2008年09月19日

16歳の少女が年上の恋人との別れと引き替えに生んだ子供が40年後、母と“実の父”を引き合わせ愛のキューピットに


英国サマセット州タウントンにクリスティン・オーチャードという名の14歳の少女がいた。ある日、クリスティンが地元の青少年クラブへ行くと、地元の女の子たちの間で憧れの的になっている“あの人”がいた。しかも、自分に気さくに話しかけてくるではないか。
会話はどんどん盛り上がった。彼の名はチェスター・ロック。地元のコインランドリー会社でエンジニアとして働いている。年齢はクリスティンより7歳上の21歳。だが、二人は年の差など気にしなかった。

青少年クラブで言葉を交わしたその日から、二人の間でラブレターの交換が始まった。そう「ラブレター」である。これは、現代の話ではない。二人が恋に落ちたのは、今から43年も前の1965年のこと。

若い二人が手紙だけで気持ちを押しとどめることができるはずがない。二人はやがてデートを重ねるようになった。14歳の少女が7歳上の社会人と付き合っているということで、周囲の雑音も大きかった。しかもクリスティンの両親は昔気質で、彼女を厳格に育ててきた。まだ14歳のクリスティンが7歳も年上の男と付き合うことを快く思わないのは当然のことだった。

対外的には問題だらけの恋だったが、二人の交際は1年、2年と続いた。これからもこうして二人過ごした歳月を重ねていけば、やがてクリスティンも成人年齢になり、7歳の年齢差など問題にならなくなっただろう。しかし、二人の恋は2年目にして、クリスティンの親の強権発動による強制終了を迎えることになる。

16歳になったクリスティンがチェスターの子を妊娠していることがわかったのだ。クリスティンはもちろん、その子を生んで、愛するチェスターとともに育て上げていくつもりだった。それ以外のことは考えられなかった。

だが、厳格な父フレッドと母フロッシーにとって、チェスターは娘をそそのかした挙げ句はらませた“ろくでなし”でしかなかった。クリスティンの母は叔母たちを呼び、クリスティンに聞かれないように部屋にこもって、クリスティンのお腹の子をどうするかについての討議を始めた。やがて部屋から出てくると、母と叔母たちはクリスティンにこう言い下した。

―――赤ちゃんを生みたいなら生んでもよい。子育ても心配しなくていい。子供は自分たちが育てる。ただし、条件がある。チェスターとは絶対に別れること。金輪際、会うことも口をきくことも許さない。彼の姿を町で見かけた場合は、さっさと遠ざかっていきなさい。

クリスティンは、お腹の子を生むことと引き替えにチェスターと別れることを決意し、親たちとの約束を忠実に守り続けた。クリスティンとの接見を禁じられたチェスターもその禁を破らず、我が子の顔を見ることはなかった。

1972年、21歳になったクリスティンは、別の男性と結婚した。そして、その男性との間に3人の子をもうけた。

こうして、もう永久に交わることのない別々の人生を歩んでいたかに見えた二人だった。しかし、これは単に若い二人の仲が厳格な親によって引き裂かれただけの話ではない。たとえもう一生会うことのない二人であっても、二人の間には子供がいるのだ。

クリスティンが16歳のときに生んだ子はトレーシーと名付けられ、元気にすくすく育っていった。もちろん、40年前に生まれた子なので今は40歳になっている。トレーシーも3人の子をもうけ、それぞれ21歳、17歳、15歳になっている。

祖父母フロッシーとフレッドはクリスティンの場合とはうって変わって、孫トレーシーに寛大だった。実は、トレーシーはシングルマザーとして3人の子を生んだのである。しかし12年前に、その祖父母が突然亡くなった(3つ以上あるソースのいずれにも死因は明記されていないが、同時に亡くなったのだから事故か心中のどちらかだろう)。トレーシーの心にぽっかり大きな穴が開いた。と同時に、あることを自分で確かめたくなった。

祖父母たちには、自分の実の父のことを“ろくでなし”だとばかり聞かされていた。本当に“ろくでなし”なのかどうかを自分の目で確かめたくなったのだ。いや、自分の実の父が“ろくでなし”なはずがなかった。むしろ、そんなことを確かめるより、別れた二人を再会させてやりたいとさえ思うようになった。

何十年も前に生き別れた父を探し出すのは容易なことではなかった。だが、2003年になって、ようやく実の父の居場所を突き止めたのだった。

なんと、実の父チェスターは自分たちと同じタウントンの空の下で暮らしていた。チェスターもとうの昔に別の女性と結婚し、1人の娘をもうけていた。トレーシーにとっては腹違いの妹である。

トレーシーは実の父チェスターに連絡を取ることに成功したが、チェスターとクリスティンはそれぞれに伴侶のいる身だった。だから、彼女は、父チェスターと連絡が取れたことを母クリスティンになかなか打ち明けられずにいた。

しかし、数年後、チェスターは妻と別れた。そして今年になってクリスティンも結婚生活に終止符を打った。若き日の二人の愛の結晶としてこの世に生を受けたトレーシーが再び二人を引き合わても波風が生じない条件が整った。

