2006年07月02日

亡くなったはずが実は生きていた若者、自分と間違われた遺体入りの棺を暴いて絶叫


亡くなったはずの人が実は生きていた・・・というのは、仰天ニュースの典型的パターンの1つである。遺体の取り違えの場合もあれば、訃報自体が完全な誤報だった場合や、本人が別人として生まれ変わるために行なった偽装工作の場合もある。生きて戻ってきた人が幽霊あるいはゾンビーとして扱われることもある。
本稿で取り上げるのは、家族が安置所で遺体を確認し、埋葬を済ませたにもかかわらず、後で本人が存命とわかったケースである。このような場合、本人の代わりに埋葬されたのが誰だったのかが後で問題になる。本件では、それを確かめるために本人が棺を覗き込む。

南アフリカ共和国イースタンケープ州で、6月17日のこと、ムプメレロ・ダマネさんという男性が車を運転して森の傍を通りかかったとき、逆方向に徒歩で移動している若者と擦れ違った。声も掛けずに通り過ぎてしまったが、近所のドゥーナ家の息子カヤレトゥさんに違いなかった。

ダマネさんは、通り過ぎてすぐに気づいた。「ん? 待てよ。彼は最近、事故に遭って亡くなったはず。亡くなったはずの彼がこんなところを歩いているなんて、ありえない」

ダマネさんは通り過ぎた後、車の速度を上げずにミラーで後方を覗き込んだ。それにしても似ている。もしかしたら彼は死んでいなかったのか? 真相を確かめるべく、Uターン。

ダマネさんは若者の方に車を近づけた。車のウィンドウ越しに「カヤレトゥ君なのか?」と声をかけると、若者はこっくり頷く。「車に乗って行かないか?」と誘ってみたが、乗り込んでこようとしない。これから仕事を紹介してもらう約束があるのだと言う。

話を続けようとしているうちに、ダマネさんの携帯電話が鳴った。電話に応対しているうちに、若者は姿をくらましてしまった。

ダマネさんは自分の叔父に電話をかけ、死んだはずのカヤレトゥさんが生きていると告げた。その驚くべき報告は、たちどころに村人たち全員が知るところとなり、ボランティアの捜索隊が結成された。目撃現場であるブルーダウンの森を中心に捜索が続けられた。

そして、本当にカヤレトゥさん本人が森の中にいるところを発見され、自宅に連れ戻された。カヤレトゥさんがドゥーナ家に戻ってきて以来、連日のように大勢の村人たちがドゥーナ家の傍に張り付いている。南アの田舎の村の話である。村人たちは、戻ってきたカヤレトゥさんがゾンビーである証拠を見逃すまいとして、カヤレトゥさんの一挙一動に目を光らせているのだ。

ドゥーナ家の人たちは、4月30日、カヤレトゥさん(26歳) が轢き逃げに遭って命を落としたことを警察から知らされ、安置所に出向いてカヤレトゥさん本人の遺体を確認した。遺体は司法解剖やその他の検査にかけられた後、家族に引き渡され、5月21日に埋葬された。

: 最新の情報(6月30日付け)では、4月30日の時点で家族が遺体を確認したことになっている。だが、第一報では、カヤレトゥさんが2週間行方不明になり、家族たちが身元不明死体の中から彼の遺体を特定したことになっている。


一方、当のカヤレトゥさんは、自分が事故に遭って死亡したと思われていたことを知らずにいた。彼は、地元紙の取材を受け、次のように話している。

「4月29日は、友達と一緒にショッピングモールに買い物に行きました。その日は何だか気だるくて、1軒の店にいるときに睡魔に襲われてしまいました。その後、何が起こったか覚えていないのです。翌日、気が付いたらブルーダウンの森の中にいました」

しかし、どうして家に帰らなかったのかと聞かれると、曖昧なことを言うばかり。4月30日から6月17日まで1ヶ月半以上も森の中で暮らしていたことになる。ただ、森の中で一人で暮らしていたのではないという。

森の中には、付近の廃棄物置き場から金属を収集して生活している人たちがいた。カヤレトゥさんは、森にいる間、彼らと生活を共にしていたらしい。

カヤレトゥさんの叔父ココさんは、カヤレトゥさんが魔法を掛けられたのではないかと指摘する人たちがいることを認めている。

「彼が元気に戻ってきて何よりです。ただ、カヤレトゥの父親が彼の遺体を安置所で確認したことは揺るぎない事実です。しかも、カヤレトゥには生まれつき痣があります。立ち会った全員がその痣を見て、彼だと確信したのですよ」

では、土葬の棺の中に入っているのは、いったい誰の遺体なのか? カヤレトゥさん自身も、自分の手で墓を破壊しないことには、自分自身が解放されないと言い出す始末。ドゥーナ家の人たちは、結局6月23日に、墓を掘り返すことにした。

カヤレトゥさんの叔父ココさんによると、墓の掘り起こし現場には、大勢の村人たちも詰め掛けた。葬儀のときより人数が多かったほどだという。

皆が固唾を飲んで見守る中、カヤレトゥさんが“自分自身の墓”を暴いた。棺の蓋を開けたカヤレトゥさんは、中を覗き込むやいなや大声で絶叫した。

ココさんは言う。「カヤレトゥは、ずいぶんと長い間、遺体を凝視して立ち尽くしていました。周りの人たちは、しばらくの間、怖気づいて棺の中を覗き込むことができませんでした。カヤレトゥの目に何が映っているのかを想像するだけでも怖ろしく思えました」

