クラウドソーシング「ランサーズ」 なんでも評点:提供精子により生を受けた少年が2つのオンライン・サービスを活用して“父探し”に成功

2005年11月03日

提供精子により生を受けた少年が2つのオンライン・サービスを活用して“父探し”に成功


英国の科学週刊誌New Scientistの11月5日号に、自分の母に精子を提供した“遺伝上の父”をインターネット経由で探し当てた15歳少年の話が掲載されている。

少年の“父探し”は、1年弱を要したものの、2段階のプロセスを経て完了した。インターネット上の2つのオンライン・サービスを活用したのである。
少年は、ある日、DNAに基づいて家系を調査してくれるオンライン・サービスがインターネット上で提供されていることを知った。彼は、自分の頬の内側を綿棒で擦ってサンプルを採取し、小瓶に入れて、そのサービスを提供している会社に送った。調査料金は289ドルだった。

このサービスにより、少年の父親がすぐに判明したわけではない。この段階では、少年と血縁関係がある可能性の高い男性がY染色体データベースから探し出されただけである。

Y染色体は、父から息子にほとんど変化なく受け継がれる。少年のY染色体をデータベースに登録されているY染色体と照合する作業が行われたのである。

9ヵ月後、ようやく2人の男性から少年に連絡があった。少年とY染色体の一致度が極めて高い2人の男性だった。

2人の男性は、お互いのことを知らなかった。だが、Y染色体の一致度の高さから、少年と彼ら2人が一世代前(父)、二世代前(祖父)、三世代前(曽祖父)のいずれかから同じ遺伝子を引き継いでいる可能性が50パーセントあることが判明していた。

さらに、2人の男性は、綴りに違いがあるものの姓(ラスト・ネーム)が同じだった。

この重要な手がかりをもとに、少年は父探しの第2段階に進んだ。精子提供者は匿名にされいてたが、少年の母は“父”の生年月日、生誕地、学歴を知っていた。

少年は、同じ年月日に同じ場所で生まれた男性の名簿をインターネット上の別のオンライン・サービスから購入した。

彼が探している姓を持つ男性は、その名簿に1名しか登録されていなかった。それから10日もかからないうちに少年は、その男性、すなわち自分の遺伝上の父とのコンタクトに成功したのだった。

母親がドナーの生年月日、生誕地、学歴を知っていたことが解明のキーとなったわけだが、少年はネット上の2つのサービスを使用するだけで“父”にたどり着くことができた。

探し当てられた“父”からのコメントなどは得られていないようだが、彼にすればまさに青天の霹靂であったと思われる。自分の匿名が守られるという約束で15年以上前に精子を提供しただけなのに、自分の息子と名乗る少年から連絡を受けるなんて、さぞかし複雑な心境であったろうと推察する。

青天の霹靂度9■■■■■■■■■□


最初に連絡があった2人の“血縁者”男性の姓がありふれたものだったら、父探しは成功しなかったかもしれない。だが、本件を伝えたNew Scientist誌が指摘しているように、インターネットが普及する以前、そして膨大な遺伝子情報へのアクセスが可能になる以前に精子を提供した男性は、これから先、心穏やかでいられなくなるかもしれない。

また、男性は、精子バンクへの提供者でなくても、どこかにいまだ見ぬ自分の子供がいる可能性がある。そういう子供から、ある日突然連絡を受けるやもしれない。ほとんど身に覚えがない場合は、これまた青天の霹靂であろう。しかし、多少とも身に覚えがある場合は覚悟しておくべきか。

精子ドナーに対し、“遺伝上の子供”がある年齢に達した時点で身元を“遺伝上の子供”に明かすことが法的に義務付けられている国もある。また、当ブログで以前に取り上げたが、オーストラリアでは、“遺伝上の子供”が希望した場合は、精子ドナーが“遺伝上の子供”と連絡をとってよいことになっている。

しかし、日本や米国を含め、その他の多くの国では精子ドナーの匿名性が守られることになっている。




■Source: Sperm donor traced on the web (AFP)

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