トレーシーは自分の父と母をそれぞれパブに呼び出すことにした。ただし、父と母はそれぞれ自分だけが呼び出されたと思い込んでいた。トレーシーは、自分が生まれた後完全に引き離されて一度も会ったこともなければ言葉を交わしたこともない“両親”のために、とっておきのサプライズを用意したのだ。

トレーシーは、自分のせいで離別せざるをえなかった二人をたとえ1回でもいいいから再会させてやりたいという一心で、そんなサプライズを演出してみた。われわれが仮にトレーシーの立場だったとしても、二人を引き合わせたいと思うだろう。しかし、それ以上のことは望むまい。

なんせ40年という長い長い歳月が二人を隔てていた。だから、トレーシーも、40年前に強制終了を迎えた二人の恋の炎がまさか再び燃え上がるとは考えていなかった。ところが、その“まさか”が現実となった。

その驚きの再会をクリスティンはこう振り返る。「40年ぶりに再会したその日、私と彼は話すこと、(今となっては)笑いあえることがあまりにもたくさんありました。気がついたら、5時間も時間が過ぎていたのです。懐かしい人のもとへ戻っていけることにどれほど安心できたか。こんなふうに青春を取り戻すことができるだなんて」

40年ぶりの再会を果たした日以来、二人は40年前と変わらず、いやあるいはそれ以上にお互い首ったけになってしまった。再会からまもなく、チェスターが40年前に決して口にできなかった(口にしたとしても決して果たすことのできなかった)言葉をクリスティンに投げかけた。「結婚してくれ」

クリスティン(16歳→57歳)とチェスター(23歳→64歳)は、来る9月27日にタウントンのチャペルで式を挙げる。子供が実の両親の結婚式に出席できることは通常はありえない。しかし、40歳になったトレーシーは、そんな実に珍しい機会に恵まれることになる。いや、そもそも二人のキューピット役を務めたのは二人の実の子トレーシーなのだから、それ自体、普通ではありえないことである。

チェスターは言う。「お互い回り道をしてきたけど、クリスティンは私にとって一生の恋人です。こんなに幸せなことはありません。クリスティンと結ばれる日が来るなんてことを10年前に誰かに言われていたとしても、決して信じなかったでしょうね。でも、それが現実になった」

トレーシーは言う。「これでやっと、家族が一緒になれるのだと思います」

【付記】

10日以上も更新間隔が開いてしまった。久しぶりに記事を書き出し始めてみたものの、書き上げるまでにかなり時間がかかってしまった。仕事でしばらく英語ばかり書いていた(英訳ばかりしていた)せいだろうか、なんだか日本語がおかしい気がする。時間がかかった割に・・・。

更新が止まった理由は、仕事が忙しかったのと私生活に変化が多かったせいである。いつもなら更新停止期間中に何か言い訳っぽい記事を出すところだが、それすら気が進まないほどだった。かといって、うつ状態だったわけでもない。現実世界で活発に行動し過ぎて(ついでに酒も飲み過ぎて)、ネットに割く時間がなかったというのが実際のところ。




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http://rate.livedoor.biz/archives/50711270.html 出来すぎのようにも感じますが、感動でちょっと泣きました。...

