2007年12月24日

「お客様のドリンク代は前のお客様が」「じゃあ、私も次の人の分を」の繰り返しで350人余りが“おごり合い”リレー


米国ワシントン州メリーズビルで、スターバックス店のドライブスルー窓口を利用した女性が店員のマイケル・スミスさんに代金を余分に渡したのは、12月19日の午前8時ごろのことだった。彼女は「後ろの人の飲み物代を払っておくわ」と言い残すと、ハンドルを握り颯爽と去って行った。
次の客が運転席の窓ガラスを下ろして注文を告げると、スミスさんは「お客様の飲み物代金は、前のお客様がお支払いになりました」と説明した。すると、その客は「え、知らない人がおごってくれたの? じゃあ私も次の順番の人の分を払っておきますよ」と反応する。

これが350人以上にも及ぶ“おごり合いリレー”の始まりだった。事前に取り決めていたわけでもなく、当地でクリスマス・シーズンにそんな慣習が定着しているわけでもなく、あくまで自然発生的なことだった。だが、最初の“バトンタッチ”を皮切りに、延々と350人以上もの客が次の順番の客の飲み物代金を支払う・・・という連鎖が続いたのだった。

スミスさんは途中で交代の時間になったが、ドライブスルー窓口から離れることを拒んだ。最初にお金を余分に支払って去っていた女性は、この連鎖が長く続くことを願っていたに違いない、とスミスさんは確信していた。だから、あの女性が自分に託してくれた特別な信頼を裏切るわけにはいかないのだ、と。

午前8時に始まった“おごり合いリレー”は正午を回っても、まだ続いた。やがてリレーに“参加”した人の数は250人を超えた。それでもまだスミスさんは、リレーを途絶えさせてはならないという責任感を感じていた。「もう終わるんじゃないかと本当に心配でした」とスミスさんは言う。

やがてバトンタッチの場所はドライブスルー窓口から店内カウンターに移り、350人を少し超えたところで長いリレーが終わった。

同店のシフト・スーパーバイザーをしているセイラ・ニックスさんは、「ホリデー・シーズンには、次の順番の人にコーヒーを奢る人がちらほらいますが、数百人がそれを続けるなんて前代未聞です」という。「本当にびっくりしましたわ。人が人を気遣う心がわかったおかげで、クリスマスがもっと素敵なものになりそう」

リンゼイ・モルスタッドさんという28歳の女性は、当日の午後、仕事の帰りに娘をピックアップしてドライブスルーに立ち寄った。テキサス・ナンバーのスポーツカーに乗った男性が自分のバニラ・ラテと娘のホット・チョコレートの代金を支払ってくれたことを知った彼女は、驚きと嬉しさが混じった気分に浸ったという。

「素敵なことだと思います」モルスタッドさんは言う。「でも、私は自分の子供の飲み物も注文したのに、次の順番の人が頼んだ飲み物は1つだけ。(自分の奢った額が前の人の奢ってくれた額より小さくて)なんだかとても申し訳ない気がしました」


地元の高校で科学を教えているランディ・デイビスさんという49歳の男性は、店内でバトンタッチを受けた。前の客が支払ってくれたコーヒーを味わいながら、自分から知らない人にコーヒーを奢ったことはあるが、こんなに大勢の人たちがリレーを続けたなんて話は聞いたことがない、と感慨に耽った。

「凄い話ですよ」デイビスさんは言う。「こういう計らいをわかる人がまだたくさんいるんだとわかって、すがすがしい気分になりました」

この自発的リレーに参加した人たちの中には、実際に次の人が注文した金額より多く支払った人も含まれていた。このため余剰金が生じる結果になった。スーパーバイザーのニックスさんによると、余ったお金は貧しい子供たちに玩具をプレゼントする慈善活動(toy drive)に当てる予定とのこと(※)。

なお、本件を伝えている英文記事は、このリレーを誰がどのように終わらせたかについて一切触れていない。せっかく心暖まる話なのだから、そんなネガティブ面にはこだわらないのが“大人な反応”というものだろう。

また、結局、スターバックス店が得をしただけではないかという突っ込みも当然あるはずだが、自然発生的リレーに“参加”した人たちにとって、これはお金の問題ではなかったはず。

