2007年09月10日
米国ウィスコンシン州メナーシャ在住の会社員マーリン・ハーンさん(40歳)は、普段なら妻にハンドルを握らせず、自分で車を運転していたことだろう。履物もサンダルと決まっている。ところが、その日に限っては、どういうわけか妻に運転を任せて助手席に座り、サンダルではなくランニングシューズを履いていた。この違いが奇跡を生むことになる。
9月2日(日曜日)、マーリンさんは妻のテレサさんと、4人いる子供の1人デビン君(8歳)を伴って買い物に出かけた。その帰り、マーリンさんたちを乗せた車が線路の踏み切り付近に差し掛かったとき、非常に危なっかしい光景が夫妻の目に飛び込んできた。
いつ列車が通過するかもしれない線路の上で数人の子供たちが遊んでいたのだ。妻のテレサさんは、急いで携帯電話で警察に通報を入れた。ところが、まだ彼女が係官と電話で話している最中に、踏み切りの警報機が鳴り始めたではないか。
そのとき既に、列車が子供たちのすぐそばまで差し掛かっていた。カナダ国有鉄道が運行している全長2.4キロ以上、総重量1万1千トンにも及ぶ巨大列車が、子供たちの遊んでいる線路の上を今まさに通過しようとしていた。
もはや警察を呼んでいる場合ではなかった。助手席に座っていたマーリンさんは、ドアを勢いよく開けると外に飛び出し、線路に向かって全力で走り始めた。
夫が見知らぬ子供を助けに飛び出したのを妻のテレサさんは茫然と見送っていた。テレサさんは、まさか夫が線路まで助けに行くとは思っていなかった。線路に走った夫の姿を見て、もう絶対に列車に轢かれてしまうのではないかと凍りついた。
子供が線路のすぐそばにいることに列車の機関士が気づいて、すぐに緊急ブレーキを作動させたが、総重量1万1千トンの巨大列車が急に停まれるはずもない。踏み切りを数百メートルも行き過ぎたところで、ようやく停止した。
機関士のウィリアム・リードさんの視界には、子供を助けに駆け寄ってくるマーリンさんの姿も入っていた。「その男性は、見たこともない速さで走って来ました」と彼は言う。
列車の轟音と共に妻テレサさんと8歳の息子デビン君の視界から消えたマーリンさんは、間一髪で見知らぬ幼い子供を線路脇から抱え去り、再び姿を現した。テレサさんは夫が、デビン君はお父さんがヒーローになった瞬間をしかと目に焼き付けた。
マーリンさんは、背後から迫り来る列車に怯むことなく、線路脇にいた3歳の男の子を抱き上げ、安全な場所まで救出したのである。マーリンさんが後日語ったところによると、彼は列車がどれくらい近づいているかさえ知らなかった。
「列車の車掌さんは、きっと私と男の子をはねてしまったと思ったことでしょう。実際、私が男の子を抱きかかえて飛び退いたときには、列車は既に通り過ぎていました。本当に間一髪でしたよ」とマーリンさんは言う。
だが、彼に抱きかかえられた男の子は、今さら初めて列車に気づいたらしく、列車の方を指差して「トレイン!トレイン!」と無邪気に連呼したのだという。
マーリンさんによると、3歳の男の子は線路から50センチも離れていないところに立っていた。その子と一緒に遊んでいた年上の男の子は、列車が通過する空間から十分離れたところにいた。「3歳の男の子は(そのまま放っておいたら)列車に接触するか、巻き込まれていたんじゃないかと思います」とマーリンさんは言う。
地元警察のロッド・マキャンツ署長は、マーリンさんの行動を英雄的行為とたたえており、正式に感謝状を贈ることを検討しているという。
マーリンさんは、自分がとっさの行動で男の子を救うことができたのは、神の力が介在したからに違いないと信じている。彼は言う。「神が与えてくれたタイミングは本当に完璧でした。賛美も賞賛も神に向けられるべきです。私たちは、神の手であり足であるに過ぎないのですから」
妻テレサさんも夫マーリンさんに同意する。「夫は、あの子を守らねばならないという気持ちに純粋に突き動かされたのです。奇跡だったとしか言うほかありません」
神の力云々に関しては、いまいちわからないという印象を持つ人もいるだろう。本当に一刻の猶予もない極限状況に立たされて、まったくの赤の他人を救うために命を賭けた行動を取る。その人をそういう行動に駆り立てるものは何なのか? マーリンさん自身は「神の力がそうさせた」と信じている。
実際、冒頭で触れたようにマーリンさんがいつもどおり車のハンドルを握っていて、いつもどおりサンダル履きだったら、男の子を救うことはできなかっただろう。より正確に言えば、運転中の彼だったら、車から飛び出すことに躊躇しただろう。一瞬の躊躇の後に飛び出したとしても、サンダル履きでは追いつかなかっただろう。なんせ、マーリンさんはランニングシューズを履いていたおかげか、機関士が「見たこともない」と表現するほどの速さで線路脇まで走って行くことができたのだから。
