2005年01月12日
スマトラ沖地震の津波では、多くの犬たちが飼主を失ったようだ。最初のうち、忠実な彼らは飼主の姿を探し求めたのだろう。しかし、津波が襲ってから既に2週間以上が経過した。何らかの方法で飢えを凌がないと彼らも生きていけない。
タイのバンガ県にあるヤンヤオ寺には、約2000体の遺体が安置されている。その多くは既に冷凍保存されているが、新たに運び込まれた遺体は、死体袋に入れたまま、そのまま露天にさらされていたりする。
ある日のこと、寺で働いている人が1頭の犬が嘔吐するのを目撃した。吐瀉物を調べてみると、それは人間の体の一部だった。
タイのバンガ県にあるヤンヤオ寺には、約2000体の遺体が安置されている。その多くは既に冷凍保存されているが、新たに運び込まれた遺体は、死体袋に入れたまま、そのまま露天にさらされていたりする。
ある日のこと、寺で働いている人が1頭の犬が嘔吐するのを目撃した。吐瀉物を調べてみると、それは人間の体の一部だった。
飢えた犬たちが死体安置所で飢えを満たそうとやって来るのだ。しかも、死体袋のジッパーを器用に口で開けて、その中に鼻先を突っ込む。そして死肉を食らう。
バンガ県当局は、その対策として、麻酔銃で犬たちを眠らせ、別の場所に移送して保護することにした。既に60頭の犬を捕獲したという。
インドでは、実弾を使用して犬を駆除しているという。そう、犬が人間の死体を食べる“現象”が生じているのはタイだけの話ではないのだ。
インド南部では、津波の後、子供など、津波の生存者が犬に襲われる事件が多発した。このため、地元当局では数十頭の犬を射殺した。人間を襲った犬たちは、最初に遺体を食べた後、凶暴化したのだという証言がある。
500名の住民が死亡または行方不明になったインドネシアのマリンゲイ島でも、犬が遺体を食べたと報告されている。
動物行動学者でもあり、プロのドッグ・トレーナーでもあるアメリカのデビッド・レイネッカー氏は電子メールでのインタビューに答えて、自分自身は犬たちがこういう行動に出ても驚きはしないと語っている。
「犬が肉食動物であることを忘れてはいけません。彼らは血の匂いに引き付けられます。簡単に言えば、捕食動物としての本能が彼らを餌探しに描き立てるのです。津波を生き延びた犬たちは、ストレス、恐怖、トラウマの過程をたどっています。
「ペットとして飼われていた犬たちは、最初は飼主を探したことでしょう。しかし時間が経つにつれて、飢えを満たすことが最優先事項になります。ある場所にもともと野良犬がいたとすれば、まず最初に野良犬が人肉を食べ、飼主を失った犬たちがそれに倣うことになるでしょう」。
デビッド・レイネッカー氏は、人間の肉を食べた犬が凶暴化する危険性を警告している。「人間やほかの動物の血の味を一度でも味わった犬は、再び同じ味を求めるようになります」。
米国マサチューセッツ州に拠点を置くWorld Society for the Protection of Animalsのスーザン・シャーウィン氏は、こう語っている。「今回に限らず、犬たちが飢えのあまり人間の死体を食べるほかなくなったことは過去に何度かあります。しかし、犬たちにとっても、これは異常な状況なのです」。
津波と聞いて、犬が人肉を食うことを連想できる人は、上記のデビッド・レイネッカー氏みたいな一部の専門家以外にはいないだろう。しかし、こういう事態になれば、犬が人肉を食べることがありえるのだ。
確かに、犬は飼主に忠実な生き物だろう。飼主が命ずれば、何時間だって“おあずけ”が出来たりもするだろう。それはあくまで飼主が存在し、しかも犬が人間社会の一部に組み入れられていれば・・・という前提のもとでの話である。
その大前提となっている人間社会が大きな物理的被害を被っていることを象徴するような話だと感じる。犬をペットとして飼うことも含めた、あらゆる人間文化が大災害の前には“はかない”ものであることを思い知らされる。
■ Source: IOL - Asia - Hungry strays raid make-shift morgues
【当ブログの関連記事】
バンガ県当局は、その対策として、麻酔銃で犬たちを眠らせ、別の場所に移送して保護することにした。既に60頭の犬を捕獲したという。
インドでは、実弾を使用して犬を駆除しているという。そう、犬が人間の死体を食べる“現象”が生じているのはタイだけの話ではないのだ。
インド南部では、津波の後、子供など、津波の生存者が犬に襲われる事件が多発した。このため、地元当局では数十頭の犬を射殺した。人間を襲った犬たちは、最初に遺体を食べた後、凶暴化したのだという証言がある。
500名の住民が死亡または行方不明になったインドネシアのマリンゲイ島でも、犬が遺体を食べたと報告されている。
動物行動学者でもあり、プロのドッグ・トレーナーでもあるアメリカのデビッド・レイネッカー氏は電子メールでのインタビューに答えて、自分自身は犬たちがこういう行動に出ても驚きはしないと語っている。
「犬が肉食動物であることを忘れてはいけません。彼らは血の匂いに引き付けられます。簡単に言えば、捕食動物としての本能が彼らを餌探しに描き立てるのです。津波を生き延びた犬たちは、ストレス、恐怖、トラウマの過程をたどっています。
