クラウドソーシング「ランサーズ」 なんでも評点:V字形に割れたつま先を先祖から受け継いできた知られざる部族 ― 木登りに適応するための進化?

2007年04月04日

V字形に割れたつま先を先祖から受け継いできた知られざる部族 ― 木登りに適応するための進化?


英国のニュース・サイト“This Is Local London”の記事によると、南アフリカ共和国の北側に隣接するジンバブウェの僻地に“ヴァドマ(Vadoma)”と呼ばれる人々が暮らしている。ダチョウの足のようにV字形に割れたつま先を持つことから、ダチョウ人間とも呼ばれている。
本稿を書いている時点で、ネットを検索しても“ヴァドマ”でのヒットは1件もない。筆者はかつてジンバブウェの大地を自動車で駆け巡っていた時期があるが、“Vadoma”の名を聞いたことはなかった。

「つま先がV字形に割れている」と聞いても、タイ北部の首長族や、下唇に皿をはめ込んで拡張することで知られるエチオピアのムルシ族のような例もあるので、その手の“肉体改造”のことかと思う人が少なくないだろう。

だが、彼らのV字形のつま先は先天的なものである。ジンバブウェ北東部、ザンベジ川上流域のチルワ丘陵地帯で外部と接触を持たずに暮らしてきた彼らが、先祖から引き継いできた遺伝形質なのである。

ヴァドマ族のV字形のつま先このようにつま先がV字形に割れているのは、その中間の指が欠落していることによる。このような症例は“欠指症(ectrodactyly)”と呼ばれるが、彼らの欠指症は遺伝性のものであり、第7染色体の変異が原因とされる。

これは“欠陥”のように見えるが、むしろ、ダーウィン説で言うところの“適応”かもしれない。なぜなら、V字形に割れたつま先のおかげでヴァドマの人たちは木登りを得意としているからだ。

ヴァドマの人々は、槍などで動物を狩ったり、罠で動物を捕らえたり、魚を釣ったり、野生のフルーツ、木の根、蜂蜜を採取したりして生活してきた。狩りまたは蜂蜜や果実の採取のために樹木に登るときは、2つに割れたつま先が効果を発揮してきた。

彼らは非常に好奇心旺盛な部族だと言われる反面、外部の人との接触を極端に避けたがる。アフリカ南部にはズールー族のように好戦的で、積極的に勢力を拡大していった部族もいたが、ヴァドマ族は外部との接触を避け、僻地でひっそり暮らすことを好んだ。それゆえ、閉じた遺伝子プールを今日まで維持してきたのだろう。

“This Is Local London”の記事によると、既存の文献に当たっても、ヴァドマ族に関する正確な記述はほとんど見られないという。少なくとも日本語Web上には、彼らに関する情報は皆無である(本稿を除けば)。

ヴァドマ族と最初に接触した白人は、英国サリー出身のチャールズ・サットン氏だという。“This Is Local London”の記事には、サットン氏が最初にヴァドマ族と遭遇するまでのストーリーが記されている。

今から56年も前の1951年のこと、まだ英国にいたサットン氏は目をつぶって世界地図にピンを刺した。ピンが刺さったのは、南ローデシア(今のジンバブウェ)だった。そこで、彼は本当に南ローデシアに渡り、現地で警察官の職に就く。

その後、さまざまないきさつがあってヴァドマ族と巡り合うまでのストーリーが記されていてなかなか面白いのだが、本稿では割愛させていただくことにした。どうやら近いうちにサットン氏がヴァドマ族に関する本か何かを出すようである。

【付記:評点について】
昨日の記事の末尾で“評点”を廃止することをお知らせしたところ、何人もの人に温かいコメントをいただきました。まだはっきりプランがまとまっていないのですが、筆者が評点(点数)を付けるのは、とりあえず廃止にしようと思っています。

その代わり、評点項目(“紙一重指数”や“はがゆさ”)などに相当するものは残していこうと思っています。筆者が評点する代わりに、読者の人に評点してもらうというのもありかもしれません。

当ブログで使用しているlivedoor Blogには、コメント欄にデフォルトで5段階評価機能があります。これを使って5段階評価してもらおうかなあ、と。

とりあえず、本稿で取り上げた話題に関しては「意外性」としておきましょう。




■Source: Startling Secrets Of Ostrich People (from This Is Local London)

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 仮にミュータントと呼ばれる人達が存在していたとします。
2. 木登りに適応するため進化……? V字形に割れたつま先をもつ民族 他  [ 神楽書堂‐ニュースログ‐ ]   2007年04月05日 16:41
 
3. 気になるニュース5  [ 癒しTube ]   2007年04月05日 18:07
 

この記事へのコメント

1. Posted by ´・ω・   2007年04月04日 19:35
1 V字に割れた爪先を持つ部族。
【意外性】★☆☆☆☆

これは記事評価と誤解されてしまうリスクがあるね。
とても評点を付けづらい。
外から読むとムカッと来るし。

【意外性】★★★★★
むしろいつの間にか点数付けを止めていた方に驚いたよ。
いや驚いた。
2. Posted by ま〜さ   2007年04月04日 19:45
この部族のドキュメンタリー番組をどこのチャンネルだったかは忘れましたが放送しようとしたみたいです。
十年以上前のことです。
予告編まで見たのでしっかり記憶しており、間違いありません。
しかし結局放送されず、お蔵入りしたようです。
何らかの人道的配慮があったのかもしれません。
3. Posted by     2007年04月04日 20:07
>>2
私もどこかで見たような気がするのだけど
お蔵入りしたことまで知ってるなんて詳しいですね

今なら4つ足で歩行する家族の話なんかも
テレビの特番に出てくるし、配慮もへったくれも
なさそうっすね
4. Posted by う   2007年04月04日 23:31
5、6年前、高校の生物の資料集だったかに載っていた覚えがあります。
その資料ではカニ足という表現がされていて、先天的なものであるとの説明もありました。
5. Posted by ナミ   2007年04月05日 08:41
5 皆さん詳しいですね。
遺伝的なものだとは初めて知りました。
6. Posted by ミヤ   2007年04月05日 17:42
3 世界にはまだまだ知られてない部族がいるんだろうな…
評点なくなるのは少し寂しいけど、これからも変わらずファンですよ☆
陰ながら応援してます
7. Posted by #   2007年04月05日 23:00
5 点数無いのさびしいです(´・ω・`)

遺伝子的な進化か、動く映像を見てみたいなぁ
8. Posted by あうあ   2007年04月06日 12:00
5 木登りのためだとするなら一体どれだけの月日を要して適応していったんだろう…


数ヵ月の間毎日見てますが、初コメントです。

良いシステムだと思います
9. Posted by boon   2008年01月22日 07:07
偏見ですがこういった形質が体現した人は
排他(殺されてしまう)イメージがあります。

それが受け継がれてきたという事はすごい事ですね。
10. Posted by kemuri   2008年01月25日 03:12
5 10年ぐらい前に本で見た記憶があります。
内容はほとんど覚えていませんが、足の裏の写真が載っていたのを鮮明に覚えています。

たしか96年版のギネスブックだった気がします。

その写真がこの部族のものだったかは分からないんですが...
11. Posted by explanation   2014年05月11日 14:26
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12. Posted by just click the up coming post   2014年05月12日 06:47
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