2009年06月30日
暗闇の中で釘を打つ・・・と言えば、丑の刻参りを思い浮かべる人も少なくないだろう。憎き誰かに呪いをこめて、毎夜丑三つ時(午前1時から午前3時ごろ)に寺社の木に五寸釘で藁人形を打つというあれだ。
丑の刻参りをする人は頭に蝋燭(ろうそく)をつけている。だから真っ暗闇の中で釘を打つわけではない。しかし、しょせんは蝋燭の光。手元が暗いことに変わりはない。
丑の刻参りをする人は頭に蝋燭(ろうそく)をつけている。だから真っ暗闇の中で釘を打つわけではない。しかし、しょせんは蝋燭の光。手元が暗いことに変わりはない。
江戸時代の浮世絵では、しばしば女性が藁人形を打っている姿が描かれている。だが、マサチューセッツ州立大学アムハースト校の研究者たちが実施した実験の結果、暗がりの中で釘を打つことにかけては、男性の方が女性より25パーセントも正確であることが判明した。
ところが、周囲が明るいときは、女性の方が男性より10パーセント正確に釘を打つことも判明した。
この実験では、釘を打つ力と精度を測定する必要があったため、実物の釘を使うのではなく、プレート状の装置を用いた。この装置の上に、釘の頭を模した大小の標的を置き、それを被験者たちにハンマーで叩かせた。
実物の釘を実験に用いなかったのは、測定のためであると同時に、釘を打ち損ねた場合に被験者が痛い思いをしたり怪我を負ったりするリスクを回避するためでもあったと思われる。筆者も日曜大工で痛い思いをしたことが何度もあるし、読者の皆さんにも覚えがあることだろう。
研究者たちは、被験者たちがハンマーで釘を打つ様子をビデオに撮影するとともに、標的への命中精度を測定した。周囲が暗い場合と明るい場合のそれぞれについて、同じ実験を実施した。その結果、周囲が明るければ女性の方が男性より平均して10パーセント正確であり、周囲が暗い場合は男性の方が女性より平均して25パーセント正確であることが判明したわけである。
どうして、周囲の暗い・明るいによって、男女差の逆転現象が生じるのだろう? 研究チームを率いたダンカン・アースチック氏によれば、「男性は精度よりも力に頼り、女性は力よりも精度を重視する」という戦略の違いがありそうに見えるが、実際にはそうではない。「もしそうなら、周囲が明るくても暗くても、男性の釘打ち精度の方が低くなるはず」とアースチック氏は言う。
アースチック氏は、「明るい環境と暗い環境のそれぞれで物体を認識する能力には男女差があり、その違いが運動制御に大きな影響を与えているのではないか」と考えている。むろん、この説を裏付けるには、現時点ではデータ不足だとアースチック氏は認めている。
「このような違いを引き起こす運動制御および認識力の性差については、まだよくわかっていないが、われわれにとってはエキサイティングな発見だ」とアースチック氏は述べている。
ともあれ、突き詰めて言えば、男性の方が暗闇での行動能力に優れている可能性がある、ということになるだろう。まあ、確かにベッドの上で女性の求めに率直に応じて灯りを消した状況下においても、男性は所定の行動を取ることができる。
進化論関係の学者に言わせれば、狩猟時代により多くの獲物を得るには、暗闇での行動能力が求められた。だから、暗闇での行動能力に優れた個体が子孫を残してきた、とでもなるのだろうか。そして、その遺伝子はY染色体上に存在するのだ、と。
というか、わざわざ明るいときと暗いときの釘打ち精度の男女差を調べてみようと考える科学者魂には脱帽、いや何となくあきれさせられる気がしないでもない。しかし、そういった地道な積み重ねが科学技術の進歩につながってきたのだろう。
■ Referene: When Hammering, Women Nail It
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ところが、周囲が明るいときは、女性の方が男性より10パーセント正確に釘を打つことも判明した。
この実験では、釘を打つ力と精度を測定する必要があったため、実物の釘を使うのではなく、プレート状の装置を用いた。この装置の上に、釘の頭を模した大小の標的を置き、それを被験者たちにハンマーで叩かせた。
実物の釘を実験に用いなかったのは、測定のためであると同時に、釘を打ち損ねた場合に被験者が痛い思いをしたり怪我を負ったりするリスクを回避するためでもあったと思われる。筆者も日曜大工で痛い思いをしたことが何度もあるし、読者の皆さんにも覚えがあることだろう。
研究者たちは、被験者たちがハンマーで釘を打つ様子をビデオに撮影するとともに、標的への命中精度を測定した。周囲が暗い場合と明るい場合のそれぞれについて、同じ実験を実施した。その結果、周囲が明るければ女性の方が男性より平均して10パーセント正確であり、周囲が暗い場合は男性の方が女性より平均して25パーセント正確であることが判明したわけである。
