G- なんでも評点:6歳少女が海に流したボトルレターが豪華客船よりも速く地球の裏側に届いたミステリー

2006年10月15日

6歳少女が海に流したボトルレターが豪華客船よりも速く地球の裏側に届いたミステリー


ボトルレターが大洋を渡って異国の浜辺に流れ着く。きっと誰かがボトルを見つけて知らせてくれる。純真な心の持ち主なら、そう信じてボトルレターを海に流すかもしれない。でも実際には、いつまで経っても付近の海を漂っていて、結局は数キロも離れていない浜辺にゴミと一緒に打ち上げられてしまう――そんな夢のない結果になることの方がはるかに多いらしい。
だが・・・英国の少女キーリー・リードちゃん(6歳)は、昨年、ボトルレターへの返事をオランダからもらったことがある。そのボトルレターを海に流したとき、キーリーちゃんはまだ3歳だった。スコットランドのエジンバラ近郊の小さな海岸の町アバードの浜辺から流したものだった。そのボトルレターは2年がかりでオランダの浜辺に到着し、現地の海で泳いでいた人が見つけてくれたのだった。

スコットランドからオランダまでは、直線距離で600キロほど。その距離の海をボトルが渡り切るのに2年かかったということになる。

今年も彼女は、休日に祖父母と訪れたスコットランド北東部のモレー湾からボトルレターを流した。ボトルと言っても、実際にはガラス瓶ではなくペットボトルである。その中に連絡先を書いた手紙を入れて、海に投げ込んだ。

今度は、潮の流れに乗ってスカンジナビア半島の浜辺に届けばいいな・・・と期待していた。だが、前回のボトルレターがオランダに届くのにさえ2年の月日を要した。今回も気長に待たないといけないはずだった。

ところが、2ヶ月もしないうちにボトルレターへの返事が届いた。しかも、スコットランドから見てちょうど地球の反対側に位置するニュージューランドから届いた返事だった。差出人は、ニュージーランド北島(ノースアイランド)のワンガマタに住むジェームズ・ウィルソン君という少年。しかも、キーリーちゃんと同い年の6歳である。

海でボトルを拾い、中に手紙が入っていることに気づき、返事を出してくれたのだった。キーリーちゃんがボトルを流してから、ジェームズ君がボトルを拾うまでに経過した日数は、わずか47日だったことがわかった。

スコットランドとニュージーランドの間にはアフリカ大陸とユーラシア大陸が存在するため、海路は迂回するかたちになり、ずいぶんと長い距離になる。太平洋周りよりも大西洋周りの方が近いが、それでも3万2千キロ以上ある。

つまり、キーリーちゃんのボトルレターは、たったの47日で3万2千キロの海を渡り切ったことになる。速度を計算してみると、1日の移動距離が684キロ以上、平均時速にして29 km/h 以上であったことになる。

1860年に当時快速客船として知られたThermopylae号がロンドンからオーストラリアまでの最短記録を打ち立てたが、その航海日数は63日だった。

今日の豪華客船の旅ですら、英国からニュージーランドまでは最長で40日ほどかかる。しかも、キーリーちゃんのボトルとは違い、大陸を迂回せずにパナマ運河またはスエズ運河を通過して、この日数である。運河を使わなければ、もっと日数がかかる。キーリーちゃんのボトルの方が速かったということになりそうだ。

キーリーちゃん本人は、自分の流したボトルがたった47日でニュージーランドに届いたことに不思議さを感じている様子はなく、ただ率直に返事が来たことを喜んでいる。「わたしが思っていたより、ずっと遠くにボトルが届いたので、とても嬉しいです」と。

なんせ、彼女は前回の実績もあるわけで、ボトルレターが遠い異国に届くのは当然のことのようにさえ思っているのだろう。だが、もちろん大人たちは首を傾げている。

  • キーリーちゃんがボトルを流した海岸から数キロの位置にあるマクダフ海洋水族館のクレア・マシューズさんは、次のように驚きをあらわにしている。

    「ニュージーランドですって? スコットランドから流したボトルが届く見込みが最も薄い場所じゃありませんか。普通なら、大西洋の真ん中でボトルが立ち往生するのが関の山ですよ。いったい全体、何がどうなってボトルが大西洋を渡り切り、ニュージューランドまで届いたのか、まったく理解できませんね」

  • キーリーちゃんの祖母パール・リードさんも、実は少し懐疑的だ。

    「どうやってボトルがニュージーランドに届いたのか、まったくわかりません。やっぱり誰かが(近くの海で)ボトルを拾った後、飛行機でニュージーランドまで持って行ったのでしょうかねえ? ミステリーです」

