。それともアネットさんのことを忘れることがなかったのはターナーさんの方だけで、アネットさんの方はターナーさんのことをすっかり忘れてしまったのだろうか。
いや実際には、カードはアネットさんにすぐ届いていたのである。だがアネットさんは、自分が既婚者であることから返答せずに放置していた。彼女は後にこう語っている。「もし返事を出したら、何かが始まってしまう予感がしたからです」。
4年後の2003年7月13日に、ターナーさんの電話が鳴った。電話の主は「アン・ジェッセンと申します」と名乗った。ターナーさんは、自分の耳を疑った。「どちらさんですって?」と聞きなおすと、相手は「アネットよ」と答えた。
その電話の数ヶ月前に、アネットさんの夫がこの世を去っていた。その後、二人は頻繁に連絡を取り合うようになった。58年前のたった2日間の恋の続きが始まった。そして、今年になり、ついに結婚することを決めた。
2月11日に式が行われた。アネットさんにも子供がいたが、ターナーさんにも子供がいた。両方合わせて12人の息子や娘、そして25人の孫、1人のひ孫が二人の結婚を祝ってくれたという。
2003年に58年ぶりに再会したとき、互いの姿かたちは客観的に見れば原型をとどめないほど変わり果てていたはずだ。だが、この二人はきっと、甘く切ない青春時代に一気にタイプスリップしてしまったのではないだろうか。二人の年齢は元記事ではあえて明記されていないが、80歳前後の高齢のはず。
青春時代にごくわずかにすれ違っただけのようにも見える二人だが、60年もの歳月を経て、最晩年に至って伴侶となった。人生、捨てたものじゃないという思いがしてくる。
と同時に、ここにも人生の意外性を見る気がする。ターナーさんがアネットさんのことを忘れられなかったのと同じくらい、アネットさんもターナーさんのことを忘れられなかったのだとしても、まさか夫婦になる日が来るとは夢にも思わなかったのではないか。
意外性8 | ■■■■■■■■□□ |
ここ最近、当ブログでは“痛い系”、“脂っこい系”のニュースばかり取り上げていたので、たまにはこんな美談もいいかなと思って記事にした。まあしかし、このブログの筆者はひねくれた性格なので、いくら人生経験豊富な二人とは言え、一緒に暮らし始めると幻滅することがいろいろあったりするのではないかとか思わないのでもないのだが。
■ Source: The Dispatch - 60 Years Later, Couple to Marry
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- 二次大戦中のアメリカン・ラブ・ストーリーといえば、やはり映画「パールハーバー」?
筆者的には劇場に出向いて見たものの違和感大有りの映画ではあったが。
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1. 恋の続きは60年後…… [ どうでもいいこと ] 2005年02月16日 21:49
60年前の事を忘れなかったこともすごいが、 それで結ばれてしまうというのもまたす...
この記事へのコメント
1. Posted by yuki 2005年02月16日 22:55
こんばんは。
なんか今日はとてもいい話だな〜と思いつつ読み進んでいったら、最後の一文でバカウケしてしまいました。
でもそれでホッとしてしまったのはどうしてなんだろう...(汗
それにしても、人生には意外なミラクルが転がっているものなのですね。
だから面白いんでしょうけど。
なんか今日はとてもいい話だな〜と思いつつ読み進んでいったら、最後の一文でバカウケしてしまいました。
でもそれでホッとしてしまったのはどうしてなんだろう...(汗
それにしても、人生には意外なミラクルが転がっているものなのですね。
だから面白いんでしょうけど。
2. Posted by ユリ 2005年02月17日 01:27
良いんですって、幻滅するのも夫婦じゃないですか!!(笑)。私にもたった5日間の純愛がありました。こうなれたら素敵だ〜。
3. Posted by miccckey 2005年02月17日 02:09
>yukiさん
》人生には意外なミラクルが転がっているものなのですね
そう思わせてくれるような話ですよね。
二人とも80歳前後というのもミソでしょうね。その年齢で60年前の続きを始めてしまったわけです。二人とも、頭はずいぶんはっきりなさってるんでしょうね。
>ユリさん
普通は、どんな大恋愛でも生活を共にすると、幻滅が待っていますよね。この二人の場合は、よくわかりませんが。そもそも二人とも80歳前後。年金生活だし、さすがに心だけの関係でしょうから、ちょっと違うかもしれませんね。
》人生には意外なミラクルが転がっているものなのですね
そう思わせてくれるような話ですよね。
二人とも80歳前後というのもミソでしょうね。その年齢で60年前の続きを始めてしまったわけです。二人とも、頭はずいぶんはっきりなさってるんでしょうね。
>ユリさん
普通は、どんな大恋愛でも生活を共にすると、幻滅が待っていますよね。この二人の場合は、よくわかりませんが。そもそも二人とも80歳前後。年金生活だし、さすがに心だけの関係でしょうから、ちょっと違うかもしれませんね。