クラウドソーシング「ランサーズ」 なんでも評点:被災地由来の核汚染や新型ウィルスを心配するのは本当に杞憂に過ぎないのか? 五輪スポンサーに良心は残っていないのか?

2008年05月23日

被災地由来の核汚染や新型ウィルスを心配するのは本当に杞憂に過ぎないのか? 五輪スポンサーに良心は残っていないのか?


このところ西の空が気になってしかたがない。昨年暮れに長年の自動車通勤をやめて以来、自転車で移動する日々が続いている。西風の日が多く、西の空を見て走るときは空気抵抗との戦いになる。しかし、その風が“空前絶後の危機”を運んでこないとも限らない状況になってきた。
先日、「四川大震災は日本や世界をこれからどんな連鎖に巻き込むのだろうか」と題する記事を書いた。ダム決壊などの二次災害による経済的影響がやがて日本にも波及するのではないかと書いたわけだが、私自身が最も懸念している2点については、たいして知識もない自分が憶測だけで言及するのもどうかと思い、あえて触れないでおいた。

捏造でさんざん叩かれたあの関西テレビが夕方に放送しているニュース番組「FNNスーパーニュースANCHOR」で、5月21日にジャーナリストの青山繁晴氏がその2つの危機について、ずばり解説しておられる。「核汚染」と「伝染病・新型鳥インフルエンザ」の2つである。

そのビデオクリップがYouTubeにアップされているので、この記事に埋め込んでおく。(何らかの事情でYouTubeから削除されると、下の埋め込みビデオも表示されなくなるわけだが)。



今のところ、この2つの危機について明確に言及した報道番組はほかにないはずだ(ただし、週刊誌は、これからこの2つの危機についていろいろと書き立てることだろう)。「FNNスーパーニュースANCHOR」は首都圏では放映されていない。こういう危機が現実味を帯びつつあることを認識していない人の方が多いかもしれない。

いたずらに恐怖を煽るのはよくないと思う。しかし、震災より5日前の5月7日に福田首相が日中共同記者会見で次のように念を押していたという経緯もある。

「偏見や誤った報道があれば、両国の国民の理解、信頼につながらない可能性がある」と述べ、メディアに対する異例の注文を行った。

首相は同日夜、誤った報道の具体例を求めた記者団に対し、「一般論だ。真実を国民が知らなければ本当の判断ができない。あなた方(報道機関)の大きな責任だ。心してやってください」と答えた。

【引用元】産経ニュース


実際、この注文が効いたせいかどうか知らないが、5月17日に起きた重大事件を日本のメディアがほぼ完全にスルーしてしまった。この事件のことを日本語で伝えているのは、朝鮮日報の日本語版だけである。

17日午後1時54分(現地時間)ごろ、中国浙江省南部の温州市竜湾区で北京五輪の聖火リレー直後に車両が爆発、少なくとも16人が死亡した。18日付香港紙・明報が伝えた。13人は現場で即死し、3人は収容先の病院で死亡。負傷者32人のうち16人は重体だという。

爆発は聖火リレーから1時間後に起きた。目撃者は「乗用車と7人乗りバンが道路脇に止まっていたが、その間をトラクターがバックしようとしたところ、突然爆発が起きた」と証言した。公安当局は現場検証で爆弾のような爆発物を発見できなかったと発表した。ただ、爆発物を使った五輪妨害テロの可能性もあるとみて捜査を継続している。今月5日には上海でもバスが爆発し、3人が死亡した。

【引用元】朝鮮日報


上記の報道内容では“事件”ではなく“事故”が正確ではないかと思う人もいるだろう。実は、5月19日に“爆弾の爆発”であったことが現地の警察発表によって明らかにされている。

上海日報英語版の記事によると、本件は当初、単なる交通事故と考えられていた。だが、その後、トラクターを運転していたHu Baoqiangという44歳の男の自宅を警察が調べたところ、ヒューズなど、爆弾の材料が見つかった(この男は爆発で死亡している)。

