2010年11月29日

「妻と関係を持って妻を妊娠させてくれ」と夫が他の男にお願いする慣習がある国


あなたが“ナンディ”で暮らす男性だったとしたら、人妻の夫から「妻と関係を持って妻を妊娠させてくれ」という驚くべき申し出を受ける日が来るかもしれない。日本にいるわれわれからすれば常識破りな申し出ではあるが、夫に子種がないことがその根本的動機なのだろう…というところまでなら想像に難くない。
しかし、夫が他人の子種を当てにする事情には、われわれの常識をさらに覆す事実が含まれている。現在その人妻の夫になっている人物は、もともと自分自身が子供を産むつもりだった。しかし、どうやら不妊症らしく、子供が出来ないので妻をめとることにしたのである。

意図的に回りくどい表現をしてしまったが、もっと簡単に言えば、夫は女性なのだ。ケニアのリフトバレー州ナンディ県で暮らしているナンディ族の間には、われわれの想像を絶する婚姻制度がある。不妊症の女性は、しかるべき結納金(実際にはお金ではなく牛数頭となるが)を相手の親に支払うことを条件として、妻をめとり、その夫になることができる。

すでに男性と婚姻関係にある女性がこのオプションを行使した場合、その女性は現在の夫に対して妻であると同時に、新たにめとった妻に対しては夫となる(これを一夫多妻とみなすのか、それとも多夫多妻とみなすのか判断が難しいところではあるが)。この場合、妻は新しくめとった“自分の妻”に対し、現在の夫との間で子供を作らせるか、または外部の男との間で子供を作らせるかのいずれかを選択できる。(独身女性がこのオプションを行使した場合は、当然、外部の男の生殖能力に頼ることになる)。

ケニアの“The Standard”オンライン版には、実際にこの婚姻制度に則って4人の妻をめとった女性の話が紹介されている。彼女の名は、エリザベス・チェメスンデ・オレキマ(以下「チェメスンデ」)。現在87歳と高齢だが、リフトバレー州キルゴリスのカプスンデ村で4エーカー(約4896坪)の農場を営みながら4番目の妻、エスターさん(45歳)と一緒に暮らしている。

チェメスンデさんは、1960年代にキルゴリスで普通の一夫一妻の結婚生活を送っていたが、10年が過ぎても子宝に恵まれなかった。結局、その当時の夫とは離婚し、肉親のいるナンディに戻った。

そして、自らが夫として妻をめとり、その妻に外部の男との間で子をもうけさせることを真剣に考え始めた。「我が一族の血筋を絶やさぬために、妻をめとり、子供を作ろうと思ったのです」とチェメスンデさんは言う。親族および親戚たちからも理解と承諾を得ることができた。

注:血筋イコールDNAという西洋文明的視点から見れば、他人の種で子供を作っても血筋を維持することはできないわけだが、彼女らはわれわれとは異なる世界観の中にいるということに理解を寄せるべきだろう。


1970年代初頭、ついに妻となってくれる女性と巡り会えた。ナンディ族の間でもさすがに特別な婚姻となるわけで両親の説得に当たらねばならなかったが、結局、牛7頭を結納金として納めることにより話がまとまった。

この婚姻制度を利用して女性が妻をめとるとき、通常、妻の数は1人だけである。しかし、チェメスンデさんはできるだけ多くの子供が欲しかった。しかも彼女は農園を営んでおり財力があった。

「同様にして、2番目、3番目、4番目の妻を次々とめとりました。支払った牛の数は、5頭、7頭などとそれぞれに違いましたが…」とチェメスンデさんは言う。

現在チェメスンデさんと一緒にカプスンデ村で暮らしている4番目の妻エスタ―さん(45歳)は言う。「“夫”とはティンデレットで出会い、口説き落とされて結婚しました」。2人は伝統的な儀式を経て夫婦となった。

妻たちはチェメスンデさんのことをれっきとした“夫”として尊敬してきた。ただし、2番目の妻はすでにこの世を去っている。さらに1番目の妻は、ある男と駆け落ちしてしまった。

