2007年12月06日

7歳の女の子が自らの体を盾にして6発の銃弾を受け止め、母の命を救う


米国ミシガン州最大の都市デトロイトで暮らすアイーシャ・フォードさんが15年来の親友セリータ・パーカーさんからの電話を受けたのは、12月1日の午後12時前のこと。「ねえアイーシャ。家の暖房が壊れていて、娘と二人、こごえそうなのよ。今夜あなたの家に泊まらせてもらえないかしら」
アイーシャさんは二つ返事でOKを出した。「じゃあ、今から車で迎えに行ってあげるわ」

セリータさんと娘のアレクシスちゃん(7歳)が暮らすの家の前に到着したアイーシャさんが親子二人を待っていると、ポーチに人影が見えた。暖房が故障したせいで修理に来ているのだろうとアイーシャさんは思った。

アレクシスちゃんは今年小学校1年生になったばかりだが、幼児のときに重い発作を起こした後遺症で、左目の視力が弱く、歩くときもびっこを引く。寒い中、車に乗ろうと急いでいたせいか、アレクシスちゃんは歩道の上で転んでしまった。アイーシャさんは手を差し出して、アレクシスちゃんを引き起こしてあげた。

そのとき、もう一度ポーチを振り返ってアイーシャさんは愕然とした。そこにいたのは、暖房のサービスマンなんかではなかった。男は片手に拳銃を持っていた。

見覚えのない男ではなかった。セリータさんと半年ほど交際していたことがあるカルビン・ティリーという29歳の男だった。しかも、過去に何度も警察に捕まったことのある札付きのワルだった。

セリータさんたちと目が合ったカルビンは、物凄い剣幕で彼女らに迫ってきた。そして、彼女たちに車に乗れと命令し、自分も乗り込んで「シックス・マイル・ロードまで行け」とアイーシャさんに命じた。シックス・マイル・ロードは、夜間の人通りが少ない一画である。

カルビンは自分たちを皆殺しにしようとしている。そう悟ったアイーシャさんは、人気のない場所に行くことだけは避けねばならないと考えた。――そうだ、あのガソリン・スタンドに寄ることにしよう。あのスタンドなら、セルフサービス式だけど、ガソリンを入れる前に料金を店員に直接支払わないといけないから、なんとか助けを呼べるはずだわ、と。

「ガソリンが切れかけているのよ」とアイーシャさんが言うと、カルビンは「じゃあ補給していけ」と答えた。それを聞いてアイーシャさんは、すぐに頭の中で作戦を立てた。カルビンが自分でガソリンを入れている間に車から飛び出して、助けを呼びに走るつもりだった。

ところが、スタンドに着くと、カルビンがアイーシャさんに10ドル紙幣を手渡し、「これで5ドル分だけガソリンを入れろ」と命じる。作戦を変える必要があった。そこで、アイーシャさんは店員がいるカウンターの方へ向けて歩きながら、携帯で911をダイヤルした。

「拳銃を持った男に拉致されました。私のほかに友人とその娘が人質にとられています。男は私たちを殺そうとしています」とアイーシャさんはオペレータに小声で話す。ところが「今すぐ急行できる警官がいないんですよねえ・・・」という、まるっきりこちらの緊迫感を読めていない答えが返ってくる。

仕方なく、アイーシャさんは時間稼ぎをすることにした。5ドルを店員に支払った後、ゆっくりと車に戻る。カルビンにのろのろとお釣りを返す。ガソリン補給口をゆっくり開けて、ノズルを入れる。一気にはガソリンを流し込まず、止めては流し込み・・・のパターンを繰り返す。

だが、5ドル分のガソリンを入れ終えても、まだ警官はやって来ない。そこで、アイーシャさんは車に戻ると、「もう少しガソリンを入れさせて」とカルビンに頼んだ。今度は自分の財布からガソリン代を前払いした。

アイーシャさんに応対した店員モハマド・アルガザリさんは、彼女の瞳から涙が流れ落ちていることに気づく。「どうかしたのですか?」と思わず問いかけると、アイーシャさんが涙ながらに状況を説明した。それを聞いたモハマドさんは、すぐに911に通報する。