そして、男の運転していたトラクタにはガス・タンクと爆発物が仕掛けられていたこともわかった。男はばくちで負けた腹いせに賭博場をふっ飛ばしてやろうとしてトラクタを運転しているときに交通事故を起こし、その衝撃で爆弾が暴発した・・・と現地の警察は見ている。

しかし、死者の数は当初発表された16人から18人に増えており、重軽傷者も40人に達している。63メートル離れた場所にあった窓ガラスも粉々に割れている。爆発の規模がかなり大きかったことがわかる。(注:Heavenさんでも本件が取り上げられている)。

ばくちに負けて仕返しを考えるような短絡的な男に、そこまでの殺傷能力を持つ爆弾を作ることができるものだろうか・・・という疑問が湧く。組織的なテロが疑われてもおかしくないところである。

もちろん、組織的なテロというのは可能性の1つでしかない。しかし、この事件を日本のメディアが伝えたら、組織的なテロではないかという印象を与えてしまうことにもなりかねない。福田首相が言うところの「偏見や誤った報道」と取られてしまいかねない。だから、日本のメディアは本件のスルーを決めた・・・ということなのだろうか。

★ ★ ★


さて、被災地の北川県が完全封鎖されたことを産経ニュースが5月22日付の記事で伝えている。中国側が言うところの封鎖の理由は、感染症拡大を防ぐためということになっている。しかし、北川県およびその周辺には核施設が存在する。

日本のメディアは、事なかれ主義的な福田首相の言いつけを守って、中国側の発表に忠実に伝えるだけでよいのだろうか? いや、福田首相の言いつけがなくても、オリンピックのスポンサー企業の手前、五輪中止を示唆するような情報をテレビ・メディアが避けて通ろうとするのは当然のことだろう。

当ブログで何度か書いたが、北京五輪開催は“経済至上主義”でここまで突っ走ってきた。核汚染や疫病蔓延が多少疑われても、なんとかやり過ごして予定通りの収益を上げられる可能性の方が高いと読んでいるのだろう。しかし、その読みは、あまりにも甘すぎるかもしれない。

リスクは、その存在を知ってこそリスクである。日本の国民は、リスクについても知る権利があるのではないだろうか? そういう危機が現実のものになる可能性が高いとは決して言わないが、核で汚染された粒子が日本列島に降り注ぐリスクもゼロとは言えない。被災地で発生した新型ウィルスが渡航者や渡り鳥などを介して日本に到来するリスクもゼロとは言えない。

青山繁晴氏はジャーナリストとして、そしてリスク管理のエキスパートとしての良心に基づき、視聴者に向けて警鐘を鳴らされたのだろう。テレビの中で喋っている人にも、ごく稀に骨のある人がいる。生番組とは言え、青山繁晴氏が喋る内容は事前に打ち合わせられていたはずなので、関西テレビも捨てたものではない。

★ ★ ★


スポンサー企業にも良心はあるはずだ。核汚染や新型ウィルス蔓延があくまで究極のリスクだとしても、既に莫大な数の尊い人命が失われている。少なくとも被災地では、これから夏場にかけて食糧不足や水不足が深刻化していくだろう。地獄のような惨状がこれからも続くだろうし、さらに悪化する可能性も高い。

北京が被災地から遠く離れているとはいえ、同じ国の中に天国と地獄が同居することになる。北京で華やかな祭典が繰り広げられている間も、被災地では大勢の人たちが地獄の苦しみを味わっている。スポンサー企業は、そういう現実にも目をつぶって利潤を追求するのだろうか? 

もしそれでも五輪中止がないというのであれば、スポンサー企業やテレビメディアなどは、五輪による全収益を被災地に寄付すべきである。もっとも寄付しても本当に被災者に届くとは限らないわけだが。

【追記 5/24 01:00】

  1. 瓦礫の中に埋もれた15個は本当に放射性物質なのか?

