2007年11月17日

人を無意識下から支配する“名前文字効果” ― 頭文字Kの大リーガーは三振率が高く、日本の通算三振記録にも驚愕の事実が!


「名は体を表す」という諺には、英語版もある。“Names and natures often agree”である。これを直訳すると「名前と性質はしばしば一致する」となる。米国ニューヨーク州立大学バッファロー校心理学科のブレット・ペルハム准教授が2002年以来、いくつかの学術論文を発表して唱えている説によれば、「名前と選択はしばしば一致する」ということになる。
人は何かを選ぶとき、自分のファーストネームまたはラストネームと同じ頭文字の名前(またはよく似た名前)を持つ対象を選ぶ傾向があるというのである。たとえば、ある州や都市に住む人の名前を調べていくと、その州または都市とよく似た名前の持ち主が通常の比率より多い。

また、ある仕事に就いている人の中には、その仕事と良く似た名前を持つ人が多い。さらに、人は自分とラストネームの頭文字が一致している相手と結婚する傾向がある。

具体的には、自分の名前に無意識に影響されて、以下のような選択を下す人が多いという。

  • トム(Tom)というファーストネームの人がトヨタ(Toyota)の車を買い、トロント(Toronto)に住み、トニア(Tonya)というファーストネーム前の女性と結婚する。

  • デニス(Dennis)、ダニース(Denise)、デナ(Dena)のようなファーストネームを持つ人が歯医者(デンティスト=dentist)になる。

  • スー・ジョンソン(Sue Johnson)という姓名の女性がブラッド・グリフィン(Brad Griffin)のように類似性のない姓名の男性より、ティム・ジョーンズ(Tim Jones)のように類似性の高い姓名の男性を夫に選ぶ。

  • ジョージア(Georgia)というファーストネームの女性がジョージア州に移り住む。


このように、人は自分の生活や一生に関わる選択に際して、自分の名前と何らかの共通性を持つ名前の対象物や対象者を無意識に選ぶ傾向があるというのである。ペルハム准教授は、この現象を“name-letter effect(名前文字効果)”と呼んでいる。

「このような選択作用が無意識下で働いているとしたら、人間は自分の意志で重要な選択を下しているのではない、ということになるでしょう。自分ではちゃんと理由があって意思決定をしたつもりでも、本当の理由は別のところにあったということになります」とペルハム准教授は言う。

当初、ペルハム准教授は、“名前文字効果”が作用するのは、結婚相手や職業など、ポジティブな結果に結びつく選択を下す場合だけだと考えていた。ところが、このたび別の研究者たちがネガティブな結果(たとえば大リーグ選手の三振率)に結びつくケースについて“名前文字効果”があるかどうかを調べると、ポジティブな結果に結びつく場合よりも影響度が大きいことが判明したのである。

この研究を実施したのは、カリフォルニア大学サンディエゴ校のリーフ・ネルソン准教授とエール大学のジョセフ・シモン准教授の2人である。ネルソン准教授とシモン准教授は、5年の期間をかけて、以下の5つの母集合に対する分析を実施した。

  • 打席数100以上のメジャー・リーガー6,398名(過去93年間の記録から抽出されたもので、うち398名が頭文字Kで始まるファーストネームまたはラストネームを持つ)

  • MBA学生15,000名

  • 大学生294名

  • ロー・スクール170校(輩出弁護士数39万人以上)

  • ラボ実験被験者284名


野球選手の頭文字Kは、野球のスコアブックに書き込まれる三振記号“K”と同じである。つまり、ネルソン准教授とシモン准教授は、頭文字Kを持つ選手の三振率が有意に高ければ、ネガティブな結果につながる場合においても“名前文字効果”が作用していることになると考えた。

そして、得られた結果は期待どおりのものだった。ファーストネームまたはラストネームがKで始まる選手は、その他の頭文字を持つ選手に比べて、三振率が格段に高かったのである。(注:情報元として参照した英文記事には具体的な数値が示されていないが、“Psychological Science”紙の2007年12月号に掲載されるネルソン准教授とシモン准教授共著の学術論文には詳細に示されているはずである)。

両准教授は、これこそ“名前文字効果”が作用している証拠だと考えている。“名前文字効果”が彼らの心理にどう影響した結果、三振が多くなるのかについては、情報元の記事に記述がない。おそらく、次のようなことではないかと思われる。

  • 頭文字Kを持つ打者は、無意識下ではK(三振)を好んでいる。そのため、周りになんと言われようが、打席では三振をいとわずにバットを振り回す傾向がある。

  • あるいは、ツーストライクに追い込まれてしまうと、K(三振)を好む無意識の自分が一瞬顔を覗かせ、三振するまいという集中力が失われてしまう。


日本人のプロ野球選手の場合、自分の名前は漢字で認識しているはずなので、メジャー・リーガーほどアルファベットによる“名前文字効果”の影響を受けないと思われる。だが、ユニフォームにはアルファベット名が記されていることが多い。何らかの影響を受けている可能性がある。

そこで、さっそく日本野球機構オフィシャル・サイトで公開されている2007シーズン終了時点での通算三振記録一覧を参照してみると、思わず鳥肌が立ちそうな驚愕の事実が判明した。この一覧には上位40名の選手が記載されているのだが、トップ20を下に示す(注:携帯から閲覧している人は、リンクを選択すると画像が表示される)。

