2006年01月19日

無力に見えた老人が絵の才能で犯人にリベンジ



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1月13日のこと、豪州メルボルン市ヒースモントの民家から強盗に入られたという通報を受け、アーロン・ロッシュ巡査長らが現場に駆けつけた。被害を訴えたのは、ビル・グリーンさんという82歳の男性。ロッシュ巡査長らは、最初、グリーンさんのことをごく平凡な老人だと思っていた。特別な才能を持った人だとは思いもしなかった。
グリーンさんによると、午前10時ごろ朝食の準備をしていると、裏庭から何者かがわめく声が聞こえてきた。勝手口から外に出てみると、不審者が裏庭に侵入していた。何やら意味不明なことを口にしながら、カーポートを通り抜けて、グリーンさんの方に近づいてきた。

このままでは、停めてある車を壊されるのではないか。そう思ったグリーンさんは、男に声をかけた。「おい、やめないか。何をするつもりだ?」

男は、それでも意味不明なことをわめき続けた。グリーンさんは果敢にも男の前に立ちはだかった。男はグリーンさんを払いのけようとした。グリーンさんより、はるかに大柄な男だった。グリーンさんは、ガウンしか身に着けていない。「乱闘になったら、一糸まとわぬ姿になってしまうと心配しましたよ」と話している。

男はグリーンさんを押しのけて物置の方へ進んだ。グリーンさんは転倒してしまった。

男は物置から自転車を引っ張り出してきた。グリーンさんの孫グレッグさんが使っている10段変速の自転車だった。

「男は、自転車に乗って逃走しようとしましたが、なかなか上手くいきませんでしたね。レーサー型の自転車で、フラットなタイヤを履いているので、簡単に乗りこなせるものじゃありません。男は自転車から転落しては、また乗ろうとするという動作を何度も繰り返しました。4回目くらいで、ようっやくコツがわかったみたいですね」

結局、男が自転車を盗んで逃走した後、グリーンさんが警察に通報したのだった。

ロッシュ巡査長らは、グリーンさんをパトカーの後部座席に乗せて、付近を捜索した。だが犯人らしき男は見つからない。

しばらくすると、グリーンさんが犯人の似顔絵を描いてみましょうかと提案した。ロッシュ巡査長らは、どうせ老人の描く絵だし、あまり期待できないと思いつつ、グリーンさんに絵を描かせてみた。

ロッシュ巡査長曰く。「彼が絵を描き始めた直後に、この人は只者ではないと悟りました」

グリーンさんは、あっという間にリアルな似顔絵を描き終えた。ロッシュ巡査長らは、ようやくグリーンさんが“ウェグ”のニックネームで知られ、オーストラリアン・フットボール・リーグ(AFL)最終戦のポスターなどを手がけている有名な画家であることに気づいたのである。

まもなく、付近の店を荒らしていた34歳の男が地元の警察によって逮捕された。グリーンさんの似顔絵にそっくりな男だった。その日の午前中、付近の家屋や店などに次々と乱入して、窃盗、強盗、器物破損などの犯罪行為を働いていた。グリーンさんの裏庭に侵入した男とも同一人物であることが似顔絵によって証明された。

警察では、今後、何らかの事件が起きたときに、グリーンさんに似顔絵の作成を依頼することを検討しているとか。

本件は最初にメルボルンの地元紙で伝えられ、豪州のNEWS.com.auサイトに記事が掲載された。その後、米国など世界各国のメディアが取り上げているが、「グリーンさんの似顔絵が犯人逮捕の決め手になった」というふうに脚色している記事が目立つ。実際には、犯人は露骨な犯行を繰り返していたので、似顔絵とは無関係に逮捕されたのである。

そこで、本稿では、巡査長の視点から見た話として再構成して取り上げることにした。ただの老人だと思っていたら、実は只者ではなかったという点を強調してみた。

意外性9■■■■■■■■■□


絵の才能があると、こんなときにも役に立ってしまうわけである。犯人に見事にリベンジを果たしたとも言えるだろう。




■Sources: NEWS.com.au - Artist sketches own robber
(作品制作中のグリーンさんの写真あり)

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