どうして、周囲の暗い・明るいによって、男女差の逆転現象が生じるのだろう? 研究チームを率いたダンカン・アースチック氏によれば、「男性は精度よりも力に頼り、女性は力よりも精度を重視する」という戦略の違いがありそうに見えるが、実際にはそうではない。「もしそうなら、周囲が明るくても暗くても、男性の釘打ち精度の方が低くなるはず」とアースチック氏は言う。
アースチック氏は、「明るい環境と暗い環境のそれぞれで物体を認識する能力には男女差があり、その違いが運動制御に大きな影響を与えているのではないか」と考えている。むろん、この説を裏付けるには、現時点ではデータ不足だとアースチック氏は認めている。
「このような違いを引き起こす運動制御および認識力の性差については、まだよくわかっていないが、われわれにとってはエキサイティングな発見だ」とアースチック氏は述べている。
ともあれ、突き詰めて言えば、男性の方が暗闇での行動能力に優れている可能性がある、ということになるだろう。まあ、確かにベッドの上で女性の求めに率直に応じて灯りを消した状況下においても、男性は所定の行動を取ることができる。
進化論関係の学者に言わせれば、狩猟時代により多くの獲物を得るには、暗闇での行動能力が求められた。だから、暗闇での行動能力に優れた個体が子孫を残してきた、とでもなるのだろうか。そして、その遺伝子はY染色体上に存在するのだ、と。
というか、わざわざ明るいときと暗いときの釘打ち精度の男女差を調べてみようと考える科学者魂には脱帽、いや何となくあきれさせられる気がしないでもない。しかし、そういった地道な積み重ねが科学技術の進歩につながってきたのだろう。
■ Referene: When Hammering, Women Nail It
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この記事へのコメント
1. Posted by コメント 2009年06月30日 18:48
空間認識とかいうやつか。
だいたい釘打ちなんて女は普段やらんだろーから適当にやってるかもしれないぜ
だいたい釘打ちなんて女は普段やらんだろーから適当にやってるかもしれないぜ
2. Posted by 2009年07月01日 00:50
男でも本職か趣味でないと普段からやらんだろ
3. Posted by 2009年07月01日 00:58
記事読みながらおれも大昔の暗闇時の狩猟が関係しているんじゃないかと思った。
また、侵略戦争が当たり前の時代、夜営で見張りをしたり、実際戦闘したりするのも当たり前だったしな。
逆に女は暗闇で動く仕事がいつの時代もなかった。多分。
>1
今の時代釘打ちなんて男だって普段やらんだろ。
少なくとも経験値として期待できるほどはやらんだろ。
逆に日常的に料理する機会が多い女の方が手元の作業には慣れてる。
また、侵略戦争が当たり前の時代、夜営で見張りをしたり、実際戦闘したりするのも当たり前だったしな。
逆に女は暗闇で動く仕事がいつの時代もなかった。多分。
>1
今の時代釘打ちなんて男だって普段やらんだろ。
少なくとも経験値として期待できるほどはやらんだろ。
逆に日常的に料理する機会が多い女の方が手元の作業には慣れてる。
4. Posted by clydemender 2009年07月01日 11:26
俺も狩猟生活の名残だと思ったけど、米3みたいに戦争がネックなら面白いかも。まあ、暗闇で間違った所に射精するのも淘汰圧になるか。
5. Posted by 5分 2009年07月04日 08:20
恐ろしい…
6. Posted by 2009年07月09日 12:45
くのいちは普通の忍者に比べ
夜間行動の性能が劣るってことか
夜間行動の性能が劣るってことか
7. Posted by 2009年07月21日 18:08
そうだろうな。
大昔の男は、獲物が捕れなければ夜でも狩りをしていただろうし、夜に猛獣が襲って来る事もあったかもしれないしね。
月や星の明りだけを頼りに、槍投げたり矢を射た訳だ…
長い時間を掛けて、遺伝子レベルでその能力が発達したと…
大昔の男は、獲物が捕れなければ夜でも狩りをしていただろうし、夜に猛獣が襲って来る事もあったかもしれないしね。
月や星の明りだけを頼りに、槍投げたり矢を射た訳だ…
長い時間を掛けて、遺伝子レベルでその能力が発達したと…
8. Posted by visit my homepage 2014年05月11日 22:50
e-shisha pens なんでも評点:男性は女性より暗闇での行動能力に優れている? ― 釘打ち実験により女性は周囲が明るいとき、男性は暗いとき精度が高いことが判明