ただ、店員のスミスさんがリレーを絶やすまいと使命感に燃えていなければ、350人余りの人が次の順の人に飲み物を奢り続けることはなかったのではないかと思う。おそらく応対した客の一人ひとりに何人目かを教えていたはず。「あなたで100人目です」とか聞いた客も、自分が終わらすわけにはいかないという気になったのだろう。

人と人の間の連鎖反応がこんなふうに心暖まる方向に進むことは、むしろ珍しいというべきか。人と人の間の連鎖反応が殺伐たる結果に雪崩れ込むことに辟易させられる方がはるかに多い昨今かもしれない。ならば、決して自らをスイーツ(笑)と揶揄したりすることなく、この話に素直に心洗われてみてもいいかもしれない。

【追記】
リレーに参加した人たちは、次の順番の客が何を注文するかが前もってわかっていたわけではなく、人数から金額を予想したのだと思われる。自分1人分のドリンクを買うためにドライブスルーを利用した人が次の順番の車の中をミラー越しに見ると、何人も乗っているのが見えたケースもあっただろう。それでも余剰金が出たくらいなので、心意気溢れる人が多かったに違いない。

【訂正】
余剰金の扱いに関して、コメント欄で正しい情報を教えてくださった人がいた。本文中で※印を付けた箇所は、この情報に基づき、次のように変更させていただいた。(Thanks, Lulaさん)

×余ったお金はドライブスルーで子供たちにプレゼントする玩具の購入費に当てる予定とのこと。

○余ったお金は貧しい子供たちに玩具をプレゼントする慈善活動(toy drive)に当てる予定とのこと。




■ Source: Marysville coffee drinkers pay it forward

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この記事へのコメント

1. Posted by オレもオレも   2007年12月24日 11:52
3 これが日本だったら…
そして私の順番に来たら…
…。
2. Posted by QC   2007年12月24日 14:42
スイーツ(笑)は関係ない気もするんだけど
深読みすると関係ありそうですね。
人から人への連鎖って意味に絡めて使ってるんだったら
関係あるかも。スイーツ(笑)が2ちゃんねる発の
新語で、2ちゃんねるで殺伐とした連鎖が起きるわけで。
今も祭りが2件ほど起きてるよね。どっちも東大がらみ。
3. Posted by     2007年12月24日 15:22
まさに「汝、隣人を愛せよ」ですね
この時期、幸せ一杯の人と殺伐とした人、両方がいる中、
どちらでもない自分もこのニュースを聞いて少し暖かい気持ちになれましたw
4. Posted by yoshi   2007年12月24日 15:45
この記事を読んでふと“ペイフォワード”を思い出しました。
5. Posted by     2007年12月24日 16:41
今の日本の民度では、永く続けられる気がしない。
6. Posted by 名無し   2007年12月24日 17:29
>>2
なるほど、中の人が俺たちに向けたメッセージなのか
日本でも、これ実験してみるといいね
今からスタバ行って、後ろの人の分も払っておくよ
ってのをやってみようかな
若い女が後ろだったらキモ!っていわれそうだけど
7. Posted by     2007年12月24日 18:49
けしてネガティブな意味じゃなく、その最後の人に興味があります
自分だったら、自分の番で終わらせるプレッシャーにとてもじゃないけど耐えられない
勇気ある人だw
日本人だったらむしろ続けちゃう気がします
それはスマートな行動というよりは周囲に合わせすぎたり空気を読みすぎて

