G- なんでも評点:峡谷と川が一夜にして出現

2018年04月04日

峡谷と川が一夜にして出現


2015年のある大雨の夜、アナ・リサッティさんは、外から聞こえる轟音に目を覚ました。まだ大雨が降り続いているのかと思って外に出てみると雨は止んでいた。だがアナさんの家のすぐ外を川が流れていた。たった一夜にして、そこにないはずの川が出現していた。

「気を失いそうになりましたわ」とアナさん。

大雨で道が川のようになっていたというレベルの話ではない。家の周囲の土が削られて、深い溝が出来、そこを川が流れていたのだ。

本件は、アルゼンチン中央部、サンルイス近郊のモロ盆地で起きた実話である。弱い地盤に峡谷をなして流れるこの川はRio Nuevo(「新しい川」)と名付けられ、その夜から2年以上を経た現在、その長さは25キロメートルに達している。峡谷の深さは最深部で25メートル、幅は60メートルというから堂々たる川だ。

2015年のその夜、モロ盆地に出現した川はRio Nuevo以外にも複数あるらしく、本件を伝えているThe Guardianの記事では「河川網(network of rivers)」と呼んでいる。アルゼンチンは、大豆の生産量が米国、ブラジルに次いで世界第三位。農地を個人の農家から借り上げて大豆やコーンを生産している農業コングロマリットがモロ盆地の農地を脆弱化させた結果、突如として新しい川が出現した。

モロ盆地は1990年代初頭まで、吸水能力の高い森林と草原の寄せ集めだった。しかし、今日ではその大半が失われ、大豆畑とコーン畑に姿を変えている。

サンルイス大学の環境専門家エステバン・ホバジ氏は、新しい川が出現した背後に3つの要因が重なり合っていると指摘している。「第一に、ここ数年、気象の変化により降水量が増えています。第二に、この土地の土壌は非常に不安定です。そして第三に、この土地では、かつてないほどに農業開発が進められています」

アルゼンチンなどの南米の諸国を指す蔑称として"バナナ共和国"という言葉がある。そのバナナを大豆に置き換えたのがアルゼンチンなのだとホバジ氏は言う。「大豆なしでは農家が生きていけません。いや、この国自体が生きていけないのです」

しかし、根の深い樹木なら、1年を通じて大量の水を吸収してくれるが、大豆は根が浅く、1年のうち数か月しか成長しない。このことが原因で、モロ盆地の帯水層が上昇し、地下水流の速度が増えた。こうして、この土地の透水性土の崩壊が引き起こされた。

2008年頃から、土地に浅い流出路が見られるという報告が農家から寄せられていた。その後の5年間で、侵食のペースが劇的に上がった。これらの流路がやがて深い溝へと悪化していった。

これらの河川網は成長の一途にある。家屋や道路が川に飲み込まれる危険にさらされている。下のYoutube映像をご覧いただきたい。






■ Source: When nature says 'Enough!': the river that appeared overnight in Argentina | World news | The Guardian

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この記事へのコメント

1. Posted by  まめだぬき   2018年09月14日 07:17
最近気になってる現象にかぶる記事でした。いま日本中の田んぼや畑が埋め固められ建物や駐車場に姿を変えていっています。土地の性質を封じ込め続けることで今後この河のようなことが起こるかもしれないと心配です。

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