G- なんでも評点:女性器を小ぶりにし、はみ出しを少なくする形成手術が英米で流行するも、「作られたブーム」との批判

2007年05月26日

女性器を小ぶりにし、はみ出しを少なくする形成手術が英米で流行するも、「作られたブーム」との批判


被写体と閲覧者の双方が年齢制限をクリアしていることが前提となるが、英国や米国では、グラビアモデルやポルノ女優が性器をさらしてもよい。もはや単にさらすというレベルではなく、彼女らにとって性器は自分の重要なチャームポイントないしは商売道具である。それゆえ手入れに余念がない。美しく見せるために付近の体毛を脱毛するのはもちろんのこと、人工的に整形されていることも多い。
女性器の形を整える手術は“genitoplasty”(生殖器形成術)と呼ばれる。特にラビアを小さくしたり整えたりする手術は“labiaplasty”(ラビア形成術)と呼ばれる。写真や映像の中で性器をさらす職業の女性たちの大半は小さめのラビアを持っているが、その多くはラビア形成術で整えられたものだという。

ここ数年、英国や米国では、一般女性がラビア形成術をはじめとする生殖器形成術を受けるケースが増えてきている。米国形成外科医協会のデータによると、2005年から2006年の間だけでも生殖器形成術の執刀件数が30パーセントもの伸びを示した。さらに、英国では、2004年から2005年の期間にNHS(国民健康サービス)病院だけでも800件の生殖器形成術が執刀された。これは、その6年前に比べて倍増である。

“A Woman's Guide to Cosmetic Breast Surgery and Body Contouring”(女性のためのバスト美容整形&体輪郭形成ガイド)の著者として知られるパルンガオ医師は言う。「遺伝、出産、ホルモンの変化などの原因により、ラビアが肥大化したり、不均等になったりすることがあります。ラビア形成術を施せば、女性器の美観と機能の両面に関する問題を解決できます」

パルンガオ医師によると、ラビアが大きい女性は以下のような悩みを抱えがちだという。

  • 水着やタイトなジーンズを着たときに、外に露出したり邪魔になったりする。

  • 自転車を漕いでいるときやエクササイズをしているときに痛みや違和感を覚える。

  • 性交痛を覚える。

  • 排尿の邪魔になったり、不衛生になったりしがち。


生殖器形成術には、ラビアを小さくしたり整形したりする手術のほか、陰核の包皮を切除する手術や膣自体を短くする手術なども含まれる。これらの生殖器形成術で整えられた女性器は、俗に“デザイナー・ヴァギナ”と呼ばれる。

だが、“デザイナー・ヴァギナ”は作られたブームであり、未知の要素が多いにも関わらず、いたずらに女性の不安感を煽っているだけではないか、と警鐘を鳴らす論文がこのたび英国医学会報(British Medical Journal:BMJ)に掲載された。

この論文を著したのは、ロンドンの婦人科医セイラ・クレイトン氏と臨床心理学者のリー・メイ・リャオ氏の2人。彼女らによれば、ラビアが肥大化する現象に関するデータ自体が欠如していることに加え、術後の後遺症に関しても十分に検証されておらず、そもそも患者のラビアの大きさが本当に問題を引き起こしていたかどうかに関しても非常に疑わしいケースが大半だという。

両氏は、女性が生殖器形成術を受けようとする理由を探るため、女性患者を対象に小規模な聞き取り調査を実施した。すると、ライフスタイルに制限があることを理由に挙げる患者がいることがわかった。彼女らが抱えている問題は、上記のパルンガオ医師が挙げた問題点とおおむね共通していた。

だが両氏はこう指摘する。「男性なら、そんな理由で性器を小さくしようと考えないのが普通だ。それに、男性の場合は、性器の摩擦から生じる違和感をもっと別の方法で解決しようとする」

さらに、生殖器形成術を望む女性患者たちには共通する志向があることがわかった。彼女らが理想とするのは、成熟した女性器ではなく、平坦で、はみ出し部分がない外陰部である。これはちょうど、ファッション広告のモデルがまだ思春期を迎えていないかのごとくスリムで、突出部分の少ないルックスをしているのに通ずる、と両氏は指摘する。

両氏の論文によれば、美容整形を受けようとする女性患者たちは、まるで美容室で髪型を指定するときのように、写真を携えて現れることが多いという。生殖器形成術なら、当然、それは彼女らが理想とする性器が写っているポルノグラフィなどである。しかし、そのような性器の写真は選りすぐりの1枚であり、デジタル処理が施されている可能性もある。

そもそも、ラビアは極めて敏感な神経が通う組織であり、性的な興奮を得る上で重要な役割を果たす。それゆえ、ラビア形成手術にはリスクが付随する。「性器のどの部分にメスを入れても、感度が損なわれる可能性がある」と両氏の論文は警鐘を鳴らしている。

当ブログでは、昨今の製薬会社の販売戦略を以下のように批判している論文のことを「製薬会社は新しい病気を“発明”して売り上げを伸ばしている? 」と題する記事で取り上げたことがある。

ニューキャッスル大学の研究者たちが“Public Library of Science Medicine” 誌に発表した論文によると、製薬会社は、存在しない病気を創作し、さほど深刻でもない健康上の問題をその病気に結び付けるように誘導しているという。そして、その“病気”に効果があるとする医薬品を製造、販売して利益を得ているというのである。

製薬会社が架空の病気を捏造したり、症状の重大性を誇張したりするなどの情報操作により、薬の売り上げを伸ばそうとする“マーケティング戦術”は、disease-mongeringと呼ばれている。日本語での定訳はまだないと思われるが、“病気デマ”と訳しておこう。


クレイトン氏とリャオ氏の論文でも、これと同じ観点から、昨今の生殖器形成術ブームに批判を浴びせている。コマーシャル、メディア、社会的圧力により「ラビアが大きいのは異常だ」という認識を広め、女性たちの不安感を煽り、女性たちを生殖器形成術に誘導しているのではないか、と。

だが、「ラビアがはみ出すのは、ごく普通のことに過ぎない」と両氏は強調している。ごく普通のことに悪い意味を持たせ、女性の不安感を煽っているというわけである。

ともあれ、本件は、少なくとも英国と米国においては女性器の位置づけが大きく変わったことを意味している。かつて「隠すべきもの」であったそれが、今や「人に見てもらうもの・美しさを評価してもらうもの」へと変わったということになるだろう。(むろん、一部の女性の間で起きた意識変化に過ぎないはずだが)。

ヌード写真を携えて診察室に現れ、「このモデルさんみたいなアソコにしてください」と希望する女性患者は、自分の外陰部を性器ではなく、純粋に美しさを競うべき体の一部として認識しているかのようだ。もはや性器としての機能よりも、美観が第一に優先されている。その結果、平坦で、はみ出し部分がない外陰部が理想とされているのだろう。

女性器が美しさを競うものに変わったとすれば、まさに新時代の到来である。だが、わが国はさすがにこれに該当しない。イスラム教徒からすれば、言語道断を通り越しているだろう。英国や米国だって、すべての女性がそんなふうに考えているわけではない。クレイトン氏とリャオ氏の論調に倣うなら、結局、生殖器形成術で一儲けしようとしている医師たちに女性が踊らされているに過ぎない。

日本でも「おひとりさま」なるブームが作り出されているが、その根底を覆すような事件が起きたばかりである。




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