2007年08月29日
自分には特別な能力があると信じている人たちは、いくつかのパターンに分類できる。まず、(A)そう信じているのは自分だけなのか、それとも(B)周囲の人々もそう信じているのか。そして、それが(1)本当に備わった能力なのか、(2)ありもしない能力なのか。
当ブログでは、A-2のパターン、すなわち「周りの者は誰も知らないが自分には特別な能力がある」と信じていて、なおかつ、それは彼の妄想または思い込み以外のなにものでもなかった・・・というパターンに当てはまる若者の話を何度か取り上げたことがある。
今回お伝えする話に登場する人物は、B-2のパターンに該当しそうである。彼が自分に備わっていると信じていた能力は、西洋文明圏内にいるわれわれから見れば、絶対にありえない能力である。だが、彼は自分の能力を信じていたし、周囲のみんなも信じていた。
タンザニア・ルクワ州のムパンダ地区、かの有名なタンガニーカ湖(ウガンダとの国境に沿って南北に細長い水域を持つ湖)の近くにマシンゴという村がある。この村では、ニャシオ・アルフォンソという名の呪術医が村人たちの厚い信頼と崇拝を集めていた。
アフリカ大陸の呪術医は、伝統医術師的な仕事もする一方で、先祖の霊や精霊との交信役も果たす。8月第3週のある日、アルフォンソさんは先祖の霊のお告げを聞いた。村の傍を流れる川に入水せよ、とのお告げだった。
だが入水すると言っても、命を捧げるという意味ではなかった。マシンゴ村の村人たちは、アルフォンソさんの能力を信じきっていた。アルフォンソさん自身も断言した。「私は川の精霊たちと意思を交わすために入水するが、3日後に必ず帰還する」と。
入水決行の日、村人たちが川岸に集まった。村に伝わる歌が、ドラムに合わせて繰り返し詠唱される中、アルフォンソさんは川に身を投じた。彼は水中に姿を消した。きっと、川の精霊たちに手厚く迎えられたに違いなかった。
そして3日が経過した。村人たちは、アルフォンソさんが身を投じた場所に再び集まり、呪術医の帰還は今か今かと待ち受けた。だが、いつまで経ってもアルフォンソさんは水中から上がって来ない。
呪術医の身にいったい何が起きたのか? 水中で予想外の事態でも起きたのだろうか? 村の長老格たちも、さすがに心配になってきた。みんなで相談して、翌日になってもアルフォンソさんが帰って来なかったら警察に連絡しようということになった。
結局、アルフォンソさんは、川の精霊たちと意思を交わすために入水してから4日後、変わり果てた姿で川底から引き上げられた。彼のなきがらは、既に腐敗していたという。
ルクワ州警察のダウディ・シアディ署長によれば、本件はルクワ州でいまだかつて起きたことがなかった事例だという。「精霊と意思を交わすために入水するなどという風習自体初耳ですが、ルクワ州には魔術や魔力を信じている人たちが大勢いますからねえ」
呼吸ができないはずの水中で3日間過ごしても命を落とさない・・・なんてことは、もちろんわれわれの常識からすれば、ありえないことである。この結末に“どんでん返し”の要素はない。当然の結末でしかない。
だが、マシンゴ村の村人たちにすれば、世界観がひっくり返りかねないほど“どんでん返し”な結末だったのではないだろうか? 現に長老たちは、あまりにも予想外の展開に恐れをなして、普段の彼らならあまり当てにしないのではないかと思われる警察の力を借りることにしたのだから。
しかし、日本にだって、この呪術医のように“ありもしない力”を持っていると皆に信じられている人はいる。新興宗教の教祖などがそうかもしれないし、周りから見たら胡散臭いことこの上ないのに多額の投資を集めている怪しい会社の社長や会長もこれに当てはまるかもしれない。しかし、もっと身近なところにも、このパターンは存在する。
たとえば、子供のころから親の期待を背負い、本人も自分は優秀なのだと信じて育った人の場合も、これに近い状況に陥ることがあるだろう。学校の成績が思ったように上がらなくても、自分はそれでも優秀なのだと信じ続ける。親たちも、この子はやれば出来るのだと信じ続ける。だが、あるとき厳しい現実にぶち当たると、すべてがもろくも崩れ去る。
自分だけでなく周囲の人にも信じられている能力が実はありもしない能力である場合は、その能力が存在しないことが証明されたとき、すべてが破綻することになりかねない。上記の呪術師は、その典型例だと見ることもできよう。
■ Source: http://www.news24.com/News24/Africa/
News/0,,2-11-1447_2172609,00.html
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タンザニア・ルクワ州のムパンダ地区、かの有名なタンガニーカ湖(ウガンダとの国境に沿って南北に細長い水域を持つ湖)の近くにマシンゴという村がある。この村では、ニャシオ・アルフォンソという名の呪術医が村人たちの厚い信頼と崇拝を集めていた。