  • スコットランド・アバディーン市の漁業研究所のビル・ターレル博士は海流の研究を専門としているが、第三者が介在したのは、ほぼ間違いないと述べている。

    「私は常日頃から科学者たるもの、あらゆる可能性を考慮に入れ、可能性がある限りは検討の余地を残しておくべきだと考えています。ですが、ボトルが自力でニュージーランドに到着するというようなことは、絶対にありえません。誰かが(近くの海で)拾い上げたと考えるほかありません。

    「(風や嵐などの)気象条件が作用したということも考えられません。気象現象が赤道を越えることはないからです。いたいけない少女の夢を壊したくはないのですが、これは絶対にありえないことなのです」


実際、海流図を見ると、スコットランドから流されたボトルがニュージーランドに辿り着く可能性は皆無としか思えない。表層流に関しては、むしろニュージーランドからグレートブリテン島方面に向かう海流ばかりである。まったくの逆流ということになる。

ただし、深層海流図を見ると、まさしくグレートブリテン島からニュージーランドに向かう流れが存在する。とはいえ、ボトルレターは海上を漂っていたはずなので、この流れに乗ることはありえない。そもそも、海流に乗ったにしても、47日で3万2千キロの移動距離(時速29 k/m)の説明にはならない。

やはり、第三者が近くの海で拾い上げて、飛行機に乗ってニュージーランドまで運んだのだろうか? だとしたら、夢がなさすぎる。いくつか別の仮説を立ててみよう。

  1. クジラやイルカなどの大型海洋生物が英国近海でボトルを誤飲した。その後、ニュージーランド付近まで旅をしたところで、排泄物と共にボトルが体外に出た。そして浜辺に打ち上げられた。

    クジラは時速数十キロで泳ぐことができるので、時速29 k/mの説明も付きそうだ。この説は、あながちありえなくもない気がする。われながら次のように自己評点を与えておこう。

    ありえる度4■■■■□□□□□□


  2. 海には、実は、ペットボトルくらいの大きさの物なら通過できる「ワームホール」が存在する。ボトルはワームホールを通過して、ほぼ一瞬にしてニュージーランドに到着していた。47日後にようやく発見されたのである。

    ありえる度1■□□□□□□□□□


    ま、ワームホール説がアリなら、タイムスリップ説やパラレルワールド説もアリということになってしまうわけだが。


ちなみに、幼い少女が連絡先を記入したボトルレターをむやみと海に流すことには、リスキーな面もある。海を渡ればよいが、近辺の海岸に打ち寄せられることの方が多いからだ。これ以上は言うまい。

【10/18日追記】

コメント欄で「バラスト水」説も出ている。可能性はあると思う。

ただし、最近、バラスト水による生態系への影響が問題視されている(貝の幼生を本来の生息海域外に運んでしまうなど)。このため、最近の船舶の場合は、バラスト・タンクに浄化装置やフィルタなどが設けられているようだ。つまり、ペットボトルがバラスト・タンクに取り込まれるか、あるいは取り込まれたとしても排出されるかどうかが問題である。(古い船舶の場合は、フィルタも浄化装置も付いていないかもしれないが)。

また、竜巻説なども出ているが、これは記事内で引用している「気象現象が赤道を越えることはない」というビル・ターレル博士の言葉が示す理由により、ほぼ否定されると思う。たとえば赤道の北で発生した竜巻が赤道の南に移動することはないとされている。筆者はこの方面にあまり詳しくないので、うまく説明できないのだが。




■Sources:
  • Bottled message bemuses scientists
    ※下のIndependent紙の記事が本件を伝えている大本のソースだが、記事がアーカイブ入りしたため、無料では閲覧できなくなっているため、SAPA-AFPが伝えている方の短い記事のリンクを示しておく。

  • Girl's message in a bottle reaches New Zealand
    ※上記のとおり、アーカイブ入りしたため、有料会員以外は閲覧できなくなっている。


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1. コンドルは飛んで行くぞ  [ 神北情報局 ]   2006年10月15日 18:06
 いつもネタを頂いている海外面白記事を独自翻訳しておられる何でも評点さんの2006年10月15日の記事『6歳少女が海に流したボトルレターが豪華客船よりも速く地球の裏側に届いたミステリー』に驚く。 英国の少女キーリー・リードちゃん(6歳)の流
2. 6歳少女が海に流したボトルレターが豪華客船よりも速く地球の裏側に届いたミステリー  [ 風風書堂‐ニュースログ‐ ]   2006年10月16日 00:08
 イギリスのキーリー・リードちゃん(6)が、祖父母との休日をスコットランド北東部の海辺で過ごした時、プラスチック製の瓶にメッセージを入れてマリー湾に流した。キーリーちゃんはその時ノルウェーにでもとどくかなと思っ??ordea