    15個の放射性物質が瓦礫の中に埋まっていて回収のめどが立たない」というニュースが伝えられている。だが、成都市内での徹底した消毒作業の様子を見ていると、別の疑惑も頭をもたげる。

    本当に放射性物質なのか? もしかしたら生物兵器に類するものではないのか? という疑惑である。軍施設では、その手の兵器も作られていたはず。

    ガス壊疽の患者が多いとされていることも気になる。ガス壊疽を引き起こすウェルシュ菌は自然界に広く分布している菌だが、生物兵器にも応用されている。

  2. コメント欄について

    オカルチックに過ぎるコメントや、貧しい被災者を含むあらゆる中国人を同一視する系統のコメントは本稿の主旨と無関係なので、今後ご遠慮願いたい。とりあえず現時点では、それに類するコメントも受け付けているが、以後は表示を控えさせていただく。


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この記事へのコメント

1. Posted by snow26   2008年05月23日 11:20
毎度の更新ありがとうございます。
そうなんです。「核」大丈夫なんでしょうか。
下記記事ですが、原因不明の下痢と嘔吐って…

http://sankei.jp.msn.com/world/china/080521/chn0805211703011-n1.htm
2. Posted by     2008年05月23日 16:38
一言、やばい、としか言いようが無い。
冗談抜きで失礼な話だが、不潔な場所から新種のウイルスが生まれる可能性は高いわけで。
ほとんど神の鉄槌クラスの妨害行為をうけても、被災者の隣で、まだなお開かれようとする”平和の祭典”オリンピック。
これほど、皮肉なイベントがかつてあっただろうか。
3. Posted by えめとん   2008年05月23日 22:19
たしかにあれは神の鉄槌そのものだろう…
地震だし、ずどんと鉄槌。
罪状も山盛りあるし、ね…ハック犯罪の半分以上は中国人が関与してる位だし。
4. Posted by ななし   2008年05月27日 01:27
>米3
中国人を一般化しすぎだろww
農村の貧しい被害者と北京のIT戦士を同一視するな
5. Posted by にゃ   2008年05月27日 02:11
4 一週間ほど前から、喉の腫れと鼻水に悩まされてます。この時期にこんなに酷いアレルギーが出るのは珍しいので、何だか西の大陸を疑ってしまいます。黄砂の害も酷いですし、中国怖いです。
ってよく旅行に行きますけどね。
6. Posted by えめとん   2008年05月27日 07:00
>ななし
たしかに一般化しすぎたかもね…気分を害してたらごめん。

なにはともあれ、貧富の差と良識の差は課題だろうな、中国の発展上。

このまま貧富の差があまり無くなる位発展されると俺の言う極端な事(中国=IT犯罪大国)も嘘じゃなくなると思う。
中国人の留学生に話を聞いても日本の某所利用と同じ感覚でハックやらネトゲ商売やってるそうだからなぁ…
7. Posted by ブッキー   2008年05月28日 05:24
中国は貧富の差が人類史上最大まで拡がってるって学者が言ってたな。詳しくは知らないんだが最貧困層と最裕福層(上流階級)では1兆倍くらいだとか・・・。

放射性物質の話は多分本当のことならアメリカが黙ってないだろうから違うと思う(五輪開催中は沈黙ってだけかもしれない)。BC兵器の類が漏れ出してるんだろうと思う。
8. Posted by hasegawa   2008年05月28日 12:46
中国の貧困農村では年収5000円程度のところもあるようですね。

一方都市部は好況で、既に日本を追い抜いている状態では?

年収1000万クラスがごろごろいる反面、
年収8750円以下(625元)の人口も3000万人弱(実際にはもっと多いでしょう)。

これほどの格差社会は近代初でしょうね。
9. Posted by トウキョウオアシス   2008年05月29日 10:55
こちらのブログに青山 繁晴さんの名前がでてうれしい。
10. Posted by 通りすがり   2008年06月16日 00:32
開催国にて伝染病が発生した場合は開催できない、という旨がオリンピックの規則に書かれているらしいのですが、ソレすらも無視する気なのでしょうか。
参加者や観客への感染もさることながら、伝染病発生を隠そうとして、かの地の人たちに適切な処置が行われないのではと勘ぐってしまいます。

IOCのロゲさんはこの事態をどう思っているのでしょうか。というか、最近全く見ないのですが、どうなさったんでしょうね。
11. Posted by     2008年06月24日 17:15
中国でなくて、IOC批判だけど、
オリンピックの汚れた貴族って本がおすすめ

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