G- なんでも評点:遥かなるアンタナナリーボ:マダガスカル回想記(その4)

2008年04月15日

遥かなるアンタナナリーボ:マダガスカル回想記(その4)


ネタ日照りの上、諸般の事情(要するに本が売れていないことや広告収入が再び激減したことなど)により更新の意欲が大幅に減退している。書きかけのままになっていた“回想記”の完結編をアップしてお茶を濁すとしよう。本稿末尾には、この回想記のこれまでの方向性から離れるようなことも書いてあったりするが・・・。
第2回のコメント欄で「東西冷戦を終結させるためにいろんな人たちが工作活動したとかいう話を聞いたことがある」という指摘があった。だがあいにく、私が所属していた会社にとって、東西冷戦の終結は利益の損失を意味していた。日本円が円借款という形で東側諸国に流れている方が商売がやりやすかった。その金で彼らは日本製品を購入してくれた。

ま、たしかに・・・私は別の意味での“工作員”のようなものだった。商談相手となるのは政府の役人がメインである。相手はビジネスに興味などなく、単に自分のポケットマネーだけに興味があった。実話として語る以上これ以上詳しくは言えないわけだが・・・。

腐っていたと言えば腐っていた。その腐敗が共産主義体制の崩壊につながったのは確かだろう。しかし、その当時の私には、商談相手の連中が依拠しているその体制がまもなく崩れ去ろうとしているのではないかという認識など皆無だった。与えられた仕事を刹那的にこなしていたに過ぎないからだ。

しかし、信用できる人物の名前で「商談希望」のテレックスが送られてきたのを鵜呑みにして訪れた先で身柄を確保されてしまう可能性もゼロではなかった。実際、訪問先の国で待ち受けていた秘密警察に身柄を拘束され、劣悪な環境の牢獄に放り込まれてしまったビジネスマンを何人か知っている(日本人は含まれていないが)。

その当時の私には、そんなリスクを楽しんでいた面もある。日本の社会にどうにも適応できず、平和な日本にいても「ここは自分の居場所ではない」みたいな苛立ちを覚えることが多かった。だから、海外に飛び出す道を選んだのだ。しかし、今以上に当時の自分は不完全な人間だったと思う。

アフリカ南部を飛び回るようになるまでの間は、ヤケッパチで生きていたようなものだった。今でこそ紳士面して、こんなブログで冷静ぶった考察を試みていたりするが、アフリカ南部に飛び出す直前までの私は無性に喧嘩っ早く、売られた喧嘩を買わないではいられなかった。さまざまなトラブルに巻き込まれたり、自らトラブルの原因を作り出したりしていた。

もっとも、大学に籍を置きながら生活のために零細広告会社の正社員になったときや、23歳でバーの雇われマスターになったとき、大学中退の身分で予備校講師になったときなどには、おとなしい自分を演じることもできた。しかし、もともとが喧嘩っ早い性分なため、それを抑えて過ごすことは物凄いストレスになった。

雇われマスターのときなどは、本来の自分なら怒鳴り散らしているくらい腹の立つ相手にも紳士的に接することに疲れ果てて自律神経がおかしくなった。辞めた後は、しばらく実家に引き篭もって他人との接触を絶ったほどである。

しかしまあ、アフリカ南部を飛び回る日々が始まって以降の私は、それこそ水を得た魚のようなものだった。理不尽なことにただ腹を立てているだけでは自分の身を守ることができない状況に置かれたことで、逆に私の心は妙に穏やかになった。生きているというのは、こういうことなのだと実感することができるようになった。

おっと、話が脱線してしまった。話を戻すと、アンタナナリーボ郊外の工場の工場長は政府の役人ではなく、一種の特権階級の人間だった。マダガスカルをかつて植民地として支配していたフランスに国籍を持つ彼がどうして特権階級に就くことができたのかは謎だった。(たとえば、南アで世話になっていたマフィアのボスみたいな容貌と雰囲気のポルトガル人は、生まれ故郷のモザンビークがポルトガルから独立した直後に同国から命からがら逃げ出した経験を持つ)。

