G- なんでも評点:投げ込まれた手りゅう弾の上に腹ばいになり、自らの肉体を緩衝材にして仲間の命を救ったシール隊員

2006年10月16日

投げ込まれた手りゅう弾の上に腹ばいになり、自らの肉体を緩衝材にして仲間の命を救ったシール隊員


ぺたぺた貼り付ける“シール”は和製英語だ(stickerが正しい)。英語本来の“seal”は、「印鑑/封印/封鎖/密閉」の意味のほか、「アザラシ/オットセイ」の意味がある。そして、大文字表記される略語のSEALもある。これはSEa(海)、Air(空)、Land(陸)の頭文字を組み合わせたもので、米海軍精鋭の特殊部隊の名称である。
去る9月29日のこと、米国カリフォルニア州出身のマイケル・A・モンスーアさんという26歳の青年が究極とも言える自己犠牲行動で仲間の命を救った。彼は、米海軍SEAL(シール)部隊の射撃手であり、二等下士官の階級にあった。

モンスーアさんが所属するチームは、イラク正規軍と米軍の共同作戦を支援するための特殊スナイパー任務を帯びて、バグダッド西のラマディで活動していた。その日、彼は4人の仲間と共に建物屋上に設けられた狙撃活動用アジトの中にいた。だが、反乱ゲリラがその場所を突き止めたらしく、1つしかないドアが外から開けられ、何かが中に投げ込まれた。

その何かは、ドアのすぐそばにいたモンスーアさんの胸に当たった後、床に落ちてバウンドした。ピンが抜かれた手りゅう弾だった。一般に、手りゅう弾は、ピンが抜かれてから4〜5秒、長くても8秒ほどで爆発するように設計されている。床で跳ねた時点で既に1秒や2秒は経っていただろう。

モンスーアさんは、そうすることをあらかじめ決めていたかのように行動した。彼が選んだのは、拾って外に投げ捨てるという選択肢ではない。体を床に投げ出し、手りゅう弾を自分の体の下に抱え込むような体勢を取ったのである。

“一刻の猶予も許さない”などという表現がひどく間延びして聞こえるほどの、究極まで凝縮された一瞬の勇気と判断だった。

本件に関しては、モンスーアさんが所属していたチームの他の4人のメンバーが、極秘任務を帯びているがゆえ匿名を守ることを条件にAP通信の取材に答えている。

28歳の上官(大尉)によると、モンスーアさんは、手りゅう弾から目を逸らすことなく、その上に腹ばいになるように体を投げ出した。そして、それがそのとき彼の取った行動のすべてだった。

次の行動はなかった。彼がそうした直後に手りゅう弾が爆発したからである。モンスーアさんは、仲間の命を守るために、自分の肉体を緩衝材にして爆発の衝撃を弱めることを一瞬にして決断したに違いなかった。何の躊躇もなく、自分の命と引き換えに仲間を守ろうとしたのだ。

注: 仮に、彼が手りゅう弾を拾い上げて外に投げ捨てようとしていたら、投げる前に彼の手の中で爆発していた可能性が高いのだと思われる。その場合は、遮るものがないため、はるかに大きな衝撃と爆発力が仲間たちに襲い掛かっていたはずである。


そして、彼以外の4人の命は確かに守られた。28歳の大尉は、この爆発で金属片を浴び、両足を負傷した。モンスーアさんの近くにいた2人の隊員も負傷した。3〜5メートルほど離れた位置にいたもう1人の隊員は無傷だった。

大尉は言う。「彼は私と他のシール隊員の命を救ってくれたのです。われわれが死なずに済んだのは、彼のおかげです」

モンスーアさんは勇敢な若者だったようだ。今年の5月9日、彼は、足を撃たれたシール隊員を別の隊員と共に銃弾が雨あられと降り注ぐ中から無事に救出している。

その勇気ある行動を軍上部から称えられ、銀星章の授与が決まっていた。だが、受賞は死後のこととなってしまった。今回こうして自らの命と引き換えに仲間の命を救ったことに関しても、章の授与や特進などが検討されているという。

常に死と背中合わせの戦地での行動だったとは言え、モンスーアさんの勇気と自己犠牲の精神を称えないわけにはいかない。

けなげさ10■■■■■■■■■■


【補足】

本項は、AP発の記事に基づいている。イラクで戦死した米軍兵士の数は、2006年10月16日現在で2700名を超えている(下のリアルタイム・カウンター参照)。そんな中で、確かに英雄的な死ではあるが、AP通信が1人の兵士の死にスポットライトを当てているのは不思議に見えるかもしれない。

