2006年05月11日
現時点で世界一インフレ率が高い国は、アフリカ南部のジンバブウェである。インフレ率が1000パーセントを超えている。そして、ジンバブウェは世界一女性が短命な国でもある。ジンバブウェの女性は、平均すると34歳で一生を終える。
あらゆる生活物資が不足しているなかで、女性が生理用品をほとんど入手できない状況にある。生理用品を入手できない女性たちは、しかたなく新聞紙を筒状に丸めてタンポン代わりに使っている。また、学校に通っている女の子たちは生理が始まると通学をやめざるをえないのが実情だという。
1999年、回復のめどが立たないジンバブウェ経済に見切りを付けたJohnson & Johnson社が同国から撤退して以来、生理用品の不足がみるみる深刻化していった。その後、ジンバブウェの女性たちは、隣国の南アから輸入される製品に頼らざるをえなくなった。しかし、インフレがますます進み、自国通貨が価値を失ったことにより、南アから輸入される生理用品は庶民に手が出ないほど高価なものになってしまった。
ジンバブウェの最低賃金レベルは日本円にして3500円/月ほど。ところが、タンポン1箱がその半分の1800円ほどもする。この問題に取り組んでいるジンバブウェ労働組合会議女性諮問委員会のタビタ・クマロ書記長は次のように訴えかけている。
「稼ぎの半分をタンポンに費やすなんて正気の沙汰じゃありません。ほとんどの国民は、一日一食の暮らしでも精一杯なほどの収入しか得ていません。女性たちは、自分たちの健康を気にかけるよりも、家族が何とか食べていけるようにする方を選ばざるをえないのです」
2児の母でもあるクマロ書記長は、ある日、ぎこちない歩き方をしている女性を街中で見かけた。「どうかしましたか?」と声をかけると、その女性は次のように答えた。
「仕事中に生理が来てしまいました。でも、お金がなくて生理用品も脱脂綿も持っていないので、仕事を早退して家に帰ることにしたんです」
このことで問題の深刻さを痛感したクマロ書記長は、生理用品の不足を解消するように働きかける活動を開始した。
あるとき、クマロ書記長の訴えを真摯に受け止めた議員が国会で問題提起しようとしたが、閣僚たちは腹を抱えて笑い転げるばかりで、まともに取り合おうとしなかった。
クマロ書記長は、市民集会を開き、安価な生理用品の供給を訴えるスカーフを配った。しかし、こうした一連の活動を当局が問題視し、彼女を22回も逮捕した。取調べ中、折れた前歯が鼻に食い込むほどにまでなぐられたり、膣内にAK-47の銃身を差し込まれ、出血するまで押し込まれたことさえあった。
しかし、そんな迫害にも負けずクマロ書記長は活動を続けている。
「時限爆弾を抱えているようなものです」と彼女は言う。生理用品の不足は、女性の体を不衛生にさらす。さまざまな感染症が生じやすくなる。HIV罹患のリスクがますます高まる。現時点でも34歳という世界最低の女性の平均寿命がこのままでは20歳にまで低下してもおかしくはないという。
クマロ書記長の活動は、英国の有名人たちの知るところとなった。アンナ・チャンセラー(女優)、ジリアン・アンダーソン(女優)、プルーネラ・スケールズ(歌手) 、ジェレミー・アイアンズ(俳優)らが彼女の支援者として名を連ねている。
5月中にウエスト・ロンドンで“Dignity. Period!”(生理の尊厳)と題するチャリティ・キャンペーンが開始されることになっている。その皮切りにノッティング・ヒルの20th Century Theatreでエンターテインメントショーが予定されている。
ジンバブウェの惨状については、以前も「助かる望みのない救急牛車搬送」という記事で取り上げたことがある。筆者は、かつて仕事で頻繁に南アからジンバブウェに行き来していたことがある。その当時のジンバブウェは、決してそこまで貧しい国ではなかった。(詳細は下記「関連記事」参照)。
突き詰めて言えば、優先順位の問題なのだろう。現状では、物資の中でも、生理用品には下の方の優先順位しか与えられていない。閣僚たちが議員の問題提起を笑い飛ばしたのは、食料の供給さえままならない現状の中で生理用品を供給しろと言うのは優先順位がわかっていない・・・ということなのだろう。