彼の行動が究極の利他的行動であったことだけは確かである。マーリンさんは、自分が本来守るべき妻と子供を車の中に残して、どこの誰の子ともわからない幼い子供を救うために自らの命を危険にさらした。その子を救うために愛する家族と死に別れるかもしれない・・・などという考えは脳裏から消し飛んでいたのだろう。
もし、あと一瞬でも遅かったら、マーリンさんも男の子もはねられて、おそらくは帰らぬ人となっていただろう。最悪の悲劇を間一髪で回避したからこそ、奇跡なのかもしれないが。
■ Source: Good Samaritan 'saves kid's life,' plucks boy from train's path
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いつ列車が通過するかもしれない線路の上で数人の子供たちが遊んでいたのだ。妻のテレサさんは、急いで携帯電話で警察に通報を入れた。ところが、まだ彼女が係官と電話で話している最中に、踏み切りの警報機が鳴り始めたではないか。
そのとき既に、列車が子供たちのすぐそばまで差し掛かっていた。カナダ国有鉄道が運行している全長2.4キロ以上、総重量1万1千トンにも及ぶ巨大列車が、子供たちの遊んでいる線路の上を今まさに通過しようとしていた。
もはや警察を呼んでいる場合ではなかった。助手席に座っていたマーリンさんは、ドアを勢いよく開けると外に飛び出し、線路に向かって全力で走り始めた。
夫が見知らぬ子供を助けに飛び出したのを妻のテレサさんは茫然と見送っていた。テレサさんは、まさか夫が線路まで助けに行くとは思っていなかった。線路に走った夫の姿を見て、もう絶対に列車に轢かれてしまうのではないかと凍りついた。
子供が線路のすぐそばにいることに列車の機関士が気づいて、すぐに緊急ブレーキを作動させたが、総重量1万1千トンの巨大列車が急に停まれるはずもない。踏み切りを数百メートルも行き過ぎたところで、ようやく停止した。
機関士のウィリアム・リードさんの視界には、子供を助けに駆け寄ってくるマーリンさんの姿も入っていた。「その男性は、見たこともない速さで走って来ました」と彼は言う。
列車の轟音と共に妻テレサさんと8歳の息子デビン君の視界から消えたマーリンさんは、間一髪で見知らぬ幼い子供を線路脇から抱え去り、再び姿を現した。テレサさんは夫が、デビン君はお父さんがヒーローになった瞬間をしかと目に焼き付けた。
マーリンさんは、背後から迫り来る列車に怯むことなく、線路脇にいた3歳の男の子を抱き上げ、安全な場所まで救出したのである。マーリンさんが後日語ったところによると、彼は列車がどれくらい近づいているかさえ知らなかった。
「列車の車掌さんは、きっと私と男の子をはねてしまったと思ったことでしょう。実際、私が男の子を抱きかかえて飛び退いたときには、列車は既に通り過ぎていました。本当に間一髪でしたよ」とマーリンさんは言う。
だが、彼に抱きかかえられた男の子は、今さら初めて列車に気づいたらしく、列車の方を指差して「トレイン!トレイン!」と無邪気に連呼したのだという。
マーリンさんによると、3歳の男の子は線路から50センチも離れていないところに立っていた。その子と一緒に遊んでいた年上の男の子は、列車が通過する空間から十分離れたところにいた。「3歳の男の子は(そのまま放っておいたら)列車に接触するか、巻き込まれていたんじゃないかと思います」とマーリンさんは言う。
地元警察のロッド・マキャンツ署長は、マーリンさんの行動を英雄的行為とたたえており、正式に感謝状を贈ることを検討しているという。
マーリンさんは、自分がとっさの行動で男の子を救うことができたのは、神の力が介在したからに違いないと信じている。彼は言う。「神が与えてくれたタイミングは本当に完璧でした。賛美も賞賛も神に向けられるべきです。私たちは、神の手であり足であるに過ぎないのですから」
妻テレサさんも夫マーリンさんに同意する。「夫は、あの子を守らねばならないという気持ちに純粋に突き動かされたのです。奇跡だったとしか言うほかありません」
神の力云々に関しては、いまいちわからないという印象を持つ人もいるだろう。本当に一刻の猶予もない極限状況に立たされて、まったくの赤の他人を救うために命を賭けた行動を取る。その人をそういう行動に駆り立てるものは何なのか? マーリンさん自身は「神の力がそうさせた」と信じている。