「ペットとして飼われていた犬たちは、最初は飼主を探したことでしょう。しかし時間が経つにつれて、飢えを満たすことが最優先事項になります。ある場所にもともと野良犬がいたとすれば、まず最初に野良犬が人肉を食べ、飼主を失った犬たちがそれに倣うことになるでしょう」。
デビッド・レイネッカー氏は、人間の肉を食べた犬が凶暴化する危険性を警告している。「人間やほかの動物の血の味を一度でも味わった犬は、再び同じ味を求めるようになります」。
米国マサチューセッツ州に拠点を置くWorld Society for the Protection of Animalsのスーザン・シャーウィン氏は、こう語っている。「今回に限らず、犬たちが飢えのあまり人間の死体を食べるほかなくなったことは過去に何度かあります。しかし、犬たちにとっても、これは異常な状況なのです」。
津波と聞いて、犬が人肉を食うことを連想できる人は、上記のデビッド・レイネッカー氏みたいな一部の専門家以外にはいないだろう。しかし、こういう事態になれば、犬が人肉を食べることがありえるのだ。
確かに、犬は飼主に忠実な生き物だろう。飼主が命ずれば、何時間だって“おあずけ”が出来たりもするだろう。それはあくまで飼主が存在し、しかも犬が人間社会の一部に組み入れられていれば・・・という前提のもとでの話である。
その大前提となっている人間社会が大きな物理的被害を被っていることを象徴するような話だと感じる。犬をペットとして飼うことも含めた、あらゆる人間文化が大災害の前には“はかない”ものであることを思い知らされる。
はかなさ8 | ■■■■■■■■□□ |
■ Source: IOL - Asia - Hungry strays raid make-shift morgues
【当ブログの関連記事】
- 飢えをしのぐために女の子を誘拐して食べた男
極限状況でケダモノと化すのは、犬たちだけではなさそうである。
- 象の世界でも若年層が凶暴化(ただし即射殺)
草食動物の象は人肉を食べたりしないが、よき指導者たる年長の象がいない環境で育った若象が凶暴化する傾向があるという。
当ブログの全記事一覧を見る |
この記事の先頭に戻る
トラックバックURL
この記事へのトラックバック
1. 1/13のニュース 大人気ないのか当然なのか [ 放浪癖さんあっちへふらふら日記 ] 2005年01月13日 14:50
お風呂で寝ちゃだめだよ、死んじゃうよ、ザブンッごぽごぽ(死にかけた・・・)自宅で溺死ってヘイヘイ。
スタート。
□ヨン様公式サイト水増しカウンター疑惑
こんなことばっかりあるから信用できないのよヨン様。
大きな売名、小さな不義。この相乗効果で不信感うな...
2. 犬が人の肉の味を覚えたら始末に負えないでしょう [ ものみの雑記 ] 2005年01月15日 00:12
津波被災地で飼主を失った犬たちが人肉の味を覚えた?
生きている人を襲わないことを祈ります。
3. ペット? [ Dim memories ] 2005年03月18日 01:00
犬が好きな人にはショックなニュースです。私はどちらかと言われれば猫派ですが、やや吐き気をもよおした事実。先日友人達と食事の際に話そうか一瞬迷い、流石に躊躇して話すのを止めたので、こちらにアップします。
スマトラ沖地震で飼い主を失って生き延びている犬達、も
この記事へのコメント
1. Posted by たけちん 2005年01月14日 00:15
地球全体に異変が起きていますね。
人間の行動がすべての原因。そう思います。
人間の行動がすべての原因。そう思います。
2. Posted by とおりすがり 2005年01月14日 11:12
こういうことを言うのもなんですが、現代人は人間を特別視しすぎている傾向があると思います。
人間も自然界の一部にすぎず、その行動、思想に至るまで遺伝子に規定された生存本能の結果にすぎません。
自己を保存し、遺伝子や自分の考えたものごとを残す。すべてはそれで説明できるのですから、人間は決して特別な生物ではないはずなのに。
何か食べなければ自分が死んでしまう。それなら目の前にあるタンパク質の塊を食べようと思うのは生物として当然のことだと思いますけどね…
人間も自然界の一部にすぎず、その行動、思想に至るまで遺伝子に規定された生存本能の結果にすぎません。
自己を保存し、遺伝子や自分の考えたものごとを残す。すべてはそれで説明できるのですから、人間は決して特別な生物ではないはずなのに。
何か食べなければ自分が死んでしまう。それなら目の前にあるタンパク質の塊を食べようと思うのは生物として当然のことだと思いますけどね…
3. Posted by おかしい 2008年01月11日 20:26
極限状態になれば人間が人間を食うこともあるんだから犬ならなお更。
当たり前のことだと思います。
当たり前のことだと思います。
4. Posted by いや 2011年06月10日 02:12

5. Posted by あ 2011年09月06日 23:35
福島県で犬や猫を保護しようという動きがありますが実は危険なのかも知れませんね・・・