ココさんが意を決して覗き込むと、棺の中には“埋葬したときとは全く異質な物”があった。「焼死体のように見える、小さな物体でした。私たち親族が埋めたものではありません」

墓の掘り起こしに立ち会ったラジオ局のンテベレング・シェテ記者も、棺の中に入っていたのは“小さな鼻がある、小さな黒い死体”だったと証言している。シェテ記者によれば、死体の骨格自体がカヤレトゥさん本人とは全く異なっていた。

: ドゥーナ家の人々は、その名前の綴りから判断するに、白人ではなく黒人だと思われる。ここで言う“黒い”とは、白人・黒人の区別を意味しているのではなく、物理的に遺体が黒かった(あるいいは“黒く焦げていた”)ことを意味しているはず。


ドゥーナ家の人たちは、遺体の身元調査を警察に依頼した。まだ真相は明らかになっていない。いや、南アの田舎の話ゆえ、真相が永遠に明かされない可能性も高い。カヤレトゥさんのものとされた遺体が置かれていた遺体安置所の管理についても、警察と保健省の間で責任のなすり合いが始まっている模様。

不可解な点を整理してみよう。

  1. 安置所の遺体を家族がカヤレトゥさんだと確認した。体の痣も一致していた。

  2. カヤレトゥさんは、自分が死んだと思われているとは知らなかったと言う。だが、発見されるまでの間、家に帰ろうとしなかった理由をちゃんと説明できない。

  3. 埋葬時と掘り起こし時とで、棺の中身が違っていた。


実に不可解な出来事である。

不可解度10■■■■■■■■■■


以下は、蛇足。

仮に本件がフィクションの一節であったなら、この後、ストーリーが展開するにつれて、意表を付く秘密が解き明かされていくことだろう。リアリズムを重んじる推理小説であれば、やはり背後に犯罪が隠されていたりする展開になるだろうか。超常現象ありのストーリーなら、カヤレトゥさんはやっぱりゾンビーだったという展開も月並みながら考えられるところ。

あるいは、パラレルワールド(多元宇宙)という古典的なSFの道具立てを持ち出してくれば、次のような種明かしになるところかもしれない。

  • 棺の中に見つかったのは、別のパラレルワールドで幼少時に亡くなったカヤレトゥさんの遺体。

  • 現在の世界にいたカヤレトゥさんは、確かに事故に遭って亡くなった。そして、遺体の身元が確認され埋葬されるまでは、現在の世界に存在していた。だが、埋葬後に上記の“幼少時の遺体”と置き換わってしまった。

  • 森で発見され家に帰ってきたカヤレトゥさんもまた、さらに別のパラレルワールドから現在の世界に現れた。ただし、彼はある方法を使って、意図的に別世界から移動してきた。遺体が棺の中ですり替わったのも、そのことに原因がある。それゆえ、自分自身の“幼少時の遺体”を目の当たりにして心の限り絶叫したのである。


もっとも、パラレルワールドの概念を使えば、本件に限らず、ありとあらゆるミステリーを説明できうるわけだが。




■ Sources:



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この記事へのコメント

1. Posted by    2006年07月02日 14:08
死んだと思われて、埋められた時にゃ〜おしまいですね・・・埋められる方は生き地獄・・・

以前、祖母の知り合いが亡くなったとき、
猫がその死体をまたいだら、死体が動いたんですよ!!
まあ、死んでるんですけどね。。。
2. Posted by 名無し   2006年07月02日 23:21
ブードゥ教の薬で一時的に仮死状態にしてからゾンビを作るというのと似ているような
3. Posted by 生徒   2006年07月05日 11:42
確かに人を仮死状態にして埋葬させその後、墓を暴き大麻かなんかでマインドコントロールすることで自分の思い通りにさせることのできる。中毒状態だから意識が明確でなくて足取りもおぼつかずゾンビみたいだと昔なんかで見たことが・・・。たしか何らかの罪を犯した人に対する罰みたいなもので位の高い司祭とかが、畑仕事とかさせるために罪人をゾンビにするんだとか。(中毒状態のため簡単な作業しかできないとおもわr)
4. Posted by 名無し   2006年07月05日 12:54
アフリカではよくあること
5. Posted by へも   2006年07月06日 20:39
3 宇宙人が偵察のためにカヤレトゥさんに変化していたが、事故にあってしまった。しかも身元確認パスして埋葬。本人は意識を取り戻して歩いていたところを保護された、とか。
6. Posted by .   2012年11月17日 00:58
>その後、何が起こったか覚えていないのです。
>翌日、気が付いたらブルーダウンの森の中にいました」
>しかし、どうして家に帰らなかったのかと聞かれると、曖昧なことを言うばかり。

カヤレトゥさんは、解離性遁走にでもなったんじゃないだろうか?
その後の遺体取り違えのゴタゴタは、確認作業が杜撰だっただけで。

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