クラウドソーシング「ランサーズ」 なんでも評点:生まれてすぐに引き離された双子姉妹が35年後に再会を果たし、自分たちが極秘実験の被験者だったことを知る

2007年10月31日

生まれてすぐに引き離された双子姉妹が35年後に再会を果たし、自分たちが極秘実験の被験者だったことを知る


米国では、生後まもなく養子に出されてしまう子供がかなりいる。養子に出された子供は、ある程度まで成長した時点で両親から真実を告げられることが少なくないようだ。「お前は本当は母さんが生んだ子ではないのだ」と。
米国ニューヨーク州出身のエリス・シャインさん(1968年生まれ)も、そんな1人だった。だが自分が養子だと知ってすぐに実の母に会いたいと思ったわけではない。彼女が実の母を探し出そうと決心したのは、30半ばになってからである。

当時パリで暮らしていたエリスさんは、自分の養子縁組を斡旋した機関(アドプション・エージェンシー)を突き止めて連絡を取り、実の母に会わせてもらえないかと頼んでみた。やがて、アドプション・エージェンシーから返答があった。だが、あまりにもがっかりする答えだった。エリスさんの母は存命だが、養子に出した娘に今さら会うつもりはないという。

それだけで話が終わっていたら、エリスさんはただただ落胆するばかりだったかもしれない。しかし落胆を吹き飛ばすような驚愕の事実が斡旋機関から告げられたのだ。「あなたには、ポーラという名の双子の姉妹がいます」と。

その2日後、エリスさんはソーシャルワーカーの助けを借りて、ポーラさんを見つけ出した。同じ子宮の中で約10ヶ月仲良く育った後、ようやくこの世に生を受けたかと思うと、息つく暇もなく引き離されてしまった双子の相方を・・・。

エリスさんは、高校時代は新聞部に所属していて、大学では映画を専攻した。卒業後はライターとして生計を立てるようになった。ポーラ・バーンスタインさんも、エリスさんとまったく同じ道を歩んでいた。新聞部で活躍し、映画を専攻した後、ライターになっていたのである。

唯一違っていたのは暮らしていた場所だけである。その当時エリスさんが前述のようにパリに住んでいたのに対し、ポーラさんはニューヨークで暮らしていた。そのため、すぐに“再会”を果たすことはできなかったが、2004年のある日、2人はニューヨークで落ち合った。ランチタイムに待ち合わせたのだが、話は深夜になっても尽きなかった。

だが“生後初めての再会”の間、エリスさんはポーラさんに切り出せなかったことが1つあった。自分たちが生後まもなく引き離された真の理由である。双子を双子として養子縁組に出さなかったのはなぜなのか?

エリスさんとポーラさんのどちらの育ての両親も、自分が引き取った子供に関して何らかの継続研究が行われていることを漠然と知っていた。だが、自分が引き取った子供が双子のかたわれであることは知らなかった。

実は、ピーター・ノイバウアーという有名な児童精神科医が双子の成長に関する研究を率いていた。「自然対養育」という積年のテーマに取り組む研究だった。つまり、同じ遺伝子を共有しながらも生後まもなく引き離された一卵性双生児は環境(養育)の違いに応じて、どのように異なる成長を遂げるかを調べようとする研究だったのである。

いったい何組の双子(養子縁組に出された双子)が被験者となったのかは明らかになっていない。だが、その被験者の中にエリスさんとポーラさんが含まれていたことは紛れもない事実である。

エリスさんは、“生後初めての再会”の後しばらくしてから、この驚愕の事実をポーラさんに打ち明けた。そのときのことを振り返って、ポーラさんは言う。「まるで映画みたいな話でした。涙が溢れて止まりませんでした」

エリスさんもこう付け加える。「私たち2人が一緒に育つことが自然の摂理だったにもかかわらず、2人が引き離されたのですから、(研究者たちが)自分たちを引き離したのは犯罪に値するのではないかと思います」

現在、エリス&ポーラ姉妹はともにブルックリンで暮らしている。もう動揺は乗り越えた。そもそも2人は物書きである。こんな残酷な実験の被験者になった2人が黙っているはずがない。自分たちの体験を“Identical Strangers: A Memoir of Twins Separated and Reunited”という題名の本にまとめ上げた。

“Identical Strangers”とは、他人同士なのに同じ遺伝子を持っていることを意味する。つまり他人ではなく双子なのだ。しかし、自分に双子の相方がいることを30代半ばになって知るまで、2人は他人同士だった。職業を同じくしていたことから、もしかしたらどこかで出会ったかもしれない。だが、それでも2人はお互いを他人の空似だと思うほかなかっただろう(もっとも、誕生日も同じだという事実をどう受け止めたか)。

エリス&ポーラ姉妹は、2人を引き離した実験を率いた張本人にも接触を試みた。世界的に著名な児童精神科医ピーター・ノイバウアー医師である。最初は面会を断られたが、最後には会話を録音しないという条件付きで面会してもよいと返事があった。エリス&ポーラ姉妹によれば、2人と面会したノイバウアー医師の表情には、反省の色がまったく見られず、謝罪の言葉もなかったという。

