クラウドソーシング「ランサーズ」 なんでも評点:まだ1歳で言葉を覚え始めたばかりなのに、5歳までに“アルツハイマー病”発症を宿命づけられている男の子

2007年11月24日

まだ1歳で言葉を覚え始めたばかりなのに、5歳までに“アルツハイマー病”発症を宿命づけられている男の子


英国バッキンガムシャー州ミルトンキーンズにジョシュア・カリップちゃんという1歳1ヶ月の男の子がいる。この子の話を伝えているDaily Mail紙のオンライン記事(リンクは本稿末尾)にはジョシュアちゃんの写真も掲載されているが、見たところ元気そうで、ごく普通の1歳児である。
ジョシュアちゃんの瞳は青く、髪はブロンド。若き母ジョディさん(21歳)から引き継いだ遺伝形質である。だが、母ジョディさんは欠陥遺伝子を持っていた。ジョディさん自身は健康体であり、自分が遺伝性疾患の家系に生まれたことを知らなかった。

父カルムさん(同じく21歳、現在は離別している)もまた、自分が遺伝性疾患の家系に生まれたことを知らなかった。ジョシュアちゃんは、父と母の両方がこの欠陥遺伝子を持っている場合にのみ発現する遺伝性疾患を持って、この世に生を受けた。

ジョシュアちゃんは、“ニーマン‐ピック病C型”と診断されている。細胞の中でコレステロールや他の脂質を適切に代謝することができないため、肝臓や脾臓が脂質の蓄積により肥大していく。やがて神経系統に異常が生じていく。

この遺伝子疾患を抱えて生まれてきても、生後すぐに発症するとは限らない。発症が遅ければ、その分寿命が長くなるが、どんなに長生きしても40歳を超えることはない。子供のころに発症すれば、長生きできても20歳、多くは10歳までに一生を終える。

そして、この病気のためにうまく代謝されない脂質は脳にも蓄積されていく。これがアルツハイマー病と同じ結果を招く。生後まもなくニーマン‐ピック病C型が発症した場合は、5歳になるまでに認知症を発症する。日本(および韓国)のドラマや映画でしばしば描写される“若年性認知症”の発症年齢をはるかにしのぐ低年齢で発症するのである。

ジョシュアちゃんは、生まれたときから肝臓と脾臓が肥大していて、ニーマン‐ピック病C型を既に発症していた。最初は別の病気が疑われていたが、生後5ヶ月のときにロンドンのキングズ・カレッジ国立病院でニーマン‐ピック病C型と確定診断された。

病気を抱えながら、現在は1歳と1ヶ月まで成長している。1歳過ぎと言えば、これから言葉を覚えたり、自己表現がどんどん豊かになったり、いろんな知恵がついていく時期である。ジョシュアちゃんも、今まさにその急激な発達段階にある。今のところ何ら遅れは認められない。

今こうして、いろんなことを覚えていく途上にあるジョシュアちゃん。だが、彼の脳内では、あらゆることの忘却へと突き進む認知症発現までの秒読みが既に始まっているのである。

現時点でニーマン‐ピック病C型と診断されている患者は、全世界に500人ほどしかいない。この数値だけを見れば非常に稀な病気だが、実際には、診断が難しいため別の病気と誤診されている患者も多いと見られている。

Daily Mail紙の記者が母ジョディさんにインタビューした記事によれば、ジョシュアちゃんはつい先週、ジョディさんのことを「マミー」と呼び始めたばかり。

ジョディさんは、そのときのことを思い出して明るい笑顔を浮かべながら、こう話した。「ジョシュアを赤ちゃん用の椅子に座らせていたら、どうやらお腹を空かせたようでした。私が自分の用事をしていると、お皿をばんばんと鳴らし始めました。そして、急に大きな声で“マミー”と叫んだんですよ」

我が子の成長ぶりを見て喜ぶのは、母ならば当然のこと。だが、ジョディさんは、息子が知恵をつけていくのを見るたびに、胸が張り裂けそうな思いを同時に味わっている。

「こうして日々覚えていったことをすべて忘れてしまい、自分の周りの世界に関して発見してきたいろんなことが失われてしまい、大好きだったおもちゃに見向きもしなくなる日が来るだなんて・・・。

「今は、あんなに甘えん坊な目で私を見ているジョシュアなのに、いつか私がお母さんだということさえわからなくなるなんて考えることもできません。何もかもわからない状態になって、私と他人の区別が付かなくなる日が来るだなんて・・・」

ジョシュアちゃんの病気は治療不能である。肝臓を移植したところで、再び脂質が蓄積されていくだけなので治療にならない。

ある時期をすぎると、ジョシュアちゃんの動作にぎこちなさが目立ち始めるだろう。転倒することが多くなるだろう。次には、おもちゃをどこに置いたかを忘れるようになるだろう。せっかく覚えた言葉も次第に使えなくなっていくだろう。そして、自分を愛してくれている人たちの顔を見ても何も思い出せなくなってしまうだろう。