実際、冒頭で触れたようにマーリンさんがいつもどおり車のハンドルを握っていて、いつもどおりサンダル履きだったら、男の子を救うことはできなかっただろう。より正確に言えば、運転中の彼だったら、車から飛び出すことに躊躇しただろう。一瞬の躊躇の後に飛び出したとしても、サンダル履きでは追いつかなかっただろう。なんせ、マーリンさんはランニングシューズを履いていたおかげか、機関士が「見たこともない」と表現するほどの速さで線路脇まで走って行くことができたのだから。
彼の行動が究極の利他的行動であったことだけは確かである。マーリンさんは、自分が本来守るべき妻と子供を車の中に残して、どこの誰の子ともわからない幼い子供を救うために自らの命を危険にさらした。その子を救うために愛する家族と死に別れるかもしれない・・・などという考えは脳裏から消し飛んでいたのだろう。
もし、あと一瞬でも遅かったら、マーリンさんも男の子もはねられて、おそらくは帰らぬ人となっていただろう。最悪の悲劇を間一髪で回避したからこそ、奇跡なのかもしれないが。
| 紙一重指数10 | ■■■■■■■■■■ |
■ Source: Good Samaritan 'saves kid's life,' plucks boy from train's path
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1. 神楽書堂‐ニュースログ‐ [ 神楽書堂‐ニュースログ‐ ] 2007年09月10日 21:47
この記事へのコメント
1. Posted by なお
2007年09月10日 18:03
感動ですね!!
2. Posted by 赤
2007年09月10日 23:51
こんな時、「自分」ではなく「神」の力のお陰にするのは、
確かな宗教を持たない私にとっては不思議であり、照れ隠しのように見えます。
(私なら単に幸運な偶然が重なったのか、まだこの二人が
死ぬ運命じゃなかったのかな、等考えるので)
でも「助かって良かった」と思う気持ちは共通しています。
悪魔の声が聞こえて犯罪に走ってしまったという人も
いますし、それに比べてこんな嬉しい事なら、
神でも潜在能力でも沢山あって欲しい奇跡です。
確かな宗教を持たない私にとっては不思議であり、照れ隠しのように見えます。
(私なら単に幸運な偶然が重なったのか、まだこの二人が
死ぬ運命じゃなかったのかな、等考えるので)
でも「助かって良かった」と思う気持ちは共通しています。
悪魔の声が聞こえて犯罪に走ってしまったという人も
いますし、それに比べてこんな嬉しい事なら、
神でも潜在能力でも沢山あって欲しい奇跡です。
3. Posted by ニー
2007年09月11日 06:20
ヒーロー指数10■■■■■■■■■■
[正義][勇気]尊敬しますね。
[正義][勇気]尊敬しますね。
4. Posted by ー
2007年09月11日 15:03
皆さん寛大ですねー。
結果良ければ…かもしれないけど
ヒーロー願望が強い人は、父親としては勘弁です。
自分の家族>>>>>>>他人の子ども
ですから。
生きてなきゃ家族は守れない。
結果良ければ…かもしれないけど
ヒーロー願望が強い人は、父親としては勘弁です。
自分の家族>>>>>>>他人の子ども
ですから。
生きてなきゃ家族は守れない。
5. Posted by しん
2007年09月11日 16:33
確かにそうですよね
6. Posted by あき
2007年09月12日 06:58
こんな幼い子から目を離して遊ばせている親の方が理解できません(>_<)
結果オーライだったから良かったものの…
背筋か凍ります。
結果オーライだったから良かったものの…
背筋か凍ります。
7. Posted by
2007年09月12日 12:59
かっけえw
8. Posted by kk
2007年09月15日 22:34
>赤
運命は宗教がらみの概念でしょう。
それを信じてるのに宗教を持たないとは?
運命は宗教がらみの概念でしょう。
それを信じてるのに宗教を持たないとは?
9. Posted by なるっち
2007年09月17日 20:56
>kk
「ごはんを粗末にしちゃダメ」ってのも厳密に言えば宗教だけど、
宗教よりもモラルとして認識している人のほうが多いわけで。
「ごはんを粗末にしちゃダメ」ってのも厳密に言えば宗教だけど、
宗教よりもモラルとして認識している人のほうが多いわけで。
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