2008年05月18日
5月16日、所用があり大阪ミナミの道頓堀界隈を昼間と夜8時ごろの2回通り過ぎたところ、金曜だというのに閑散としていた。たとえば、あの有名なたこ焼き屋「本家大たこ」は金曜から週末にかけて長蛇の列が出来るものなのだが、待ち客ゼロという異常事態(ただでさえ客が来なくて苛立っていそうな店の人に睨まれそうなのと、用事があって急いでいたのとで写真を撮れずじまいだったが)。
ここ数年、大阪は中国人観光客が急増していた。2007年に中国から大阪を訪れた観光客の数は100万人を突破したとされる。特に人気があるのが大阪ミナミである。当地のデパートや有名飲食店には、中国人向けのクレジットカード決済サービスを導入するところが増えてきている。
しかし、5月16日には、その中国人観光客がミナミの町にほとんど見当たらなかった。地震のため旅行を自粛したのか、それとも海外旅行を中止するように上からお達しがあったのか。
中国人観光客を当て込んで商売をしている人たちは、冷や汗ものだろう。四川大地震が日本経済に及ぼす影響の第一波をここに見ることができるのかもしれない。
これから、どんどん影響が生じてくることだろう。紫坪鋪ダムや地震で生まれた堰き止め湖が決壊すれば土石流や洪水により多大な人命が失われることに加え、発電能力と水供給能力が失われる。飲料水だけでなく、工業用水も不足する。
四川省には日本企業の工場が多数存在する。その工場を今後長期にわたって操業できなくなる可能性がある。
それどころか、紫坪鋪ダムなどが決壊すると、下流にある三峡ダムに大量の水、土砂、瓦礫が流れ込む。その重みが別の大きな地震を誘発する可能性もあれば、全長570キロもの巨大人工湖を支える三峡ダム自体が決壊する可能性もある。
仮に三峡ダムが決壊した場合、下流域は大洪水に襲われる。海にも膨大な量の汚水と土砂が流れ込む。その影響で津波が生じるとは考えにくいが(一気に流れ込むわけではないので地震のような衝撃波が生じない)、海洋汚染を招くことは必至だろう。漁業にも甚大な影響が生じるはずだ。
三峡ダム決壊は最悪のシナリオだとしても、今年の夏、中国は深刻な水不足に悩まされることになるだろう。水不足という点だけでも、もはや五輪開催は物理的に難しくなったのではないか。
対岸の火事では済まない。北京五輪に関しては「世界全体が瀬戸際に立たされているのではないか」と少し前に書いたことがある。先進諸国が中国に膨大な投資を続け、その収益を回収するために多少のことには目をつぶる・・・という経済至上主義が北京五輪のゴリ押し開催を支えてきた。
経済と政治、あるいは経済とモラルの間に生じた歪みがピークに達するより前に、四川省ブン川県の地下で地殻の歪みが臨界を超え、大地震を引き起こした。これにより、北京五輪を強力にサポートしてきた先進諸国の経済至上主義の基盤が完膚なきまでに崩れ去ったと見るのは極論に過ぎるだろうか。
阪神大震災のときもそうだったが、甚大な被害をもたらした天災の後は、同様な天災が今すぐにでも繰り返されるのではないかと神経質になってしまいがちだ。たとえば、筆者は5月15日の夕刻に淀川の堤防上から西の空に“地震雲”を目撃している。
飛行機雲に似た幾筋もの長い雲が西から東に伸びていた。しかも西の果ては、それらの筋雲が1つに収束してサボテン状の奇怪な雲になっていた。いつまで経っても、それらの雲が流れていく気配はなかった。
地震雲の報告がないかとネットで調べてみると、その日、同様な雲を目撃した人が多数いることがわかった。目撃者の分布は、兵庫県から愛知県までの地域にまたがっていた。
“地震雲”の情報を扱っているサイトなどによると、そのタイプの“地震雲”が見られた場合は、数時間から24時間以内に地震が発生することがよくある、とのことだった。しかし、24時間が経過しても大地震が西日本で発生しなかったことは言うまでもない。
また、四川省では1923年の3月24日にも大地震が起きている。そして、同じ年の9月1日に、あの関東大震災が起きた。このことから、次は“第二次関東大震災”の番ではないかと心配する人もいる。