米軍のエリートであるシール隊員がイラクで戦死するのは、今回がまだ2人目だという事情があるようだ。ソース記事には、そのことが強調して書かれている。エリートだから特別視しているのかと考えると、もやもやしたものを感じないでもない。

だが、筆者はそれについてあれこれ論じられるほど事情通ではないし、モンスーアさんが自己犠牲の行動を取ることを瞬時に決断したことの凄みに純粋な意味で感銘を受けた。

イラクにおける米軍戦死者数リアルタイム・カウンター

※出典:http://www.antiwar.com/casualties/counter.php


【付記】
コメント欄でも指摘をいただいたが、米海軍階級の呼称に誤記があった。「中尉」と書いたつもりが「中将」になっていて、しかも米国海軍の場合「中尉」では不正確になる。よって次のように修正した。

×中将→○大尉




■ Source: SEAL Falls on Grenade to Save Comrades (AP)

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http://rate.livedoor.biz/archives/50303645.htmlより、 イラクでの戦争において、特殊スナイパー任務を受けていた米海軍SEAL(シール)部隊に手榴弾を投げ込まれた時、マイケル・A・モンスーアさんという26歳の青年が究極とも言える自己犠牲行動で仲間の命を救った。手榴....
2. 投げ込まれた手りゅう弾の上に腹ばいになり、自らの肉体を緩衝材にして…  [ Be Happy Girls??ファッション・コスメ・ネットで賢くお買い物♪?? ]   2006年12月30日 10:22
?ネットサーフィンをしていて、発見したニュースです・・・ 投げ込まれた手りゅう弾の上に腹ばいになり、自らの肉体を緩衝材にして仲間の命を救ったシール隊員 手榴弾が飛んできてとっさにそんな行動がとれる人間は本当にすごい。 もし、動けなけば自分も仲間も...
http://rate.livedoor.biz/archives/50303645.html(everything is gone) シールというのはアメリカ海軍の特殊部隊の名前。ピンが抜かれた手榴弾に覆い被さる形で自分を緩衝材にし、自分以外の4人の隊員の命は助かったそうです。 この人は他にも足を撃たれた仲間を別の隊...

この記事へのコメント

1. Posted by ポパイ   2006年10月16日 18:12
Wikipediaによると

アメリカ合衆国

* 陸軍 Captain
* 海軍 Lieutenant
* 空軍 Captain
* 海兵隊 Captain

アメリカ合衆国

* 陸軍 1st Lieutenant
* 海軍 Lieutenant Junior Grade
* 空軍 First Lieutenant
* 海兵隊 1st Lieutenant

とのこと
「中尉」は「大尉」に訂正すべきかも?
英文の記述からJunior Gradeが脱落している
と判断したのかもしれないけど指摘しておきます
2. Posted by ポパイ   2006年10月16日 18:15
失礼
上の方が大尉で、下の方が中尉
3. Posted by miccckey   2006年10月16日 18:41
>ポパイさん

ご指摘のとおりです。修正しておきました。
4. Posted by ハーバード・西   2006年10月17日 20:22
4 自衛隊でも同種の事件が存在した・・・という噂はありますね。
公式に「事故」という事になってますが。

小銃などによる実弾訓練よりも手榴弾訓練時のほうが事故が多いそうですね。
5. Posted by @t   2006年10月17日 20:50
ゲームなら俺もそうする。でも戦争はゲームじゃないんだよな。
6. Posted by     2006年10月18日 01:27
戦時中の日系人兵士の中にも同じ事した人が居たみたい
その後残された日系人兵士は少数で破竹の快進撃を繰り広げたらしい
7. Posted by 元傭兵   2006年10月18日 04:43
5 米軍のプロバガンダ的かもしれないけど、ソースには本当に米国で葬儀が行われたことも書いてありますよね。捏造じゃないと思います。
このサイトの南ア・ネタ読んで前から気になってたけど、アフリカの頭文字C国で前に筆者さんと会った気がする。それも戦場で。人違いかな?俺は日本生まれのフランス人だけど。
8. Posted by 、   2006年10月19日 09:55
塹壕だと手榴弾を蹴り込むための溝を掘っておくのが普通なんだけど、建造物だと難しいですわな。