米5さん
そうやって民度とやらを口に出すことで決めてしまっているのはあなた自身だと思いますけどね・・
8. Posted by ゆう   2007年12月24日 21:49
5 いや〜、なんだかいい話ですね〜。
なんちゅ〜か日本でもそんな話やりたいな〜。
今度マックとかでやってみようか?
『困ります』とか言われそうだけど(笑
9. Posted by     2007年12月24日 23:26
江戸時代とかで「人情」とか「粋」なんてものが日本にはあったんだろうけど、今の日本を考えると何だか悲しいね
アメリカのこういった文化は素直に羨ましいな
10. Posted by こたつたろう   2007年12月24日 23:54
いいお話ですねえ。
聖夜にふさわしい記事だなんて、一人で思いました(笑)
善意の連鎖ってこういうものなんですよね、本来は。
横槍入れる方がいるかもしれませんが、素直にこれはいい話じゃないかって、思いましょうよ。
余剰金云々なんて細かいこと気にしないで、
こういう心意気がうれしいじゃないですか。
「で、誰が儲かったの?」なんて無粋な話ですよ。
そりゃ、突っ込みどころはありますけど気は心です。
変な募金よりよっぽどいいじゃないですか。
11. Posted by     2007年12月25日 00:09
最後の人はスミスさんが疲れてるのを見てわざと終わらせたのかもしれませんね。
すごく心温まる話ですけど、もし奢ったつもりが料金足りてなかった時はちょっと恥ずかしいかもなんて無粋なことを考えてしまいましたw
12. Posted by     2007年12月25日 01:00
いい話かな・・・
プラマイゼロならペイフォワードとはちょっと違う気が
13. Posted by    2007年12月25日 01:39
>>12
金額の問題ではなく、リレーを続けた人達の心意気の問題でしょう。
14. Posted by -   2007年12月25日 09:37
もし俺が混ざったらそこでストップだな
15. Posted by 初めてお越しの方   2007年12月25日 10:15
はじめまして。
ユニークな記事が沢山あり、とても楽しく
拝見しました。
また、寄せてもらいます。

ぽちっとクリック

16. Posted by     2007年12月25日 12:22
この寒い時期に心温まる話だなぁ・・・
17. Posted by ななすぅい   2007年12月25日 12:29
4 スイーツ(笑)リンクがなければもっとよかったのに
18. Posted by Lula   2007年12月25日 12:55
いつも楽しく拝見しています。

ソースの記事にある"toy drive"について、
アメリカの友人に尋ねてみました。
ご参考までに、返信を転記いたします。

どうやら、ドライブスルーとは無関係のようです。


"A toy drive is a program where a company will collect toys and give them to the poor children."
19. Posted by     2007年12月25日 14:12
>>1の情けなさに絶望した。
20. Posted by ・   2007年12月25日 20:58
感動しました。
日本でもやりたいなぁ
こういうことを気軽に出来る空気が欲しいですね
21. Posted by post   2007年12月26日 11:50
スタバのドライブスルーは知らないんだけど、バーガーキングなんかはオーダーだけ先にして、商品を受け取る窓口まで進んだところでお金を払うシステムですよね。だから後ろの人の金額は、自分の番になったときにはすでにわかっているんじゃないかと思います。
22. Posted by     2007年12月26日 18:47
350人と大人数になったから話題になったんだろうけど、
むしろ次の人のコーヒー代を払うのがちらほらいるってのに感動
オレも、そんな心の余裕を持ちたい
もちろん、お金の余裕もw
23. Posted by ちゃき   2007年12月29日 11:51
5 損得を考えない、温かい話ですね、有難うございます。

私の方でも紹介させて頂きたいです!!勝手ながらリンクさせてもらいます。(u_u)o〃
24. Posted by     2007年12月31日 01:32
次の人に奢る事があっちの国ではあるのか。

日本じゃ無理だな。
そもそもそういう習慣が無いし
下手すりゃ訴えられる。
25. Posted by    2008年01月04日 06:17
日本じゃあこういうの起こんないかもなw
なんか良い事をするのを恥ずかしがる傾向があるからなぁ
第三者に知られない善行なら恥ずかしくないけどw
26. Posted by      2008年01月08日 20:29
素敵なお話しですね
一足早いクリスマスの奇跡だったのかも
出来ることなら私もこの奇跡に参加したかったかも
でもこうゆうのは日本ではないでしょうね・・
27. Posted by インプラントとは   2010年08月25日 16:36
勘違い乙www
まぁ、クリスマスならありなのか…
28. Posted by 利尻ヘアカラートリートメント口コミ   2010年09月26日 23:38
素敵なお話ありがとうございます。
29. Posted by クーポンサイト【共同購入クーポンサイト】   2010年12月12日 20:38
クーポンサイトでもおごりあいみたいなものですね。
30. Posted by えがおの黒酢   2010年12月13日 03:32
素晴らしい。疲れが取れた。
31. Posted by ドスパラ評判   2010年12月26日 14:57
いい話ですな。ドスパラ評判より。
32. Posted by 引き寄せの法則体験談集   2011年01月22日 01:54
5 スレ内で話題になっていたので、リンク貼らせていただきました。

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