近いうちに大地震が日本で起きるかどうかは何ともいえないわけだが、日本にいるわれわれにとっても今年が大変な年になる可能性は低くない。日本の経済は中国に深入りしすぎている。中国の経済が壊滅的打撃を受けたとすれば、日本の経済もその余波を免れない。
また、中国の体制に大きな変化が生じる可能性もある。究極のシナリオとしては共産党による支配が崩れることが考えられる。しかし、それは同時にクーデターや内戦の勃発を意味することになるのだろう(ま、こっち方面の話はど素人なので生半可なことを言っているだけに過ぎないが)。
四川大震災がもたらした被害(建造物崩壊)の面に関しては、人災的要素が大きいと言われている。手抜き工事(オカラ工事)が横行していたというのだ。その背景には、役人と業者の癒着、賄賂・・・という問題がある。
東西冷戦末期に“エコノミックアニマル”の手先として活動していた筆者が経験したことから言っても、共産圏で商売をしようと思えば、どんなかたちであれ役人の“便宜”を図ってやることが非常に重要なポイントだった。しかし、彼らの腐敗した体質がやがては体制の崩壊へとつながった。
ただ、東側体制が崩壊したとき、西側諸国にとって東側諸国は経済的価値の高い存在ではなかった。西ドイツのように東ドイツというお荷物を抱え込むことになった国さえあった。しかし、ベルリンの壁崩壊から20年の間に、中国は“西側諸国”にとって極めて高い経済的価値を持つ存在へと昇り詰めてしまった。
その中国がこうして未曾有の事態に見舞われている。これからどんな連鎖が世界全体を巻き込んでいくのか。「いや、意外とたいした影響はないよ」と言う人もいるだろう。私も自分の生活のことを考えれば、大きな影響などないに越したことはないのだが・・・。
しかし、5月16日には、その中国人観光客がミナミの町にほとんど見当たらなかった。地震のため旅行を自粛したのか、それとも海外旅行を中止するように上からお達しがあったのか。
中国人観光客を当て込んで商売をしている人たちは、冷や汗ものだろう。四川大地震が日本経済に及ぼす影響の第一波をここに見ることができるのかもしれない。
これから、どんどん影響が生じてくることだろう。紫坪鋪ダムや地震で生まれた堰き止め湖が決壊すれば土石流や洪水により多大な人命が失われることに加え、発電能力と水供給能力が失われる。飲料水だけでなく、工業用水も不足する。
四川省には日本企業の工場が多数存在する。その工場を今後長期にわたって操業できなくなる可能性がある。
それどころか、紫坪鋪ダムなどが決壊すると、下流にある三峡ダムに大量の水、土砂、瓦礫が流れ込む。その重みが別の大きな地震を誘発する可能性もあれば、全長570キロもの巨大人工湖を支える三峡ダム自体が決壊する可能性もある。
仮に三峡ダムが決壊した場合、下流域は大洪水に襲われる。海にも膨大な量の汚水と土砂が流れ込む。その影響で津波が生じるとは考えにくいが(一気に流れ込むわけではないので地震のような衝撃波が生じない)、海洋汚染を招くことは必至だろう。漁業にも甚大な影響が生じるはずだ。
三峡ダム決壊は最悪のシナリオだとしても、今年の夏、中国は深刻な水不足に悩まされることになるだろう。水不足という点だけでも、もはや五輪開催は物理的に難しくなったのではないか。
対岸の火事では済まない。北京五輪に関しては「世界全体が瀬戸際に立たされているのではないか」と少し前に書いたことがある。先進諸国が中国に膨大な投資を続け、その収益を回収するために多少のことには目をつぶる・・・という経済至上主義が北京五輪のゴリ押し開催を支えてきた。
経済と政治、あるいは経済とモラルの間に生じた歪みがピークに達するより前に、四川省ブン川県の地下で地殻の歪みが臨界を超え、大地震を引き起こした。これにより、北京五輪を強力にサポートしてきた先進諸国の経済至上主義の基盤が完膚なきまでに崩れ去ったと見るのは極論に過ぎるだろうか。
