2008年08月02日
その施設はカリフォルニア州ソラノに存在する。設計上の収容人数は2,610人だったが、収容される者が後を絶たず、2007年9月には収容者人口が6,025人に達したという。しかも、その全員が男性である。
施設の名は「州立ソラノ刑務所」。カリフォルニア州のKCR3.COMが伝えるところによると、この施設の中に10台の“配布機”が設置されようとしている。“配布機”などという耳慣れない言葉を使ったが、自動販売機と似た構造の装置である。ただ、無料配布なので、お金を入れる必要がない。では、いったい何を無料で配布しようとしているのか?
コンドームである。
10台の配布機で、毎週1,200個のコンドームを無償配布するという計画である。毎週1,200個というのは途方もない数に聞こえる。しかし、6,000人超という収容者数を考えれば、それくらいの消費数があってもおかしくはないだろう。
これらの配布機とコンドームは、ある非営利団体が供給することになっている。その総コストは6万ドルに上る。
もっとも、コンドームは2人で1回につき1個ずつ消費するタイプの消費財なので、6,000人という数字を3,000組のカップルという数字に変換して考える必要がある。つまり、この施設には、3,000組の潜在的カップルが存在していて、そのうちの何割かがコンドームを必要としているということになるだろう。
平均して週1回のペースだと仮定すると、1,200/3,000×100=40%となり、収容者人口の4割が週に1度、コンドームを消費する行為に耽っていることになる(常にパートナーが固定されていることが前提となるが)。週2回なら2割、週4回なら1割と減っていくわけだが、大半の読者はとっくに摩訶不思議な事実に気づいていることだろう。
この施設で暮らしている収容者は全員が男性である。コンドームを使わなくても妊娠の心配はない。それは確かにそうだ。しかし、たとえ全体の2割にあたる600組のカップルが毎週平均して2回の行為に耽っているとしても、男性同士なら、お互いの“ポジション”を交代する場合もあるので、1回の“セッション”で2個のコンドームが必要になることもあるのではないか? それは確かにそうだ。
いやそうではなくて、そもそも米国の刑務所では男性同士で欲求を解消し合うことが、そんなに多いのか・・・というのが、多くの読者の抱く疑問のはずである。
“Center for Health Justice”のメアリ・シラ女史は、この計画を実行すれば「リスクのある行為を減らすことができます」と話す。ここで注意しなければならないのは、シラ女史の言い方では男性同士が交わること=“リスクのある行為”ではない点である。コンドームをつけていればリスクを排除できるのだから、男性服役囚同士が交わってもかまわない・・・ということになるだろう。
しかし、カリフォルニア州の刑務所では、男性同士が交わることが受刑者の自由として認められているのだろうか? 答えはNOである。同性間であろうが、異性間であろうが受刑者同士の性的交わりは違法とされている。
「刑務所内での性的活動が違法であることに変わりはありません」カリフォルニア州政府矯正施設管轄部のテリー・ソーントン氏は言う。「受刑者には、配布機の場所を教えることになりますが、同時に性的活動が違法であることも告知します」
刑務官たちは、この計画がいよいよ実行に移されようとしていることを快く思っていない。刑務官のユニオン(労組)は、この計画に反対する立場を表明している。ユニオンが特に懸念しているのは、コンドームが武器や薬物の隠蔽に使用されるのではないかという点である。
ユニオンのクリス・ゴールド氏曰く。「受刑者がコンドームに何かを入れて(武器代わりに)スタッフや他の受刑者に投げつける可能性があります」
賛否両論の中、この計画は既に最終段階に達している。毎週1200個の無料コンドームを配布する10台のマシンが近日中にソラノ刑務所に導入されそうな見込みだ。
カリフォルニア州といえば、あのアーノルド・シュワルツェネッガーが知事を務めている。州全体を通じてコンドームを無償配布するための立法をシュワルツェネッガー知事は過去に2回も拒否している。しかし、2007年秋に結局、そのシュワルツェネッガー知事自らが矯正施設管轄部に対して1年間のトライアルを実施するように命令するに至ったのだった。
つまり、この計画は知事お墨付きの計画なのだ。ロサンゼルスやサンフランシスコなどの郡刑務所では、すでに小規模な試験プログラムが実施されている。これらのプログラムの支持者らによると、コンドームが武器代わりに使用された事例は1件たりとも報告されていないという。
ソラノ刑務所への試験的導入については、1年間のトライアル期間完了後、州の役人たちがプログラムの成否に関する報告書を提出する予定になっている。この試験プログラムに納税者の税金が使われることはないという。
冒頭でも触れたように、設計上の定員2,610名の施設に6,000名超の男たちがひしめき合っている。彼ら同士の性的交わりを阻止することは、物理的に不可能なのだろう。ならば、せめてHIVが収容者間で蔓延することにだけは歯止めをかけるべきだ、というのがこういった計画の根源にある考え方なのだろう。
それにしても、仮に毎週平均して2回なら、2割前後の男性受刑者たちが同性パートナーとの行為に耽っていることになる。いったいそこは、どういう場所なのか。

※評点チャートについて:本稿については、評点を早めにつけることができました。本稿の前の2つの記事についても評点をつけ終えました。
■ Source: http://www.kcra.com/news/17043442/detail.html
【関連記事】
コンドームである。
10台の配布機で、毎週1,200個のコンドームを無償配布するという計画である。毎週1,200個というのは途方もない数に聞こえる。しかし、6,000人超という収容者数を考えれば、それくらいの消費数があってもおかしくはないだろう。
これらの配布機とコンドームは、ある非営利団体が供給することになっている。その総コストは6万ドルに上る。
もっとも、コンドームは2人で1回につき1個ずつ消費するタイプの消費財なので、6,000人という数字を3,000組のカップルという数字に変換して考える必要がある。つまり、この施設には、3,000組の潜在的カップルが存在していて、そのうちの何割かがコンドームを必要としているということになるだろう。