そして、彼の愛人はマダガスカルの王族の末裔だという。その愛人に会わせてくれるという。愛人が住む城のような邸宅に連れて行かれたのは、ゾウガメがペットとして飼われている工場長の“本宅”で昼食を採った日の夜のことだったか、あるいは翌日の夜のことだったか、いまひとつ記憶が曖昧だ。その理由は、もしかしたら霧のせいかもしれない。

霧と小雨の夜だった。アンタナナリーボの市街地を抜ければ、対向車と擦れ違うことなど、ほとんどない。もちろん、街頭の類も存在しない。漆黒の闇の中を走ることになる。それに輪をかけるかのように、ヘッドランプが照らす先は霧でもやっていた。

・・・と、ここまで書きかけて3週間以上が経過してしまった。視覚的な記憶に乏しすぎるのだ。城のような邸宅に彼女が妹と2人で暮らしていたこと。使用人が何人もいたこと。4人でワインを大量に飲んだこと。彼女は工場長より英語が達者だったこと・・・などをおぼろげに思い出せるに過ぎない。

無理やり書こうとすると、大部分が作り話になってしまいそうだ。そもそも当初予定していた3回でこのシリーズ記事を終わらせることができなかったのは、そのときの情景を思い出すのに時間がかかりそうに思ったからだ。しかし、結果は、こうして尻切れトンボになってしまった。

★ ★ ★ 


ただまあ、当時の経験を通じて肌身に感じたことはある。“○○人”だからどうこうと一概に決め付けることはできないという感覚である。ある国に問題があるとしても、国民性や民族性に問題があるからそうなっているとは限らない。むしろ、“体制”に問題があるから、そうなっているのではないかという視点も必要ではないかと思う。

別に私は平和主義者などではない。世界の人たちがみんな仲良く暮らしていくことなど不可能だと思っている。しかし、「○○人はこんなふうに野蛮で下等だ」みたいな話がエスカレートして争いに至った過去の例を見ると、“体制”側の思う壺にはまったことも多いのではないかという気がする。

まあしかし、東西冷戦の終結後は、“体制”よりも“経済”が世界の動向をもろに支配してきたような気がしてならない。そういう視点から、先進諸国が北京五輪を巡る問題に及び腰な理由を自分なりに分析して1つ前の記事を書いたのだが、コメント欄には「○○人はこんなふうに野蛮で下等だ」的な視点からのコメントが多かった(この記事には、そういう視点からのコメントはご遠慮願いたい)。

あの記事を書いた数時間後、インドのIBN-Liveサイトに、ほとんど同じ分析の記事が掲載されていたようだ。実は、その記事が出ていたことは2ちゃんねるのニュース速報+板のスレッドで知ったのである。

2ちゃんねるの記者さんが抄訳なさった和文をそちらのスレッドから引用させていただく。

(略)世界中で抗議が起きているにも関わらず、中国の指導者達は、1980年のモスクワ五輪のようなボイコットにはならないと安心しているようだ。五輪は、いまやスポーツの祭典であると同時に商業の祭典でもあるからだ。

五輪スポンサーに欧米のトップ・ブランドが名を連ねる中、世界最大の市場に対する経済的な利益を台無しいしたいものなどいない。

「商業的な利害関係から、どの政府も五輪ボイコットはしない」とWen Hei Dailyのシニア・エディターLee Baokang氏は語った。

変化してしまった世界経済において、政治は二の次になってしまったのは明白だ。


ただまあ、経済が世界を支配しているといっても、結局のところ、たいていどんな先進国であろうと一握りの人たちが巨万の富を得るという構図に変わりはない。そして、その人たちを最優先する政策が失敗したときは、庶民の暮らしが翻弄されることになる。