3番目の妻ユーニスさんはまだ健在だ。4番目の妻エスタ―さんとは別にティンデレットで4人の子供と共に暮らしている。「妻同士が衝突したり対抗心を持ったりすることのないように、ティンデレットとカプスンデにそれぞれ家を構えて住ませています」とチェメスンデさんは言う。

87歳と高齢のチェメスンデさんとしては、自分が先立った後のことも考えようものだが、彼女が夫として妻たちに残した財産はナンディの文化が守ってくれる。チェメスンデさんが妻たちのために購入した土地が第三者に奪われる心配はない。チェメスンデさんの息子たちのうち2人はすでに結婚しており、末っ子は中学校1年生に進級した。

もちろん子供たちはチェメスンデさんと生物学的親子関係にはない。子種の提供者が外部にいる。しかし、チェメスンデさんの妻たちと交わって子供を作った男性たちが子供の親権を主張することはできないことになっている。子供の親権は、あくまで“夫”たるチェメスンデさんに帰属する。

同様な婚姻慣習は、アバグシー(Abagusii)族とクリア(Kuria)族でも認められているという。

ともあれ、財力に余裕がありこのオプションを行使できた女性は、“夫”(すなわち“父”)として子を持つことができる。妻となった女性は、夫が女だという特殊な境遇に身を置くことになるが、その点を除けば幸せな人生を送ることができる。妻の親たちも、財力のある“夫”が見つかったことで、何頭もの牛を手に入れることができ、生活が楽になる。そういう意味で、WIN-WINの関係が築かれると言えよう。

子種の提供者となる外部の男もまた、ある意味WINの側に立つことになると言えるかもしれない。ただし、先に生まれた子の出来が悪い場合などは、子種が悪いということになり、以後お役ご免となることもあるらしい。その場合は、また新たに外部の子種を探すことになる。つまり、この制度下で結婚している女性は、何人もの異なる男性と関係を持って、その子を宿すことが可能なのだ。




■ Source: The Standard | Online Edition :: Woman married to four wives

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この記事へのコメント

1. Posted by D.T   2010年11月29日 04:35
5 レズビアンが精子バンクを利用する様なもんか?
将来的(何十年〜何百年)には一つのスタンダードにナルかも・・・
2. Posted by     2010年11月29日 15:00
そのうちレズ同士でも遺伝子摘出とかで受精卵作れないかな?
3. Posted by どうでもいいけど・・・   2010年11月29日 18:30
血筋イコールDNAというのは別に西洋文明的視点でもなくて基本的には日本でも中国でもインドでも伝統的にそうなんじゃないの?
4. Posted by ぁぃ   2010年12月24日 03:23
3 いつも楽しみに読ませていただいてます

そして楽しさのあまり
友達に紹介してまわってます

コメ欄に
ビアン同士で..と
書いてありますが..
実ゎもう
女性の体から
精子を作る方法ゎ
あるみたいですよ(・ω・`)
日本も同性愛者が
住みやすいよう
早く変わっていって
欲しいですね

しかし..
仮にも妻を他の男と
一晩頼む!!って
切ないですよね
5. Posted by 鮎川   2011年08月09日 23:52
5 血筋の存続という思考の元に結婚するというのも一つの価値観ですね。
6. Posted by 犬飼   2011年08月27日 21:48
5 価値観の違いってすごいですよね。
7. Posted by 彩羽   2011年08月27日 22:40
5 私には無理ですが、生まれた時からそんな環境だったら抵抗が無いのかもしれませんね。
8. Posted by pineappleus   2011年11月27日 00:50
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9. Posted by boyaci   2012年01月17日 04:23
血筋の存続という思考の元に結婚するというのも一つの価値観ですね。
10. Posted by pneumatic products manufacturer   2012年07月25日 16:25
これは、専門家による委員会がまとめた報告書を基に環境省が決めたものです

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