アフリカ大陸の呪術医は、伝統医術師的な仕事もする一方で、先祖の霊や精霊との交信役も果たす。8月第3週のある日、アルフォンソさんは先祖の霊のお告げを聞いた。村の傍を流れる川に入水せよ、とのお告げだった。
だが入水すると言っても、命を捧げるという意味ではなかった。マシンゴ村の村人たちは、アルフォンソさんの能力を信じきっていた。アルフォンソさん自身も断言した。「私は川の精霊たちと意思を交わすために入水するが、3日後に必ず帰還する」と。
入水決行の日、村人たちが川岸に集まった。村に伝わる歌が、ドラムに合わせて繰り返し詠唱される中、アルフォンソさんは川に身を投じた。彼は水中に姿を消した。きっと、川の精霊たちに手厚く迎えられたに違いなかった。
そして3日が経過した。村人たちは、アルフォンソさんが身を投じた場所に再び集まり、呪術医の帰還は今か今かと待ち受けた。だが、いつまで経ってもアルフォンソさんは水中から上がって来ない。
呪術医の身にいったい何が起きたのか? 水中で予想外の事態でも起きたのだろうか? 村の長老格たちも、さすがに心配になってきた。みんなで相談して、翌日になってもアルフォンソさんが帰って来なかったら警察に連絡しようということになった。
結局、アルフォンソさんは、川の精霊たちと意思を交わすために入水してから4日後、変わり果てた姿で川底から引き上げられた。彼のなきがらは、既に腐敗していたという。
ルクワ州警察のダウディ・シアディ署長によれば、本件はルクワ州でいまだかつて起きたことがなかった事例だという。「精霊と意思を交わすために入水するなどという風習自体初耳ですが、ルクワ州には魔術や魔力を信じている人たちが大勢いますからねえ」
呼吸ができないはずの水中で3日間過ごしても命を落とさない・・・なんてことは、もちろんわれわれの常識からすれば、ありえないことである。この結末に“どんでん返し”の要素はない。当然の結末でしかない。
だが、マシンゴ村の村人たちにすれば、世界観がひっくり返りかねないほど“どんでん返し”な結末だったのではないだろうか? 現に長老たちは、あまりにも予想外の展開に恐れをなして、普段の彼らならあまり当てにしないのではないかと思われる警察の力を借りることにしたのだから。
どんでん返し指数9 | ■■■■■■■■■□ |
しかし、日本にだって、この呪術医のように“ありもしない力”を持っていると皆に信じられている人はいる。新興宗教の教祖などがそうかもしれないし、周りから見たら胡散臭いことこの上ないのに多額の投資を集めている怪しい会社の社長や会長もこれに当てはまるかもしれない。しかし、もっと身近なところにも、このパターンは存在する。
たとえば、子供のころから親の期待を背負い、本人も自分は優秀なのだと信じて育った人の場合も、これに近い状況に陥ることがあるだろう。学校の成績が思ったように上がらなくても、自分はそれでも優秀なのだと信じ続ける。親たちも、この子はやれば出来るのだと信じ続ける。だが、あるとき厳しい現実にぶち当たると、すべてがもろくも崩れ去る。
自分だけでなく周囲の人にも信じられている能力が実はありもしない能力である場合は、その能力が存在しないことが証明されたとき、すべてが破綻することになりかねない。上記の呪術師は、その典型例だと見ることもできよう。
■ Source: http://www.news24.com/News24/Africa/
News/0,,2-11-1447_2172609,00.html
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1. 「精霊と心を通わせ、3日後に必ず戻る」と宣言し川へ飛び込んだ呪術医、亡骸で発見される 他 [ 神楽書堂‐ニュースログ‐ ] 2007年08月29日 03:47
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ネットカフェで裸でライブチャットしていた夫の手を包丁で切断した妻
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2. ホーム/2007-08-29 [ とんかつ3号 隠れ亭 ] 2007年08月29日 07:31
おはようございます。久しぶりに涼しい日になりそうですね。 皆の期待を背負い「3日後に必ず生きて戻る」と宣言して川に身を投じた男性が約束を果たせず、4日後に陸揚げされる(なんでも評点) ルクワ州警察のダウディ・シアディ署長によれば、 本件はルクワ州でいまだかつ...
この記事へのコメント
1. Posted by 蒼慧 2007年08月30日 02:34
テレビによく出ているらしい(私は嫌いで見ないので)よく怒鳴り散らす還暦を過ぎたオバサンも同じかと。
(本人も、自分の言ってる事は嘘だと知ってるんでしょうね)
(本人も、自分の言ってる事は嘘だと知ってるんでしょうね)