2007年03月16日

民事訴訟の被告として出廷中のナースが自分を訴えている当の相手を突然の心臓発作から救う


米国ペンシルバニア州で小児科専門看護師をしているラディナ・オズボーンさん(32歳)は、住居の大家に民事で訴えられ、同州フォルクロフト地方裁判所に被告として出廷していた。原告である大家のジュヌビエーブ・ズムダさん(77歳)が厳しい視線を浴びせる中、オズボーンさんは答弁に答えていた。
民事訴訟の原告と被告は、少なくとも訴訟の主題となっている利害に関しては、お互い敵同士である。淡々と利害を争う場合もあれば、互いに憎悪をぶつけ合いながら決着をつけようとしている場合もあるだろう。

被告のオズボーンさんは、答弁に答えている最中、自分をにらみつけていたはずの原告ズムダさんに異変が起きたことに、法廷内の誰よりも先に気づいた。オズボーンさんは言う。「彼女が突然震え始め、白目を剥いたのです」

ズムダさんは、怒りのあまり身震いして白目を剥いたのではない。発作を起こしたに違いない。そう確信した瞬間、自分が被告であり、ズムダさんが自分を訴えている原告であることなどオズボーンさんの脳裏から消し飛んでいた。

オズボーンさんは自分の席を離れて、ズムダさんのもとに駆け寄り容態をチェックした。ズムダさんは呼吸をしておらず、脈もなかった。心肺停止に陥っていた。一刻の猶予もない状況だった。

オズボーンさんは、ズムダさんの体を床に横たえた。ズムダさんの鼻をつまみ、ズムダさんの唇に自分の唇を重ねて、息を吹き込んだ。懸命に心肺蘇生術(CPR:cardiopulmonary resuscitation)を続けるオズボーンさんを裁判所の職員の1人が手助けした。誰かが助けを呼びに行った。

まもなく救急隊員が到着した。除細動器で蘇生を試みると、ズムダさんの心臓が再び鼓動を開始した。ズムダさんは最寄の病院に運ばれ、入院することになったが容態は安定しているという。

オズボーンさんは1年ほど前からズムダさん所有の賃貸物件の賃借人になっている。民事訴訟の具体的内容は明かされていない。“子供に良いお手本を”などと言っているほどなので、まさか家賃滞納とか、そういう“悪いお手本”的なことではないはずと信じたいところ。

また、現段階ではどうなるか不明だが、今回のことで、ズムダさんがオズボーンさんのことを見直して訴えを取り下げるなどという展開もありえる。

実際には、オズボーンさんが実施した心肺蘇生術のおかげでズムダさんが息を吹き返したのではない。救急隊員が持ってきた除細動器が彼女を蘇生させた。だが、自分の命を救うために懸命の処置を行ってくれたことを後で聞いて、ズムダさんは少なくともありがたく思ったはずである。

オズボーンさんはキャリア7年の現職看護師だが、病院の外で心肺停止に陥った患者に遭遇し、心肺蘇生術を実施したのは、さすがに今回が初めての経験。奇しくも、自分を訴えている原告を救ったことになるが、自分がヒーローになったようには感じていないという。

ただ、今回のことが自分の子供たちにとって良いお手本になればいいな、と考えている。彼女は言う。「誰かが倒れたとき、自分がその人を助けることができるのなら助けに行く・・・それに尽きます」

自分には死に瀕している人を救いうる知識と技術と経験がある。ならば、倒れた人が自分と敵対している相手であろうとなかろうと、その人を助けるために最善を尽くす・・・という美徳をオズボーンさんは実践して見せたことになるだろう。

美談指数8■■■■■■■■□□





■ Source: Defendant Nurse Saves Plantiff In Pa. Civil Court

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この記事へのコメント

1. Posted by 亀    2007年03月16日 09:27
ええ話や…
2. Posted by むに    2007年03月16日 09:35
>実際には、オズボーンさんが実施した心肺蘇生術のおかげでズムダさんが息を吹き返したのではない。救急隊員が持ってきた除細動器が彼女を蘇生させた。

心肺停止後、およそ5分の間に除細動器の使用を含め、何らかの処置を行わなければ正常な蘇生の確率は大きく下がります。救急隊員が到着するまでの時間は判りませんが、彼の施した蘇生術は有効だったのでは?
3. Posted by yuki    2007年03月16日 19:08
すごい感動。
4. Posted by #    2007年03月16日 19:45
皆このような心を持っていれば、戦争なんて起きないのにね
5. Posted by *    2007年03月16日 22:06
んなこたぁーない
6. Posted by    2007年03月17日 00:03
ソ連では止めを刺した
7. Posted by ・    2007年03月17日 07:50
>>4
そもそも大家と喧嘩しないだろ
8. Posted by 鱈    2007年03月17日 17:10
77歳の老人にとって、原告といえども裁判はストレスを強いられる。心臓が止まった原因がストレスであることは容易に想像できるぞ。そのストレスの元凶に助けられとあれば、心中察するに複雑であろう。
9. Posted by 308    2007年03月18日 20:51
>4
戦争は言ってみれば(実力行使を伴う)交渉術だから、感情論だけが戦争が起こる原因ではないよ。

もちろん、オズボーンさんの行動は尊いものだけど。
10. Posted by oku    2007年03月20日 08:35
除細動器は心臓の除細動を排除し、心臓に正しい脈拍を与えるものなので、心臓がまったく動いていない状態ではむしろ逆効果なのだそうです。なので、オズボーンさんが心肺蘇生術をしていなければ除細動器も意味を成さなかったでしょう。

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