平均して週1回のペースだと仮定すると、1,200/3,000×100=40%となり、収容者人口の4割が週に1度、コンドームを消費する行為に耽っていることになる(常にパートナーが固定されていることが前提となるが)。週2回なら2割、週4回なら1割と減っていくわけだが、大半の読者はとっくに摩訶不思議な事実に気づいていることだろう。
この施設で暮らしている収容者は全員が男性である。コンドームを使わなくても妊娠の心配はない。それは確かにそうだ。しかし、たとえ全体の2割にあたる600組のカップルが毎週平均して2回の行為に耽っているとしても、男性同士なら、お互いの“ポジション”を交代する場合もあるので、1回の“セッション”で2個のコンドームが必要になることもあるのではないか? それは確かにそうだ。
いやそうではなくて、そもそも米国の刑務所では男性同士で欲求を解消し合うことが、そんなに多いのか・・・というのが、多くの読者の抱く疑問のはずである。
“Center for Health Justice”のメアリ・シラ女史は、この計画を実行すれば「リスクのある行為を減らすことができます」と話す。ここで注意しなければならないのは、シラ女史の言い方では男性同士が交わること=“リスクのある行為”ではない点である。コンドームをつけていればリスクを排除できるのだから、男性服役囚同士が交わってもかまわない・・・ということになるだろう。
しかし、カリフォルニア州の刑務所では、男性同士が交わることが受刑者の自由として認められているのだろうか? 答えはNOである。同性間であろうが、異性間であろうが受刑者同士の性的交わりは違法とされている。
「刑務所内での性的活動が違法であることに変わりはありません」カリフォルニア州政府矯正施設管轄部のテリー・ソーントン氏は言う。「受刑者には、配布機の場所を教えることになりますが、同時に性的活動が違法であることも告知します」
刑務官たちは、この計画がいよいよ実行に移されようとしていることを快く思っていない。刑務官のユニオン(労組)は、この計画に反対する立場を表明している。ユニオンが特に懸念しているのは、コンドームが武器や薬物の隠蔽に使用されるのではないかという点である。
ユニオンのクリス・ゴールド氏曰く。「受刑者がコンドームに何かを入れて(武器代わりに)スタッフや他の受刑者に投げつける可能性があります」
賛否両論の中、この計画は既に最終段階に達している。毎週1200個の無料コンドームを配布する10台のマシンが近日中にソラノ刑務所に導入されそうな見込みだ。
カリフォルニア州といえば、あのアーノルド・シュワルツェネッガーが知事を務めている。州全体を通じてコンドームを無償配布するための立法をシュワルツェネッガー知事は過去に2回も拒否している。しかし、2007年秋に結局、そのシュワルツェネッガー知事自らが矯正施設管轄部に対して1年間のトライアルを実施するように命令するに至ったのだった。
つまり、この計画は知事お墨付きの計画なのだ。ロサンゼルスやサンフランシスコなどの郡刑務所では、すでに小規模な試験プログラムが実施されている。これらのプログラムの支持者らによると、コンドームが武器代わりに使用された事例は1件たりとも報告されていないという。
ソラノ刑務所への試験的導入については、1年間のトライアル期間完了後、州の役人たちがプログラムの成否に関する報告書を提出する予定になっている。この試験プログラムに納税者の税金が使われることはないという。
冒頭でも触れたように、設計上の定員2,610名の施設に6,000名超の男たちがひしめき合っている。彼ら同士の性的交わりを阻止することは、物理的に不可能なのだろう。ならば、せめてHIVが収容者間で蔓延することにだけは歯止めをかけるべきだ、というのがこういった計画の根源にある考え方なのだろう。
それにしても、仮に毎週平均して2回なら、2割前後の男性受刑者たちが同性パートナーとの行為に耽っていることになる。いったいそこは、どういう場所なのか。

※評点チャートについて:本稿については、評点を早めにつけることができました。本稿の前の2つの記事についても評点をつけ終えました。
■ Source: http://www.kcra.com/news/17043442/detail.html
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1. でっきぶらし -ネットの新鮮ニュースを毎日お届けします- [ でっきぶらし -ネットの新鮮ニュースを毎日お届けします- ] 2008年08月02日 20:55
更新時間 2008/08/02 21:00
● 画像
● サイヤ人の宇宙船のようなツリーハウスの中はどうなっているのか? (GIGAZINE) 意外と快適そうw
● 台風の中でもさせるスタイリッシュな傘
なんちゅう流線型のデザインww性能はすごいらしいw
...
この記事へのコメント
1. Posted by
2008年08月02日 05:30
評点は100点満点なんですね……
携帯からだから10点だとばかり。
前記事の行間読み度、10点中7点の感覚でつけてしまった……
携帯からだから10点だとばかり。
前記事の行間読み度、10点中7点の感覚でつけてしまった……
2. Posted by ヴァル
2008年08月02日 10:06
アッー!指数www
3. Posted by えめとん
2008年08月04日 20:02
な…なにも男しか居ない所で試さなくても…
ラブホとかあるだろうに…
ラブホとかあるだろうに…
4. Posted by 猿
2008年08月05日 21:27
5. Posted by 豚
2008年08月11日 05:51
男同士であろうと、感染症(HIV含む)のリスクを回避するためにはコンドームは必須であったりする。
それにしても、先鋭的な試みなことで。
実験結果を早く知りたいですところです。
それにしても、先鋭的な試みなことで。
実験結果を早く知りたいですところです。
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