1968年に生後間もないエリス&ポーラ姉妹の養子縁組をまとめた“ルイス・ワイズ・アドプション・エージェンシー”は、ノイバウアー医師の研究プロジェクトに積極的に協力していた。この養子縁組斡旋機関には、ビオラ・ベルナードという名の児童精神科医がコンサルタントとして所属していた。ベルナード医師は、「双子の精神発達を改善するには、別々に育てる必要がある」と信じていた。双子に同じ服を着せて同じように扱うから、双子の精神発達が遅れるのだ、と。(注:1968年当時の米国では、双子は精神発達が遅いと信じられていたようだ)。

この研究プロジェクトは、1979年に打ち切られた。しかし、ニューヨーク州では翌1980年まで、誕生直後の双子を離別させる養子縁組が行われていた。伝えられるところによると、ノイバウアー医師は、この研究プロジェクトの全データをエール大学の保管庫に凍結してしまったらしい。しかも、その保管庫は2066年になるまで開錠が許されていない。

このように研究プロジェクト自体が文字通りお蔵入りしたのは、研究者たちの描いた青写真に背く結果が多かったからではないかと推察してみる。ノイバウアー医師らにすれば、引き離されて異なる家庭で育った一卵性双生児には、まったく異なる人生を歩んでもらわないと困ったのだろう。ところが、エリス&ポーラ姉妹にしても、文筆業という同じ職業に就いている。

おまけに引き離したはずの双子が35年の時を隔てて“生後初の再会”を果たし、自分たちの運命を翻弄した実験の存在に気づき、こうして1冊の本を共著で出版するに至ったのだから、ノイバウアー医師らにすれば極め付けに皮肉な話だろう。

なお、エクアドルで生後まもなく生き別れになった双子姉妹が再会を果たした話を以前取り上げたことがあるが、母は双子を生んだことすら覚えていなかった。双子のうち片方だけが生みの母に育てられ、もう一方は(生みの母に無断で)養子に出された。上記の実験でもそういうケースがなかったとは言い切れないかもしれない。

自分そっくりの他人がいることを知り、他人の空似だろうと思っていても、実は誰もその存在を知らない双子の兄弟だったりすることがあるかもしれない。




■ Source: How science separated twins at birth

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1. 超暇つぶしブログ  [ 超暇つぶしブログ ]   2007年10月31日 08:08
 
この姉妹は医師やプロジエクトを訴えるべきだな、アメリカだし信じられないぐらいの賠償金取れるんじゃない? ついでに検証結果の間違いも正せて一石二鳥ですよ。 Identical Strangers: A Memoir of Twins Separated and ReunitedPaula Bernstein Elyse Schein by G-Tools
3. くだらない迷信で強要された双子の半生  [ CELESTIAL FORTUNE-21st wayイラスト投稿者東陽子の雑記帖 ]   2007年11月02日 15:40
生まれてすぐに引き離された双子姉妹が35年後に再会を果たし、自分たちが極秘実験の被験者だったことを知る(なんでも評点) http://rate.livedoor.biz/archives/50469544.html

この記事へのコメント

1. Posted by 冬雪   2007年10月31日 17:23
5 凄いですね!
感動・・・
2. Posted by    2007年10月31日 18:13
実験内容は興味深いし、面白いデータが取れそうですが、
その裏で泣く被験者もいるんですよね…。
3. Posted by    2007年10月31日 19:16
昔あったツインズって映画思い出した
4. Posted by マンゴー   2007年10月31日 19:41
世界にはいろんなことをする人がいるんですね・・。ひどい・・・。
でも、この話は本当にすごい。
感動です!!
5. Posted by 名無し   2007年11月01日 13:40
モンスターを思い出した
6. Posted by     2007年11月02日 00:08
私たちは極秘実験の被験者だったのよ!!
Ω ΩΩ< な、なんだってー!!

しかしこの程度で「犯罪に値すると思います」とか、
ぬるま湯な成功人生歩んできたとしか思えませんね。

親の経済的に仕方なく一人にして、被験者とする事を許した・・・とかかもしれないし。
育ての親が酷い人間だった訳でもなさそうですし。
まぁ医者も反省することはないけど言葉の上では悪かったねくらいは言ってよさそうですが。
7. Posted by     2007年11月03日 19:10
双子は同じ環境で育つのが文化。兄弟という関係がある
他人の双子というのは倫理的にはクローンじゃないか?
8. Posted by 名   2009年08月24日 18:31
だんだん
9. Posted by ブルージュ   2009年08月26日 12:36
まんまサガフロだな。
10. Posted by     2010年08月10日 02:30
いや、誘拐したとか親の許可もとらずに連れ去ったとかならともかく
親合意の上で別々に育ててるんだから犯罪に値するとかいわれてもな
11. Posted by ひれみん   2011年07月18日 17:17
普通や偶然ってないのかもしれないですね
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自分も双子なんけど、できればこのように別々にされたかったな。比べられたり1セット扱いされるのが不快なんだ。

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