しかし、クマロ書記長が懸念しているように、女性の体が不衛生な状態にさらされ続けることは、現時点ですら世界最低の平均寿命をさらに低下させる結果を招きかねない。
【付記】
ジンバブウェは、もともと南ローデシアという白人政権国家だったが、1980年に黒人多数支配のジンバブウェ共和国として独立した。生理用品などない暮らしをしている女性は、他のアフリカ諸国に大勢いる。だが、ジンバブウェはいったん西洋文明化した国なのだ。
白人政権国家の“遺産”をうまく引き継げなかったところに経済的凋落の根本的な原因があると見る。南アもジンバブウェと同じく元は白人国家だったが、ジンバブウェほど経済的に困窮していないのは、ダイヤモンドや金などの天然資源に恵まれているからである。
白人政権時の南ローデシアを支えていたのは、白人=支配階級、黒人=被支配階級という社会構造だった。それがリセットされてしまったがため、南アのように資源に恵まれていないジンバブウェでかつてのような西洋型経済システムを維持することが不可能になったということかもしれない。
■ Source: http://www.freerepublic.com/focus/f-news/
1628081/posts
【関連記事】
1999年、回復のめどが立たないジンバブウェ経済に見切りを付けたJohnson & Johnson社が同国から撤退して以来、生理用品の不足がみるみる深刻化していった。その後、ジンバブウェの女性たちは、隣国の南アから輸入される製品に頼らざるをえなくなった。しかし、インフレがますます進み、自国通貨が価値を失ったことにより、南アから輸入される生理用品は庶民に手が出ないほど高価なものになってしまった。
ジンバブウェの最低賃金レベルは日本円にして3500円/月ほど。ところが、タンポン1箱がその半分の1800円ほどもする。この問題に取り組んでいるジンバブウェ労働組合会議女性諮問委員会のタビタ・クマロ書記長は次のように訴えかけている。
「稼ぎの半分をタンポンに費やすなんて正気の沙汰じゃありません。ほとんどの国民は、一日一食の暮らしでも精一杯なほどの収入しか得ていません。女性たちは、自分たちの健康を気にかけるよりも、家族が何とか食べていけるようにする方を選ばざるをえないのです」
2児の母でもあるクマロ書記長は、ある日、ぎこちない歩き方をしている女性を街中で見かけた。「どうかしましたか?」と声をかけると、その女性は次のように答えた。
「仕事中に生理が来てしまいました。でも、お金がなくて生理用品も脱脂綿も持っていないので、仕事を早退して家に帰ることにしたんです」
このことで問題の深刻さを痛感したクマロ書記長は、生理用品の不足を解消するように働きかける活動を開始した。
あるとき、クマロ書記長の訴えを真摯に受け止めた議員が国会で問題提起しようとしたが、閣僚たちは腹を抱えて笑い転げるばかりで、まともに取り合おうとしなかった。
クマロ書記長は、市民集会を開き、安価な生理用品の供給を訴えるスカーフを配った。しかし、こうした一連の活動を当局が問題視し、彼女を22回も逮捕した。取調べ中、折れた前歯が鼻に食い込むほどにまでなぐられたり、膣内にAK-47の銃身を差し込まれ、出血するまで押し込まれたことさえあった。
しかし、そんな迫害にも負けずクマロ書記長は活動を続けている。
「時限爆弾を抱えているようなものです」と彼女は言う。生理用品の不足は、女性の体を不衛生にさらす。さまざまな感染症が生じやすくなる。HIV罹患のリスクがますます高まる。現時点でも34歳という世界最低の女性の平均寿命がこのままでは20歳にまで低下してもおかしくはないという。
クマロ書記長の活動は、英国の有名人たちの知るところとなった。アンナ・チャンセラー(女優)、ジリアン・アンダーソン(女優)、プルーネラ・スケールズ(歌手) 、ジェレミー・アイアンズ(俳優)らが彼女の支援者として名を連ねている。
5月中にウエスト・ロンドンで“Dignity. Period!”(生理の尊厳)と題するチャリティ・キャンペーンが開始されることになっている。その皮切りにノッティング・ヒルの20th Century Theatreでエンターテインメントショーが予定されている。