今度イーストウッドが映画化した「硫黄島の星条旗」には「16歳で年齢を偽って海兵隊に入隊→後方勤務が不満で硫黄島行きの輸送船に密航、仲間からレーションをもらって食いつなぐ→武器も持たずに上陸、死体のライフルを拾って応戦→日本兵の手榴弾が2〜3個飛んできたので仲間を守るためその上に覆いかぶさる→吹き飛ばされるが奇跡的に一命をとり止める→史上最年少の議会名誉勲章受賞者に」という猛者の実話が紹介されてました。
9. Posted by yuu   2006年10月19日 21:39
第二次世界大戦でも日系人であった第442連隊戦闘団第100大隊A中隊所属のサダオ・ムネモリ上等兵が北イタリアにおける作戦で、敵から投げられた手榴弾の上に覆いかぶさって、味方を救ってますね。
 ちなみに先の大戦で唯一名誉勲章を与えられた日系人だそうな
10. Posted by osyo   2006年10月21日 00:54
軍隊にもよると思いますが、
「手榴弾が飛んで来た場合は覆い被さらなければならない」
という規定でもあるんでしょうか?

いつだか映画で見たような気がするのですが、曖昧なので・・・
11. Posted by ジョン・ドウ   2006年10月22日 11:50
>>9
手榴弾の殺傷力は爆発そのものではなく、爆発で飛び散る破片によるものです。
つまり、破片の飛散をなんとかすれば被害も極限出来る訳です。

例えば、軍隊のマニュアルでは塹壕を掘る場合、底部に傾斜を付け細い溝を付けたりします。手榴弾を投げ込まれても、この溝に転がり落ちて爆発すれば破片の飛散を最小限に出来るという仕組み。
分厚いマットレス等を手榴弾に被せるのも効果があるとも言われています。

この事例では、マットレスの替わりに人体を使った・・・という事ですね。
もちろん、このような規定は公式に定められた物ではなく『口伝による裏技』なのでしょう。
12. Posted by ピエール   2006年10月22日 14:53
手榴弾を見て慌てて何かしらのリアクションを
取ろうとした所つまづいて転んで、たまたま手榴弾の上に倒れこんでしまったって可能性もありますよね。
一エリート隊員の身に起きた悲劇(自己犠牲によるものでも偶発的な事でもどちらも悲劇)
がプロパガンダ的に英雄視されなければならないという所に、
戦争の悲しさがあると思う。
モンスーアさんが犠牲になったのだという事を差し引いて
後味の悪さ 8点 
なんちゃって
14. Posted by asd   2006年11月19日 09:24
自衛隊の幹部教育課程で「手榴弾はピンを抜いてもレバーを離さなければ安全だ」という実習中、うっかり教官がレバーを離してしまい、教官自身が手榴弾に覆いかぶさって爆死したという事故がありますね
15. Posted by ソリッド   2006年11月26日 20:52
ちょっと気になったところがあったので書き込ませていたたきます。
補足の1行目のイラクで〜という所の「戦死」が「戦士」となっています。
16. Posted by miccckey   2006年11月26日 23:58
>ソリッドさん

校正ありがとうございます。
戦士→戦死と訂正しておきました。
17. Posted by rtr   2007年06月08日 19:25
「米海軍SEAL(シール)部隊の射撃手であり」とありますが、歩兵は全て射撃手といえます。
この場合は狙撃手でしょうか。
18. Posted by 774R   2010年01月01日 01:19
3  随分古い記事にコメントするのもどうかと思いますが…、モンス−アがとった行動は実にクリティカルな判断だったはずです。
 通常手りゅう弾を扱う場合、自分の使用する手りゅう弾の発火時間を計算した上で敵に投擲します。腕のいい者だと、敵の頭上で爆発させることすら出来るそうです。
 屋内に投げ込まれたことを考えると、ドアの外で時間を調整したうえで投げ込んでるはずですから…、とっさに手にとって投げ捨てようとせず手りゅう弾の上に覆いかぶさったモンスーアは流石に一流のSEALだったわけです。

 なお、手りゅう弾は使用が極めて難しい兵器のため一部の軍では一般兵や短期徴兵で召集された兵には使用させないとしている例もあります。
 
19. Posted by ゴローズ ネックレス   2014年03月30日 07:19
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20. Posted by 名前いるの?   2015年10月20日 00:13
https://ja.wikipedia.org/wiki/ズムウォルト級ミサイル駆逐艦

2番艦が仲間を手榴弾から守り戦死したシールズ隊員マイケル・モンスーア

検索したらここに来ました。

WIKIの「手榴弾」でも人体の肉壁はナチスによって実証済みだそうな。

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