【追記 - 4月16日00:07】

冒頭で広告収入云々のことを書いたので、コメント欄で改善策を示唆してくださった人がいるが、クリック数が減ったとかいう話ではない。当ブログで使用しているキーワード広告システムの単価が昨年10月を境に10分の1近くにまで下落したという意味。規約などもあり、これ以上詳しいことは書けない。

それと・・・ただでさえ時間を取れないのに、リニューアルなんてとんでもない。私は、やってなんぼの仕事を生業としている人間である。リニューアル作業に割く時間=お金となるわけで、その費用がどこからも出ない。

当面は、珍ニュースを題材とした記事をもうほとんど書けそうにない。当ブログをこっそりネタ収集に使ってきたTV番組制作会社の人たちは、他を(Heavenさんとかを)当ってくださいってことで。






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この記事へのコメント

1. Posted by ファニーメイ   2008年04月15日 06:31
ミッキーさん、初めまして。
1年以上前からこのサイトを読んでいますが、恐らく初めてのコメントになるかと思います。

本の売り上げが芳しくないようですね、それにサイトの広告収入が激減しているとか‥。
やはりこのサイトの質を保つモチベーションはプロ意識があってこそ、なんだと改めて思い
ました。
このサイトがなくなっては私自身困ってしまうので(笑)ミッキーさんのモチベーションを
アップさせる方法はないか考えてみました。
まず、このサイトを完全リニューアルしてみたらどうでしょうか。
私の記憶する限り久しく変わっていないと思うのですが、ここはエイヤッと気分転換の意味
もこめて変えてみては?。
2. Posted by ファニーメイ   2008年04月15日 06:32
もしリニューアルするとすれば、記事の部分は読みやすくするために白地で構わないと思い
ますが、周りの色を環境(ECO)をテーマに鮮やかな緑色にしてみるとか(笑)。
紙の媒体と違ってネット上のサイトにおいて人々との接触面であるインターフェイスは記事の
内容同様、重要な部分だと思います。
特に緑色、青色などは癒しの効果があるかも‥。
ビジュアルと言えばこのサイトでは写真が殆ど掲載される事がないですよね?
完全リニューアル後はビジュアル面で強く訴求するような写真を多用すると新たな読者が生
まれるかもしれませんよ。
3. Posted by ファニーメイ   2008年04月15日 06:33
それから最後に、私はPCでしかアクセスしないのですが、PCですとこのサイト全体がゴ
チャゴチャした感じになってしまいます。
もう少しすっきりされると、どういう広告が載っているのか分かりやすくなりますね。
そうした部分も改良されれば広告収入が増えるかもしれません。
長々と書いてしまいましたが、これからも面白い記事を楽しみにしておりますのでご健康に
気をつけて頑張って頂きたいと思います。
それでは、また‥
4. Posted by yukihiro   2008年04月15日 09:35
毎回とても楽しみにしてます。
中でも回想記が特に好きで、回想記が載った日は何度も読み返しております。