この記事へのコメント

1. Posted by さえずり   2006年10月15日 05:00
クジラ説賛成。夢を与えてくれる偉大な生物。だから舌=さえずりとか、尾ノ身とか喰いたい。捕鯨反対の反対
2. Posted by さ   2006年10月16日 00:31
タンカーのバラスト水とかどうでしょう?
3. Posted by た   2006年10月16日 01:08
>今日の豪華客船の旅ですら、英国からニュージーランドまでは最長で40日ほどかかる。
最短はもっと短いってこと?
4. Posted by ポパイ   2006年10月16日 03:35
客船がスエズ運河とかパナマ運河を使わずにイギリスからニュージーランドまで航行した場合、100日くらいかかるかも
大陸を迂回するし、航路はまっすぐ取れない
給油とか食料調達で寄港も必要になる       だから、この女の子のボトルは速過ぎ
6. Posted by まえ   2006年10月16日 12:02
少年はニュージーランドで拾ったのでしょうか?
少年が旅行で近くの国へ来ていて拾い。
帰宅してから返事を書いた。ということはないかな。
7. Posted by kk2   2006年10月16日 14:12
5 ペットボトルなんだから、海流よりも風の影響を受けたんじゃないかな。大きな風の吹く季節でもあるし。
8. Posted by kp   2006年10月16日 15:41
>風の影響を受けたんじゃないかな
海流よりも確立は低いですな
まあ、0のコンマ以下の数が数個増えた所で不可能は不可能ですが
9. Posted by    2006年10月17日 19:27
誰かが飛行機で運んだってのも結構夢があると思うけどな
10. Posted by ユウ   2006年10月17日 22:19
バラスト水に一票。これならスエズ運河を使えるし、日数的にもちょうどいいのでは?
11. Posted by z   2006年10月18日 01:42
ここでネタバレ





ウィルソン君=新一
12. Posted by ヘタレ   2006年10月18日 02:01
ワームホール以下の確立だが、海面から何らかの方法(竜巻とか上昇気流とか)で上空に舞い上げられたとかはないのか?ペットボトルだし、軽いし。
…まあ、現地の気象情報を知らんからなんともいえないが。
13. Posted by 通りすがりの宇宙人   2006年10月19日 00:09
宇宙人A「あ!あの少女が何かを海に投げたゾ!意図的なモノを感じる……調査ダ!!」
宇宙人B「ワカリマシタ!!」

……数日後

宇宙人A「何かワカッタノカ?」
宇宙人B「これはボトルレターというモノのヨウデス。地球人は不可解デスネ。」
宇宙人A「ナンダッテー?!少女の夢を壊しちゃダメジャナイカ!!」
宇宙人B「イ、イヤ、私は調査したダケデスガ……。」
宇宙人A「Bのせいで拾ってしまったが、私たちが返信するわけにもイカナイ……。拾った場所も記録シテナイシ、適当にまた海に投ゲルカ。」
宇宙人B「チョwww」
宇宙人A「そぉレ。」

ヒユーン

ジェームズ君「なんだこれ?」
14. Posted by 夢   2006年10月19日 00:55
12に1票っっっっ!!!!

夢がある
15. Posted by NONAME   2006年10月20日 01:39
ジェームズ・ウィルソン君はほんとにニュージーランドで拾ったのでしょうか??
旅行先で拾って家に帰ってから返事を書いた、
ということもあるような。
16. Posted by 本   2006年10月20日 01:43
ジェームス君はニュージーランドで拾ったのでしょうか??
旅行先で見つけ家(ニュージーランド)に持って帰り返事を送った、って事もあるような・・・。
17. Posted by miccckey   2006年10月20日 02:00
》旅行先で見つけ家(ニュージーランド)に持って帰り

最も詳しく本件を伝えているIndependentの記事はアーカイブ入りしたため、有料会員以外は閲覧できなくなってしまいましたが、その記事には次のように「ニュージーランドの浜辺に打ち上げられた」と明記されていました。

... washed up on the beach of Whangamata on the north island of New Zealand.

ソースが伝えている限りにおいては、ニュージーランドまで辿り着いたということになります。ま、仰天系や不思議系のニュースでは、実はヤラセだったということが後から判明することも、たまにあるわけですが。

一番夢のない結末ってことになりますな。
18. Posted by     2006年10月20日 17:13
ここで心の師匠の一言。
「私は知らないと言うことを知っている。」

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