なんでも評点:原子力規制庁は2019年から軽石のリスクを検討していたが、読みが甘くないか

2021年11月26日

原子力規制庁は2019年から軽石のリスクを検討していたが、読みが甘くないか


原子力規制部審査グループがネットで公開している資料「漂流軽石に係る現在の知見と発電用原子炉施設への影響について」(https://www.nsr.go.jp/data/000291218.pdf に目を通すと、不安が増す気がする。今年に小笠原の海底火山が大量の軽石を噴き上げるより、2年も早い2019年に我が国の原子力規制庁が軽石のことを考慮に入れていたのは、リスク管理上、万全の備えに見える。しかし、上記の資料には、ちょっと不安な決めつけがある。以下の部分がそうだ。

漂流軽石は、給源となる火山の位置、風や海流の状況、噴出量、漂流開始からの時間等によっては発電用原子炉施設の取水口付近に到達することは否定できない。しかし、取水口は、取水温度を安定させる等の観点からカーテンウォールを設置するか、取水口自体を海中に設置すること等で下層水を取水しており、海面付近の漂流軽石を含む表層水を取水する構造ではない。カーテンウォールにより止められた漂流軽石が沈降し、海水ポンプ及び循環水ポンプが設置されている取水ピットに到達した場合については、上記のクラゲの発生への対策が有効と考えられる。


軽石は海面近くを浮遊するという前提が“不安な決めつけ”なのだ。実際には、今回の軽石は沖縄の海などで互いに衝突し合って細かく粉砕され、水没している。ただし、比重が水に近いため、海底に堆積せずに、ある程度の深さを浮遊している。

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そこまでシミュレートした対策は練られていないと見えるのだが、間違っているだろうか? 下のニュース映像は、前半部で伊豆諸島に到達した軽石の状況を伝えて、後半部では沖縄の海に沈んだ軽石のありさまを伝えている。水没した軽石は海面上から見えないため、船のエンジンに吸い込まれるおそれがある。ならば、十分な対策を怠っていると、原発の取水口から冷却系に吸い込まれるおそれもあるのではないか。




一応、2年も前に検討はしていたが、想定が甘かった―という歯がゆい結果になりはしないか。

11月26日時点での軽石の漂着状況:

軽石 伊豆諸島でまとまった量の漂着始まったか 都が警戒強める

「軽石」漁港に流入 オイルフェンス越え

“軽石”フィリピン北部の島で大量に確認 海流にのって漂着か

フィリピンの原発は稼働していないが、フィリピンの北隣の台湾には、稼働中の原発が海岸沿いに6基存在する。軽石の影響範囲は日本領土内に限定されない。日本領の海底火山から発生した軽石が他国に影響を与えるとなれば、極東諸国は日本が責任を負えと主張するだろう。自然災害、Force Majeure(フォース・マジュール)は、契約責任を免除するのが世界の通例。よって、日本が責任を帯びる筋合いはないのだが、極東諸国は堪忍してくれなさそうだ。ま、私はノンポリなので、これ以上、突っ込むつもりはない。

ここまで大量の軽石が原発に影響を及ぼしそうな性状を持ち、各国の海岸に漂着した例は原発登場以来初めてのことではないかと思われる。ここでは、互いにぶつかり合い細かく砕けて水没する性状について述べている。比重が水に近いから海底に堆積せずに海中を浮遊するため、深さ数メートルに設置されている取水口から冷却系の中に吸い込まれるおそれがある。

【当ブログの関連記事】

原発は軽石に耐えられるのか? ― 川内原発と浜岡原発は大丈夫だと言うが、福島の二の舞にならないか?

軽石は砕けて水没する ― 水中数メートルの位置にある原発取水口に干渉するおそれ

砕けて水没した軽石の厄介な挙動を示す映像


【蛇足】

私はノンポリである。ゴルゴ13には思想がなく、心に空洞が空いているだけだと言う。私みたいなノンポリも、思想がなく空洞なだけだ。

原発ネタを取り上げると、現行の政府に対して反政府的な人物だと決めつけられるのが憂鬱だ。たしかに原発ネタは、国家権力に対する突っ込みどころとなる。左翼が現政権をひっくり返そうとすれば、突破口として見えるのだろう。一方、現行政府を守りたい保守派や右翼にとっては、守らねばならぬ急所と映る。だから私は左派に親和感を持たれ、右派に警戒される。

だが、ノンポリは、思想やイデオロギーとは関係ない視点で「ヤバくない?」と突っ込んでいるだけだ。米国政府の息がかかった者であろうと、反米組織であろうと、約束の300万ドルを支払ってくれる者からの依頼は受けるゴルゴ13と何も変わらない。

私は、商社勤務だった20代、アフリカ南部でコミュニストを買収して骨抜きにする仕事をしていた。フィクション化して某新人賞に応募してみたのだが、見事にスルーされた(笑)。別に共産主義を憎む資本主義者でもなんでもなく、純然たるノンポリだった。しかも、左翼学生がウヨウヨしていた東京の某私立大学出身の筋金入りのノンポリである。

福島原発事故の半年後に当ブログに上げた記事「『放射能が体に良い』には確かに根拠があるが、1日3万ベクレルの放射能ドリンクが健康に良いとされていた時代と同レベルの根拠」が不思議な炎上の仕方だった。コメント欄が荒れているが、当ブログのアクセス数が今の数百倍あった時代の話だ。左派・右派、主にどちらが反応したのか、未だによくわからない。




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