阪神大震災のときもそうだったが、甚大な被害をもたらした天災の後は、同様な天災が今すぐにでも繰り返されるのではないかと神経質になってしまいがちだ。たとえば、筆者は5月15日の夕刻に淀川の堤防上から西の空に“地震雲”を目撃している。
飛行機雲に似た幾筋もの長い雲が西から東に伸びていた。しかも西の果ては、それらの筋雲が1つに収束してサボテン状の奇怪な雲になっていた。いつまで経っても、それらの雲が流れていく気配はなかった。
地震雲の報告がないかとネットで調べてみると、その日、同様な雲を目撃した人が多数いることがわかった。目撃者の分布は、兵庫県から愛知県までの地域にまたがっていた。
“地震雲”の情報を扱っているサイトなどによると、そのタイプの“地震雲”が見られた場合は、数時間から24時間以内に地震が発生することがよくある、とのことだった。しかし、24時間が経過しても大地震が西日本で発生しなかったことは言うまでもない。
また、四川省では1923年の3月24日にも大地震が起きている。そして、同じ年の9月1日に、あの関東大震災が起きた。このことから、次は“第二次関東大震災”の番ではないかと心配する人もいる。
近いうちに大地震が日本で起きるかどうかは何ともいえないわけだが、日本にいるわれわれにとっても今年が大変な年になる可能性は低くない。日本の経済は中国に深入りしすぎている。中国の経済が壊滅的打撃を受けたとすれば、日本の経済もその余波を免れない。
また、中国の体制に大きな変化が生じる可能性もある。究極のシナリオとしては共産党による支配が崩れることが考えられる。しかし、それは同時にクーデターや内戦の勃発を意味することになるのだろう(ま、こっち方面の話はど素人なので生半可なことを言っているだけに過ぎないが)。
四川大震災がもたらした被害(建造物崩壊)の面に関しては、人災的要素が大きいと言われている。手抜き工事(オカラ工事)が横行していたというのだ。その背景には、役人と業者の癒着、賄賂・・・という問題がある。
東西冷戦末期に“エコノミックアニマル”の手先として活動していた筆者が経験したことから言っても、共産圏で商売をしようと思えば、どんなかたちであれ役人の“便宜”を図ってやることが非常に重要なポイントだった。しかし、彼らの腐敗した体質がやがては体制の崩壊へとつながった。
ただ、東側体制が崩壊したとき、西側諸国にとって東側諸国は経済的価値の高い存在ではなかった。西ドイツのように東ドイツというお荷物を抱え込むことになった国さえあった。しかし、ベルリンの壁崩壊から20年の間に、中国は“西側諸国”にとって極めて高い経済的価値を持つ存在へと昇り詰めてしまった。
その中国がこうして未曾有の事態に見舞われている。これからどんな連鎖が世界全体を巻き込んでいくのか。「いや、意外とたいした影響はないよ」と言う人もいるだろう。私も自分の生活のことを考えれば、大きな影響などないに越したことはないのだが・・・。
この記事の先頭に戻る
トラックバックURL
この記事へのコメント
1. Posted by payasi 2008年05月18日 17:39
天変地異、恐ろしい
2. Posted by Kzk 2008年05月23日 08:12
2008年8月19日に
また100万人規模が被災する天災が起きます。
少しでいいので心に留めておいて頂きたい。
また100万人規模が被災する天災が起きます。
少しでいいので心に留めておいて頂きたい。
3. Posted by i was reading this 2014年05月11日 14:26
e-liquid cigarette なんでも評点:四川大震災は日本や世界をこれからどんな連鎖に巻き込むのだろうか
4. Posted by simply click the up coming post 2014年05月12日 06:47
totally wicked e-liquid なんでも評点:四川大震災は日本や世界をこれからどんな連鎖に巻き込むのだろうか