これからも色々な記事期待してます。
5. Posted by モッチ   2008年04月15日 18:46
改めて1〜3、そして4を読みました。私には『生きているというのはこういうことなのだと実感することができるようになった』ミッキーさんのこの言葉、これが一番印象深くそして衝撃的でもありました。
うまく言えませんが、人によって人生の価値観というか、何に価値を感じ何を最も大事に思いどういう生き方をしたいのかなどそれは人それぞれですが、私にとってじゃあそれはどこに何にあるのかなど改めて深く考えさせられました
6. Posted by ┐1   2008年04月15日 19:53
ミッキーさんの素性や人となりがわかってきて面白いです。
各国特有の政策下にいてはどうしても避けられない「顔」が出来ますよね。良くも悪くも。
全体的にそうした気質になりがちなのは当然の事でもあると思います。
それは日本人も一緒で、だからといって個々人の性質・性格までは断言出来ませんし。
ミッキーさんのようにアグレッシブになれる人は確かに日本人には少ない、というのと似てるような^^
私は根本的な面倒臭がりに加え思想・身体的な理由で行動範囲が狭いのですが、アグレッシブでいられるのは憧れると同時に、自分はこれで良いのだ、と確信しています。
7. Posted by ┐2   2008年04月15日 19:54
ちょっと反れましたが、多角的に見る人にとって固定的な観念を持つ人には、出来たらもっと視野を広げて・・・と思いがちですが、どちらもあってこそ、色々な人がいて争いが絶えず、だから飽きずに生きていけるのではないでしょうか。平和を願う人ほど、自分の受け入れ難いもの≠悪を無くしたがるように。
庶民としてセレブ相場に利用?されてるのはちょっと悔しいけれど、野心を持つ方たちのパワフルさには敵いませんw
例えばアウトレットで良い品を見つけた時に、おこぼれ万歳!ありがとう!などと思っています^^ゝ翻弄されるのも楽しいw

連投失礼しました。
8. Posted by モッチ   2008年04月15日 21:14
私が抱いているミッキーさんのイメージなのですが…ミッキーさんって尊敬するに値するほどの行動力を持っていてそして自分の人生は常に自分の力で切り開き、そして何事においても常に自己責任のもとに行動し、誰かを頼り甘え流された生き方をしていない。例えその道が容易い道でなくても自分の信念みたいなものを貫き進んで行く、そんなイメージなのですが…自分には無いものを持っているミッキーさんに私は憧れます。
9. Posted by モッチ   2008年04月16日 08:47
追記を読み、サイト運営の裏側には厳しい現実というものがやはりあるのだなとなんだか切ない気持ちになりました。
「書籍版なんでも評点」のオフィシャルサイト「特別コラム第2回」の中でのミッキーさんの言葉「読み物の題材にしたいと思うネタは100本に1本あるかないか」。掲載記事を発掘するという事は本当にハードで時間のかかる作業なのだと思います。
ミッキーさんにとって今後好都合の運営となる事を祈るばかりです
10. Posted by カラフル   2008年04月16日 16:13
自分は、携帯からのアクセスなんですが、見やすいですよ(¨;)
11. Posted by     2008年04月17日 10:32
はじめまして
ミッキーさんは女性だとずっと思いこんでおりました。
12. Posted by GoN   2008年04月18日 10:22
はじめまして。
いままでもずっと楽しく読ませていただいていました。

個人や集団にかかわらず、大きなイベントのあと
には、ガクンと落ち込む段差があるようです。
なので、ここはあえて体勢を立て直すためにも、
作品発表の流れをキープすべきでしょう。
「継続は力」ですよ!これからも応援しています。
13. Posted by カラフル   2008年04月18日 20:08
これは、ネタになりませんか?ニコニコ動画のアルバイトです(¨;)
14. Posted by モッチ   2008年04月19日 17:41
ミッキーさんはこのところ、本業の翻訳の仕事に忙しくしてるのかな…。
物事何でも、何かに取り組む時や何かをやっていく中、人ってやはり、その中で満足できる気持ちを感じられたり、納得できる気持ちを持てたり、そういうことってとても大事な事ですよね…。何をするにも自分の気持ちのあり方次第で何でもできたり逆に何もやる気になれなかったりする…。
人生って時に辛い時期ってありますよね…とこれ因みに自分の事ですが。
15. Posted by モッチ   2008年04月19日 18:59
ミッキーさんの今の心情や考えていること、また背負っているご苦労など、到底わかるはずもない私がこんな事言うのは恐縮でもあり生意気でもありますが、でも、「がんばって!」という言葉はあまり好きじゃないけど「見守る」という言葉が好きな私は、こちらの『なんでも評点』ずっと見守っていますね。と言いたいです…。
なんか私…投稿数多くて恥ずかしいですね(^^;
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