なんでも評点:人間カタパルトで発射されたオックスフォード大生、安全ネットに届かず墜落死

2005年11月03日

人間カタパルトで発射されたオックスフォード大生、安全ネットに届かず墜落死


人間カタパルト英国Guardian紙に、“人間カタパルト”死亡事故の審問に関する記事が掲載されている。事故は、2002年11月24日にサマセット州ブリッジウォーター近郊のミドルムーア・ウォーター・パークで起きた。

事故死したのは、ブルガリアから英国に留学し、オックスフォード大学で生化学を専攻していたコスティディン・ヤンコフさん(当時19歳)。彼は、Oxford Stunt Factoryという名の極限スポーツ・サークルに所属していた。
その日も、サークル活動の一環としてミドルムーア・ウォーター・パーク内の人間カタパルトにチャレンジしに来ていた。“人間カタパルト”とは、中世の投石機を再現したもので人間を宙に発射する究極の絶叫マシンである。

:筆者はつい最近、テレビ番組でまさしくこれと同じと思われる人間カタパルトの映像を見たように思うのだが、ネットを検索してもヒットがない。


このカタパルト(投石機)は、リチャード・ウィックス氏(33歳)とデビッド・エイトケンヘッド氏(46歳)の二人が中世の投石機を模しながら、石の代わりに人間を発射するように設計・製作したものだった。彼らは、この“遊戯設備”(と呼ぶには危険すぎるが)を1回40ポンド(約8000円)で営業していた。

審問はサマセット州トーントンの法廷で開かれた。この審問には、事故死したヤンコフさんのサークル仲間数名が召喚された。彼らは、事故が起きる前から投石機の安全性に関して不安を抱いていたと証言している。

ジャンパーは、空中を飛んだ後、10メートル×20メートルの安全ネットにランディングするようになっていた。だが、ヤンコフさんの後に飛ぶ予定だったオリバー・ネルキンさんは、ランディング位置が前過ぎて危険ではないかと心配していたという。

ネルキンさんの証言によると、彼は最初のジャンパーが飛び終えたときから不安を抱いていた。「最初のジャンパーはネットの上にランディングしましたが、以前に人間カタパルトを見たときより落ちる位置がネットの前端に寄り過ぎているように感じました。ネットに届かないのではないかと一瞬冷やりとしたのを覚えています。でも、ちゃんとネットの上に落ちたので、そのときは一安心しました」

さらに、ネルキンさんは、2番目以降のジャンパーもランディング位置がネットの前端に寄りすぎているように感じ、やはり不安を募らせていったと証言している。

サークル仲間には、派手なコスチュームを着て飛ぼうとしていた者も何人かいたが、最初のジャンパーが飛び終えるのを見たインストラクターから、コスチュームを脱ぐように指示された。空気抵抗が増して飛行速度が落ちる可能性があるから・・・というのがその理由だった。

人間カタパルトの飛行距離は重りで制御するようになっているが、ネルキンさんは、ヤンコフさんが飛ぶ前に重りの変更が行われたことも証言している。

そして、ヤンコフさん(ニックネーム:ディノ)のジャンプについては次のように証言している。「ディノがボールのように空中を飛んでいくのを見ました。次の瞬間、彼は安全ネットに達さずに墜落してしまいました。ネットからどのくらい手前の位置だったかは、よくわかりません」

「彼が地面に激突したとき、鈍い衝撃音が聞こえました。1回・・・2回」

救急隊が現場に駆けつけ、ヤンコフさんは病院に運ばれたが、帰らぬ人となってしまった。

ネルキンさんは、重りを軽くしたから飛行距離が短くなり、ヤンコフさんが地面に墜落したのではないかとそのとき思ったと証言している。

第一ジャンパーを勤めたのは、人間カタパルト運営側スタッフの一人ポール・キャプシー氏だった。彼も審問に呼ばれており、事故当日、運営側は次のような安全手順を踏んでいたと証言した。

  1. まず最初に各ジャンパーの体重を測定し、いくつかの体重カテゴリに分ける。

  2. 安全装備装着後に再び体重測定を行う。

  3. 投石機の重りは、ジャンパー各人の体重に合わせて調整する。

  4. ジャンパーの体重と同じ重さのダミーでテストジャンプを行う。

  5. その上でジャンパーを飛ばす。


キャプシー氏は、ヤンコフさんがジャンプする前にも安全チェックを実施したと証言している。

なお、人間カタパルト設計/運営者のリチャード・ウィックス氏とデビッド・エイトケンヘッド氏は、昨年、致死罪で起訴されたが、刑事裁判所で起訴が却下され無罪となっている。

ただし、ウィックス氏のパートナー女性ステラ・ヤングさんは、2000年に試作段階の人間カタパルトでテストジャンプをしたときに、骨盤骨折の重傷を負っている。彼女も審問に召喚され、自分自身の事故当時の状況を次のように証言した。

「私の場合はネットには達しましたが、ネットの内側にバウンドした後、外に放り出されました。骨盤に三箇所の骨折を負ってしまいました」

彼女は、自らの体験を語りつつ、人間カタパルトの危険さをチャレンジャーたちに認識させる役目も負っていたらしい。

ソース記事には言及がないが、おそらく、「これで命を落としても自己リスクと認めます」とかいう誓約書にサインするシステムになっていたと思われる。だから運営側の責任者が無罪になったりもしたのではないだろうか。

また、誓約書は、おそらく保険加入の申請書を兼ねていたのではないかと思う。よって、施設運営側の賠償責任も保険でカバーされたのではないだろうか。

こうして、生と死が紙一重な世界に自ら好んで(文字通り)身を投じる人が後を絶たない。

紙一重指数10■■■■■■■■■■




■ Source: Guardian Unlimited - Inquest told of student catapult death

【関連記事】


この記事の先頭に戻る

Google
WWW を検索 評点




トラックバックURL

この記事へのコメント

1. Posted by 通りすがりです   2005年11月04日 19:38
NTVの「世界まる見え!テレビ特捜部」で見ました。
この番組は海外のTVのVTRをダイジェストで紹介する番組ですので、NTVとしてのhpも無いようです。
2. Posted by miccckey   2005年11月05日 00:32
Thanks>通りすがりさん

》NTVの「世界まる見え!テレビ特捜部」で見ました。

やっぱりそうでしたか。そのとき、ほかのことをしながらテレビを見ていたのですが、確か人間を飛ばすシーンももろに映っていましたよね。

おっしゃるとおり、この番組のWeb サイトはないみたいですね。残念。
3. Posted by EVIL@MOON   2005年11月06日 15:35
BSの番組でも見ました。チャンネルはディカバリーチャンネル。番組名は忘れました。人間を飛ばすシーンもありましたよ。

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
◎-->