通算三振記録トップ10


なんと、歴代1位の清原和博から6位の野村克也まで、全員が頭文字Kを持つ選手である。特に1位の清原和博は、姓と名の両方がKで始まる。さらに、9位にランクされているオリックス在籍のローズ選手(日本人扱い)も本名のファーストネームは頭文字がKである。(注:最初はトップ10までのリストを示していたが、頭文字Kの偏り具合がより明確になるようにトップ20に差し替えた)。

日本人選手の場合、メジャーリーガーほど三振記号としてのKを意識しないかもしれないが、スコアブックにKと記すのは日本も同じである。スコアブックを見たときにKがやたらと多くても、頭文字Kを持つ選手は内心あまり嫌な気がしないのかもしれない。

さて、ネルソン准教授とシモン准教授が調べたその他の母集合についても、“名前文字効果”が作用していることを示す結果が得られている。

  • 名前の頭文字にCまたはDがある学生(MBA学生と大学生)は、名前の頭文字にAまたはBがある学生よりも成績が劣る傾向があることが判明した。ただし、頭文字AまたはBを持つ学生は、頭文字DまたはCを持つ学生より成績が良いだけであって、その他の頭文字を持つ学生より成績が優れているのではないことも判明している。

  • ロー・スクール(法学校)については、入学者の頭文字を調べた。すると、入学難易度の低いロースクールほど、頭文字AまたはBを持つ卒業生が少ないことがわかった。この結果は、上の結果と微妙に食い違っているように思われるが、情報元の記事にはネルソン准教授とシモン准教授の見解が記されていない。


これらはいずれも、結婚や職業選択のようなポジティブな選択だけでなく、ネガティブな選択においても“名前文字効果”が作用していることを示しているというわけである。

日本でもポジティブな選択とネガティブな選択の両方について、名前との符合の例を調べていくと面白い結果が得られそうだ。実際、上に示したように、プロ野球の通算三振記録に関しては、隠された事実を掘り当ててしまった。

この三振傾向に関しては、各球団が新人選手や外国人選手を入団させるときに今後、役立てることができるかもしれない。特に外国人選手を獲得するときには、重要な判断基準の1つになるかもしれない。

もっといろいろ考察してみるべきかもしれないが、話題提供を第一に考える筆者としては、通算三振記録に隠された事実を掘り当てただけで、もうお腹一杯である。この記事を読んだあなたがブログなりサイトなりを持っておられるなら、“名前文字効果”の作用と考えられる例を調べてみると新たなネタ作りにつながるかもしれない。

なお、上記の3名の准教授たちは、あくまで心理学の観点から“名前文字効果”をとらえていることに留意されたい。従来は偶然の一致と片付けられてきたことの裏に、心理学的なメカニズムが働いているのではないかと考えているわけだ。

そうそう、テレビ局や制作会社の人が三振記録一覧に隠された事実を番組で取り上げる場合は、ちゃんとネタ元として「なんでも評点」の名前に言及していただきたく思う次第。ついでに書籍が来年1月に出ることも宣伝していただけると感謝に堪えないのだが、さすがにあつかましいお願いか・・・。




■ Source: Blame game: My name made me do it

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この記事へのコメント

1. Posted by ー   2007年11月17日 09:32
興味深い事実ですねぇ
2. Posted by jacklegdoc   2007年11月17日 14:11
いつも楽しく拝見させてもらっています。
普通は苗字のイニシャルは引き継がれるので、それに関する特性も遺伝するのかも知れませんね。
3. Posted by XXX   2007年11月17日 16:55
スコアブックに関しては三振の意味を持つKをみて士気が下がってるだけのような・・
4. Posted by ...   2007年11月17日 22:21
信憑性は少なそうな気がしないでもないですね。。。統計でそうなっていたとしても何故そうなるかという肝心な根拠が微妙ですし。。。
5. Posted by 名無し   2007年11月18日 06:29
単純に「Kで始まる名前というのは多いものだ」
というような性質も考慮した上で相関が出たんでしょうか?
(実際のイニシャル比率分布はわかりませんが・・・)
6. Posted by あ   2007年11月19日 06:06
三振数は試合数に比例するので
三振率を出してもらわないと
7. Posted by     2007年11月20日 08:38
・試合数で割る
・全体選手の中でKが付く人の割合を調べる

最低でもこれくらいやらないと・・・。
文系一直線の俺ですら騙せないぞ。

8. Posted by Z   2007年11月21日 12:22
記録は記録なので、「三振の多い人にはイニシャルにKが付く人が多い」のは面白く感じます
が、それを元に「Kがつく人は三振が多い」とするのは論理の飛躍ですね
また、名前文字効果に結びつけるのもどうか
たとえ理論が正しくても、日本人なら「根性」や「気合い」につながるのかもしれませんし
「名前にサ行が含まれる人」を調べるべきかもしれません
「何にでも当てはめられる都合良すぎ理論」ですな
9. Posted by     2007年11月22日 22:26
そもそも日本人の名前って、姓にしろ名にしろ
Kで始まるものが多いと思う

単純に考えて、例えばラ行で始まる名前よりカ行で始まる名前の方が出やすいし

全体数が多いから比率が高まるのは当たり前だよね
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