最後には、言葉を喋ることがまったくできなくなり、食べ物を飲み込むこともできなくなる。ジョディさんは涙をこらえながら、こう話す。「ジョシュアは食べることが大好きなんです。何を作ってあげても、喜んで食べてくれます。何も食べられなくなる日が来ると考えると、とても辛いです」

だが、ジョディさんは現実から目をそらしていない。21歳という若さを感じさせないほどの落ち着きと冷静さで、ジョシュアちゃんとの大切な時間を生きようとしている。だから、こんなふうに現実を見据えている。

「苦痛を伴う処置を受けさせてまで、ジョシュアの寿命を延ばしてやりたいとは思いません。できるだけ長い間、幸せで快適な暮らしをさせてやりたいと思うだけです。

「ジョシュアが幸せそうに楽しそうにしているときは、あの子の死について考えたりできるものではありません。でも、私は、やがて来るその日から目をそらさないでいるつもりです。その日が来たときに自分が壊れてしまうことのないように、これからのことを考えておきたいのです。そうすることが、あの子のためにもなると思うのです。

「私には決心したことがあります。あの子がいなくなったら、新しいキャリアに就くつもりです。自分自身が最高の人生を送るための契機を見つけたいのです。

「ジョシュアには、私のことを誇りに思ってほしい。あの子が天に召された後も、私はあの子にとって最良の母であり続けたいのです。

「私は、17歳のときに高校を中退しました。取得したGCSE(一般中等教育修了証)は5単位しかありません。でも、カレッジに入って勉強したい。そして、可能なら、病気の子供を救う仕事に就きたいと思っています。

「今は、ジョシュアがすることなすこと全部が私を楽しませてくれます。あの子がいたずらをしたときは、一応、叱りますけど、それは叱っているふりをしているだけ。本当は、あの子の生意気さにわくわくしているのです。

「いつもジョシュアの様子をビデオに撮影しては、後で何度も何度も再生して見ています。今この瞬間を噛みしめたいからです。あの子が取ったどんな小さな行動でも楽しみたいからです」

さて、上のジョディさんの言葉を読んで、少し首を傾げる人がいたりするかもしれない。ジョディさんは、ジョシュアちゃんがこの世を去った後、新しい仕事に就きたいと話しているわけだ。あたかも、「夫とも別れていることだし、私はまだ21歳と若いし、どうせ先の短い我が子が死んだ後は、自分の人生をやり直したい」というようなニュアンスに読めるかもしれない。

だが、彼女は、愛するジョシュアちゃんが亡くなった後、自分が壊れてしまうことを絶対に避けたいと考えている。それだけ自分が深い悲しみと絶望を味わうことを覚悟している。自分が壊れてしまって堕落してしまったら、天から自分を見守っているジョシュアが悲しむではないか、と考えているのだ。ジョディさんが病気の子供を救う仕事に就けることを切に願いたい。




■ Source: My beautiful baby boy has Alzheimer's

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1. Posted by 会社員   2007年11月24日 19:59
切なすぎる
医学の進歩を願ってやまない…
2. Posted by     2007年11月24日 22:03
重い病気の子供を抱えた親というのは悲壮なものがありますよね。
せめて生きている間に幸多からんことを。
3. Posted by 熊犬   2007年11月24日 23:44
今が幸せであればあるほど、やがて来る未来が辛いのかもしれません
ですが、今得られる幸せな記憶が、この先もずっとジョディさんを支えられるくらい沢山でありますように
4. Posted by ;   2007年11月25日 00:47
5 最初は斜め読みしてしまったけど、もう一度じっくり読むと泣けてきました。

ジョディさんの言葉の中で「自分自身が最高の人生を送る」を読んだときは
筆者さんが気にしているとおり、おやっ?と思ったんですが・・
その後の「病気の子供を救う仕事に就きたい」の言葉を読んで
涙が溢れてきました。もう涙が止まらなくなりました。
わんわん泣きたい気持ちを抑えきれなくなりました。
5. Posted by なにし   2007年11月25日 03:42
5 泣かせる話が得意な筆者さまには、こういう実話をもとにして小説書いてほしい
6. Posted by shi-ta   2007年11月27日 17:19
5 このエントリを読んで検索してみると、日本国内にもこの超難病と闘っている方がおられるようです。
参考 http://www.est.hi-ho.ne.jp/mizusawa/index.htm

なみだが出ます。
7. Posted by 勇者   2007年11月28日 00:22
あんまりだ。辛すぎる。

>あの子が天に召された後も、私はあの子にとって最良の母であり続けたいのです。

この覚悟を決めた時の、ジョディさんの心境を思うと泣けてくる。
偉大な母親だな…。
8. Posted by This Webpage   2014年05月07日 18:27
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