ちょうどそのとき、セリータさんと娘のアレクシスちゃんが拉致されている車内では、ただでさえ凶暴なカルビンがイライラを募らせていた。「アイーシャが戻ってくるのが遅すぎる。どういうことだ!」

モハマドさんがまだ警察に状況を説明している間に、車の中から銃声が聞こえてきた。アイーシャさんが悲鳴を上げる。モハマドさんも恐怖におののく。

お願いだから撃たないでと懇願するセリータさんにカルビンが銃口を向け、彼女の左側頭部を撃ったのである。セリータさんは娘を守ろうとしてか、頭部に銃弾を受けてもなお、カルビンにつかみかかろうとした。そのとき、さらに腕にも銃弾を浴びた。

カルビンは、もんどりうって倒れたセリータさんにさらに銃弾を浴びせようと銃を構えた。その次の瞬間、二人の間に割って入る小さな体があった。アレクシスちゃんだった。

アレクシスちゃんは、カルビンに訴えた。ママを撃たないで!

だが、憎悪と激情の塊と化したカルビンは、幼いアレクシスちゃんに何のためらいもなく銃弾を浴びせたのである。なんと6発もの弾丸が彼女めがけて発射された。

付近をパトロール中の警官が店員のモハマドさんからの通報を受けて現場に到着したのは、その直後のことだった。実際のところ、モハマドさんが通報してから1分足らずで警官が到着したことになるが、それでも間に合わなかった。

車の中から、アレクシスちゃんの母セリータさんが血まみれの姿で飛び出してきた。「娘が・・・娘が撃たれたのよ!」

カルビンも車から出てきた。手に持っていたのは、青光りする9mm口径のセミオートマチック拳銃だった。警官たちに銃を捨てろと命じられると、カルビンは抵抗せずにおとなしく応じた。

警官たちが車内を調べると、アレクシスちゃんが運転席の前の床部分に小さな体を丸めるようにして倒れていた。全身が血で真っ赤に染まっていた。床には薬きょうと弾丸が落ちていた。シートの上にはアレクシスちゃんの折れた歯が落ちていた。

さすがにもう助からないかに見えたかもしれない。だが、アレクシスちゃんは眼部、左のこめかみ、顎、頬、胸部、右腕の計6箇所に銃弾を浴びながらも、まだ息をしていた。

すぐに最寄の小児病院に搬送され、銃弾を取り除く手術などを受けた。現在、容態は落ち着いており、しかも回復できる見込みだという。

デトロイト公立学校アテンダンス・エージェントのマービン・ボドリーさんが、入院中のアレクシスちゃんに付き添っている。彼もアレクシスちゃんが助かったのは奇跡だと認めている。「今は全身を包帯に包まれていて痛々しくてたまりませんが、幼いのに本当に勇敢な女の子です」と彼は言う。

母親のセリータさんも、頭部に銃弾を受けたものの助かっている。セリータさんのコメントは得られていないが、彼女の従姉妹トーニャ・コルバートさんは「けなげなあの子は、お母さんを守りたい一心だったんでしょうね」と話している。

そして、あの恐怖の一夜を親子と共に体験したアイーシャさんは、アレクシスちゃんのことを「天国からやってきた天使」と賞賛している。

本件を伝えている“The Detoroit News”オンライン版の記事は、次のような文で始まっている。

怒れるガンマンの前に割って入り、6発の銃弾を浴びながら自らの体を盾にして母の命を救った7歳の女の子が「天国からやってきた天使」と褒め称えられている。


確かにアレクシスちゃんは身を挺して、お母さんの命を救おうとしたのだ。本件が最悪の悲劇に終わらなかったことで胸を撫で下ろした読者も多いことだろう。7歳の女の子が6発もの銃弾を至近距離から浴びながら生還するとは、まさに奇跡。

シングル・マザーであるセリータさんは、よりによってカルビンのような凶悪な男と半年も交際する羽目になってしまった。そして、別れた後もその男にしつこく付きまとわれ、その挙句、自分ばかりか愛する娘まで撃たれることになってしまった。不運としかいいようがない。

