2019年01月18日
南ア北東部ムプマランガ州の都ムボンベラ市(旧称:ネルスプロイト)の町中に巨大なカバが新年早々出没しているとして問題になっていた。南アの田舎の都市とはいえ、人口は60万人近い。アフリカ大陸では。カバによる死者が毎年3000人に上ると言われている。もう大昔のことだが私が南アを拠点として暮らし始めたときも、ライオンよりも何より水中から突然巨体を現すカバに注意しろと現地人に諭されたものだ(野生のカバに遭遇することは、ついぞなかったが)。

ムボンベラ市のコミュニティ当局が通報を受けて何度も出動したが、カバの姿を確認できないまま時間が過ぎていた。しかし、2019年1月12日の夜、巨大なカバがムボンベラ市の幹線道路(40号線)に沿って草をむさぼり歩いている姿を当局がついに確認するに至った。
当局のアルバート・グリベンシュタイン管理官がそのときの様子をNews24に語っている。「40号線は幹線道路の1 つでして、交通量も多い。ですから、カバが往来の中にさまよい込まないようにする必要がありました」
ムプマランガ州野生生物保護局の職員が到着するまで、数十台の警備車両がカバを取り囲んで隔離した。グリベンシュタイン管理官は、カバが(暴れ出すなどして)射殺されはしないかと心配だった。
やがて保護局のトラックが現場に到着し、カバを麻酔銃で眠らせ、トラックに乗せて保護することを決めた。しかし、雄の成獣のカバは体重が1.3トン〜1.5トンもある。麻酔弾1発で眠らせることは不可能だった。
「結局、カバを眠らせるには、麻酔弾を3発も撃ち込む必要がありました。その後、クレーンでトラックに積み込んだのですが、どえらい作業になりましたね。コストも高くつきましたよ。
「2発目を撃った後、これで40万円かかったと聞きました。3発で60万円ですね。麻酔弾のコストだけで...」
保護局はカバを安全に保護して、現在様子を見ている。いずれは、野に放す予定だという。しかし、カバが元々どこからやって来たのかわからない。

グリベンシュタイン管理官は言う。「大雨が降ると、(ムプマランガ州を流れる)クロコダイル川に野生動物が流されて、市内に辿り着きます。過去に何度もこういうことが起きています。
「今回のようなカバの成獣は、自分のテリトリ内を長距離にわたって移動します。40キロから80キロもの距離だと言います。その距離より遠くに帰さないと、また町中に戻ってくることになりかねません」
なお、有名なクルーガーランド国立公園は、隣州のリンポポ州とムプマランガ州にまたがっている。
カバは、あの大きな顎が凶器になる。人間がまともに噛まれたら、まず命はない。しかも、私が南ア時代に現地人にしつこく言われたのは、カバは水底を歩いて移動するから、テリトリーに人間が立ち入ると、目の前の水面から急に飛び出して来て攻撃することが多いということ。
■Source: Hippo roaming streets of Mbombela finally darted | News24
【関連記事】
- 水道料金滞納村の男性、カバに噛まれて死亡
- クルーガー国立公園のお膝元で女性を狙った連続“肛門アンブレラ事件”
- ハイエナたちを追い払い、仲間の亡骸を牙で持ち上げて生き返らそうとしたアフリカ象 ― 見守っていた人間たちは涙にむせぶ
この記事の先頭に戻る