ジンバブウェの惨状については、以前も「助かる望みのない救急牛車搬送」という記事で取り上げたことがある。筆者は、かつて仕事で頻繁に南アからジンバブウェに行き来していたことがある。その当時のジンバブウェは、決してそこまで貧しい国ではなかった。(詳細は下記「関連記事」参照)。
突き詰めて言えば、優先順位の問題なのだろう。現状では、物資の中でも、生理用品には下の方の優先順位しか与えられていない。閣僚たちが議員の問題提起を笑い飛ばしたのは、食料の供給さえままならない現状の中で生理用品を供給しろと言うのは優先順位がわかっていない・・・ということなのだろう。
しかし、クマロ書記長が懸念しているように、女性の体が不衛生な状態にさらされ続けることは、現時点ですら世界最低の平均寿命をさらに低下させる結果を招きかねない。
| 悪循環指数9 | ■■■■■■■■■□ |
【付記】
ジンバブウェは、もともと南ローデシアという白人政権国家だったが、1980年に黒人多数支配のジンバブウェ共和国として独立した。生理用品などない暮らしをしている女性は、他のアフリカ諸国に大勢いる。だが、ジンバブウェはいったん西洋文明化した国なのだ。
白人政権国家の“遺産”をうまく引き継げなかったところに経済的凋落の根本的な原因があると見る。南アもジンバブウェと同じく元は白人国家だったが、ジンバブウェほど経済的に困窮していないのは、ダイヤモンドや金などの天然資源に恵まれているからである。
白人政権時の南ローデシアを支えていたのは、白人=支配階級、黒人=被支配階級という社会構造だった。それがリセットされてしまったがため、南アのように資源に恵まれていないジンバブウェでかつてのような西洋型経済システムを維持することが不可能になったということかもしれない。
■ Source: http://www.freerepublic.com/focus/f-news/
1628081/posts
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この記事へのコメント
1. Posted by tripleP
2006年05月11日 12:51
布ナプキンは無いんですか?
2. Posted by ゆき
2006年05月11日 13:08
3. Posted by にゃー
2006年05月12日 01:39
ふと思った疑問…生理用品や布などなかった時代はどうしてたんだろう?
4. Posted by 詐欺
2006年05月12日 01:54
5. Posted by 風
2006年05月12日 16:59
私たちでも飲めるようなきれいな水は、お金を払って買わないとてに入りません。
タンポンを買えないほどお金がないのだから、それを生理用品の洗い水にするなんて・・・しないでしょうね。
タンポンを買えないほどお金がないのだから、それを生理用品の洗い水にするなんて・・・しないでしょうね。
6. Posted by
miccckey
2006年05月13日 01:59
皆さん、コメントありがとうございます。
》生理用品や布などなかった時代はどうしてたんだろう?
西洋型の生活をしていなければ、生理用品がなくてもないなりに暮らせるのかもしれません。日本でも昔はそうだったろうし。
ただ、上の「付記」にも書いたように、ジンバブウェの(少なくとも都市や町)では、服装を始めとして生活様式が西洋化しています。だから問題になるのだと思います。
布ナプキンは、やはりきれいな水がなければ衛生上の問題があるのかもしれません。あと、あらゆる物資が不足している国ですしね。
》生理用品や布などなかった時代はどうしてたんだろう?
西洋型の生活をしていなければ、生理用品がなくてもないなりに暮らせるのかもしれません。日本でも昔はそうだったろうし。
ただ、上の「付記」にも書いたように、ジンバブウェの(少なくとも都市や町)では、服装を始めとして生活様式が西洋化しています。だから問題になるのだと思います。
布ナプキンは、やはりきれいな水がなければ衛生上の問題があるのかもしれません。あと、あらゆる物資が不足している国ですしね。
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