しかし、天は親子を見捨てていなかったということか。筆者はクリスチャンではないが、「天国からやってきた天使」という表現は決して大げさではない気がする。

ところで、本件はデトロイトで起きた事件だが、デトロイトといえば今年の11月にFBIから発表された「全米犯罪都市ランキング」で第一位にランクされた都市である。つまり、米国で最も危険な都市がデトロイトということになる。

1950年代以来、デトロイトで殺人事件の犠牲者となった人の数は、100万人近くに達しているという。




■ Source: Girl, 7, shot 6 times saving mom

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1. 7歳の女の子が自らの体を盾にして6発の銃弾を受け止め、母の命を救う  [ ニュース - Le Petit Royaume ]   2007年12月08日 00:33
本人も助かったそうです。良かった、良かった。奇跡ですね。まさに天国からやってきた天使です。
2. 国語力低下 八つを「はちつ」  [ 超暇つぶしブログ ]   2007年12月08日 18:32
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この記事へのコメント

1. Posted by むしゅか   2007年12月07日 11:32
しかし、そんなストーカーに対して地域が何の手も打たなかったことに言及することはないんですかね、地元の人たち。

こんなことは未然に防げたはずと思うんですけど
2. Posted by チャド   2007年12月07日 15:33
デトロイトがそんなに恐ろしい場所だとは・・・。
AnnArborはなかなかに平和なところだったのでなんだか怖いですね。

親子が助かって本当に良かったです。
しかしながら米国はもっと犯罪を減らす努力をするべきですね。
3. Posted by tt   2007年12月07日 16:27
タイトルだけで泣きそうになりました
4. Posted by     2007年12月07日 19:36
7歳の少女が9mmパラを至近距離で6発、うち数発は顔面に命中したのに生還?

なんというか、奇跡…だなぁ…。
後遺症も無く、早く元の生活に戻れることを祈る。
5. Posted by S   2007年12月08日 00:49
先日もタイで一人旅の女性が殺害されてましたが、本当に日本人は警戒心が無いというか…
日本でも凶悪事件増えてますし、外国人犯罪も多発です。気をつけましょう。
6. Posted by      2007年12月08日 05:11
しかし記事を見る限り失明は確定、後遺症も残りそうな気が…
命が大切なのは当然だが、しかし生き残った事が本当に幸せな事かどうか俺には判らんよ…
7. Posted by ‐   2007年12月08日 08:48
ここまで具体的な話なのに中々動かない警察って何なの……。
美談でごまかされてるけど警察が早く来てたら被害者0だったかもしれないのに。
8. Posted by 冬雪   2007年12月08日 09:07
泣きました・・・
9. Posted by    2007年12月08日 21:38
こんな凶悪な奴はずっと檻に入れとけよ。
何度も捕まってるってことは、すぐ出てこれるんだろ…。
10. Posted by     2007年12月09日 13:41
映画と現実はやっぱり全然違いますね。
11. Posted by クロ   2007年12月21日 00:31
子供がいるのに彼氏なんてつくって浮かれてるからバチがあたったとしか。
一度失敗してるのに男を見る目無さ過ぎ、自業自得。
子供にしたらただのとばっちり。
12. Posted by にゃー   2008年01月11日 14:46
> そして、別れた後もその男にしつこつ
となっています。
13. Posted by miccckey   2008年01月12日 15:09
>にゃーさん

校正ありがとうございます。修正しておきました。
14. Posted by まい   2008年01月30日 16:16
>>クロ
子供がいるのに彼氏なんかつくって〜


馬鹿か。だからって命を狙われなきゃいけない理由にはならないだろ。
もう少し勉強した方がいいよ。
15. Posted by (`・ω・´)   2008年02月01日 10:12
凶悪事件多発地帯なのは、本文中にでたような怠慢でまぬけな仕事をしない警官が多いせいだ。おめおめとやくざに目の前で民間人をさらわれたり日本も最近例外ではないが。
16. Posted by ウニ坊主   2008年02月21日 19:11
yahooの記事で見たのですが
この女の子が退院したそうです。
後遺症などの詳しい情報は特にありませんでしたが無事退院できて一安心といったところですね。

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