この記事へのコメント

1. Posted by 修行する社員   2008年09月19日 02:41
すごい奇跡的なお話だと思いました。
2. Posted by 四角   2008年09月19日 11:25
21歳で14歳と付き合って、2年後に孕ませたんじゃ、親にろくでなしと言われても当然だわな。
最終的に結ばれたからいい話として読めるけど、結ばれなかったら男の方も女の方もろくでなしだよ。
なんでわざわざこう言う酷いことを書くかと言うと、こう言う記事があると「愛があれば許される」なんていう一方的な勘違いをしたロリコンが暴走して突っ走る可能性があるから。
未成年と社会人の歳の差恋愛なんて世間的に許される事ではないけど、きちんと愛があって、お互いがお互いの行動に責任を持てれば個人的には許されると思う。
「持てれば」ね。
それが出来る奴なんて世の中にそうそう居ない。
3. Posted by ヴァル   2008年09月19日 13:33
すっごくイイ話ですね
ただ、写真の旦那を見てチョットがっかり
イケメンじーちゃんを期待してのにw
4. Posted by nanasi   2008年09月19日 16:37
米2
これが妬みというものか……実に醜い
自己弁護してるのが尚更
5. Posted by まめだぬき   2008年09月19日 23:57
3 トレーシーの気持ちがもっと知りたいな。実の父親に憧れ続けたんだろか。理想を持ち、夢が膨らみ、責任を感じつつ。私は片親に育てられたけど、顔も見たことのない親なんて、どんな話し(良いことも悪いことも)を聞いても「絶対に会いたいし二人がまたくっつけばいいのに」なんて発想は浮かばなかったなぁ。
複雑な思いで読みつつ、久しぶりに更新されていたので安心しました。
6. Posted by Myk   2008年09月20日 00:09
いやしかし※2さんじゃありませんけど、私も世間にはびこる「愛さえあれば何でもOK」という空気はいかがなものかと思います。
この二人の場合、再会して再燃することはまだ良いにしても、その前に離婚した互いのパートナーとの関係はなんだったのか、そこに生まれた子供たちは、じゃあいらない子だったのか、などと周りの人のことを考えると、素直に良い話とは捉えられませんね。
7. Posted by Q   2008年09月20日 11:55
米4
醜くないよ、真っ当で常識的な意見だ
最後に結婚したエピソード無ければ、
いやリアルタイムでの14歳と21歳の頃見て、この二人は純愛だ!と言い切れるか?
それに周りの人間にはひどい事してるよ、この二人
初恋の人とやり直すから別れるね!って言われた配偶者
(しかも夫は血の繋がらない子供を養ってくれた)
自分と片親は必要無いと言われたも同然の子供達
この人たちを初恋の障害扱いしてまで、
この二人はくっつく必要あったとは思えない
どう好意的に見ても、自己中で考え無しのバカップル二人の話にしか見えないよ
8. Posted by ee   2008年09月20日 19:43
そもそも海外と日本じゃ離婚とか連れ子?とかの考え方もだいぶ違うんじゃないでしょうか。
結局運命の相手はその人だったんだと思います。
だからってお互い離婚したパートナーとの間にできた子供がいらない子なんてことにはならないでしょう??
上手くいえないけど、皆さん考え方が卑屈だと思います。
9. Posted by 黒熊   2008年09月21日 00:20
少なくとも離婚した時点でクリスティンさんは息子がチェスターさんと連絡を取っている事は知らなかったようですし、トレーシーさんが離婚した理由もわかりません。
二人が初恋の相手とよりを戻すためにパートナーを捨てたのだとか、チェスターさん以外の子どもはいらないのだとか決め付けてしまうのは早計に過ぎると思います。
10. Posted by K   2008年09月21日 01:15
少なくとも離婚した時点でクリスティンさんは息子がチェスターさんと連絡を…ってこれ息子じゃなくて娘なんじゃ?トレーシーは3人子供産んだんだから女でしょ。それにトレーシーが離婚した理由もわからない…ってトレーシーの離婚が何に関係あるの?かわからない。それ以前にトレーシーはシングルマザーとして3人の子を産んだんだよ、結婚も離婚もしてないんじゃないの?どんなんだろ、筆者さん教えて!
11. Posted by K   2008年09月21日 02:01
あ、もしかしたら『少なくとも離婚した時点でクリスティンさんは[娘]がチェスターさんと連絡を取っていることは知らなかったようですし、[クリスティン]さんが離婚した理由もわかりません。』こう?これなら言ってることわかるけど。
12. Posted by    2008年09月21日 23:41
>赤ちゃんを生みたいなら生んでもよい。子育ても心配しなくていい。
>子供は自分たちが育てる。
>ただし、条件がある。チェスターとは絶対に別れること。
この両親の意見が理解出来ない。
相手が成人ならしっかり結婚させて責任取らせるか、
堕ろしてきっぱり別れさせるべきでは。


13. Posted by    2008年09月23日 00:17
カトリックなんだからおろさねんじゃね?
14. Posted by a   2008年09月23日 03:05
ちょっといい話

そしてなんでも評点がいまもまだ健在でよかった

アンビリーバボーのネタ元はここかな?
15. Posted by あ   2008年09月24日 07:08
感動しました
16. Posted by    2008年09月25日 00:44
こう言う話が載ってるとすぐ世間への影響を気にする人いるけど
自分がどれだけ頭良いと思ってるの?
自分が良識的な判断できるんだから、世間の大半の人は良識的な判断できるよ。
で、その大半に入らないお馬鹿さん達には何を言ったところで無駄。
だから安心してこう良いなよ。
「( ;∀;) イイハナシダナー」
まあ、心の中で良識的な突っ込みをするのは良いことだけどね。
場の空気を濁してまでするのはどうかと思うよ。
17. Posted by     2008年09月26日 13:28
文章を読む限り「愛があれば許される」なんて思い込みで行動してるようには思えませんけど
長い人生の中ではあなたの考える常識だけで事が運ぶことはありえないって事です
社会人と未成年の恋愛がタブーなんて初めて聞きましたwたとえば歳が一つしか違わなかったら?親も反対しなかったと思いますが

離婚にしても相手も含めての結末ですよ
初恋の相手と再婚したからといって離婚の原因は初恋にはまったく関係ないですしね
18. Posted by makko   2008年09月29日 20:16
5 すごく偶然というか、
ありえないことが起こったという感じですね。
驚きました。
19. Posted by のま   2008年12月11日 20:55
5 こんばんわ。初めてコメントします。毎回更新楽しみにしてます!たまたまアンビリバボーを見ていたらこの記事の事があってたので、ついコメントしちゃいました。これからも楽しみにしています!頑張ってくださいね!

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